民主党 衆議院議員 小川淳也
TOP事務所案内お問合わせリンク
ビデオメッセージ
小川淳也の国会での本格論戦
映像・報道他

映像生の声等新聞掲載等テレビ等書籍等ポスター

淳也ブログ 活動報告 応援のお願い小川 淳也へのネット献金はこちら 過去の活動報告
ケータイからもブログを ご覧
いただけます!
http://blog.m.livedoor.jp/junbo_blog/
ごあいさつプロフィール政策・理念トピックス会報誌

トップ衆議院TV

〜会議録(11月29日総務委員会での質問)〜

○小川(淳)委員  民主党の小川淳也でございます。

 それでは、引き続いて放送法の関連について質疑を行いたいと思います。

 増田大臣、まず冒頭、お伺いいたします。NHKの経営委員会のあり方が議論になっておりますが、冒頭、御所感をお伺いしたい点があります。

 九月に経営委員会はNHKの執行部がつくった中期計画を否決したとお聞きをしております。これは、素朴な見方でいえば、大変異常な事態だと思いますし、非常に話題性に富んだ事柄でございました。

 この経営委員会によるNHK執行部の中期計画の否決事件、あえて事件と申し上げますが、増田大臣はどう評価をしておられるのか、お聞きをいたします。

    〔委員長退席、馳委員長代理着席〕

○増田国務大臣  先生にお答え申し上げますが、今の経営委員会が執行部のつくりました計画を否決した、これは、経営委員会とNHK執行部の中、すなわち、大きな意味でのNHKの中の事柄でございますので、その否決をしたということの当否、是非を、私、実は判断しづらいわけでございますけれども、一つ言えますことは、こうした形で経営委員会と執行部がきちんとお互いに意思疎通をして、今後もいいNHKをつくっていただきたいということと、それから、やはり経営委員会は機能を十分発揮するということが大事でありますので、経営委員会は経営委員会としての十分な機能を発揮していただきたい。それから、執行部は執行部としてきちんとした業務運営を行っていっていただきたい。その上で、国民の目線に立ってNHKというものをよくしていっていただきたい、こんなふうに考えております。

○小川(淳)委員  古森経営委員長、私どもも党内の会議におきまして直接お話を伺う機会をいただきました。非常に個性のはっきりされた、よく言えば力強い、また反面、負の面も大いにあるんじゃないかという気が率直にいたしましたが、大臣は、古森委員長からこの経過について、否決をした理由、あるいは議論をしてきた経過について直接御報告を受けられましたか。

○増田国務大臣  その後、古森委員長の方から経過は私の方に報告がございました。

○小川(淳)委員  冒頭、NHK内部の話なので非常に申し上げにくいという、ある面からいえば当然のお答えをいただいたわけでありますが、大臣は今、経営委員会の権限を強化するための法律案を提出されているわけであります。その責任者であります。そのお立場からいえば、現在のこの否決という異常な事態に対して、経営委員会の判断を是とするのか、あるいはNHKの執行部の執行能力に疑を挟むのか、そこに関してはもう少し突っ込んだお答えがあっていいのではないかと思いますが、いかがですか。

○増田国務大臣  この経営委員会の判断を是とするのかどうかということ、これは、私の方からは、大臣がこの判断についてマルかバツかということを申し上げるのは適当でないというふうに考えます。

 私は、放送法の中で与えられた総務大臣としての権限、そして責任、責務はきちんと果たしていきたいというふうに思っております。そのことはきちんと申し上げておきたいと思います。その上で、経営委員会として、今回は経営委員会の権限と責任においてああいう、計画を差し戻されたんだろうと思いますが、それは経営委員会としての責任においてされたのではないかということでございます。

 それから、あえて申し上げますけれども、このことについて新聞等をその後拝見しておりましたら、やっとこれで経営委員会が本来の経営委員会としての役割を果たしたというふうに書いているものもございましたし、それから、その後経営委員会と執行部の間にいろいろな議論があったというようなことを書いていると思います。見方はいろいろだろうと思います。国民の中でもいろいろな見方があるのであろうというふうに思っておりますが、私としては、その経営委員会が否決したことの是非というのは、総務大臣が、これはいいことだ、あるいは悪いことだというのはやはり評価すべきではないというふうに考えております。

