民主党 衆議院議員 小川淳也
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〜会議録(5月23日内閣委員会での質問)〜

○小川(淳)委員  民主党の 小川淳也 でございます。

 それでは、大変話題になっておりますこの官民人材交流、そして公務員の能力・実績主義の人事運用、これらに関する法案についてお尋ねを申し上げたいと思います。

 その前に、午前中、冒頭委員長からも御指摘いただきましたが、予算委員会で、きょうは政治と金に関する集中審議が行われました。その中でも、緑資源機構を中心とした天下りと談合、そして、そこからまた政治家にお金が還元していく、そういう構造問題について審議があった旨、そしてまた、松岡農林大臣はこの緑資源機構を初めとした関連団体に対して天下りの自粛というようなことを指示されたという御答弁がありましたことを、念のため御報告させていただきたいと思います。

 これらに関連してお尋ねを申し上げますが、大臣、率直に、この法律案、非常に取っ組みにくい法律案だなという印象を持っています。一体大臣が何を改善されたいのか、どこに命題設定を置かれて、どういう手段をとろうとしておられるのか、そこに私はいろいろなそごを感じるからであります。

 まず、冒頭お伺いします。

 渡辺大臣は、どんな天下りを根絶されたいのか、また、天下り問題の何を改善、解消されようとしているのか、その点、お聞きをいたします。

○渡辺国務大臣  再三御説明申し上げておりますように、天下りというのは、各府省等の人事当局が人事の一環として行うあっせんによる再就職を指していることが多いんですね。したがって、そういった人事の一環として行われるあっせんは、まさに退職後も行われるわけでありますから、玉突きで二回目、三回目というケースが出てくるわけであります。再就職する職員の方も、これは人事の一環でありますから、本人の意思というよりは、人事当局の意向に従って天下りをするわけですね。これが国民から見ますと押しつけのように見えるわけでございまして、不信感を買っておる。二回目、三回目のいわゆるわたりなどは退職金も手にするわけでございます。したがって、こうした実態的な慣行がいろいろな弊害を生んでいる。

 例えば、私のやっている仕事、規制改革とか行政改革とか地域活性化とか、そういったことは各省横断的にやる仕事ばかりなんですね。しかし、内閣官房や内閣府に各府省等から優秀な人材を集めてきても、結局、彼らが退職するときには、本籍に戻って、そこで再就職の世話をしてもらうということになりますと、官邸主導で、総理官邸で行おうとしていることが、どうしても各省のいわゆる省益のしがらみが断ち切れなかったりする場合があったりすると、これは大変な問題になるわけでございます。したがって、この際、そういったこともまとめて解決をしていこう。

 受け入れる方の、受け皿からいたしますと、これは人事の一環でありますから、民間に例えれば一種の子会社あるいは関連会社的な存在になる。そうすると、天下りOBを養うために無駄な税金がそこに投入されているとすれば、これは大問題になるわけでございます。したがって、やはり問題の根本がどこにあるのかといったら、まさしく各省が人事の一環としてやっているあっせん、ここに問題があるわけでありますから、ここを全面禁止をするという大決断を行ったわけでございます。

○小川(淳)委員  そうしますと、逆にお尋ねいたしますが、人事の一環でなければ、いかなる天下りの帰結を生み出そうとも、それは許容されるという理解でよろしいですか。

○渡辺国務大臣  ですから、そういった問題を踏まえて、官民人材交流センターにおいては再就職支援に切りかえるということを行ったわけでございます。人事の一環から再就職支援への転換というのは、もうまさに天下り根絶になるわけであります。

○小川(淳)委員  ちょっと、そこがまさに理解しづらいわけであります。

 今、各省であっせん行為をやっている、それはそのとおりだと思います。各省からあっせん行為、あっせん権限と言っていいのかどうかあれですが、それを剥奪する、私は、それは正しいことだと思います。それを内閣総理大臣に持ってくることで、大臣が目指している形になるんでしょうか。各省大臣が持っているあっせん権限を内閣総理大臣に統合することで、この天下り問題というのは解決するのですか。

○渡辺国務大臣  解決いたします。

 この官民人材交流センターは中立的な機関であります。そこに出向する職員は、トンネル機関にしてはいけないという大原則がございまして、出身省庁のあっせんは禁じているわけであります。そういったもろもろの仕掛けがあって、まさしく再就職支援、すなわち求人開拓も行いますが、キャリアコンサルティングも行います。再就職をする職員が、まさに人事の一環ではなく、それぞれの能力と実績が正当に評価をされて再就職をしていくということでございますから、これは天下りの論理とは全く別のものでございます。

○小川(淳)委員  大臣、今なぜ再就職が人事の一環としてやられているか。そこはまさに、大臣がよく用語としてお使いになりますが、予算や権限を背景にした押しつけ的な、あるいは人事の一環として行われるものと。予算や権限を背景にしているからこそ成り立っているわけであります。

 そうしますと、予算や権限を背景にしない形で、能力や実績をもとに、例えば公益法人にせよ特殊法人にせよ、あるいはその周りにいますファミリー企業等々、私は、これは成立しがたいと。予算や権限を背景にしていたからこそできたこと、それを予算や権限の背景を剥奪して、個人の資質、能力、経験、実績でこれを進めていくというのは、およそあり得ないことだというふうな気がしてなりません。そこが非常にこの法案の理解しがたいところ。一体何を目指しておられるのか。それはつまり、もう出るな、外に出るなということを意味するに近いんだろうな、もしこれが機能するとすれば、そういうことなんだろうという気がいたします。

