民主党 衆議院議員 小川淳也
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〜会議録(2012年2月22日予算委員会)〜

○中井委員長  この際、 小川淳也君から関連質疑の申し出があります。長妻君の持ち時間の範囲内でこれを許します。 小川淳也君。

○小川委員  民主党の 小川淳也 でございます。

 総理初め関係閣僚の皆様、連日の御審議、本当にお疲れさまでございます。長妻先輩の後を継ぎまして、社会保障と税の一体改革について、特に税制面からお尋ねを申し上げたいと思います。

 二〇一四年四月に八%、二〇一五年十月に一〇%、余りにも重い国民の皆様に対する問いかけだと思います。少なくとも、九七年から十五年間、具体的な時期と税率の引き上げ幅を明言されたこの国の指導者は一人もいません。そこに野田総理の並々ならぬ決意を感じますし、昨年十二月二十九日、党内の合同調査会の場で、総理はインド御帰国直後の体を押して、五時間、党内論議に参加をいただき、さまざまな声を受けとめ、最終的に決断されました。私は、その総理の不退転の決意を見るにつけて、本当に驚嘆、驚愕するような思いで見ていたわけであります。

 そのことがあってだと思いますが、国民の皆様にも一定の理解をいただいている。しかし、突き抜けた理解にはなっていない。そこにどういう問題があるのか、何が課題なのか、総理のお考えをお聞きしたいと思います。

 特に、冒頭、一番つらいお尋ねをすることをお許しいただきたいと思います。私たちは、財源は増税しなくてもあると言ってきた責めを今でも背負っています。そして、四年間は税率の引き上げはないと少なくともとられる言い方をしてきた。この二点の十字架を背負った上で、総理はどういう苦難のもとに現在の覚悟に至ったのか、国民に対してしっかりとした説明をお願いしたいと思います。

○野田内閣総理大臣  〇九年のマニフェストで、私どもは、無駄を徹底して洗って、それを財源として、国民の生活が第一という理念のもとにまとめたさまざまな主要政策を実現していくということをお約束しました。昨年の八月に中間検証をいたしましたけれども、さまざまな事情があって、できたものもありますけれども、いまだできないものもある。それは残念なことであります。

 その際に大事なことは、政策の優先順位は、私どももやはり、政権党になって、例えば大震災が起こる、経済環境が変わる、状況によって優先順位を変えていかなければいけないということを強く経験いたしました。その中で、特に税と社会保障の問題、社会保障と税の一体改革は、これまでの政権も問題意識を持ちながらお取り組みをいただきましたけれども、残念ながら、もはや私どもの政権のときに特に待ったなしになってきたというふうに強く感じました。

 というのは、特に予算編成で、例えば基礎年金の国庫負担を三分の一から二分の一に引き上げると言っていましたが、埋蔵金を探したり、へそくりを探したり、ワンショットでお金を探すことの限界が出てまいりました。ワンショットでつくったお金は、今、むしろ復興財源に充てていかなければいけません。という状況の変化の中で、年金の安定を図るためにも、先ほど来御議論がありましたけれども、そのほかの医療、介護の分野も含めても、それを支えるための財源をきちっと手当てしないと、もはや社会保障が待ったなしの状況だというふうに思います。

 この後からいろいろ御議論あるかもしれませんが、だんだんと、まさに胴上げの社会から肩車の社会、支える人が少なくなっていくときに、支え手がもたない状況であってはいけないと思うんです。人口構造がまさにピラミッドから逆ピラミッドに大きく変わるとき、ここはもはや時間との勝負になってきているというふうに思います。

 社会保障をしっかり支えるためには待ったなし、財政も待ったなしでありますけれども、その待ったなしの状況をこれ以上指をくわえて見ているわけにはいかないということを強く経験しているということでありますので、ぜひこれは国民の皆様に御理解をいただきたいと思います。