○小川(淳)委員  マル・バツのお答えを求めているわけではございません。大臣としての深い御見識なり高い御見識なりをぜひいただきたいというわけでございまして、是非は仮におくとしても、少なくとも、これは非常に異常な事態だということは改めて御認識をいただかなければなりませんし、そういう異常な中でこの経営委員会の権限を強化する法律案をまさに今議論しているということを、改めてその背景を確認しておきたいと思います。

 そこで、経営委員会の権限を確認、強化されるわけでありますが、今回の法律案で強化した権限を与えられた経営委員会そのものの信頼性はどう高めるのか、その工夫についてお伺いしたいと思います。

○小笠原政府参考人  まず、私どもといたしまして、経営委員会の信頼性ということに関しましては、放送法の規定にのっとりまして、経営委員会にふさわしい人材を選び、国会の同意を得て委嘱するということがまず第一に必要でございます。

 それから、今回の放送法の改正におきましては、監査委員会の監査ということの役割として、役員もその監査の対象となります。そういう意味で、経営委員も役員でございまして、そういうものがある。

 それから、今回、放送法の改正の大きな考え方は、いわゆる経営委員会のガバナンスの強化ということでございますけれども、そういう経営委員会の役割とそれから執行部の役割といいますものをそれぞれ明確化する。例えば、経営委員は業務を執行することができないといったようなことの規定も設けます。あるいは、それと同時に監督規定も明示化するということで、そういう相互の役割を明示して、相互の間にもある程度の緊張関係というのを持って、全体として適正な運営が行われることを期待しているということでございます。

○小川(淳)委員  今おっしゃったとおり、人選というのはまずこれは大事なんでしょうね。非常に大事だと思います。それ以外にも、今おっしゃいませんでしたが、常勤役員をつくられるんでしょう。常勤化するんでしょう。これは初めてでしょう。それから、専用の事務局をつくられるんじゃないんですか。そういう具体的な構造改革を今計画されているわけでありますから、そのことを前提に議論を進めたいと思いますが、まず人選について。

 大臣もよく御存じだと思います。十二名の委員、これは今、ちょっと手元の資料、この間三名入れかわりましたが、その前の資料でありますが、JR、保険会社、デンソー、薬品、通運、お茶屋さんですか、音楽大学、それから法学部の教授。これは、どういう基準に基づいてNHKの経営委員会としてふさわしいというふうに判断されたのか、その価値判断をお聞きします。

○小笠原政府参考人  先ほどもちょっと申し上げました経営委員の選任の考え方は、放送法十六条に規定されております。それによりますと、委員の選任については、教育、文化、科学、産業その他の各分野が公平に代表されることを考慮しなければならない。それから、委員十二人のうち八人につきましては、全国八地区に分けられた各地区に住所を有する者のうちから各一名、それから、残りの四名については全国を通じて任命しなければならないとされているところでございます。

 先般の国会同意人事におきましても、このような放送法の規定を踏まえまして、経営委員にふさわしい方々を政府として提案し、国会の同意をいただいたところでございます。

○小川(淳)委員  具体的な当てはめについてお答えいただくというのは非常に難しいのかもしれませんが、ざっと申し上げると今のような構成になっているわけです。そこの権限を強化されるというのが今回の中身であります。

 増田大臣、御見解をお聞きしたいと思うんですが、経営委員会の強化とかガバナンスの強化、後ほど私なりの解釈を申し上げたいと思いますが、大臣はこれはどういうことだと評価しておられますか。聞き方が難しいですね、これは一体何ですか。

○増田国務大臣  お答え申し上げます。

 私の理解、これは、提案申し上げている総務大臣でございますので、きちんと私も今回の改正について説明をしていかなければならない立場にございます。

 NHKで一連の不祥事がございました。不祥事がございましたその中身はいろいろ多様にわたってございましたけれども、こうした一連の不祥事を契機として、NHKに対しての国民からの信頼というものが著しく損なわれた。そのことによって、例の受信料の不払い等にも結びついていってしまった。そのことはすなわち、逆にNHKに対しても経営の根幹に触れるような問題で、そして、NHKが良質の、国民の期待にこたえるような番組を制作するということにも悪影響が及んでしまう、こういうことがございました。