 ちょっと関連することを、少し距離のあることかもわかりませんが、最近報道にもなりました事実関係、あるいはそれに対する問題点、対処等お聞きをしたいと思いますが、一つ目、今回、国家公務員の再就職問題全般を取り扱っているわけですが、現在の制度、現行制度の中で違反行為が認められたということについて、最近報道がございました、五月十日ですか。元金融庁の総務企画局長が、必要な人事院の承認を受けずに民間会社の社外取締役に就任していたということでございますが、まずこの事実関係、お尋ねを申し上げます。

○大村副大臣  お答え申し上げます。

 今お尋ねになりました、元金融庁総務企画局長が人事院の承認を得ていなかったということでございますが、事実関係を申し上げますと、日本証券業協会の増井副会長、これは前金融庁の総務企画局長でございますが、昨年六月に、協会における職務の一環といたしまして、報酬はすべて実質的に協会に帰属させる形で株式会社証券保管振替機構の社外取締役に、これは非常勤でございますが、就任をいたしました。ただ、その際、就任に当たりまして、国家公務員法第百三条が求める人事院の承認を受けておらず、同条に抵触する形となっていたわけでございます。

 当庁といたしましては、四月の二十七日夕刻、日本証券業協会からの報告により国家公務員法に抵触している事態を認識し、一刻も早くそうした状態を解消する必要があるという旨を協会に伝えさせていただきました。増井副会長は同日付で証券保管振替機構の社外取締役を辞任したというふうに承知をいたしております。

 本件を受けまして、金融庁といたしましては、再発防止といたしまして、当庁課長、企画官相当職以上に対しまして、当庁を退職し、国家公務員法上の再就職制限期間内、退職後二年以内にある者に対しまして、改めて周知徹底のための文書を送付するとともに、法令に抵触する状況にないかどうかの聞き取り調査を実施し、問題ないことを確認しております。さらに、これ以外の再発防止策につきましても検討を進めてまいりたいというふうに思っております。

 以上です。

○小川(淳)委員  人事院にお尋ねいたします。

 今御報告いただいた事案ですが、これは初めてのケースですか。こういったケースは過去にございましたか。

○吉田政府参考人  お答えいたします。

 我々もまだ報道で承知しているだけでございます。詳しくは、金融庁において調査をして、詳細の報告をしていただけるものというふうに思っております。

○小川(淳)委員  少し制度論としてきちんと議論しておきたいんですが、なぜこういう事態になった、こういう事態になり得たと人事院としては考えておられますか、お尋ねいたします。

○吉田政府参考人  事実関係が定かでないので、今ここで確たることは申し上げられませんが、退職をした公務員が退職後に再就職をしたケースでございますので、個人がどういう形で報告をするのか、あるいはその申請をするのかというところに一つ問題がある。それから、もちろん省庁としては、そういう民間企業につく場合には承認が必要になるケースがあるわけですから、そういったことを徹底しておく必要もあるというふうに考えております。

○小川(淳)委員  この再就職承認制度ですが、申請者はだれになりますか。

○吉田政府参考人  職につくのは退職した職員でございますが、人事院に承認を申し出るのは各省庁でございます。

○小川(淳)委員  このケース、増井元総務企画局長さんは、退職した後の話であります。退職した職員を、なぜもとの雇い主であった金融庁が人事院に対して承認申請するんですか。なぜ、増井さん本人が承認申請をせずに、もとの雇い主である金融庁が承認申請をしなければならない制度になっているんですか。その趣旨をお尋ねします。

○吉田政府参考人  今の国公法において、職員が所属した省庁が人事院に承認を申し出るということになっているわけですが、それは基本的に、例えば退職時点においては、省庁がその人がどこへ行くかというのをわかっているということがあると思いますし、退職後について、その職員がどこへ行くかということをどこまでフォローするかということはあると思いますが、要するに、二年間については各省庁においてその部分もフォローして、必要があれば申し出をするということが基本的な枠組みになっているというふうに考えております。

○小川(淳)委員  これは、この承認制度、人事院の承認制度自体の趣旨とかかわると思うんですが、なぜ人事院の承認を求める制度になっているんですか。なぜですか。

○吉田政府参考人  これは、再就職を通じて、官民の癒着といいましょうか、それによって行政がゆがめられることがないように、事前に職員が民間企業と何らかの関係をつくって、それによって再就職を有利に運ぶというようなことがないように、公務の公正性といいますか、行政の公正性を担保するという趣旨で設けられております。

○小川(淳)委員  公務の公正性を担保するということのために、退職してしまった人間、既に公務員でない人間にまで規制を及ぼしているというのがこの制度なわけですね。

 渡辺大臣、今回のこの改正案、国家公務員法の改正案なんですが、退職した後の公務員、一たん公務員を退職された人間については、どういうあっせんなりあるいは規制なりということを及ぼし得るのか、今回の法案に関してお尋ねいたします。