 残念ながら、まだ突き抜けた御理解をいただいていないことは御指摘のとおりであります。対話の集会も始めました。しっかりと国民の皆様にもお伝えをしていきたいというふうに思います。

○小川委員  ありがとうございました。

 私は、やはり、消費税の必要性は、多くの同僚、仲間、諸先輩、そして国民の多くの皆様も御理解いただけることだと思います。しかし、それを真摯に、まともに国民に語りかける資格が私たちにあるかどうかを、私たち自身が振り返るところから出発すべきだと思います。

 国家予算の総額でありますが、約二百兆。しかし、八十兆は借金返済に充たっています。五十兆は年金給付、二十兆は医療費の自己負担以外の部分、二十兆は地方財源。本当に、この主要経費を差し引きますと、わずかな経費の中でしかやりくりがままならない状況。ここに私たちは真摯な謝罪を伴う説明、これがまず第一に国民に対して求められるのではないかと思います。

 加えて、優先順位が状況によって変わる、それはおっしゃるとおりであります。しかし、今回の消費税の五%の引き上げの提案は、これは一度院内の皆様にも想像していただきたいと思いますが、今、年収二百万円で暮らしを立てていただいている方々が二割程度いらっしゃるんじゃないかと言われています。この年収二百万円の方から年当たり強制的に十万円徴収する話です。このことのすさまじさも、あわせて私たちは共有すべきだと思います。

 そこで、なぜ必要なのかを、私は、今回、税と社会保障を一体で議論しているところにやはり大きな意味があると思いますし、これは菅前総理が残された大きな遺産だと思っています。担当大臣である岡田副総理にお聞きしたいと思いますが、既に議論になった部分も含めて、なぜ今回、今、このタイミングで税制と社会保障の改革を一体のものとして議論しているのか、どこにその意義があるのか、御説明いただきたいと思います。

○岡田国務大臣  まず、消費税の議論ですけれども、私は委員とはちょっと認識が違うわけです。

 私は、党の中でも、消費税についての議論は避けてはならないということは一貫して言ってまいりました。二〇〇九年の代表選挙、そこでも私はそういうふうに申し上げて、議論すらしないというのは間違っていると。

 そういうふうに申し上げてきたことは、マニフェストの中で確かに、マニフェストの期間中に実際に上げることはしないと、しかし、次のマニフェストまでにはやはり消費税を上げるということを正面から掲げて選挙せざるを得ない、そういうふうに考えてきたからであります。

 そういうことですから、何か国民に対して、だましたとか、言うべきことを言わなかったというふうには私は全く思っていないわけであります。そのことをまず申し上げておきたいと思います。

 その上で、今回は、五%引き上げて、これを全額社会保障に充てるということを明確にしております。そのうちの一%は制度の充実に、残る四%は維持のために。つまり、社会保障を維持していくための財源すらない、借金でやり続けている、こういう不正常な状態を直して、将来世代にとってきちんとこの社会保障を持続可能なものにする、ここが今回の消費税引き上げの大きな眼目。あわせて、先ほど長妻議員も言われたような制度の充実についても一%分は使わせていただくということでございます。

○小川委員  ありがとうございました。

 今の副総理の御指摘、今回は法案まで提出するという現政権の方針ですから、そこにはやはり突き抜けた説明なり説得が伴うべきだと私は思います。その点はまたしっかりと議論をさせていただきたいと思います。

 今、副総理の御説明を前提に、先ほど長妻議員の御質問の中にもございましたが、私は、税と社会保障の一体改革の必要性を、人口動態の激変という点に絞って、多くの国民の共通の理解につながる建設的な議論を、時間は限られていますが、ぜひともさせていただきたいと思います。

 ちょっと資料の一枚目、委員長のお許しをいただいてお配りをさせていただきました。一枚目をごらんいただきたいと思います。

 これは、高齢化率の推移を長期でとったものであります。党内の論議に当たりまして、今回、このグラフをしっかりと眺めながら議論するということを強く主張してまいりました。

