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〜会議録(2015年4月24日安全保障委員会)〜

○北村委員長  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小川淳也君。

○小川委員  おはようございます。

 早速ですが、質疑に入らせていただきたいと思います。

 大臣には、一番最初に着席をされておりまして、頭の下がる思いでございます。

 まず、さらに一昼夜たちましたので、ドローンの官邸屋上墜落事案についてお尋ねをさせていただきます。もし、続報や、その後明らかになったことがあれば、この場で御説明いただきたいと思います。

 念のため、防衛大臣のお耳には、危機管理上、墜落を確認後どの時点でお耳に入ったのか、まずその点をお聞きしておきます。

○中谷国務大臣  私は、おととい二十二日、防衛省内で執務中でございましたが、午前十一時四十八分、本事案についての第一報を受けております。

○小川委員  ほぼ山谷大臣と同時刻ということで承りたいと思います。

 加藤副長官、ありがとうございます。では、官邸にお尋ねしたいと思います。

 これは、昨日の報道等によりますと、墜落がいつだかまずわからない、しかし機材には雨水がたまっていたというような報道もあります。恐らく、一昼夜含めて、相当長時間あの場に放置されていた可能性があると思いますが、職員の方の見回りで見つけたということは、ほぼ偶然見つけたというに等しい状況ではないかと想像いたしますが、その点、いかがですか。

○加藤内閣官房副長官  官邸の警備にかかわるお話でございますから、具体的なことはコメントを控えたいと思いますが、ただ、今お話がありましたように、四月二十二日の午前十時二十七分に官邸の屋上にドローンと思われるものがあることを職員が発見したということは、そのとおりでございます。

○小川委員  官邸の警備にかかわるというのは非常に便利な言い回しでありまして、お答え、詳細にできかねる部分は確かにあろうかと思います。しかし、屋根の上に何らかの異常な事態があったことを恐らく知らずに相当時間を経過したことは間違いないわけでありまして、その点は改めて、今から急いで御検討されるということだと思いますが、官邸の警備にかかわることなので申し上げられないというのは非常に便利な言い回しだということを改めて指摘しておきたいと思います。

 その上で、二、三お尋ねいたします。

 その時間帯なんですが、私どもも、例えば外部から来られたお客様の御案内で国会周辺にいたり、あるいはその道すがら官邸周辺を歩いたりということがございましたし、そうした方々はたくさんいらっしゃいました。

 最悪の事態を想定すればでありますが、大変攻撃力の強い爆発物である可能性もなかったとは言えない、あるいは、放射能、放射線の強さについても、報道されているレベルであれば直ちに人体に影響ということはないかもしれませんが、それもその限りだということはその時点では直ちに判明していない。ということからすれば、官邸の周辺、これは政府、国家機関、多々ございます、それから民間のオフィス、場合によっては住宅、そして行き来する人たち、こういった方々に対して注意喚起する、お知らせをするということは必要だったのではないかと思いますが、その点はいかがですか、危機管理上。

○加藤内閣官房副長官  今御指摘のように、いろいろな意味で国民の皆さんにいろいろ周知していくことは重要だろうというふうに思いますが、本件については、先ほど申し上げた、官邸職員が発見をし、警察に対し事案の通報を行い、警察が直ちにいろいろと調査をしたわけでありまして、その中の形状や置かれている状況を総合的に判断して、警察において、今申し上げた周辺への注意喚起が必要な段階にはないと判断したというふうに承知をしております。

○小川委員  今回、結果的には、恐らくその判断の範疇におさまる事案だったんだと思いますが、事と次第によっては、直ちに周辺に対するさまざまな注意喚起、あるいは場合によっては避難の勧告等々、そういった事態まで想定し得る、今後を含めて、そういう事案であったということを改めて認識を共有させていただきたい、指摘をしたいと思います。

 国交省にお越しをいただいております。

 現在、無人空中飛行物体ということに対しては、余りルール化されていない、あるいは規制が及んでいないということかと思います。現状、航空機の飛行の安全という観点からはさまざまなルールがあるというふうにお聞きをしておりますが、それと、今回の事案、例えば官邸を含めた政府の建物の近辺、あるいは皇居周辺、あるいは原発周辺の安全を確保するという意味での空の規制はほとんど皆無だと思いますが、この点をまず確認したいと思います。

○うえの大臣政務官  お答えします。

 いわゆる小型無人機につきましては、現行の航空法におきましては模型航空機と扱われておりまして、航空機の飛行に影響を及ぼすおそれのある場合を除きまして、その飛行につきましては特段の規制はございません。