 NHKとして再発防止の対策をとったわけでございますが、どうもその後も同じような不祥事が現実には起こってきている。しかも、かなり幹部などが関与しているものもあった。こうしたことを一刻も早くやめて、そして国民からの信頼を回復するようにしていくためには、もちろん執行部もしっかりしなければいけないわけでありますが、その執行部に対してさまざまな監督の機能を持っております経営委員会の基本的な性格というのをより一層はっきりさせる必要があるのではないか、明確化させる必要があるのではないか。

 しかも、それだけ執行部を監督するという大事な役割を果たしている経営委員会でありますが、中に常勤の委員もいなくて、他の仕事を兼務しながらそこで経営委員をしているといったようなこともございます。ですから、きちんと専属で見ているというよりも、NHKの執行部に対しての単なる諮問機関のような立場になってしまっているのではないか。

 そういうことがあって、この際、経営委員会の持っております機能というものを強化して、そのことを通じてNHKのガバナンス全体を強化していく、それを国民の信頼回復につなげていきたい。こういうことが今回の制度改正、そしてNHKのガバナンス強化に該当する部分の考え方ではないか、このように理解をしております。

○小川(淳)委員  るる御説明いただきました。

 もし見解の相違があれば正していただければと思いますが、私なりの解釈では、これはある種NHKの民主化に当たるのではないかというふうに、自分なりによく考えて判断をいたしました。つまり、今大臣まさにおっしゃった、いろいろな不祥事が平成十六年以降多発をいたしました。そこには、ファミリー企業の問題もあれば、いろいろな内部のまさに官僚組織、NHK内の官僚組織のもたらした弊害といいますか不祥事のようなこともあったんだと思います。そこで、今申し上げたようなJRを初めとした、放送とは何の関係もない、何の関係もないということはないんでしょうが、まさに素人を送り込んで、そこへ強い権限を持たそうという試み、一種のNHKの民主化なんじゃないかなというふうに私は解釈、私なりに理解をいたしました。

 そこで、もちろん、これはいいことなんだと思いますね。素人、いい意味での素人主義をぜひNHKの経営に持ち込む、これは大事なことだと思います。また、外部からの空気を送り込む、これは大事なことだと思います。しかし、同時に、民主化にはやはり政治的なコントロール、政治的な意図の介在がこれは裏表で必然をするわけでありまして、その意味では、現古森委員長は、増田大臣と個人的にどういう関係かは私は存じ上げませんが、菅前大臣、また安倍前総理とは非常に近しい関係にあられた方だというふうにもお聞きをしております。そういうことも含めて、人選に厳選をもって臨んでいただかなければなりませんし、その意味では、国会の同意権限、これもこれまで以上に大きく問われてくるということなんだろうと思います。

 ただ、最後にこの件に関して一点お伺いしますが、例えば、公的な機関として金融部門には日銀という存在があります。そして、日銀には、同じく最高意思決定機関として政策委員会があります。ここには、もちろん外部の先生方も入っているわけでありますが、やはり総裁と副総裁が入り込んでいる。総裁、副総裁を含めた政策委員会、これが日銀の最高意思決定機関だという位置づけになっています。

 それとの比較でいいますと、NHKの経営委員会は先ほど申し上げたとおりでありまして、これは本当に責任をとれますか。権限には責任が伴います。権限を行使するということは責任が伴います。この方たち、私は知りません、どれほど東京に来てNHKの経営にかかわって、実際どこまで、職員の方々を含めて役職員の方々とコミュニケーションをとっているのか私はわかりませんが、権限を強化する以上、責任が伴う。例えば、不祥事に関連して、事実上、海老沢会長は辞任されたわけですね。これは、では今後、古森委員長を初め経営委員は辞任を含めて経営に責任をとっていく体制になるのか。