○渡辺国務大臣  退職した公務員、元職員についてかかる規制は、例えばその職員が古巣の人事当局のあっせんによって別のところに再就職をするというような場合には、これは現職の方に懲戒処分という規制がかかります。全面禁止でありますから、そういうことはできないということになります。また、この元職員が不正な口ききをすれば刑事罰がかかります。また、外部監視委員会のチェックも受けることになります。どうも現職の時代から求職のためにおかしなことをやっていたのではないかというような疑いがもし出てきたりいたしますと、これはまさしく、外部監視委員会の事情聴取を受けたり、あるいは立入検査を受けたりということになるわけでございます。

 したがって、今回の規制はかなり厳格なものであります。一概に事後チェックというわけではありません。現役の時代から求職活動の制限をかけておりますので、正しくは、事前から事後に至る行為規制というべきものがかかるわけであります。

○小川(淳)委員  法案のみそといいますか、制度の骨格は、職員の離職に際しての就職支援ということだと思うんですが、退職した後の職員がみずからの就職活動によって再就職をしていくということに関しては、それは今大臣がおっしゃった監視委員会等で何らかの規制を及ぼせる仕組みになっているんですか。

○渡辺国務大臣  先ほども申し上げましたように、監視委員会が疑いを持つに至った場合には、まさに調査の端緒となるわけでございます。

○小川(淳)委員  これまでは、もともと二年間の再就職規制があったわけでありまして、それが、猶予期間を過ぎればなくなる。それまで各省があっせんしたものが、内閣総理大臣のあっせんによってこれから再就職し始めるという、その経路を変えることで一体どういう効果が出てくるのか、何が変わるのか変わらないのか、非常にそこが大きな疑問で、これはなかなかぬぐい去れないわけであります。

 それでは、もう一つ、最近の事案で、政府サイド、官邸サイドとそれから各省との間で恐らく利害の不一致、利害の衝突があった案件だと私は思いますが、これに関してちょっとお尋ねを申し上げます。

 四月二十四日ですか、政府がまさにこの法案の閣議決定をされたその日、東京証券取引所が秋にも設置をします市場の自主規制部門ですね、この自主規制部門を担当する新法人の理事長に元財務次官を登用するという報道がなされたそうでありますが、この件について、あるいはそれ以降の経過について、財務省、御存じの範囲で結構です、お答えをいただきたいと思います。

○杉本政府参考人  お答えさせていただきます。

 今先生御指摘の件につきましては、東京証券取引所は株式会社でございますが、東京証券取引所が株式会社として、みずからの御判断で、自主規制法人の理事長として適切な人物を選定されたものと存じ上げております。

 本件に関しまして、財務省として具体的な選定に関与したということはございません。

○小川(淳)委員  官房長、お聞きしますが、これはお聞きになっておられましたか。事前に、報道される前にお聞きになっておられたかどうか、お聞きいたします。

○杉本政府参考人  お答えいたします。

 本件は、東京証券取引所が株式会社として、みずからの御判断で、自主規制法人の理事長として適切な人物を選定されたものでございますので、その具体的な経過について財務省として何らかのことを申し上げる立場にないということを御理解いただきたいと思っております。

○小川(淳)委員  官房長官にお越しいただいておりますが、これは報道された事実です。報道によりますと、この発表、四月二十四日の東証の発表に対しては、まあ、ある報道ですから、この表現等お許しをいただきたいと思いますが、財務省の挑戦と見た官邸サイドが同省に中止を求めた、東証が決めたことなので財務省は関与していないと、今まさに御答弁がありましたけれども、受け流された経緯があると報道されておりますが、これは事実でしょうか。

○塩崎国務大臣  その報道は承知しておりません。

○小川(淳)委員  報道を御存じかどうかお聞きしているのではなくて、報道された事実があったかなかったかをお聞きしています。

○塩崎国務大臣  この人事は、東証が金融庁に届け出をするという人事で、官邸には何も関係はありません。

○小川(淳)委員  そうしますと、ここで報道された事実は事実無根だということでよろしいですね。

○塩崎国務大臣  今申し上げたとおりで、金融庁に届け出るという権限関係になっている人事でありますので、官邸として関与するだのというようなことは何もないということです。

○小川(淳)委員  渡辺大臣、これが事実かどうか、もちろんなかなかお答えしにくい面もあるでしょう。しかし、私は、あり得ることだと思うんですよ。やはり、各省庁あるいはそれに関連した法人等々でOBが採用されていく、しかし、政府としては、こうした人事に対して、もちろんいろいろな構造的な問題もあるでしょうし、あるいはイメージ上の問題もあるでしょう、こういうことに対して政府が物を言っていくということは大いにあり得ることだと私は思うんです。

 今回のこの法案でいきますと、こうしたケース、例えば退職職員なのでもう関与していないとかいったことについては、やはり制度上物を言っていくすべがないんだと思うんですが、大臣、まず、東証の新設する自主規制法人の理事長に元財務次官が就任するというこの人事、これは大臣が目指される天下り根絶の範疇ですか、それとも範疇外ですか、いかがですか。

○渡辺国務大臣  新法が施行されまして、きちんと全面的な改正法が動き出しましたときには、先ほど申し上げましたように、疑いがあるケース、つまり、どうも各省が絡んであっせんをやったのではないかというようなケースについては、外部監視委員会が事情聴取や立入検査を行うことができます。まさに調査の端緒があればそういう仕掛けが動き出すということでございますので、調査の端緒というのは、この前も申し上げましたように、例えば国会で問題になった、外部監視委員会が疑いを持つに至ったというようなケースでは、その後の手続、事後チェックの手続が動き始めるということであります。