○小川委員  空港周辺で二百五十メートルですか、それ以上上げてはいけないという規制は辛うじてある。しかも、空港周辺なり航路周辺ということですよね。ですから、今回の事案を踏まえて新たなルールづくりを研究されるんだと思いますが、全く違った観点から規制なりルール化を検討しなければならない。

 これはどこが担当するんですか、政府機関の建物の周辺の安全、危機管理、あるいは原発、皇居周辺。きのう少し事務的にやりとりした中では、まさに国交省と官邸サイドが、いや、うちじゃない、うちじゃない、うちにはできないというようなことを少し事務的にやりとりする一面がありました。それは政府内でやってくださいというふうに申し上げたんですが。

 関係閣僚会議を設置されるということも報道でお聞きしております。どこが責任を持ってこの観点からの規制、ルールづくりを進めていかれるのか、その点を確認させてください。

○加藤内閣官房副長官  今国交省からございましたように、ドローンを初めとする小型無人機については、既に航空法を所管する国土交通省において運用ルールの策定等の検討を進めていただいていたところでありますが、今回の事案を受けまして、関係行政機関の相互の緊密な連携を確保し、総合的な効果的な取り組みを推進するということで、きょうの午後二時半から予定しておりますが、小型無人機に関する関係府省庁連絡会議を開催したいと思っておりまして、この会議を中心に、それぞれ所管がございますから、それぞれの所管を踏まえ、首相官邸を含む重要施設の警備体制という意味での検証、見直し、また小型無人機の運用ルールの策定、さらには制度の見直しということについて、政府一丸となって取り組んでいきたいと思っております。

○小川委員  政府一丸は当然だと思います。どこが責任を持って、主管課として、主管担当部局として、このかつて経験したことのない、研究したことのない切り口で空の規制をする、どこが主に責任を担うんですか、それをお聞きしています。

○加藤内閣官房副長官  今回の事案というのは大きく分けて二つあるんだと思うんですね。このドローンというものに対する規制というものと、さらに、官邸、あるいは国会もそうかもしれません、そういう重要施設をどう警備するのかという視点もある。さらに、ほかの視点もあるかと思いますけれども。

 それは、それぞれ所管がございますから、その所管がそれぞれの仕事をする上において、また関係省庁ともよく連携をとって対応していく、こういうことになろうと思います。

○小川委員  官邸の警備上のことですから言えないにしても、あるいは関係省庁連携にしても、通りはいいんですよ。しかし、非常に便利な言い回しであるがゆえに、その責任の所在なりあるいは実効性なりという観点からすれば甚だ疑問の多い御答弁であります。これはまだ起きて間がない事案でありますので少し経過も見守りたいとは思いますが、改めて、責任の所在、そして実効性ある対応、こちらをお願いしておきたいと思います。

 それでは、防衛省設置法の改正案についてお尋ねをいたしますので、副長官、うえの政務官、どうぞ御退室いただいて結構です。ありがとうございました。

 では、中谷大臣にお尋ねをいたします。

 まず、この設置法の改正案、非常に主要な論点は文民統制のあり方だろうと思います。大臣のこの間の御主張、御答弁あるいは会見対応等を拝見いたしますと、特に十二条を中心とした今回の改正は何ら文民統制そのものに影響を及ぼすものではないし、あるいは、過去、内閣総理大臣を初めとしたしかるべき立場にある方々がこの点に関して発言をしてこられた経緯があります。そこには文官統制という言葉が間々登場をいたします。この意義等について、歴史的な経過も含めて、お認めになることに対して非常に消極的であるという印象を受けます。

 そこで、まずお尋ねしたいと思いますが、過去、日本の特殊な歴史に鑑みて、確かに文民統制とは、国民の代表たる政治家、防衛大臣、内閣総理大臣を中心とする文民がしっかりと軍事を掌握、統制し、優先順位を間違えないようにということに真髄があると思います。それは過去も今も変わらないと思います。しかし、事日本の特殊な歴史、戦前の大変残念な歴史、そしてその後、非常にイレギュラーな形で再軍備を整えてきた歴史等に鑑みれば、一定程度この文官統制という言葉が、非常にイレギュラーな形とはいえ、日本社会、日本の軍政、軍事行政の中で取り入れられてきたということをむしろ正面からお認めになった方が、今回の議論、非常に素直に受けとめられますし、建設的だと思いますが、大臣、まずその点をお聞きしたいと思います。

○中谷国務大臣  二月二十七日のあの記者会見の中でも申し上げましたけれども、終戦までの経緯に対する反省に基づいてつくられた制度は、文官統制ではなくて文民統制の制度でございます。

 我が国の文民制度というのは、国会における統制、内閣における統制、防衛省における統制がありまして、そのうち、防衛省における統制というのは、文民である防衛大臣が自衛隊を管理運営する統制ということを指すものでございます。