 その権限の強化と責任のとり方について、一言御所見をいただきたいと思います。

○小笠原政府参考人  まず、制度について申し上げますと、過去、NHKでも経営委員会のメンバーに会長が加わったことがございましたが、意思決定と執行を明確に分離するという考え方から会長が経営委員会のメンバーから外れた、そういう制度改正が行われたという経緯がございます。

 いずれにいたしましても、先生先ほどもおっしゃいましたように、経営委員会の責任も重くなる、それを補強するために事務局の強化といったようなこと、あるいはその説明責任を果たすために、先ほど申し上げました経営議事録の作成、公表を義務づけております。

 そういったような今回の制度改正を踏まえて、経営委員会が今後期待される役割を適切に発揮していただけると政府は考えておりますし、その評価といいますのは、基本的には、経営委員、三年任期がございますので、その際に評価されるものというふうに考えておるところでございます。

○小川(淳)委員  ありがとうございました。そういう問題意識があることを含めて、今後の制度設計また運用にお努めいただきたいと思います。

 NHKに関連して、もう一点お聞きをいたします。

 いわゆる国際放送に関する命令規定、これを要請規定に変えられるというふうにお聞きをしておりますが、十九年の三月に発せられた、これは当時菅大臣だと思いますが、日本人拉致問題に特に留意をして国際放送をせよという命令が下されているようであります。

 放送というのはどうも妙なものですね。放送を見る側も訓練がむしろ必要なんだと思いますが、番組編集者の意図とか、あるいはその裏にいるスポンサー、あるいはこの場合ですと政府の意図があっての番組だというふうな前提を置いて放送を見ることは、非常にある意味難しい。放送というのは、本当に、どこかのだれかが中立公正な立場から事実を客観的に報道していると思いがちであります。これは、むしろ放送を見る側にとっては非常に大きな課題、私たち自身が訓練をしていかないといけない部分だと思います。

 それにしても、例えば拉致問題に関して、国際的にPRする、これは大事なことでしょう。大事なことだと思いますが、命令をしてこれに関する国際放送をするというよりは、むしろ本当にこれが必要であれば、国内でもありますね、増田大臣が出演されているのも拝見しました、政府の広報番組として政府の主張という形で買い取る、あるいはそういう広報番組を作成して、そうだと誤解されない形できちんと放送する、こっちの方がむしろ適切なんじゃありませんか。大臣、いかがですか。

○増田国務大臣  今の点については、私どもは、国際放送のあり方ということについては、この改正の前後で特に変更はさせていないつもりでございます。全く同じような考え方でいるわけでございますが、従来からこの国際放送というのは、我が国の見解ですとか、あるいは国情を正しく外国の皆さん方にお伝えする、そして外国の皆さん方に御理解をしていただく、そういう使命を有しているというふうに考えております。

 したがいまして、こういう国際放送というものは、公共放送機関でありましても、そこに任せるということでは不十分でありまして、こういう国際放送については国の関与の必要性は従来からもあるというふうに考えておりましたし、その見解というのは今後も変わらない。そしてその中で、政府としてのこの問題についての放送法上の考え方も同じように大事なものとして考えていきたい、こういうことでございます。

 それにしても、法文上、命令放送という形では、いろいろとまさに強い印象を与えがちでございますので、要請という形にしているわけでございますが、それは放送法上の中身の話でございますが、国際放送そのものについては、これは国としてもきちんと関与して、そして継続していくべきもの、このように考えております。

○小川(淳)委員  この点ぜひ、今私が申し上げたような立場から、大臣もいみじくもおっしゃいました、命令も要請もそんなに前後で制度は変わらないんだとおっしゃった、そのことを前提に、私どもは、これをぜひ廃止、削除に向けて、与野党間で真摯な協議を行うべきだということを申し添えさせていただきたいと思います。

 後ほど、メディアの集中規制についても、認定放送持ち株会社制度との関連でお聞きをしたいと思いますが、やはり、もう先ほど来るる議論されております、メディアに関しては、相当政治の介入からは自由、自律的でなければならないんだと思います。これは、表現の自由が民主主義の基盤そのものでありますから、ここは本当に侵されてはならないところだと思います。