○小川(淳)委員  つまり、大臣の御見解ですと、これは、あっせんがあったかなかったかはやはり問題だと。

 もう一回申し上げます。東証が新設する自主規制法人の理事長に元財務次官が就任するということは、これはあっせんがなかったら問題ないというお答えでよろしいんでしょうか。

○渡辺国務大臣  こういうケースは、かつて固定的なポストになっていた場合が多いわけですね。つまり、東証理事長とかそういった、営利企業ではないけれども非営利法人への天下りポストというのがあったわけでございます。

 したがって、疑いを持たれる場合が多いわけでございまして、新法施行後、外部監視委員会が疑いを持つに至った場合にはチェック対象になるということであります。

○小川(淳)委員  まさに議論したいのはそこなんです。

 今回はこういう手続の整備に主眼が置かれているんだと思うんですが、要するに、あっせんさえなければいいんだと。きょうの予算委員会でもやっていました緑資源機構にせよ、その下の公益法人にせよ、あるいは先週の質疑ですと、庁舎の清掃等の財団法人に関する議論もありました。それから、きょう、今申し上げた東証の新しい理事長、そして、またお伺いしたいと思いますが、空港会社等々、これはあっせんがなければいいのか。私は、あっせんがあろうとなかろうと、こういう退職公務員が、あらゆる公的な法人、団体、そしてそれに関連した企業等々の主要な職を占めていくこと、その構造そのものが問題だと思うんですが、大臣、これは、あっせんがなければ、あっせんの有無さえ確認されれば、それでいいんでしょうか。

○渡辺国務大臣  仮に、各省のあっせんが全くなかったとしても、在職中に、みずからの職務と利害関係を有する企業等に対して再就職の交渉や約束を行うことは禁止されています。企業から請われた場合も同じでございます。

 これは現職の場合でありますが、一般論としては、職員が、その知識や経験を評価され、営利企業等の要請を受けて再就職する行為は、官民の人材の交流という観点からは望ましいものでございます。

○小川(淳)委員  馬淵委員、ちょっと提出者にお聞きしたいんですが、民主党案は、天下りそのものを、あっせんがあったとかなかったとかいうこととかかわりなく阻止しようとされているわけであります、私もやはり同じ問題意識を持つんですが。もちろん、再就職、官民の人材交流というのは、これは大事な価値観、大事な観点だと思います。しかし、あっせんルートがどこになろうと、あっせんルートが変わろうと変わるまいと、結果として、関連する特殊法人や公益法人、財団、そしてファミリー企業にたくさんの官庁出身者が再就職をするという事態は私は大いに改善していくべきだと思いますが、馬淵提出者、その辺の考え方をお聞きしたいと思います。

○馬淵議員  午前中の与党の議員の方からの御質問にもありましたが、そもそも、我々民主党の案というものは、だからこそ事前規制を強化すべきものであるという考え方に基づいて提出をさせていただいております。

 当然ながら、事後規制でその行為規制というものを行っていくわけでありますが、事前規制の強化、それは、とりもなおさず、あっせん、天下りについては五年間の禁止、影響力を排除するための相当期間として五年間。現行二年のその期間があるにもかかわらず、今もって、委員御指摘のような談合等あるいはさまざまな事件等につながる温床となるような天下りが実際行われているわけですね。先ほど金融庁のお話にもありましたように、ざる法のように実態としては起こっている。これも、人事院への届け出、そこでの審査が必要なのに、それも行われずに会社の社長に、取締役についたという事実があるように、二年の規制がこれは緩いんですね。だから我々は、事前規制というものを五年間に強化する、これによって国民の不安を払拭することができると考えております。

 先ほど来、大臣の答弁やあるいは委員の質疑にありましたように、あっせん、これは禁止をすべきものなんですが、事後規制では実はその実効性、いわゆる効果が極めて薄くなってしまう。我々は、行為規制も考えておりますが、事前規制強化こそが問題の根本の解決だ、このように考えております。

○小川(淳)委員  これはお互いに難しい問題をはらんでいることはそうだと思うんですが、政府案の、あっせんルートを変えるということが本当にどれほどの効果を持つのか持たないのか、私はやはり、そこに非常に取っ組みづらさといいますか、これは何年後か、本当によく見てみなきゃいかぬなと。この法案ができて二十年に立ち上げられて、実際に変わっていくのか変わっていかないのか、これはよほど大きな検証が必要だと思います。

 関連して、これはちょっと性格は異なると思いますが、同じように、やはり官邸サイドの意向と、それから現場の官庁の意向あるいは官庁の関連法人の意向で、成田空港会社の社長人事が最近話題になっております。きょう、何か新たな報道もあったということもお聞きをしておりますが、まず、国交省にお伺いいたします。

 成田空港会社の社長人事について、少し経過なり事実関係の御説明をいただきたいと思います。

○鈴木(久)政府参考人  お答えいたします。

 成田国際空港株式会社の社長人事につきましていろいろな報道がなされておるということは私どもも承知しておりますけれども、現在手続中の事案でありますので、コメントは差し控えさせていただきたいと思います。