 文民統制における内部部局の文官の役割は、この法案の条文でも明らかなように、防衛大臣を補佐することでありまして、防衛大臣による文民統制を助けるものとして重要な役割を果たしておりますが、政府として文官が部隊を統制するなどの文官統制という考え方はとっておりませんし、この日の記者会見におきましても、この旨を私から繰り返しお答えしたところでございます。

○小川委員  文官の方々が大臣その他、特に政務のメンバーをしっかりと補佐することによってシビリアンコントロールに実効性を持たせるというところに対しては、私どもも全く異論を挟むものではありません。そのとおりだと思います。おっしゃるように、シビリアンコントロールの本質、本義は、大臣が御説明になられたとおり、その点も賛同いたしております。

 しかし、過去、内閣総理大臣初め、それこそしかるべき方々が答弁になってこられた経緯、これに対しては一定程度、現防衛大臣としても敬意を払うべきではないかと思います。

 例えば、もう既に政府統一見解で引用された御答弁、これも多々ございます。佐藤総理、それから竹下総理初め、防衛庁内部における文官統制が制度として確立をされている、確かに、制服組の上に立つとか偉そうな顔をするとか、そういうことではないということもつけ加えられているようでありますが、国会による統制、内閣による統制、防衛大臣による統制、これをサポートする形で文官がしっかりとコントロールをしていくんだ、関与していくんだということは再三にわたって答弁されているわけであります。

 その点は、改めて、まずお認めをいただきたい。何度も申し上げますが、お認めをいただきたい。そこから今回の議論は出発するのではないかと思います。それを否定されると、もともと十二条は何のための規定だったのか、そして、なぜ今回改正するのか、その点すら焦点が極めて曖昧になると思います。

 大臣、まず、大臣がお答えになった先般の記者会見、二月二十七日の記者会見のところから参りたいと思います。

 記者の方の質問に対して、この十二条の規定、また、運用企画局の存在等について、旧憲法下で軍部が独走してしまった反省から先輩たちの政治家がつくったというふうに大臣はお考えでしょうか。これは大臣は、そう考えていない、思わないという答弁を繰り返しておられますが、やはり、この文官統制の規定、十二条の規定、そもそも戦前の軍部の独走に対する反省から生まれてきたものではありませんか。その点、まず、いま一度お認めをいただけませんか。

○中谷国務大臣  私も過去の答弁を繰り返し読んでみました。何度読んでも、終戦までの経緯に対する反省に基づいてつくられた制度というのは、文官統制ではなくて文民統制の制度でございます。

 そこで、防衛省における統制というのは、文民である防衛大臣が自衛隊を管理運営し、統制するということで、文官の役割というのは防衛大臣を補佐するということでありまして、この点、政策的見地からの補佐というのは文官が行います。

 ですから、答弁を読みましても、政策的見地からの補佐であるということでございまして、結果的に、全ての答弁も拝読をいたしましたが、いずれの答弁も、内部部局の文官の補佐を受けて行われる大臣による文民統制の趣旨であると理解をされておりまして、この十二条と文民統制につきましての政府の考え方というのは最初から一致をしている。

 というのは、保安庁の制定時に大橋大臣も、防衛庁設置法制定時に木村大臣も、政治が軍事に優先して大臣が指揮監督を行う旨、また、内部部局の局長等は自衛官と並んで大臣補佐をするものであるという旨を答弁しているからでございます。

○小川委員  その本質については、何度も申し上げているとおり、そのとおりだと思います。

 しかし、戦前の特殊な経緯に鑑みて、一定程度、内局にある事務官が、人事や政策や予算を通して積極的関与、そして、大臣を初めとした政務と幕僚の制服組との間に立つ形でさまざまな調整業務に奔走している。そのことが、ひいては、制服組の独走なり、場合によっては暴走のようなものを抑止することにつながっているという趣旨の答弁は、過去繰り返されているわけであります。

 その意義を一定認めた上で、私は、過去の答弁を見てまいりますと、特に昭和四十年代、五十年代ぐらいまで、あるいは六十年代ぐらいまでですか、竹下総理のころまでは、内局によるコントロール、内局による統制というのは非常に肯定的に、積極的に表明されているんです。シビリアンコントロールを担保する、あくまで一つの要素としてですよ、一つの機能としてです。

 ところが、平成十年の久間大臣、それから平成二十年の石破大臣、このあたりから少し雰囲気が変わってくるんですね。

 ですから、それは恐らく、再三申し上げますが、歴史的経緯で、日本社会には、それは政府内部においても、軍部とか軍人に対する警戒心やあるいは猜疑心のようなものが非常に色濃くあったんだと思います。だから、政治家による統制に加えて、内局、事務官による積極的な関与を肯定的なイメージで捉えてきた。これは昭和四十年代、五十年代、六十年代まではそうだったんだと思います。

