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会議録(2014年11月12日 科学技術・イノベーション推進特別委員会)

○小川委員  民主党の小川淳也でございます。

 山口大臣、きょうはお時間をいただいて、ありがとうございます。

 冒頭、大事な質疑の時間なんですが、私のせんだっての予算委員会での質疑の中でちょっと事実の誤認がございましたので、この場をおかりして訂正して、おわびしたいと思います。

 特定の団体と世界日報社に関する関係性について、事実誤認をもとに質問をいたし、関係の皆様に御迷惑をおかけいたしました。この場をおかりしておわびし、議事録等の訂正をさせていただきたいと思います。(発言する者あり)恐れ入ります。

 大臣とは、讃岐山脈を背にいたしまして、私が北側、大臣が南側ということで、高松行きの飛行機でもよく御一緒させていただいております。党派を超えて温かく御指導いただいており、感謝を申し上げたいと思います。

 この間も、地方創生委員会、徳島で地方公聴会がございました。特に、木材の利用とか、それから「いろどり」を初めとした天然資材の利用、非常に、逆に日本で最先端の地域だなというふうに感じております。

 きょうお尋ねするのは、科学技術の関係と少し色合いは違うかもしれませんが、ぜひ大臣の御活躍をお祈りしつつ、お尋ねを進めてまいります。

 ことしは、噴火、それからここ何年か地震、そして大災害等々、大変、日常生活を突然脅かすという事態の多い年でありました。この予知とか予測、衆議院の解散の時期も予測はなかなか難しいわけでありますけれども、地震の予知、予測、噴火の予知、予測についてお尋ねしたいと思います。

 まず、地震についてであります。

 科学技術白書によりますと、東日本大震災の折、緊急地震速報を気象庁は発せられております。しかし、残念ながら、震度は六近かったものが四として通報されているということが確認されております。加えて、昨年八月、関西地方におきまして、震度七の警報値が、これも完全に誤報だったようでありますが、発令されている。とうとう、二十三年には三月から四月にかけて全二十一回の誤報であります。オオカミ少年ではありませんが、私は、過少な警報よりはむしろ過大な警報であっていいという立場にあります、しかし、それにしても正確性をできるだけ期さねばならない。

 この観点から、現在、この反省をどう研究しておられ、今後に生かそうとしておられるか。この点、お聞かせいただきたいと思います。

○関田政府参考人  お答えいたします。

 平成二十三年の東日本大震災、我々は東北地方太平洋沖地震と呼んでおりますが、この際、緊急地震速報を発表するに当たり、関東地方の最大震度を四程度と予測し、その旨を予報として発表いたしました。今御指摘いただきましたとおり、実際には関東地方の最大震度は六強でございました。これは、地震の場合、断層が破壊されて起きるんですが、この地震が数分にわたる非常に大きな地震であったがために、緊急地震速報を発表する前の短い時間では地震の規模を正確に把握できないことによるものでございます。

 あわせまして、昨年の八月八日、これは和歌山県北部を震源とする非常に小さな地震がありましたが、それとほぼ同時刻に、三重県南東沖にあります海底地震計システムでノイズが発生いたしまして、このノイズを緊急地震速報のシステムが和歌山県の地震の揺れというふうに誤認し、マグニチュードを非常に大きく予測してしまったために、震度予測が過大になったということでございます。

 このように緊急地震速報、まだまだ技術的な課題がございますので、気象庁では、緊急地震速報の精度向上を図るため、今、新たな手法を二つ、導入を計画しております。

 具体的には、地震波の到達時刻のほかに、地震波の振幅等を考慮することにより、複数の地震が同時に発生した場合でも震源推定精度を高めることができる、こういう手法が一つでございます。

 もう一つの手法は、周辺で観測された揺れのデータから震度を予想し、これにより、東日本大震災のような巨大地震発生時においても、強い揺れの範囲をより適切に把握することができる、こういった手法でございます。

 これら二つの手法を導入することで、東北地方太平洋沖地震のような巨大地震につきましても震度予測が向上すると考えておりまして、今後五年以内を目途に、順次活用を進めていきたいと考えております。

○小川委員  技術的な取り組みですから時間がかかると思いますが、感覚として、五年以内というのは長いと思います。本当に精力的に、来年でも再来年でも、少しずつでも改善をいただくということをお願いしなければなりません。

 あわせて、現在、せっかく震度予測を立てた上で警報を流しているにもかかわらず、警報そのものには震度情報が入っていませんよね。直接、各個々人に対してお伝えするようにシステムを改善したらいかがかと思いますが、どうですか。

