民主党 衆議院議員 小川淳也
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〜会議録(3月23日内閣委員会での質問)〜

○小川(淳)委員  民主党の小川淳也でございます。

 大臣には、きのう、きょうと審議、大変お疲れさまでございます。きょう、ついたった今まで、三名の参考人、専門家の方から、この法案についてさまざまな御意見をいただいてまいりました。この三名の方の御意見、大臣にはお聞き届けをいただけたのかどうか。あるいはその中で傾聴に値するなと思われた点があれば、お答えをいただきたいと思います。

○溝手国務大臣  お答え申し上げます。

 まことに申しわけございませんが、きょう、今、参議院で本会議を開いておりまして、直前までそちらにおりましたので、いただいたペーパーを読ませていただいた状況で、御容赦いただきたいと思います。

○小川(淳)委員  大変お忙しいことと思いますが、非常に貴重な御意見、多々ございました。法案の御提出をされた担当大臣として、ぜひごらんをいただきたいと思いますし、中でも、村岡先生の、特にこの法案の主要な論点の一つでございます弁護士会、弁護士制度との関連において、法益を比較考量するような考え方、そこの苦悩といいますか苦渋といいますか、そこは大変傾聴に値する御意見だな、私自身、そんな感想を持ちました。ぜひ後ほどごらんをいただきたいと思います。

 大臣、この法案ですが、最近、町のあちこち、あるいは道路の上もそうですね、監視カメラ、非常に目立つようになりました。それから、住民基本台帳には番号が振られた。そして通信傍受ですか、捜査のためには電話盗聴等を刑事当局が行うことができます。そして現金で十万円以上の振り込みができなくなった、これもきのう来議論が出ています。それから、飛行機の中に液体を持ち込むことが難しくなりましたですね、そういったこともあります。個人情報保護が議論される。さらには、現在、関連があろうかと思いますが、共謀罪については引き続き審議が続いている。

 こういう世相を背景にした中でのこの法案、私自身は、やむを得ないこと、必要なこととはいえ、気持ちが暗くなるような面があるんですが、ここ最近の世相について、大臣、どういった御認識をお持ちですか。

○溝手国務大臣  お答え申し上げます。

 私の世代は、大変、言えばなんですが、小川先生は私のせがれより少し若いわけでございまして、我々はまさに安保の世代に育ったといいますか、青春時代は安保の時代でございました。そのときに、大変左翼的な活動をする人もいましたし、そうではなくてアンチの活動をする人もたくさんいたわけですが、ただ、言えることは、対立軸があったんですけれども、その軸が今よりはるかにはっきりしていたといいますか、米ソの、自由主義と共産主義、社会主義との対立ということですね、価値観を非常にはっきりした軸の中で、右と左というような分類をして世の中が成り立っていたような気がいたします。

 そういう意味で、きのうからずっとこの法案に関する議論を聞いておりますと、質問される皆さんの言葉がわからないでもない。わからないでもないというのは、右であろうと左であろうと、これは、相手のおっしゃっていること、あるいは友人の言っていることというのは理解できたわけでございます。以来何十年たちまして、最近、対立軸というのがはっきりしない世の中になってきたというときに、私は、早くやめますから安心しておいてください、非常に懸念を持っているわけですね。

 ですから、便宜的に法案とか法律というのはつくられては困るという懸念は一つ持っておりまして、もう一つは、逆に言うと、ムードに流されるとどんな法律でも法案でもできてしまうという危険な兆候が社会にあるというのも否定できないんだろうと思います。私の立場、国家公安委員長という立場でいいますと、この中で最もしっかりしなくちゃいけないのが私の立場だろうと思いまして、民主警察をしっかり守っていくためには努力をしてまいりたいと思っておりますし、この本法案をひとつよろしくお願いしたいと思っております。