 現に、事務次官や官房長を初めとした内局の幹部は、防衛省生え抜きというよりも、むしろ内務官僚や大蔵官僚や、そういった方々が占めるということも多々ありました。私自身も、なぜ先輩方が、この防衛省という、またちょっと畑の違うところで大幹部を務めているんだろうということを率直に疑問に思ったことも実際あったんです。そういう歴史的経過の中で防衛省内の事務、政策、運用の遂行は行われてきた。

 しかし、平成十年、二十年、やがては防衛参事官という過去あった制度も廃止されるわけでありまして、特に近年そうだと思いますが、制服組とか軍部とか、あるいは軍人とかいうものに対する少しアレルギー的な反応は、日本社会においては極めて少なくなってきている。それは裏を返せば、自衛隊、自衛官の皆さんの献身的な貢献であり、誠意ある努力であり、そういったものが内外の情勢変化と相まって、非常に国民の信頼と期待をかち得てきた歴史でもある。

 そのことは、むしろ、大臣、真っ正面から評価されて、過去こういう概念、過去こういう観念が日本社会、政府内外にあったかもしれない。それは当時の時代背景下においては一定の機能を果たしていた面がある。しかし、時代は変わってきた。より大きな信任、期待、信頼をかち取ってきた歴史でもあった。したがって、防衛参事官制度の廃止、そして今回、歴史的な経緯のある十二条の改正を含めて、きちんと、本当の意味で制服組とそして内局が両輪として、大臣がよくおっしゃる両輪として並立の関係に立って、しっかりと大臣初めとした文民を支えていくんだ。法的にも、実務に照らして、また世情に合わせて、本当にあるべき姿、望ましい姿にむしろ変えていくんだという文脈で御答弁になられた方が、極めて歴史に即した、理解しやすい今回の改正の趣旨に当たるのではありませんか。

 重ねてのお尋ねになりますが、今私が申し上げたことを御理解いただけるかどうか、御答弁いただきたいと思います。

○中谷国務大臣  シビリアンコントロールという意味は政治が軍事に優先するということでありまして、自衛隊の発足当時からこの主体は防衛大臣、防衛庁長官であって、それを補佐するという意味で、政策的補佐におきましては内局、文官が、そして軍事的専門家の補佐としては統幕がということで位置づけをしまして、ずっと一貫してこれは守られてきたと思っております。

 過去の答弁を読みましても、中曽根防衛庁長官が、昭和四十五年の五月十二日ですけれども、「国家公務員相互においてせびろが制服に優越するということではない。」「文民優位とは政治家や、あるいは国民の代表である国会が軍事を掌握することである」と答弁をいたしたり、また、「文民優位とは政治優位であると考えておりまして、私たち政治家の責任においてこの問題は推進してまいりたい」。

 要は、責任がとれるというのは政治家でしかないんですね。官僚とか自衛官はやはり補佐をするということでございまして、いずれの答弁を読みましても、例えば、重要政策決定は長官を補佐するとか、また政策決定におきましては内局が補佐をするとか、また防衛行政の基本にかかわることということを言って、全て政策的補佐をする上においての調整を行うということでございまして、私としては、一貫してこの流れで従来やってこられたというふうに認識をいたしております。

○小川委員  大臣、お互い言っていることが実はそんなに遠くないんだろうと思いますが、私が申し上げていることの方がより歴史に即した、また実感に即した御提案をしているのではないかと思いますし、大臣は非常にかたくなに、過去、文官をもって制服組との関係をしっかり統御、制御することを通してシビリアンコントロールを実効あらしめるということに対して非常にかたくなな姿勢をとっておられるというふうに私には思えます。

 では、ちょっと、過去、実際に文民統制が危ぶまれかねなかった事案、事件というのは複数あったというふうに私自身は認識をしております。

 例えば、昭和五十三年には、当時の統幕議長が、有事の際には自衛隊は超法規的行動をとらざるを得ないという発言をなさったことで事実上更迭になった事案がありました。栗栖事案と申し上げればいいのか。

 そして、下甑島に対する訓練名目で、部隊の指揮命令権の枠外において警備、警戒に自衛官が独自の判断で当たったという事案もございました。

 そして、さかのぼること、昭和三十八年までさかのぼるわけですが、これは統合防衛図上研究事案というものもございました。いわゆる制服組の方々、統合幕僚会議の事務局長の方とお聞きをしておりますが、戦時を想定し、国民国家総動員体制の研究、あるいは核の持ち込みというようなことを研究していたことが大問題になりました。