○関田政府参考人  お答えいたします。

 まず、活用に五年かかるという点でございますが、緊急地震速報は、人手を介さずに、全て計算機の自動処理で発表する仕組みになっております。このため、誤報の発表がないように、事前に動作確認等を極めて慎重に行う必要があるというふうに考えております。

 また、今後、実用化のためには、実際に地震が発生したものについて検証を行っていくという作業が必要と考えております。

 なお、動作確認が順調に進んだ場合には、五年を待たずに、動作確認が終了した時点で、前倒しで導入するということを考えております。

 それから、震度の方でございますが、緊急地震速報は、地震の震源に近い観測点の地震データを順次用いて解析し、揺れの予測を行っておるものなんですが、この予想では、強い揺れとなる可能性については比較的早く予想が可能なんですが、その場所場所の震度を精度よく予測するというのは少し時間がかかってしまいます。

 このため、震度五弱以上が予想された場合には、震度のいかんにかかわらず、その時点で緊急地震速報を迅速に発表する、そういうことで、その場で身の安全を図っていただく、こういう形にしております。

○小川委員  私もジレンマの中でお尋ねしています。誤報があってはいけない。しかし、冒頭申し上げたように、過小よりは過大の方がいいと思います。それをいかに正確性を高めていくか。しかも、時間も早い方がいいでしょうね。新たな技術の開発については、改めてこの点、お願いを申し上げたいと思います。

 あわせて、今度は噴火についてであります。

 本当にことしの御嶽における事故は、まさに、想定外という言葉があってはいけないんでしょうが、非常に悲惨な、突如の事故でありました。これも、特に水蒸気爆発だったということが言われておりますので、なかなか予知、予測が難しいという立場が基本的な立場でいらっしゃるんだろうということは前提に置きつつ、しかし、当日あるいは数日前から火山性の地震、細動が観測されていたということが事実として報じられてもおりますし、確認されているようであります。

 このキャッチした情報をどう生かしたのか、当日の反省を踏まえて、ここで証言していただきたいと思います。

○関田政府参考人  火山噴火の予測のやり方をまず申し上げますが、火山噴火の予測につきましては、地震計による火山性地震や火山性微動、傾斜計やGNSSによる地殻変動の観測、それから遠望カメラによる噴気等の状況の観測、こういったデータを過去の噴火の際の観測データともあわせて考慮して、総合的に判断して予測を行っているところでございます。

 今回の御嶽山の噴火につきましては、御指摘いただきましたとおり、九月十日から十一日にかけて火山性地震が増加いたしましたが、地殻変動や噴気に変化が見られなかったこと、また火山性微動が発生していなかったこと、それから火山性地震の回数が、平成十九年にごく小規模な噴火がございましたが、そのときと比べて少なく、また、九月十二日以降地震も減少したということから、噴火警戒レベルを引き上げるという判断には至らなかったというものでございます。

 現在の火山に関する知見、予測の科学的水準では、今回のような水蒸気噴火については噴火の予兆の把握が極めて困難で、また一時的な火山性地震の増加については、噴火が起きない場合でも数多く見られる現象であり、このことから、今回の御嶽山の噴火は噴火警戒レベルの引き上げが難しい事例であったというふうに考えております。

 一方、当然、今回の反省を踏まえて、改善すべきところはするという観点から、今回、火山噴火予知連絡会の下に検討会を設けまして、常時監視が必要な火山の見直し、火口付近への観測施設の増強、水蒸気噴火をより早期に把握できる手法の開発、それから御嶽山の火山活動の推移を把握するための観測強化、この四つについて現在検討しておりまして、十一月中に緊急提言として取りまとめたいというふうに考えております。

 この検討結果を踏まえ、火山観測体制の強化を進めるなど、火山噴火災害の防止に努めてまいりたいと考えております。

○小川委員  これも確認はなかなかとれませんが、現在、世界的に火山活動が活発化しているというような報道もありますよね。地震も頻発しているということからすると、ちょっと今の御答弁に関連して、日本列島に百五十余りある火山、活火山と観測火山を全国四カ所の情報センターで監視しているというのは十分かどうか、この点をまずお答えいただきたい。

 あわせて、先ほど、なかなか予知、予測に至らなかったという御答弁でした。それはそうかもしれません。しかし、微少な火山性地震は常に観測しているわけですし、これは、地震に関する予報にも増して、誤報が許され得る、過小であってはならない、むしろ過大でいいという類いの話かもしれません。