 ただ一方で、これは国民の目から見ても、「あるある大事典」ですか、十九年一月以前、十七年から十九年、八番組については放送法違反、そしてもう八番組については放送法違反の疑い、ほとんどがこれはダイエットに関連したもののようであります、こうした放送が、あたかも真実であるかのように放映されることに関しては、これはやはり国民の皆さんも御心配だと思います。そういう意味では、何らかの措置がもちろんとられる、この可能性はあるんだと思います。

 それにしても、地方に対する財源の配分から税制から公務員制度、公務員人事、放送・通信、あらゆることに関する権限をお持ちの大臣が再発防止計画の提出を求めるということに関しては、非常に権力的な行為であり、放送事業者を萎縮させる、あるいは後々の番組編集に影響、もちろんいい影響もあるんでしょうが、負の影響、副作用もある、そういうことを私は懸念をするわけであります。

 大臣、これに関しては、ぜひ抑制的、端的に申し上げれば、こんな制度は法律案に盛り込むべきではないと思いますが、いかがですか。

○増田国務大臣  先生、総務大臣のさまざまな、各自治体への権限等よく御案内のとおりでございまして、そういう中で放送についても、総務大臣は放送法の規定にのっとりまして権限と責任を有しているわけでございます。

 そうした中で、今まで私どもが得てまいりました経験によりますと、やはり放送の公共性ということに対して、まさに「あるある大事典」のあの放送がそうでございましたけれども、国民に対して大変悪い影響を及ぼしたということは事実でございます。

 しかし一方で、条文上は、電波法の七十六条でしたでしょうか、いろいろと制約を加えることができるわけでございますけれども、発動することもできるわけでございますが、しかし、今のそういった条文の発動というのは、これは大変社会的に影響があるということでございますので、行政指導を超えて何らかの規定というものが必要ではないかということで、今回の再発防止計画を提出いただいて、これは制度としては、中身にどういうことをお書きいただくかはまさに放送事業者の自由になっているわけでございますが、そうした放送事業者の再発防止計画を御提出いただいて、それを国民の皆様方にお知らせをして、そして再発防止計画に真摯に取り組んでいただきたい。私どもとして、条文を置きますときに、放送事業者の自主性を最大限尊重して、こういう規定をつくらせていただいたところでございます。

 さらに、そういうことで法文を整理したものではございますが、しかし、放送というものが大変自律性の高いこともございますので、趣旨説明で申し上げましたとおり、これについて、放送事業者が大変悪影響を及ぼしたということでみずから認めた場合のみに適用の対象を絞り、そしてまた「あるある大事典」の問題の反省にかんがみて、放送事業者側でもBPOを改組して、さらに自主的な取り組みを強化しておりますので、そうした取り組みというものが機能している間はこの規定も発動しない、こういった抑制的な運用によって、そうした権力的な運用にならないように私どもも自制をするということでございます。

 そうしたさまざまな法文上の措置あるいは運用上の措置ということを私どもも考えているところでございますので、放送事業者の表現行為の必要以上の制約につながるものではない、このように考えてございまして、ぜひこの点、御理解を賜れば、このように考えております。

○小川(淳)委員  権力的な運用にならないようにというのは当然でありますが、私どもとしては、権力的な運用につながりかねない仕組みそのものはつくらない、つくらざるべきだという立場から、これも与野党間の真摯な協議、ぜひお願いをしたいと思っております。

 あわせて、持ち株会社による放送事業会社の子会社化、しかも複数の放送会社を持ち株会社でまとめていく、集約化していく、この認定放送持ち株会社制度について、メディア集中排除原則との関連からお尋ねをしたいと思います。

 まず、認定放送持ち株会社制度をこのたびこの法案に盛り込まれた理由、そして、懸念される、メディアが集中することがあってはならないという原則との関係、この二点についてお伺いをいたします。

    〔馳委員長代理退席、委員長着席〕

○小笠原政府参考人  今回の認定持ち株会社を導入するという改正法案の考え方でございますけれども、デジタル化の進展あるいは多チャンネル化の進展、そういったさまざまな放送メディアを取り巻く環境の変化に柔軟に対応するという観点から、この制度を導入しようということでございます。