 こういった事案に対しては、今なおこれは十分注意をし、やはり軍事の専門家でありますから、ある面、責任意識だと思うんですよね、いろいろなことを想定し、頭の体操をしていくという責任意識から出るものかもしれません。しかし一方で、このシビリアンコントロールの原則というのは、戦前の反省もさることながら、先進各国を中心に民主主義の国家体制のもとでは、大臣、内閣総理大臣の指揮命令あらねば小指一本動かしてはいけない。これは極めて厳格な原則だと思います。そういうことからいえば、時代は変わりつつあるとはいえ、この過去の事案には学ばなければならない、あるいは、これを反省材料として、今なお緊張感を持って監視、監督をしていただかなければならない要素というのは多々あるんだろうと思います。

 重ねてになりますが、この昭和三十八年の図上研究事案、この後、参議院の予算委員会には、この問題を集中審議する小委員会が設立をされておりまして、そしてそこに、防衛省、当時の防衛庁から、実際のところどういう事務分担あるいは内部統制が行われているかということを報告した公式文書がございます。

 その中には、国会と自衛隊との関係、政府と自衛隊との関係、ここまではよく大臣がお述べになるところですよね。問題はこの先なんです。防衛庁内部における内局と幕僚監部等の関係という規定がございます。

 そして、当時のことですから、文官の参事官、防衛参事官が長官、政務次官、事務次官を補佐する、そして、官房及び各局の長にはその参事官が充てられるということが明記されています。そして、幕僚監部含めて、事務次官の監督に服するという規定もございます。

 さらに、国会や中央官庁との連絡交渉は内局の専管事項であり、幕僚監部職員は、長官が特に承認した事務以外については、国会等との連絡交渉を認めないとまではっきり書いている。各自衛隊の業務計画承認に際しては、内局が当該計画の審査に当たるという形で参画をし、統幕等の計画を実質的に統制する建前となっている。

 これは、この図上研究事案を踏まえて、防衛庁がみずから報告した公式文書であります。

 重ねてお尋ねします。

 ここには、内局が、政治、法律、予算等々に精通した内局事務官が、さまざまな政策、あるいは命令の伝達等も含めて、積極的に関与することを通してシビリアンコントロールを実効あらしめる一定の工夫なり配慮がなされていたということを、防衛庁みずからが作成した公文書で私は確認できると思いますが、改めてこの点をお尋ねし、今回、この通知、訓令自体は、後に、平成九年ですか、廃止されているんですね。しかし、廃止通知の中には、廃止に伴って実際の事務は変わりませんということを注記しています。それはなぜかといえば、一定の実績、実例が積み重なってきた実績がある、これに照らせば、あえてこの訓令をもって制御、統制する必要性がもはや薄れているということまで書かれております。

 ですから、大臣、改めてお認めください。当時は、歴史的な経過あるいはさまざまな文民統制が疑われかねないような事案への反省を踏まえて、実情をこのように防衛庁内部においても分析していたし、そういう歴史的経過があったんだ、そして、その訓令廃止後も事務の執行等に大きな変更はないし、そして、重ねてお尋ねしますが、今回、十二条を改正したことをもって、何らかの変更、これも恐らくないということだと思うんですが、その点も含めて改めて確認させてください。

○深山政府参考人  ただいま、いわゆる三矢研究についてお尋ねがありましたので、大臣の御答弁の前に、三矢研究について若干補足させていただきます。

 御指摘の三矢研究は、昭和三十八年の統合防衛図上研究、これは御指摘のとおり、当時の統幕、統合幕僚会議事務局を中心に、有事における部隊の統合運用を中心課題として行われた幕僚の研究であります。

 本研究は幕僚の研究でございます。御指摘のとおり国会でも議論されたところでございますが、本研究に当たりましては、当時の統幕議長から当時の防衛庁長官に報告がなされるとともに、事前に内部部局に連絡があり、内部部局の関係課長も数回オブザーバーで参加していること等もございまして、当時、国会に御報告した中でも、文民統制との関係で特段の問題が生じるものではないという当方の評価を御報告していることであることを御報告いたします。

○小川委員  大臣、今私がお尋ねした当時の事案、そしてそれに対する防衛庁の公式文書、ここでは内局が統制に当たる建前となっているとはっきり明記しています。

 この歴史的経過をお認めいただき、なおかつ、この訓令廃止後も、一定の実績が積み重なったことで、大幅に事務の変更が行われたりということはない、加えて、この十二条改正がそうした事務の政策判断、政策執行における変更を企図したものではないという点、大臣、ちょっと確認をさせてください。