 現在の日本社会が設計されたのは一九六〇年代、ちょうど東京オリンピック、またその後の大阪万博に沸いていた、まさに国家としての青春時代、戦後の青春時代と言いかえてもいいかもしれません。当時、高齢化率は五%です。二十人に一人。国民年金の保険料は百円。社会保険料は収入の三%という時代に、今の社会の基本が設計されました。

 そして、それから五十年。現在、高齢化率は二〇%強、二三%。国民年金の保険料は一万七千円まで上がる最中です。社会保険料は一八%にまで上昇します。これがまだとまりません。年々〇・五%ずつ高齢化率は上昇し続け、ついには二〇五〇年、高齢化率は四〇%に到達をし、その後、ほぼ四〇%のまま固定することが想定されております。

 となりますと、今回一歩を踏み出そうとしております税と社会保障の一体改革とは、高齢化率五%の時代に設計された現在の日本のモデルを、高齢化率四〇%にやがて到達する二〇五〇年ごろの姿を目標に持続可能なものへと置きかえていく、その第一歩を踏み出すべき改革だというふうにその性格を位置づけることができると思います。

 あわせて、資料の二枚目をごらんいただきたいと思います。

 この高齢化率の推移を、今度は人口構造という切り口でごらんいただいた図表でございます。

 申し上げた六〇年前後の人口構成は、ごらんのとおり、きれいな三角形でありました。そして、現在はひょうたん形に移行し、やがて二〇五〇年ごろに逆三角形に移行するということがほぼ動かしがたい事実として想定されております。

 ここで、二〇五〇年ごろを目指して何をどう変えるべきか。

 五〇年代、六〇年代に設計された、ごく少数のお年寄りを圧倒的大量の現役世代のわずかな負担で支えるという前提のもとにつくられた仕組みを、逆三角形形を前提に、お年寄りから赤ん坊まで全世代で最低限の保障機能、負担機能を果たしていく、負担構造を置きかえていくというところにこの改革の最も重要な部分があるんだと思います。

 そういう意味で、単なる財政再建のためではないのか、そういう批判や御指摘、お叱りも多々いただいています。これも真摯に受けとめ、説得する必要があると思いますが、ここで何より重要なのは、人口動態の激変に伴う負担構造の置きかえであるというテーゼをしっかりと説明していくことが最も重要なことだと思います。そのことを、人口動態の変化とあわせて、ともに共有させていただきたいと思います。

 社会保障と税の一体改革の意義を説明することとあわせて、今度は環境整備、どういう条件、環境が整えばこれがより御理解をいただけるのかという点を議論させていただきたいと思いますが、まず、党内の論議でも一番心配に上がっておりましたのは、経済、金融面に与える影響であります。

 きょうは日銀総裁にお越しをいただきました。

 せんだって思い切った緩和策を発表されました。その結果、七十八円台から一気に八十円をうかがう勢いで円は円安傾向を強めました。わずか一週間の出来事です。そして、株価も九千円台から九千五百円をうかがう。大変大きな威力を発揮したわけであります。

 このインフレターゲットとも目されております政策の意義、そして、今後も強い姿勢でこれを続けていただく必要がありますが、この点に対する日銀総裁の御見識を伺いたいと思います。

○白川参考人  お答えいたします。

 日本銀行は、先日開催されました金融政策決定会合で、我が国経済のデフレからの脱却と物価安定のもとでの持続的な成長の実現に向けた日本銀行の政策姿勢をより明確化するという観点から、いわゆる中長期的な物価安定のめどを導入いたしました。

 これを導入した経緯でございますけれども、従来、私どもは、物価安定の理解という形で、物価安定と整合的な数字を出しておりましたけれども、この数字については、各政策委員の見解のいわば集合体であるというこの性格がわかりにくい、日本銀行の姿勢がいま一つ見えにくいという御批判も頂戴いたしました。日本銀行として、もちろん、先ほどのデフレ脱却ということについての姿勢は明確でございますけれども、改めてこれを明確に表現するということを行いました。