○小川(淳)委員  報道された事実に基づいて、少し事実関係だけ申し上げたいと思います。

 六月の下旬に、成田空港株式会社の社長の任期が切れるんだそうですね、六月の末に。そして、現社長は、元運輸省次官の黒野氏。そして、国交省、成田空港会社関係からは、この黒野社長の留任に対する声が強いと。報道された事実です。

 これに対して、これも報道された事実でありますが、官邸筋からは、そうした運輸省次官OB、官僚出身の黒野氏が今後の成田空港の運営を行っていくのは望ましくないという意思表示をされたということでありますが、官房長官、事実関係だけお聞きをしたいと思います。

○塩崎国務大臣  先ほど航空局長からお答え申し上げたように、今、手続にかかっているものでございますので、コメントは差し控えたい、こう思います。

○小川(淳)委員  官房長官、十七日の記者会見では、民営化を視野に検討している、完全民営化を視野に、この空港会社の形態が変わっていくことを視野に入れているわけで、それにふさわしい人がいいと述べたというようなことが報道に出ておりますが、これは事実じゃないんですか。

○塩崎国務大臣  これは、代表権を持つ特殊会社のトップについては所管大臣が認可をするわけでありますけれども、同時に、閣議口頭了解という手続を経るわけであります。そういうことで、内閣において、これが閣議にかかるということでありまして、今、記者会見で私が申し上げたというふうに引用していただいた点については、基本的な一般論としての考え方を申し述べた、こういうことでございます。

○小川(淳)委員  個別のことだからとか、あるいは調整中の案件だからということで、国会でなかなか具体的な御答弁を引き出せない、いただけないということはよくあることでありますが、せめて会見でおっしゃっていることぐらいは、この場で事実関係あるいはそのときにお考えになられたことをおっしゃっていただくのが筋道だと思いますが、官房長官、ぜひお願いしたいと思います。

 この件に関しては、きょうですか、新たな報道があったようですね。恐らく官邸の意向を得てということだと思いますが、報道があったことに関して、国交省、何かお答えいただけませんか、新しい展開。

○鈴木(久)政府参考人  けさの報道で新社長の人事についての報道があったことは承知しておりますけれども、先ほどもお答えしましたとおり、手続中の事案でありますので、コメントは差し控えさせていただきたいと思います。

○小川(淳)委員  では、私の方から申し上げましょうか。元住友商事の森中副社長とおっしゃいましたか、今度、成田空港会社の社長人事でこの方のお名前が挙がっているということだそうです。

 まさに官房長官おっしゃったように、この成田空港会社については、今、株式会社にはなりましたが、株式の状態は、全部政府が保有しているということであります。しかも、社長人事については国交省の認可が必要だという制度になっているわけでありますから、これは当然、制度的に、法的に、政府としては一〇〇%支配力を及ぼすことができるということだと思います。しかし、これもまた完全民営化をしていく、いずれ株式を上場して完全に民営化をしていくという段になりますと、事はそう簡単ではないということだと思います。

 こうした際に、渡辺大臣、これも見方によっては天下りの一種、一環でありますが、今は完全に成田空港は国の子会社、国が株式を持った会社、しかし、民営化していったとはいえ、これから空港周辺とのいろいろな調整ですとか、そういったさまざまな難しい問題も抱えている。一方で、非常に世界に向けて開かれたオープンな空港にしていかなきゃいけないという命題も抱えている。こういう会社についての社長人事というのは非常に難しい要素が入り込むんだと思いますが、今の状況ですと、国交省の認可人事でありますから、やはり非常に国交省の影響力が強い。株式が公開された後もそうでしょう。

 こういうものに対して、渡辺大臣、これはやはり、内閣総理大臣主導のあっせん行為というもので人事を決めていく、あるいは人事に、働きかけ、影響を及ぼしていくということになるんでしょうか。民営化された後の成田空港会社について、政府としてのかかわりの仕方、これをお尋ねさせていただきたいと思います。

○渡辺国務大臣  先ほども申し上げましたように、各省人事当局のあっせんというものは全面的に禁止をしております。したがって、それが二回目、三回目の再就職の際に行われるものであっても同じであります。もしそのような行為規制違反の疑いがありますと外部監視委員会が動き出す、こういうことになろうかと思います。

    〔委員長退席、戸井田委員長代理着席〕

○小川(淳)委員  こういう国交省が認可を持っている法人ですらそうなんですか。こういう国交省が認可をする法人で、国交省があっせんしていく、あるいは人選する、人選にかかわるということは私は当然の流れじゃないかと思いますが、そういう意味では、この点に関しては、大臣、これもやはりだめなんですか。

○渡辺国務大臣  各省のあっせんはアウトであります。

○小川(淳)委員  ここも実は、私どもの立場から申しますと非常に言いにくいことではあるわけですが、こういう認可を持った法人、あるいは財団法人でも指定法人という制度があります。例えば、最近ですと、少しやりとりをしました、警察とそれから交通事故に関して情報分析をする分析機関、これなんかは、法律上この法人ということでもう指定されているわけですね。ここからあっせん、人選、働きかけの権限を奪うことは、極めて公益性の高いこうした人事案件においては逆にそごを来す可能性が高いと私は思いますが、その点、いかがですか。