○中谷国務大臣  ただいま御説明をいたしましたように、これは政策的見地からの大臣の補佐ということで行われたことでございます。

 十二条の改正を行いますけれども、もう一度説明いたしますが、今般改正するのは、統合幕僚監部の改編、また防衛装備庁の新設で、防衛省の組織構成が変更されることから、この条においても、いわゆる政策的見地からの大臣補佐と軍事専門的見地からの大臣補佐を調整、吻合するという従来からの趣旨自体を変更しないままで、新たな組織構成に適切に対応した規定とするものでございます。

 他方、防衛大臣が的確な判断を行うために、政策的見地からの大臣補佐と軍事専門的見地からの大臣補佐が車の両輪としてバランスよく行われることを確保する必要がありまして、文官による政策的見地からの補佐は防衛大臣による文民統制を助けるものとして重要な役割を果たしているということで、今般の改正においてもこれは何ら変わることなく、文民統制を弱めるといったものではございません。

○小川委員  当然、過去の経緯、そして今後の運用においても、大きな変更があるはずもないでしょうし、あってはならないんだと思います。

 文民統制、なかなかちょっと水かけ論になりがちなんですが、私どもの認識からすれば、変わらないのであればこの十二条の改正は必要ないし、そしてこれは、過去の経過に鑑みて、日本社会においては、極めてイレギュラーな形かもしれませんが、こういった概念のもとに文民統制を実効あらしめてきた歴史があるということは私どもの立場からの主張であります。

 そのことについては改めて確認をし、もう一点、先ほど下甑島事案についても申し上げました。これも大変、私自身、ゆゆしき事態だと思います。当の部隊からすれば善意でしょう、部隊からすれば。しかし、部隊の善意は全体の統制にもとることが大いにあり得べきでありまして、この点は、今後も、各部隊、特に指揮官の方々については極めて厳重に文民統制のもとにあっていただかなければなりません。

 そしてもう一件、これは〇四年でございますが、大臣御自身がかかわられている案件でありますので、ちょっと率直なところをお聞かせください。陸上自衛隊の幹部が、当時の自民党憲法調査会の中谷改憲案起草委員会の座長ですか、憲法改正案をまとめて、当時の中谷座長に提出した。これは、組織的に改憲作業に関与した誤解を与えかねないということで、注意処分を受けたということでありました。

 大臣、この事案は、まさにこの文民統制という観点からでございますが、極めて不適切な事案だと私は思いますが、大臣の評価をまずお聞かせいただきたいと思います。

○豊田政府参考人  お答え申し上げます。

 御指摘の事案につきましては、平成十六年十月、陸上幕僚監部の二等陸佐が、中谷大臣、当時自民党憲法調査会の憲法改正案起草委員会の座長でございましたが、からの個人的な求めに応じまして改正案を作成して提供したものでございます。

 この二等陸佐の行為につきましては、陸上自衛隊としての組織的関与はなく個人的行為であったことから、文民統制との関係で問題はありませんでしたけれども、職場のファクスから送付するなどの一連の行為が組織的関与との誤解を与えかねず、自衛隊に対する国民の信頼を傷つけかねない配慮を欠くものであったというふうに考えておる次第でございます。

○小川委員  そこは議論のあるところだと思いますが、ちょっと大臣のサイドからお答えください。

 なぜ、これは現役の陸上自衛官に対して改憲草案を提出してくれないかというようなことをおっしゃったんですか。これ自体、ちょっと不適切ではないかと思いますが、いかがですか。

○中谷国務大臣  各政党がございますが、政党で政策を立案する際は、広く国民各界各層の意見を聞いてしっかりとした政策をつくると思います。

 憲法に関しても、自民党は従来からずっとこれの研究、検討をしておりまして、当時、私もその起草委員会の座長という職にありまして、安全保障に関しても学者を初め幅広く意見を聞いておりました。

 しかし、やはり現場に従事をする自衛官からも意見を聞いてみたいということがありまして、当時、自民党の中で検討してきた内容を含めて、この内容に基づいて自衛官なりの見識を聞いたということの、私の政治家である活動の一環として行ったことでございます。

 御党もそうですが、こういった政策をする際は、幅広い方から意見を聞きますし、また、自衛官であろうとも、現場の意見も聞かれることもあろうかと思いますが、私はその一環で行った行為だと思っております。

○小川委員  大臣、それは適切だったということをおっしゃっているんですか。政治家として、個人的な縁をたどり、そして現職の現場の自衛官に対して改憲草案を出させるということは適切だったということですか。

○中谷国務大臣  やはり政策をする際は幅広く意見も聞きますし、現にその仕事に従事するような立場の人からも当然意見は聞いて政策を煮詰める必要があるかと私は思います。