 あわせて、当面のめどということで一%、これを目指して強力に金融緩和を推進していくということを発表いたしました。資産買い入れも、さらに十兆円ふやしました。

 日本銀行としましては、こうした金融緩和の努力と、それから成長力強化に向けたさまざまな主体の努力、この二つが相まって、できるだけ早く日本経済がデフレから脱却できる、そういう姿を実現していくことに、日本銀行としての役割をしっかり果たしていきたいと思っております。

○小川委員  総裁の御見識には、私は、常日ごろ、講演録などもつぶさに拝読をさせていただいておりまして、非常に敬意を抱く人間の一人であります。

 しかし、これまでの中央銀行にとって一番大きな務めは、通貨価値の安定でした。それはイコール、インフレの抑制です。それが直ちに国民生活を防衛することにつながってきた。しかし、これから先の日本を考えますと逆です。デフレは絶対悪。むしろ、名目で二%、三%の成長をさせるということは、イコール通貨価値を安定的に下落させることを意味します。通貨に大きく二つ機能があるでしょう、価値の保存と価値の流通、交換価値。通貨の価値を上げてしまうと、通貨は保存される方向に働きます。物のやりとり、交換、投資、融資、取引、全てを抑制的にしてしまう。デフレは絶対悪。

 人口が減少して経済が縮みかねない今の日本にあって、徹底的に金融緩和を実施し、むしろ通貨の価値を安定的に下落させていく、これが新しい時代の中央銀行の務めだということも含めて、ぜひ行内で御議論いただきたい。このことを御指摘申し上げたいと思います。

 経済、金融にもしも万一のことがあれば、今回の消費税論議については凍結も辞さないという強い姿勢が今回の大綱の中でうたわれていることも確認させていただきたいと思います。

 加えて、総理、党内でもう一つ強烈な議論がありましたのは、やはり国民に負担を求める前に、まずは私たち国会議員、そして公務員、この身を切る改革が先行しないことには、どうあれ国民の理解は得られないという強い主張がございました。

 この点、公務員の人件費改革、総理の強いリーダーシップ、また政調会長初め関係者の努力、そして野党の皆さんの理解を得て、ようやく合意に到達しました。七・八%、年率平均で二年間、人件費を削減するということであります。

 しかし、総理、ここには、私たち国会議員、去年一年間一五%の削減をやりました、国会議員の歳費削減が含まれていない。議員定数の削減の議論も、いまだ議論の途中であります。

 私は、社会保障と税の一体改革とまさるとも劣らぬ議員歳費、議員定数、みずから身を削る改革への総理の不退転の決意を、ぜひ国民の皆様にお伝えいただきたい。お願いします。

○野田内閣総理大臣  国家公務員の人件費の削減については、今、小川さんの御指摘のとおり、与野党間の実務者の協議を積み重ねまして、マイナス七・八%、減額することの合意を得ることができました。

 この中には、昨年の大震災の際に粉骨砕身御努力いただいた自衛官や海保の皆さん、消防の皆さんを含めて、さまざまな現場で汗をかいていただいた皆さんも含まれます。でも、やはり公的部門で日本の財政を、特に復興財源をサポートしていこうという姿勢をぜひお示しいただきたいということで、こういう合意ができたというふうに思います。ぜひ、これは各党の御理解をいただいて、早期に成立をさせていただきたいと思います。

 もう一つは、まずは隗より始めよで、では政治家はどうなっているんだという議論があると思います。社会保障と税の一体改革、頭の中では、方向性としては国民の皆様に御理解いただいても、まずはあなたたちの努力を見たいというのが多くの声だと思います。