 認定持ち株会社につきましては、持ち株会社を通じた資金調達ということを通じまして、放送事業者の経営基盤を強化する、あるいは複数の放送会社の間で人材あるいはそういう資金等について効率的な運用を行う、あるいは放送事業者間その他のさまざまな連携ニーズに対応するということを可能にする、そういったような目的から、今回認定放送持ち株会社を導入しようと考えるものでございます。この認定放送持ち株会社のもとに、一定の要件、条件のもとで、複数の放送事業者の所有、支配を可能とするということでございます。

 ただ他方で、先生もお話にございましたけれども、マスメディア集中排除原則の考え方の背景をなしておりますところの放送の多元性あるいは多様性というものを確保することは引き続き重要と考えておりますので、そうした両者の、認定放送持ち株会社のメリット、あるいは放送の多元性の確保といったもののバランスを踏まえながら、改正をお認めいただければこれから制度設計を検討していきたいと考えておるところでございます。

○小川(淳)委員  ここで一つ確認させていただきたいんですが、今、放送持ち株会社がたくさんの放送会社を子会社化するというのは、経済的な理由をおっしゃいました。確かに、地デジ放送に向けた設備投資というのは大変な負担なんでしょう。しかし、どこまでいっても経済的な理由であります。それに対して、メディアが集中をしていく、各地域のメディアがある一の者あるいは少数の者によって占有、寡占されていくという状況は、これは経済では済まない問題であります。まさに、表現の自由なり言論の多様性なりという民主主義の基盤そのものを脅かしかねない価値観であります。

 ですから、もちろんいろいろな制度設計を議論していく必要はありますが、今比較考量されている法的な価値といいますか法益は比較に値しない、値しないものを比較されようとしているということ、ぜひその前提に立って議論をさせていただきたいと思います。経済的な理由では始末のつかないものを扱おうとしているということであります。

 そして、メディアの集中ということに関しては、私、ちょっといろいろ個人的なことも含めて大きな問題意識を持っているわけでありますが、ざっと手元の資料を拝見しながら申し上げますと、ほとんどの放送局は、新聞社なり、またあるいはキー局ですか中央のテレビ局の子会社、ないしは大株主としてそういう人たちが名を連ねているというのがどうも現状のようであります。これは、実質的に申し上げて、メディアの集中排除規制、排除原則なるものは非常に形骸化しているんじゃないかという気がしてなりません。この上に立って、さらに持ち株会社制度というのをつくるのは非常に危うい感じがするわけであります。この集中規制を、今の法律案、政府案によりますといたずらに省令にその基準を落としたりということになっているようでありますが、これを議論するに当たって二つの事例をお聞きいたします。

 公正取引委員会と金融庁にお越しをいただきました。市場の極度の寡占状態を排除するための独占禁止法については、さまざまな規制の根拠なり、またその法的な位置づけをお持ちだと思いますので、まずそれをお聞きしたいと思います。

○松山政府参考人  お答えいたします。

 市場における寡占なり市場支配力の内容等についての独禁法の規制の概要ということのお尋ねでございますが、まず一つは、独占禁止法の九条で、事業支配力が過度に集中することとなる会社の設立、転化、いわゆる持ち株会社等なりそれの関連でございますが、その規制の対象がございます。

 事業支配力が過度に集中することとなるというものにつきましては、会社及び子会社その他当該会社が株式の所有により事業活動を支配している他の会社、国内の会社といったようなものの総合的事業規模が相当数の事業分野において著しく大きいといったような要件を規定しております。具体的には、会社とその子会社、議決権保有比率でいうと過半数を占める、あるいは、実質子会社として、これはガイドライン等でも規定しておりますが、会社の議決権保有比率が二五%超で五〇%以下であって、かつ、議決権の保有比率が筆頭株主であるといったようなものが実質子会社となるわけでございますが、そういったものが対象になっているということでございます。