 ただ、この聞き方において、私の個人的な関係で意見を聞きましたけれども、その行為が組織的に関与したという誤解を与えかねないものであったということにつきましては、私としては、もう少し正式に意見を聞けばよかったなというふうなことでございます。

○小川委員  大臣、そこは最初からそうおっしゃってください。やはりどう見られるかということも大事ですよね。あるいは、結果として、これは現職の自衛官が注意処分を受けているわけですから、大臣は直接にこれを誘発、誘引してしまったという側の責任もあるわけです。そこはやはり、文民統制を今議論していますけれども、もっと注意深く言動なりあるいは対処をしていくという姿勢がなければ、こういった問いに対してもそういう角度からお答えいただかないと、私どもとしては到底これは納得しかねるということは重ねて申し上げたいと思います。

 残念ながら、過去の経緯ですよね、やはり日本社会には私はあったんだと思いますよ。軍人、軍部に対する大変大きなアレルギー、そして、何とか、二度と暴走を許さない、そして国民に惨禍をもたらさない、そのためにさまざまな工夫が二重三重に行われてきた、その中の、階層でいえば上位ではないかもしれませんが、一つの機能として、制服組でない人たちによる事務的な関与であり、それが場合によっては統制という言葉をもって語られてきた、その歴史は、重ねてになりますが、私は率直にお認めになった方がいいと思います。

 そして、結論から言うと、異常なんですよ、そういうことがそういう法制下で何十年も歴史をたどってきたこと自体が。しかし、その異常は、歴史に対する反省や、歴史を二度と繰り返したくないという思いから来ている。そういう意味では大切にしなければならない経過であります。

 それが変わっていくということに関しては、先ほども申し上げましたが、ある意味、時代の当然の流れかもしれませんし、あるいは、その陰には、現場の自衛官の方々が積年にわたって積み重ねてきたさまざまな期待や信頼というものがかち取ってきた一つの成果かもしれない、私はそういうふうに受けとめています。

 きのう津村委員もお尋ねになったんですが、この上は、やはり、軍事的見地から大臣を補佐する立場であるということが鮮明になりつつある、それは車の両輪であって、内局による予算的、法律的、政治的助言とまさに並立の関係に立つということを再三大臣はおっしゃっている。

 であるならば、長年、慣例により、幕僚監部は、国会にもう半世紀以上、御出席をいただき、軍事的見地からの大臣への助言、これに関して補足説明をするという機会なく、これまでやり過ごしてきました。大臣も、きのうの時点では、部隊の運用に専念させたいというようなお言葉でありましたが、さきに、統合幕僚長ですか、二月の記者会見で、国会で呼ばれたらぜひ出ていってきちんと説明したいということも会見でおっしゃっています、公に。この趣旨をしっかりと酌んで、今後、私は再三安保委員会で幕僚監部に対する出席を求めているんですよ。理事会で、残念ながらはねられている。

 これは委員長の御高配もぜひ賜りたいと思いますが、今般、この十二条の改正によって、形式的にも実質的にも制服組と事務方との並立関係にある大臣への助言という体制が完結、完成すると思います。その暁には、ぜひとも幕僚監部が、事と次第によっては、状況に応じて、必要性に応じて国会の場に御出席をいただき、その見地からの説明責任を果たしていただくということについて、大臣、ぜひ前向きな答弁をお願いしたいと思います。

○中谷国務大臣  統合幕僚長自身も、国会から求められればという前提で話しておりますが、自衛官の国会の答弁の必要性につきましては、まさしく国会において御判断をされる事項でございます。

 その上で申し上げれば、各幕僚長を初めとする自衛官は、引き続き、防衛大臣を軍事専門的見地から補佐するものでございまして、部隊運用等の隊務に専念すべきであることから、各自衛隊の隊務に関する国会答弁につきましては、従前と同じく官房長や局長に、また、改編後の統幕にあっては運用政策総括官というものを設けます、こういった文官に行わせる方針でございます。

○小川委員  アメリカ、イギリス、フランス、事務的に確認したところで、同盟国を含めた他の先進国、幕僚監部、参謀本部を含めて軍人が議会に出席しないという例はないと思いますが、私の通告に従ってお調べいただいていると思いますので、大臣の口からお答えいただきたい。

○豊田政府参考人  お答え申し上げます。

 諸外国の議会における軍人の答弁につきましては、各国の議会等において判断されることでございまして、その態様はさまざまであると考えておりますけれども、例えば米国、英国やフランスでは議会において軍人が答弁している例があるものと承知しております。