 その中で、今各党間で、一票の格差是正と選挙制度改革とあわせて、定数是正の御議論もいただいております。ぜひこれは早期に成案を得るように期待をすると同時に、党内議論においては私もしっかりリーダーシップを振るってまとめていきたいというふうに思いますが、もう一つ大事なことは、二〇一四年に初めて消費税の引き上げ、八%引き上げ、二〇一四年四月までです。それまでの間に、行政改革の、政治改革のきちっとした実績をつくらなければいけないというふうに私は思います。行政改革は公務員の人件費だけではありません。特会の改革であるとか独法の改革とか、もろもろあります。

 恐らく、行革というのは、これは永遠に続くと思うんです。絶対的な評価、百点だねという評価は永遠に得られないと思います。でも、一定の評価は得られるように最善の努力をするのは我々の使命ではないかと思いますので、二〇一四年四月までに、今申し上げた政治改革と行政改革の成果を上げられるように、全力を尽くしていきたいというふうに思います。

○小川委員  ありがとうございました。

 まず国会内の議論をしっかりと見守っていただくと同時に、どこかのタイミングで、総理には政治改革と行政改革の鬼に豹変をしていただきたい。このことも含めてお願いを申し上げたいと思います。

 この消費税の議論を本当に国民の皆様に、総理がおっしゃったとおり、気持ちがついてきていただけるかどうか、感情的に受け入れられるかどうか。この議論に当たっては、先ほど来の経済金融政策、そして身を切る改革、そして三つ目に、安住財務大臣にお聞きしたいと思いますが、特に、幾つか党内論議の中で論点がありました。税率は一定にするのかどうか、住宅への配慮また食料品、こうした諸点、さまざまございます。インボイス制度は導入するのかどうか。そして、免税点の問題をどう考えるか。また、適正転嫁、中小事業者の皆さん、精いっぱいお努めでいらっしゃいますが、こういう問題をどうするか。

 諸点ございましたが、きょうは時間も限られていますので、一点に絞って、消費税に内在する制約であります逆進性、これを、低所得者対策、そして一方で高所得者の方もいらっしゃいます、この両面からどう対策を講じられるおつもりか、安住大臣から御答弁いただきたいと思います。

○安住国務大臣  おはようございます。

 ちょっと今の総理の発言に私の方から加えさせていただきますと、総理は、全収入の三〇%の削減をみずからもう実行しておられます。私ども閣僚も全収入の二〇%の削減をしておりますから、ことしは議会において一五%やっていただきましたけれども、引き続きハウスの中で、与野党ともに国民の皆さんにわかるような範囲で御努力をいただければということを、まず私は申し上げておきます。

 そして、逆進性の対策というのは、小川さんの御主張というのは、つまり、消費税はある意味で平等ですから、平等に一定の比率で税をお願いすれば、どうしても所得の低い方々に対していわば負担率は高くなるということに対して、どういう対策をとるのかという御指摘だと思います。

 私どもとしては、今、この国会にマイナンバー制度を出させていただいて、さまざまな意味で情報の一元化を図りながら、それをもとにした総合合算制度や、いわゆる給付つきの税額控除制度の導入等をやろうと思っておりますけれども、それまでにはちょっと時間がございますので、その間、できれば簡素な給付措置、現金の給付等を含めて検討をしてまいりたいと思っております。

 ですから、やはりできるだけしわ寄せを弱い方々にやらないような制度設計というものの配慮は、十分党とも相談をさせていただきながらやらせていただくと同時に、御議論のあった、所得の高い人からの累進性をもうちょっとやはり高めた方がいいのではないか、そういうことについても、今回、最高税率を五%引き上げさせていただいて、そういう意味では、高額納税者の皆さんに対してさらに御負担をお願いすることで、そうした累進性の強化というものも今後図っていきたいというふうに思っております。

○小川委員  ありがとうございました。

 所得税の最高税率の引き上げや給与所得控除の縮減、こういったことも含めて、今回は全体が一つのパッケージになっておりますし、その辺をしっかり国民の皆様にも御理解いただけるように、私どもも努力していきたいと思います。政府、党、連携して努力をしたいと思います。