○渡辺国務大臣  そういう意見もございました。

 先ほど来申し上げていますように、政府案においては、官と民の垣根をできるだけ低くしよう、相互交流を大いに進めていこうという考えであります。一方において、官民交流を行っていけば、当然、官民癒着の防止措置というのが大事になるわけであります。そういう観点からも、各省のあっせんは全面禁止をし、厳格な行為規制を導入したところであります。

○小川(淳)委員  本当に水かけ論というか、押し問答にならざるを得ない部分かもわかりませんが、各省から本当にあっせん権を奪わなければならないことと、一定の働きかけがむしろ必要なことと、いろいろ、その辺の区別なしにということに関しては、やはり、目が粗いというか、この制度設計が粗いんじゃないかと思うんですね。

 各大臣から内閣総理大臣に一元化すること、非常に象徴的な意味はあるんでしょうが、きめ細かく見ていくと、それで問題が解決するのか、あるいは新たな問題を来さないのか、そういうことに関しては非常に粗い制度設計だな、本当にその効果が見込めるのか、あるいは弊害を除去できるのか、これに関してはやはり相当大きな疑問を禁じ得ません。非常に大きな疑問を持っています。

 また、あわせて、少し観点を違えてお尋ねをいたしますが、今、厳格な行為規制という大臣のお話がございました。これは今までなかった制度だと思いますが、この行為規制について、大臣、概要だけまずお教えをいただきたいと思います。

○林副大臣  行為規制の概要ということでございました。

 行為規制につきましては、先ほど来議論があるところでございますが、もともとここの役所にいた方が退職された後、そこに、おったところに働きかけをするというものを規制する、こういう内容でございます。

○小川(淳)委員  何年とか、あるいはその事実関係、制度設計、お尋ねをいたします。

○林副大臣  行為規制につきましては、もうかなり御議論もいただいたところでございますが、一応、退職職員の働きかけ規制ということで、退職後に営利企業等の地位についている退職職員が、離職後二年間、一定の国の機関の現職職員に、当該営利企業等またはその子法人が関係する契約または処分であって、離職前五年間に、これは課長レベル以上ではそのポストについていた間ということにしておりますが、担当していた職務、また、局長級以上については在職していた府省全体の所掌、こういうことにしておりますけれども、これに属するもの等に関して働きかけを行うことを規制する。

 また、さらに重い規制といたしまして、離職後に営利企業等の地位についている退職職員が、一定の国の機関の現職職員に、在職中にみずからが決定した契約または処分、これについては期限の定めなく規制をかけるということでございます。

○小川(淳)委員  渡辺大臣、今御説明いただいたような退職後二年間の働きかけの禁止、これは非常に十分で厳格なものですか。

○渡辺国務大臣  それだけがすべてではございませんので、いろいろな行為規制をパッケージで考えて我々としては二年間という時間をとった次第であります。

○小川(淳)委員  例えば、この二年という期間の設定については、何か参照されたもの、あるいは研究材料、判断材料等、具体的にございましたらお教えいただきたいと思います。

○渡辺国務大臣  この二年間というのは、現行制度で事前承認、クーリングオフ期間が二年とされていることを踏まえております。また、今回の働きかけ規制は、不正なものに限らず、元職員の現役に対する働きかけを外形的に禁止するものであります。したがって、既に民間人となっている元職員の職業選択の自由や勤労の権利に対する非常に強い規制となることから、規制期間については、必要かつ合理的な期間に限定をするという意味で二年としたわけでございます。

 さらに、官民の闊達な交流を促進し、例えば民間経験を積んだ方にも公務の世界に入っていただく必要があろうかと存じます。その後再び民間で働く場合に、必要以上に長期間の規制とすることは官民交流を阻害する要因となりますので、こういったことから考えても二年という期間は合理性があると考えます。

○小川(淳)委員  人事院の承認に係る再就職規制が二年だということはそのとおりなんですが、それと、一たん外部に出てからの働きかけを規制すること、この二年という期間は性格が異なるものだと思いますが、その点、いかがですか。

○林副大臣  確かに事後規制とそれから事前規制という違いはありますから、同じことを同じ年限でということはございませんで、むしろそれは、今回暫定措置として、先ほど委員がお話しになられましたように、やる場所は内閣府に移ってまいりましたけれども、事前規制を暫定的に残す、こちらがそちらに一番近いわけでございますが、今大臣から御答弁がありましたように、この影響力というものがどれぐらいの間に備わって、それでそのことが退職後どれぐらい持続するのか、こういったことを当然行為規制をする場合には考えるわけでございます。そういうことを考慮する中で、こういうものは今までやっていたところで、そういうことを考えながらやってきたということも参考にしてこの二年間ということを決めた、こういうことであろうかと思います。

○小川(淳)委員  この影響力、まさにそういうことだと思うんですが、どのくらい持続するのかと。

 これは、具体的な研究材料は何かありましたか。

○林副大臣  これは具体的に、数値的に、定量的にというのではなくて、今申し上げましたように、人事院が今までそういう規制を二年間ということで定めていたものを一つの参考にした、こういうことでございます。

○小川(淳)委員  それだけですと、性格が違いますでしょう、事前規制と事後規制で。何か、再就職後どういう働きがあったとかなかったとかいうことについて、具体的な研究をぜひすべきですし、したはずだと思いますが、そこはいかがですか、材料はありませんか。