○小川(淳)委員  大臣、率直な御感想だと思いますが、私は、別に、右とか左とか、安保がどうだとかということを、ひょっとしたら、まあこれはずっとさかのぼると関連しているのかもわかりませんね。やはり八〇年代後半から九〇年代以降、非常に世相が変わってきた面があるんだろうなという気は確かにします。日本でも、九五年のオウム真理教のあのテロ事件というのは、私、社会人一年目でしたけれども、本当に鮮烈な記憶、今でも忘れられません。それから、何といっても二〇〇一年のテロ事件ですね。こういったことが、冒頭申し上げたようなさまざまな、捜査当局あるいは刑事当局としての事前の予防も含めた手だてを打っていくという流れ、これをやむを得ないものにしているんだろうという気はいたします。

 ただ、今回の法案でこれはまた一つ階段を上がるということでございまして、技術的なことをお尋ねしますが、金融庁にお尋ねします。

 今までの本人確認法あるいは組織犯罪処罰法において報告義務があった金融機関、何件ありますか。

○山崎政府参考人  お答え申し上げます。

 いろいろな段階があると思いますが、私ども、本人確認法とか組織的犯罪処罰法に基づく疑わしい取引の届け出義務等を確実に遂行するよう求めているわけでございますが、これが最終的に重大な問題があると認められる場合に、必要に応じて業法等に基づく業務改善命令等の行政処分を実施しております。

 最終的に本人確認法及び組織的犯罪処罰法違反を処分理由に含む行政処分の件数でお答えいたします。これで申しますと、銀行が六件、証券会社が七件でございます。

○小川(淳)委員  従来の法規がかかっていた金融機関の数なんですが、一千件ぐらいじゃないですかね、多分。銀行や信用組合、信用金庫等々、恐らくそうだと思います。そして、この法案によって今度は、本人確認をして、記録を保存して、疑わしい取引を報告する対象事業者、先ほど来議論されていますが四十万社とか五十万社、五十万事業所ですか、もし間違いがあれば指摘してください。つまり、恐らく一千件程度だった金融機関が、四十万社、五十万社、五十万事業所というふうに圧倒的に報告義務者がふえるのが今回の法律案でございます。

 そこで、大臣に率直な御感想をお聞きしたいんですが、わずか一千社程度の金融機関から上がってきた疑わしいですよという取引の報告件数、十一万三千件ですか、十一万件。大臣、この十一万件という数をお聞きになって、どんな感想をお持ちになられましたか。

○溝手国務大臣  大変多いなと思いました。

○小川(淳)委員  私もそうなんですよね。これはびっくりしました。年間十一万件余りのこれは疑わしいという取引が当局に報告されているということ自体、驚くべき数字だなと思いました。これが機械的に上がっているものなのか、あるいは一つ一つ本当につぶさに見きわめた上での報告なのか、詳細を知る手だてはありませんが、非常にこれは多いなという印象であります。

 そこで、一千件程度の金融機関から十一万件、これが四十万社、五十万社から一体どの程度上がってくるのか。これは本当に想像することすら難しいわけでありますが、十一万件、単純に計算しますと、大体一日四百件から五百件ですよね。これが、現在金融庁に十八名の体制で取り組んでおられるということですから、一人当たりで計算して二十件とか三十件とか毎日見ていく、営業日で計算してですね、ということがこれからどういうふうに進んでいくのか。この法案は、そういう意味では、社会的な影響力といいますか波及力というのは本当に大きいことになるんだろうな、そのことをまずは数字との対比においてよくよく御認識といいますか御自覚をいただいて、論点に入っていきたいと思います。

 やはり、最大の論点の一つは弁護士制度、弁護士さんとの関係だと思います。

 弁護士会が強硬に反対されたことをもって、強制的な届け出ですとかあるいは監督のあり方等については非常に緩やかな制度になったということでございますが、私は、冒頭に御紹介申し上げた村岡先生との関係で申し上げても、弁護士さんにこれを要求するというのは非常に無理がある、矛盾して無理があるという気がしてならないんです。この弁護士さんの主張、今回の法案あるいは今後の見直し、いろいろな議論があり得るんだと思いますが、本質的に、弁護士さんに違法な事態を、そのおそれを報告せよということ、これは無理があると思いますが、大臣、この点、いかがでしょうか。