 そうすると、これは提案ですが、今検討会で今後の予知連絡のあり方についていろいろ検討されているとお聞きしていますが、今回の火山性微動については、町役場に知らせて山小屋に知らせたというのが基本だと思います。しかし、町役場に知らせて山小屋に知らせたところで、不特定多数の大多数の登山者の方々に本当に危険を知らせたことになるのかというところは、これはやったふり、アリバイづくりではありませんから、実効性を上げなければならないという意味でいうと、先ほどの地震に関する予知体制と同じく、当該エリア内登山者の携帯電話に直接、火山性微動、火山性地震を確認しました、気をつけていただきたいというような一報を入れる。今や、そういう技術あるいは装置をほとんどの皆さんが持っているわけですから、そういうことを利用していくということも十分検討に値するのではないかと思います。

 この二点、御答弁いただいて、最後にしたいと思います。

○関田政府参考人  現在、気象庁の方では、我が国には活火山は百十あるというふうに一応考えており、これは火山噴火予知連絡会の方で検討して選定していただいたものなんですが、その百十の活火山のうち、特に監視観測体制の充実等が必要とされて火山噴火予知連絡会によって選定されました四十七の活火山につきましては、地震計、傾斜計等の観測機器を整備し、常時監視をしております。こういったデータは、今御指摘いただきました四つの火山監視・情報センターの方にリアルタイムでテレメーターしておりまして、これは我々の担当官が二十四時間体制で監視しているという状況でございますので、とりあえず、現在の状況で火山にもし異常があらわれれば、それはすぐにわかるという状態になっているというふうに考えております。

 それから、登山者に対する情報の提供でございますが、これにつきましても、御指摘のとおり、非常に重要な課題であるというふうに考えております。こういった点から、先ほど申し上げました観測体制の検討に加えて、登山者等への火山情報の迅速かつ的確な伝達という観点で、同じように火山噴火予知連絡会の下の検討会で現在検討を進めておりまして、これについても同様に十一月中に緊急提言として取りまとめてまいる考えでございます。その中には、御指摘いただいたような、登山中の登山者に対する情報提供は極めて重要だということで、今御提案ありました携帯電話を利用する等、こういった方法も含めて、具体策について早急に取りまとめることとしております。

○小川委員  こういう時代ですから、せっかく開発されている端末等々はフルに活用して、思い切った施策を御検討いただきたい、そのことをお願い申し上げたいと思います。

 大臣、限られた時間の中ですので、複数お尋ねしたいテーマがございまして、どこまで御答弁いただくかあれなんですが。

 ちょっと明るい話からしますと、二〇二〇年東京オリンピック。科学技術白書の中では、特に、災害対策、インフラ整備、テロ対策、さらには高齢者の移動支援、超高齢化社会の中でのオリンピックという初めての世界的な事例になると思います。それから、外国語の翻訳機能を備えたようなロボットが人々をおもてなしするというようなことも白書の中に夢バラ色のごとく書かれておりまして、六年後でありますので、どこまでこれが実現するかというと、かなり楽観的な見通しではいけないんだろうと思いますが、しかし、それにしても夢のある話であります。そういう観点から、世界で初めて見る東京オリンピックというものを、大臣、ぜひリーダーシップを発揮していただきたいのが一点。

 それから、今月末は日本でも大変ブームになりました「はやぶさ」の二号機が打ち上げられるということでありまして、私自身も宇宙開発には相当大きな夢を感じております。特にヴァージン社が民間宇宙旅行を開発した。二千万円近い料金で、しかし、七百人ですか、多くの方々が既に申し込んでいる。ところが、先般の試験飛行で失敗に終わりまして、若干頓挫しているという残念な事例があります。私は、日本のこの世界に誇る科学技術こそ、ぜひ民間の宇宙旅行を含めて、「はやぶさ」も非常に意義のあることだと思いますが、人を宇宙へ運ぶというのが最も大きな行き着く先だと思います。

 大臣、このあたり、東京オリンピック、それから宇宙開発に向けての大臣の御関心なり御興味なり、少しお聞かせいただきたいと思います。

○山口国務大臣  今、小川先生御指摘いただきましたように、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックというのは、これはやはり、最新の科学技術の活用とか、この展開といいますか、これをやる本当にかけがえのない機会なんだろうと思います。