 また、寡占に関しての規制でございますが、独占的状態に関しての規制というのが独占禁止法の二条七項にございまして、これでは、第一位の事業者のシェアが五〇%を超える、あるいは上位二位の事業者のシェアの合計が七五%を超える場合に該当してくる。その他、事業分野の基準等もございますが、そういったものを規定している例がございます。

○小川(淳)委員  それは法律で規定されているんですね。

○松山政府参考人  現在、独占的状態に関しましての規定に関しましては、法律で規定されてございます。

○小川(淳)委員  銀行の株式所有、また被所有に関してはいかがですか。

○細溝政府参考人  お答え申し上げます。

 まず、支配基準といいますか、銀行が出資する銀行の子会社に関する規制でございます。

 これは、銀行法上、銀行が本来子会社として持てる金融関連業務を営む会社以外のものにつきまして、いわゆる国内の一般の事業会社につきましては、その議決権について、銀行とその子会社を合算して五%、これは銀行法十六条の三第一項でございます、さらには銀行持ち株会社とその子会社を合算して一五%、これは銀行法五十二条の二十四の第一項でございます、それを超える取得ないし保有を原則として禁止しております。

 次に、銀行が出資される、銀行の株主に関する規制でございます。

 銀行の株主に関する規制につきましては、銀行の議決権を五%を超えて保有する株主については、届け出を求めております。これは銀行法五十二条の二の第一項でございます。さらに、銀行の議決権を原則二〇%以上保有しようとする株主につきましては、事前に許可を受けなければならない。これは銀行法五十二条の九第一項でございます。それぞれ規制されているところでございます。

○小川(淳)委員  大臣、それぞれお聞きのとおりでありまして、ちょっと複雑なあれでしたけれども、要するに、市場の寡占を抑える、あるいは銀行が他業種に対する支配を余り及ぼさないようにする、そうした持ち株基準あるいは市場の占有基準については法律でちゃんと定めているわけですね。これは当然だと思います。

 本来、国民が、あらゆる者が、株式を幾ら取得しようと何を買おうと、あるいはどこで何を売ろうと、これは自由ですから、これを政策目的で制限するのはやはり法律でやるべきではありませんか。今、この政府案ですと、総務大臣の一存でそれを制限する、国民の権利を制限することになっていますが、大臣、この点いかがですか。

○小笠原政府参考人  いわゆるマスメディア集中排除原則につきましては、現行でも具体的な数字については省令で定めるとされてございます。むしろ今回の法改正では、そうした考え方を法律に明記したというところが改正点ではないかと。

 それで、具体的な集中排除の基準といいますものを法律で規定するか、あるいは法律の委任を受けた政省令で規定するかということにつきましては、さまざまな考え方があるのではないかと。

 私どもが所管しております通信・放送分野は、特に技術革新、あるいはそれを踏まえた環境変化は急速でございます。制度面に関しましても柔軟かつ迅速な対応が求められまして、省令で基準の具体化を図ることが適切というふうに考えておるところでございます。

 最近の例で申し上げましても、一年間に複数回のこうしたマスメディア集中排除原則の改正というのを行っておるのは何度かございまして、そういった点からも現行の考え方は適当ではないかというふうに考えているところでございます。

○小川(淳)委員  確かに、地方の放送局ができたというのは昭和二十年代後半とか三十年代前半ですから、中央の新聞社とか、さっき申し上げました、各メディア間で持ち合いをしたり、あるいは出資がそこへ偏ったりといったような事情はあったんだと思いますが、もうこういう時代ですから、法律に明記すべきことと、そしてその基準を現在の政府案よりもさらに引き下げること、そこに向けた与野党協議をぜひ期待したいと思います。

 あわせて、出資者に関連して端的にお尋ねいたします。

 外国人が放送局を持つ、放送局に出資するということに関しては、どうも規制が明記をされているようであります。しかし、少し問題意識として申し上げたいんですが、放送メディアが外国人に支配されることもよくないでしょう、それからメディア同士が癒着することもよくないでしょう、先ほど来の議論のもう一つの基軸は、メディアと政治権力との関係であります。それからいいますと、例えば山形放送は、山形県が一四%を超える株式を保有しています。山口放送は、山口県と周南市を合わせますと一六%を超える株式を所有しております。