○小川委員  今回の法制ももちろんでありますが、まさにこれから集団的自衛権を含めていろいろと自衛隊の活動範囲が広がり、また、国際社会における責任もあるいはリスクも増していく、そして、それは翻って国民に対してさまざまな影響を及ぼすことも今後あろうかと思います。その際に、軍事的見地からさまざま幕僚監部が説明責任を果たす、大臣にどのような助言を行ったのか、大臣の判断のもとにはどういう情報があったのかも含めて、しっかりと公の場で説明責任を果たしていくということはこれまでにも増して求められることだと思います。

 その点、大臣にもぜひ御認識をいただきたいと思いますし、委員長、そして小野寺理事、与党幹部初め、しっかりと委員会運営において御高配をいただきますことを重ねてお願いを申し上げたいと思います。

 では、最後の質問です。防衛装備庁の設置に関連した人事の規定が気になりましたので、お尋ねします。

 三十一条の改正で、防衛装備庁の人事は、適切な人事管理を確保するために、防衛大臣に対して、防衛装備庁の職員である自衛官の任用等について意見を述べることができる、この場合において、防衛大臣はその防衛装備庁長官の意見を尊重するものとする。これはちょっと異常な規定ではありませんか。防衛大臣の人事権を制約しかねない。

 防衛装備庁長官の意見を述べる、それはいいでしょう、それは勝手です。しかし、それを防衛大臣が尊重しなければならないというのはちょっと行き過ぎではありませんか。大臣の人事権をこういう形で法律によって、しかも部下たる長官の申し出を尊重するような形で制約するというのは異常な事態ですし、あるべきでないと思います。

 この規定は不適切な規定だと思いますが、いかがですか。

○真部政府参考人  今のお尋ねでございますが、およそ外局に所属する職員につきましては、その外局の長たる長官の任命権に服するというのが基本でございます。ただ、防衛装備庁に所属する自衛官につきましては、自衛官の特殊性、そういった観点から、任用とか懲戒処分等々の任命権につきましては、防衛大臣にそもそも服することといたしております。

 この措置の一方におきまして、同じ防衛装備庁に所属する事務官と自衛官に対する懲戒処分結果の整合性、そういったことの観点から、自衛隊員同士の人事管理の公平性、これを考慮する必要があると考えております。このため、今般、新たに防衛装備庁長官の意見陳述及びそれに対する防衛大臣の意見尊重規定、こういったものを設けまして適切な人事管理の確保を図ることとしております。

 したがいまして、御指摘のような防衛大臣の任命権の制約に当たるというふうには考えていないところでございます。

○小川委員  これは、あるんですか、こういう例は。外局の人事規定で、ほかにあるんですか。

○真部政府参考人  今申し上げましたように、中央省庁内におきましての外局におきましては、長官の人事権というのが全体に及ぶというのが通常でございます。

 先ほど申し上げたように、防衛装備庁はいわゆるUC混合の組織になりますので、そこの中の自衛官の人事に関しては防衛大臣に一元的にお願いするという形で制度を考えたところでございます。

○小川委員  これは、大臣、どう思われますか。御自身の人事権ですよ、御自身の人事権です。これに部下たる装備庁長官から、何らかの上申が上がってくるんでしょう、それは通例ですよ。しかし、法的に、法的に大臣にそれを尊重しなさいという規定が潜り込んでいる。

 これは、大臣御存じでしたか、こういう規定が改正法の中にあることは。私の通告以前から。そうですか。どういう感想をお持ちだったんですか、こんな規定が入ることで。私はちょっと不自然だと思いますが。

○中谷国務大臣  これは防衛省以外も、旧大蔵省とか厚労省とか、外局があると思うんですけれども、そこの人事におきましては外局の長たる者が中心になって行っている、そういった例もあろうかと思います。

 人事等におきましては、やはり直接そこと日ごろから接している防衛装備庁の長官が非常に精通しておりまして、そこから上がってきた人事というのは私としては尊重したいと思いますし、また、そこで私が所見を述べますと、人事管理の公平性とか、これまでの評価、実績等に対してまた新たに考慮が必要でございますので、そういう意味で、意見を尊重するという規定を設けていたというふうに認識をしております。

○小川委員  まさに文民統制、きょう全体として議論ですが、大臣が、部下たる長官の人事に関する上申を尊重しなければ、それはいいですよ、実務として尊重されるのは大いに結構。しかし、法的にそういう制約がかかるというのは異常事態だ、異常だと私は思いますし、大臣は、これ、法改正、もし御存じなのであれば、何だこの規定はと、当然尊重する、しかし法的にこういう制約をかけることはちょっとおかしいじゃないかというふうに私は指導されるべきではなかったかと思います。

 ちょっとその違和感を大いに表明いたしまして、ひとまず、時間ですので、質疑は終えたいと思います。

 ありがとうございました。

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