 御指摘いただきましたように、いろいろと検討もさせていただいておりまして、とりわけ東京都さんも大会をすばらしいものにしたいというふうなお話でございますし、先般も実は舛添知事さんともお目にかからせていただきました。いろいろお話をしたわけでございますが、もう委員も御案内のとおりで、実はタスクフォースをつくらせていただいておりまして、その中で、大会に向けて取り組むべきプロジェクトを検討させていただいております。今お話がありましたけれども、多言語翻訳システムだとか、感染症対策、自動走行技術、あるいは燃料電池、水素エネルギー等々。

 先般も視察をさせていただいたんですが、例えば、多言語翻訳機能ももうあと一息まで来ている感じでした。ちょうど首から下げて、ある意味、ウエアラブルなんですが、言ったことが英語になる、言われたことが日本語で出てくる。もうあと一息だなという感じでございますし、水素の関係もかなり動き出してきております。

 ただ、御指摘のとおり、これはやはり、二〇二〇年ということでありますと、少なくともその一、二年前には事業化のめどが立っていなければ非常に難しいというふうなこともあろうかと思います。そこら辺も、とりわけ東京都を初め、あるいはオリンピックの組織委員会等もございますが、関係等々といろいろ相談をしながら、実は年明けをめどに整理をしたいと考えております。

 あと、宇宙のお話もございました。

 私も子供のときから宇宙は大好きで、宇宙飛行士に憧れたことも実はございます。先般も、若田飛行士とテレビ出演させていただいたんですが、本当にすばらしい方で、すばらしいお話を聞かせていただいたんです。

 ただ、今、新しい宇宙基本計画を作成中でありますが、その中で、将来的に有人というものにどういうふうに対応するか。これはやはり、それだけの成果といいますか、実績を上げることができるんだろうか。いわゆる費用対効果ということもあります。

 一つは、無人で「はやぶさ2」、「はやぶさ」がああいうふうに成功したわけですが、無人でいろいろ積み重ねていく中で、将来、その必要性なり、財政状況なり、あるいは他国の状況等々とも、いろいろなことを総合的に判断してやっていくというふうなことになるんだろうと思いますが、夢としてはやはり人なんだろうなというふうな気がいたします。

○小川委員  おっしゃるとおりでありまして、今まで宇宙空間というと、やはり特別な訓練を積んだ選ばれた方々のみの空間でありますが、これをいかに一般の方に広げていくかというのが次のフロンティアではないかと思います。ぜひ、大臣の御関心をそういった分野に牽引していただきたいと思っております。

 きょう、これはもうお尋ねはしませんが、もう一つ厳しい話として、原子力発電に伴う放射性廃棄物の最終処理です。

 二〇〇〇年に最終処分法ができてから十四年間、微動だにしていません。先月、検討会が始まったというふうにお聞きしておりますが、これは政治的にも技術的にも大変重たい課題だろうと思います。きょう、時間の都合でお聞きはしませんが、改めて、心して進めていただきたいと思います。

 最後に、大臣、きょう、資料を御用意させていただいたんですが、ちょっと眺めていただきながら、最後の議論をお願いしたいと思います。委員長のお許しをいただいて、委員の皆様のお手元にもございます。

 先ほども御指摘ございましたが、今般、ノーベル物理学賞を三名の先生方がお受けになられたということで、大変喜ばしいことであります。不穏な空気にならなければぜひ当委員会で参考人質疑と思っておりましたが、またの機会にぜひお願いしたいと思っております。

 しかし、ざっとこの研究者一覧をごらんいただきますと、私は幼いころから感じていました、なぜ、喜ばしい、めでたい、誇らしい日本人受賞者がかくもアメリカの研究機関に所属しているんだろうということは常々思っていました。

 調べますと、ごらんのとおりでありまして、七名の方々がアメリカの研究機関に所属する日本人技術者であります。そのうちお二人に関して言えば、既に国籍までアメリカに移しておられるという、大変、喜んでいいのか、寂しいと感じなければならないのか。ここにまた構造的な問題がないか、科学技術御担当大臣としてはよくよくお考えをいただかなければならない点だろうと思います。

 さらに、おめくりをいただきます、二枚目、主要国の研究者一人当たり研究費であります。

 これは、政府からの支援に加えて、むしろ民間からいかにお金を引き出すかということも大事なんだろうと思いますが、お隣、アメリカとの比較でいうと、かなり置いていかれている状態であります。この辺も日本人研究者がアメリカに移っていく大きな背景であるのかどうか、検証が必要だと思います。