 これはあえて個々を申し上げましたが、多くの放送局に対して、地方自治体あるいは国会議員の親族含めた関係者、あるいは新聞社、こうした方々の出資が相当散見されるわけでありますが、もうこういう時代です、外国人に加えて、地方公共団体、政治家、こういう人たちが株主になることに関しては、ぜひ放送の中立公正の観点から規制を設けられたらいかがかと思いますが、大臣、御見解をいただきたいと思います。

○増田国務大臣  お答え申し上げます。

 実は、メディアへの出資の関係でございますけれども、政治的な公平性というのは、放送法の中で番組準則が掲げられているわけでございますので、そちらの方で確保されている、このように私どもは判断をしております。この番組準則による規律というのはこれまで有効に機能してきて、確かに、今先生のお話にございました、特に地方のローカルな局におきましては、地方公共団体が出資したり、それから政治の御関係の方が出資しているという例はございますけれども、そのことが番組そのものに影響を与えることはないというふうに判断をしております。

 私自身も、岩手県の知事をしておりますときに、新しく地域にローカルのテレビ局が、ある系列が出てくるというときに強く公共団体の出資を求められまして、議会の方にお諮りをして出資をした経験と、あるいは、古くからもう既にございましたローカル局で、最初の経営的な観点から出資を検討しましたけれども、大分時間がたったので出資を引き揚げるということも行いました。

 特に公共団体の場合には、地域での経済界等がいろいろ出資をしていく上でやはり公共団体が入っていた方がやりやすいというようなことで、いろいろ御要請がございましてそんなことをした覚えもございますが、いずれにしても、そうした出資について、御意見はいろいろあろうかと思いますが、政治的な公平性、そういう観点からの御心配については番組準則の方で確保されてきている、こういうふうに考えているところでございます。

○小川(淳)委員  大臣の今の御説明でありますが、番組の内容に踏み込むというのは本当に難しいんですよね。事が起きたときに、あるいは起きそうなときに番組の内容に踏み込むというのは非常に難しい。だからこそ、構造的にそういうことがないようにという手だてを事前に打つべきだと思います。

 その観点から、改めて、政治家、地方公共団体の出資規制、そしてもう一つ、時間があればお尋ねを申し上げたかったんですが、新聞社ですね、新聞社による放送局に対する出資規制。例えばイギリスでは、地方紙でその地域において二〇%を超えるシェアを持った新聞社は放送免許を取得できない、こういう規制が入っています。こういうこともぜひ御参照いただきたい。

 そして、あわせて最後に、参考までに申し上げますが、私は今回、この放送法の改正案を拝見すればするほど、国民の目から見て放送の内容の適正を期すために、やはりある種の公的な関与は必要だと思います。全くそれを取り去るということにはならないと思います。しかし一方で、政治権力の直下にある内閣の構成員たる総務大臣がこの権限を直接間接に行使する、これからの時代、私はやはりそれは不適切だと思います。

 ということの二つのバランスを考えたときに、やはりこの放送にかかわるメディア規制あるいはメディアに対するさまざまな許認可、監督指導、これはぜひ大臣の権限から切り離すべきだ、総務大臣から切り離して第三者委員会的な独立した行政委員会として新たに構築を図るべきだ、私は今回、放送法の改正案を見るにつけて、そのことを思うに至りました。

 参考までに、アメリカでは連邦通信委員会、連邦議会に対して責任を負う独立行政委員会が所管をしているんだそうです。イギリスでは通信庁、政府から独立した法人組織だそうです。フランスでは視聴覚最高評議会、政府から独立した行政委員会。ドイツでも各州、政府から独立した公法人等々の様子でありますので、大臣、ぜひこれは、中長期で結構です、こうした観点に立って御検討をお願いしたい、そのことを申し上げて、質疑を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

▲このページのTOPへ

香川事務所 〒761-8072 高松市三条町315-3 TEL:087-815-1187 FAX:087-815-1189
国会事務所 〒100-8982 東京都千代田区永田町2-1-2 衆議院 第二議員会館1005号 TEL:03-3508-7621 FAX:03-3508-3251