○林副大臣  もちろん、これは事後規制でございますから、今までなかったことを今度は新しくやる、こういうことでございますので、今申し上げました影響力という観点から、人事院の規制、現行の規制を参考にいたしましたのと、強いて言えば、諸外国でどういう規制をされておられるのかなということも検討の過程では議論に上がっていた、こういうふうに記憶をしておるところでございます。

○小川(淳)委員  例えば、私自身の感覚ですと、先輩は五年たっても十年たっても二十年たっても先輩なんですよね、役所の人事の文化といいますか、そういうものからいきますと。具体的に、こういう事案というのは、言うまでもないぐらい最近大きな出来事が続いているわけでありますから、ぜひ目を通されて、あるいは研究材料にすべきだと思います。

 きょう、あえて防衛省にお越しをいただきました。防衛省さんは、今まさに、防衛施設庁の解体を前提にした設置法の改正案等々に取り組まれているわけでありますが、昨年には大変大きな談合事件に見舞われて、それに対するさまざまな内部の調査結果、非常に赤裸々な報告だと私も興味深く拝読をさせていただきました。

 防衛省さんにお伺いいたします。直接の非常に大きな反省材料となりましたこの官製談合事案について、今大臣、副大臣と議論させていただきましたが、一体その影響力というのは何年ぐらい持続しているのか、継続しているのか、この具体的な事案から少し御説明なりいただけたらと思います。

○増田政府参考人  お答えをさせていただきます。

 今、渡辺大臣、林副大臣から、今回の国家公務員法改正案における働きかけ規制についての内容、趣旨について御答弁ございましたけれども、私どももまさに、そういう職員であった者の職業選択の自由等々とのバランス等を考慮して、こういう規制の期間というのは必要かつ合理的なものとするという考え方に立ってこういう制度がなされたというふうに理解をしております。

 今先生から、防衛施設庁の談合事案についての影響力の問題がございましたが、施設庁の談合事件と申しますのは、そもそも役所の中で官製的に職員がその談合を主導していたということに大きな問題点があったものと理解をしておりまして、単純に職員であった者がもといた職場に働きかけをするということとの関連において、比較して論じるということとして直に考えるということはどうなのかなと思っております。

○小川(淳)委員  渡辺大臣、そういうことでよろしいですか。積極的な働きかけをしなければ、ましてや、これはあってはならないことですが、官庁の側から働きがあってそれに応じたというのは、これは行為規制の対象にならないと考えてよろしいですか、大臣、今の御答弁。

○林副大臣  ちょっと御質問の趣旨が明確にわかりませんでしたが、今の防衛庁の方の働きかけがこの構成要件に当たるかという御質問でしょうか。

○小川(淳)委員  その前に事実関係をはっきりさせたいと思いますが、昨年、大変大きな問題になりました防衛施設庁の談合事案については、三宿の病院に係る設備投資、平成十六年の事案だと言われています。携わったのは、防衛庁側が生沢当時の技術審議官、そして受注側にOBとして天下った甲さん。実名は出ていません、甲さん。この方は平成十年の退職であります。そうしますと、このケースでいきますと、平成十年に退職して平成十六年の談合事案にかかわるまで六年間のブランクがある。

 もう一つ、岩国基地に関連した談合事件もありました。これにかかわった受注側の丙さんについては、平成三年に防衛省を退職しておられる。そして、この岩国基地に関連した事件の起きた時点、これも平成十五年から十六年にかけて、つまり退職後十三年後であります。

 今、防衛省の御担当から御答弁いただきましたが、受注側は、これは積極的に防衛省に対して働きかけをしてくれとは言わなかったからいい、応じただけだ、防衛省、防衛庁の意向に応じて対応しただけだという御答弁だったと思いますが、もし違っていたら、どうぞ。

○増田政府参考人  言葉足らずで失礼をいたしました。

 私、何も応じただけだからいいということを申し上げたつもりはなくて、そもそも役所の中でこの種の割り振り行為をしたりすることは、それがそもそも犯罪でございますということを申し上げたつもりでございます。

○小川(淳)委員  退職してから一方は六年後、一方は十二年、十三年後ですね。あうんの呼吸でそこはできるわけですよ、退職した後の職員と。これは問題でしょう、大臣。いかがですか。

○林副大臣  委員長に御指名をいただきましたので。

 今防衛省からお話がありましたように、今のケースにつきましては、一般の刑法等でやっていただくものがあるわけでございますので、この規制は、影響力と先ほど申し上げましたけれども、そもそもそういう公正な行政が行われるということを損なう可能性があるということと、それから、大臣からも御答弁がありますように、官民の垣根を低くしてきちっと官民交流をやる、これは民主党の答弁者からも先ほどお話があったところでございまして、そのバランスの中でこういう年限になっておりますが、この規制がかからなくなったからといって、今防衛省の方から答弁がありましたように、一般の刑法に触れるようなことが免責をされる、これではないわけでございます。

 ちなみに、民主党さんの案でもたしか十年間という御規制だったというふうに承知をしておりますので、そこは、このケースについては同じ対応ということになろうかと思います。