 もう一枚おめくりいただきます。今度は、年齢別に見た日米の大学院進学率、就学率であります。

 そもそも、そんなに高くない大学院への進学率なんですが、やはり、日本とアメリカを比較しますと、右側です、特に二十代後半以降において、多くの方がアメリカでは大学に進学している、日本では一たび社会に出る年齢になるとほとんどない。このあたりも、非常に流動性が低い、硬直性が高いということも見てとれます。

 一通りちょっとおめくりいただいてごらんいただきたいと思いますが、次も科学技術白書からいただきました。各大学や研究機関がきちんと研究者を評価しているかどうかという自己採点であります。

 左側は、研究者を評価していないというふうに答えた機関が、大学に至っては三五%。何と四割近い大学で、研究者の評価をしていません、実施がありませんと答えているわけです。これはちょっととんでもない傾向だと思います。

 右側をごらんいただくと、その評価結果の芳しくない研究者に指導を、これは恐らく配置がえ等も含むと思いますが、実施しているかという問いに対して、六割近い大学が指導していない。つまり、研究者を正当に評価する仕組みもないし、評価したところで、適正な指導をするシステム、環境にないと大学初め各研究機関みずからが告白しているわけであります。かなりお粗末な事態だと思います。

 よくこういう環境の中で世界に名立たるノーベル賞受賞者を輩出してきたものだ。本当に個人の力によるところが大きいんじゃないか。システムとして、仕組みとして構造的に考え直す責任が大臣にはあるのではないか。

 一通りおめくりいただきます。次のページは、十年前の〇三年と、十年後、昨年の一三年の、国際的に論文をどのぐらい発表しているかという経緯、実績であります。

 十年前はほとんど見られなかった中国が、現在、圧倒的多数の論文発表に至っています。日本は若干ふえているように見えますが、少なくとも、米中の二大国を中心にした世界の構造はこういう科学技術論文の分野にも如実にあらわれてきている。ここには脅威を感じるべき、恐れを感じるべきだと思います。

 最後の一枚です。日米の大学の研究員の年収。これも科学技術白書からとらせていただきました。

 年収ベースで、やはり世界に名立たる先進大学が左側、日本が右側でありまして、少なくとも一・五倍から二倍近い報酬の差、開きがあります。こういったことも背景に恐らくあるのではないか。

 このあたりを一連でごらんになると、日本人の個人的な技量なり力量によって立ってきたこれまでの研究技術の世界をぜひ構造的に見直して、正当な評価、正当な報酬、そして、マイナスの評価、マイナスの実績に対してはきちんとした指導を含めて、信賞必罰ではありませんが、めり張りのきいたシステムづくり、構造的改革が科学技術分野においてぜひとも必要だと思いますが、大臣、御見識をお聞かせいただきたいと思います。

○山口国務大臣  今いろいろと数字も拝見をいたしましたが、私も全く同じような問題意識は持たせていただいております。

 とりわけ、いろいろな事情があったんですが、先ほども議論させていただいた、ノーベル賞をとられた中村教授がアメリカに行ってしまわれたのは非常に残念な思いがしたわけですが、ただ、ノーベル賞をお受けになられた皆さん方、それぞれ、いろいろ御事情があって、日本に帰ってきた方もおいでますし、いろいろ状況があるわけです。

 ただ、やはり一般的には、海外では、日本と比べて、異分野の融合のしやすい部分というか、充実した研究体制等々、あるいはお話しの給与等々、研究に集中しやすい環境があるというふうに言われておるのもこれは事実でございますので、そこら辺をしっかりと踏まえながら、やはりもっともっと日本で研究しやすいように、御案内のいわゆる特定国立研究所等の法案も考えておりますが、給与体系も含め、もっと環境をしっかり整備していきたいし、同時に、アメリカに行ってしまわれたんだけれども帰ってきやすいような、帰ってこようかなと思うような環境もしっかりつくっていかなきゃなりませんし、同時に、外国のそういった優秀な科学者に来ていただくということも大事であります。

 しかし、御指摘いただきましたように、いろいろな問題点を抱えております。とりわけ、これも文科省といろいろと協議をしなきゃいかぬ部分もたくさんあろうかと思いますが、しっかり協議をしながら、せっかくですから科学技術・イノベーションがしっかりと前向きに進んでいくように、総理のおっしゃるように世界で一番イノベーションに適した国と言われるように、一生懸命努力をしてまいりたいと思います。

○小川委員  終わります。ありがとうございました。

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