 きょうは本当に限られた時間で大事な議論をさせていただいているわけですが、総理、最後にどうしてもちょっとごらんいただきたい図表がございまして、きょうは用意をさせていただきました。

 人口動態に焦点を絞ってこの税と社会保障の意義を理解することが私は非常に重要だと思っているわけですが、もう一つは、人口総量についても、ぜひきょうは委員の皆様初め国民の皆様にもごらんいただきたいと思うんですが、去年からこれは気になって仕方がない図表でした。最近、田原総一朗さんもこれを週刊誌で紹介されていたりというのも見ましたけれども、超長期の日本国における人口動態であります。

 現在、平清盛、ドラマをやっていますけれども、平安期から鎌倉、江戸幕府成立ごろまでずっと人口は一千万人前後です。

 江戸幕府が成立してから、私は、これは国内で殺りくがとまったことが大きく影響しているんではないかと仮説を立てておりますが、急激に人口がふえ始めます。新田開発も進んで、経済成長と人口増が相まった時期であります。ところが、江戸中期に人口は飽和状態になり、三千万人前後で推移している。恐らくこれは、日本列島で農耕社会が養える最大人口、極大人口に到達したんではないか。これも勝手な仮説ですが、そんな気がしております。

 明治維新とは、言いかえれば、産業革命の影響に一生懸命適応した季節でありました。そのことによって地下から化石燃料を掘り起こし、莫大なエネルギーを得て生産力を高め、食料を輸入し、この急上昇のカーブをごらんいただきたいんですが、わずか百数十年で人口を四倍に膨らませてきたわけであります。

 これが、この先同じ百数十年かけて、もう一回、三分の一から四分の一に減らそうとしている。今、その最初の坂を下ったところに私たちはいるということであります。

 私が申し上げたいのは二つでありまして、一つは、いまだに私たちの頭の中が、この歴史上まれに見る上昇カーブの中に洗脳された状態にあるんではないか。ですから、目の前で起きている経済現象あるいは社会保障の行き詰まり、これらを、これまでの経験の中では理解できないことが起きている。そのことに対する正しい認識が必要ではないかというのが一つ。

 もう一つは、これだけの人口減少をしっかり乗り切っていくに当たっては、ちょっと今までの延長線上では考えられないぐらいの文明史的な発展段階、展開を一つ超えないと乗り切れないんじゃないかという思いがございます。

 恐らく、もう簡潔に申し上げますが、これまで年齢で区切ってきたさまざまな社会保障制度、経済社会制度を、一切年齢による制限を解除して生涯自立型の人生設計を前提とし、それを経済、社会、雇用制度がしっかりとバックアップし、そして最低限の保障機能は全世代型負担で賄う、新しい時代のライフスタイルなり社会のモデルを、日本は高齢化率でいうと世界の最先端を走っていますから、新しい国家社会像を世界に向けて提示するところに、私はこれからの日本の大きな世界的な役割があるんではないかと思います。

 大変遠大な、壮大な話になってしまいましたが、今回の税と社会保障の一体改革は、ここに向けて、小さな一歩かもしれません、しかし重要な大きな一歩でもある、を踏み出す極めて大切な改革である、そのぐらいの歴史観を持って一度取り組んでまいる決意でございます。

 総理に最後三十秒で感想をいただいて、質問を終えさせていただきたいと思います。

○野田内閣総理大臣  まさにそのとおりで、二〇五〇年、肩車の社会ということは、単純に一人が一人を支えるんじゃなくて、支える側と支えられる側の垣根をもっと取っていくことだと思うんです。従来支えられた人たちの世代も働けるようにすることとか、あるいは、その支える側の方の社会保障を手厚くするとかというパラダイムの転換をしていかなければいけないという問題意識を、委員とは共有できているというふうに思います。

 ありがとうございました。

○小川委員  ありがとうございました。終わります。

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