○小川(淳)委員  二年間の行為規制そのものは、私は本当に、そんなに意味を持たない。人間関係というのは、そんなに一年や二年で切れません。本当に、五年、十年、二十年、幾らでもこれは働きかけ、影響力あるいは人間関係は継続するわけでありまして、この事案一つとっても、退職から十三年、一方は退職から六年、こういう事案が出ているわけでありますから、二年という行為規制をもって十分だとか厳格だとかいうのは非常に甘いお考えではないかな、そんな気がいたします。この点、この行為規制についても、アメリカでも基本的に五年、それから民主党案でも十年、こういう点をぜひ頭に置いていただきたいと思います。

 それからもう一つ、私、これは本当に何年も検証する必要があると思いますが、とにかくこういう制度を入れて、一体その先どうなっていくか、これは本当に興味深いことだと思いますが、一つあり得ることは、今までと変わらない姿でうまくあっせんがすり抜けられていく、これはざる法だとかいう指摘をする我々の立場からいえば、そうであります。

 一方で、滞る、完全に滞る。各省のあっせんが、これはもともと予算と権限を背景にやっているわけですから、そこと切り離されたあっせんで実現するわけがない、滞るということがもう一つあり得るわけであります。

 こうなってきますと、まさにそこからが本当の公務員制度改革だと思いますが、能力・実績主義という考えが取り入れられてきたのは平成十二年、十三年であります。行政改革大綱あるいは公務員制度改革大綱、これらをきっかけに、公務員の人事に対して能力や実績を十分に反映していこうという考え方が示されたわけであります。それから六年、行政改革大綱から七年、公務員制度改革大綱から六年、もう同じようなことを言われているわけですね、今回法案化されたことが。

 一体この公務員の世界に、ボーナスとか昇給、昇進に関して能力や実績主義が取り入れられてきた実績はあるのかどうか、これは人事院にお聞きをしたいと思います。

    〔戸井田委員長代理退席、委員長着席〕

○出合政府参考人  お答え申し上げます。

 平成十二年の行政改革大綱で、成果主義、実績主義に基づく信賞必罰の人事制度という言葉が出てきております。人事院も、かねてより給与における成績主義の推進について指針を出し、その指針に基づく運用の実態について各省庁とヒアリングをしながら状況の把握に努めてきております。その中で、昇給あるいはボーナス、このあたりについて、成績主義の実行をお願いしてきております。

 これらの経過を踏まえまして、平成十七年に、給与勧告におきまして、職務、職責に応じた俸給構造への転換、勤務実績の給与への反映を盛り込んだ給与構造改革を勧告し、現在、実施に移しております。

 具体的に申し上げますと、例えば昇給については、勤務成績を反映しやすくするために、以前の一号俸を四分割させていただきまして、普通昇給、特別昇給と言っておりましたものを一本化して、極めて良好な成績の者から良好でない者まで五段階に分けまして、その成績上位者の分布率を設けて実施をお願いしております。さらに、勤勉手当についても同様に、特に優秀を五%以上、優秀という部分を二五%以上の分布率を定めまして、それを措置するようにお願いしているところでございます。

 これらにつきましては、今後またヒアリング等を通じて、実行の有無については一つずつ確認をしていこうと思っております。今後とも、この勤務実績の給与への反映につきましては一層推進をしていきたいと考えております。

○小川(淳)委員  実績は把握していないということでよろしいですね、この六年間。今進めようとしておられることはわかりました。どのくらい実績が出ているかということに関しては把握していないということでよろしいですね。

○出合政府参考人  今申し上げましたように、ヒアリングをしながら各省庁の実態を、成績主義の推進を進めておりますので、そのヒアリングの関係では、把握をしながらやっております。

○小川(淳)委員  把握しておられるんだったら、教えてください、実績を、どのくらいこれは進んだのか。

○出合政府参考人  例えば勤勉手当について申し上げますと、勤勉手当は、成績に応じて、いわゆるボーナスですから、差をつけるという形になっております。

 最初の段階でやりましたことによって、特に優秀と言われる部分、百分の七十が標準ですけれども、それを百四十から九十五、いわゆる余計に出す部分については一・二%の職員、それから優秀、九十五から八十の部分については二二・七%の職員が対象になって支給をされているということがございます。

○小川(淳)委員  私、六年前からこういう考え方が取り入れられてはいるわけですが、ボーナスにある程度の差をつけていく、しかし一方で、例えば年次を逆転した、局長より次官の方が年次が低いとか、そんな話聞いたことがありません。

 私は、これは、人事が本当に機能させればさせるほどとまっていくことだと思いますが、その受け皿は当然、年次とかあるいは試験採用の区分を外すとかいうことをおっしゃっていますが、そういう本当に流動的な人事、自在の人事ができるかどうか、これこそが本当に役所文化を変えていくに当たっては大きな突破口だと思います。しかし、こういうことが言われてから六年、七年、ほとんど動いていないのが実態でありまして、これを本当にやっていくと、いかに難しいことかということだと思います。

 私、これが成立したら本当に次官と局長の人事が逆転するのかどうか、本当に公益法人や特殊法人の関係天下り先への再就職は減っていくのかどうか、あるいは民間から来るのかどうか、こういうことはよくよく検証していきたいと思いますし、やはり、押しつけかどうかではなくて、これは共存共栄を図ってきた構造癒着ですから、押しつけだとかなんとかでなくて、予算と権限を背景に進んできた構造癒着ですから、共存共栄の文化ですから、ぜひそういう本質的な問題意識で取り組んでいただきたい、そのことをお願い申し上げまして、質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

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