○溝手国務大臣  今、FATF加盟国の各国での反応が現時点で統一されていないというのは事実でございまして、ということは、それぞれの土地の事情、国の事情というのがいろいろあるんだなという感想は持っております。

○小川(淳)委員  そのとおりだと思うんですが、今後のこともありますので、少し論理的にぜひお考えをいただきたいわけです。

 弁護士さんという職業は、刑事被告人を弁護し、擁護することを職務としているわけですから、たとえ違法な行為をしている、あるいはその状態を把握しているとはいえ、そのことを積極的に開示したり、あるいは報告したりはおろか、それを後ろへ隠してでも被告人の利益を守るのが職業であります。したがって、その方に、違法な事態をうかがい知った場合、あるいはその疑いを持ったときは報告せよということそのものが、非常に大きな矛盾を来しているということ。だからこそ、弁護士会は反対をしているわけだと思います。

 また、依頼人の側に立ちますと、例えば、仮に資金洗浄の容疑がかかった。この資金洗浄の容疑がかかったそもそもの発端は、弁護士さんからの通報だった。それは同一の弁護士さんかどうかは別にしてです。そういう方に相談に行けるかというところに、今度は依頼人の側に立つと戻ってくる話だと思います。

 そういう意味では、大臣もおっしゃいましたとおり、諸外国で訴訟とか、あるいは制度化そのものを見送っているということにも見られるように、今回、こうした形で自主規制という方向へ持っていかれましたが、今後を考えても、これは本質的に大きな矛盾がある、無理があるという点、ぜひ御認識をいただきたいと思います。

 少し技術的な点をお伺いいたします。

 立入検査、十四条にございますが、これは日銀については適用しないというただし書きがございますが、この理由をお教えいただけますか。

○米田政府参考人  そこのところ、大体、日銀というのは特別扱いをされておりまして、現行法もそうでございます。その理由につきましては、金融庁からお答えをいただきたいと思います。

○畑中政府参考人  これは委員御案内のように、日本銀行は政府から独立した機関だということで、この独立性に配慮してこういった規定ぶりになっていると理解をしています。

○小川(淳)委員  こうした法案ですから、いろいろな方にいろいろな義務を課したり、あるいは、疑わしき取引を報告せよ、不十分でしたら調査に入りますよということですから、私は、政府機関といえども、身内に対して甘いような法制立てというのは慎むべきじゃないかなという気がむしろいたします。

 もう一つ技術的なことを、おわかりになりましたらお答えください。

 きのうも高山委員との間で議論がありました、政治資金規正法の違反によってもたらされた財産、あるいは公職選挙法に違反して収受された金品等は、この法案の対象になる犯罪収益なのかどうか、おわかりになればお教えください。

    〔平井委員長代理退席、委員長着席〕

○米田政府参考人  この法案は、組織的犯罪処罰法によって、いかなる犯罪による犯罪収益であるか、それが処罰されるべきであるかということがまずありまして、その処罰されるべき対象である犯罪収益の前提犯罪、これに係る犯罪収益の隠匿、収受といったものの防止、あるいはその追跡、剥奪といったものに役立つ制度ということでございまして、組織的犯罪処罰法において、その前提犯罪として政治資金規正法とか公職選挙法等がどのように定められているかということによるわけでございます。

○小川(淳)委員  それをお聞きしています。組織犯罪処罰法の中に、政治資金規正法違反、公職選挙法違反によって収受された金品が入るのかどうか、当たるのかどうかをお聞きしています。

○米田政府参考人  現在の組織的犯罪処罰法では入っておりません。

○小川(淳)委員  大臣、今お聞きのとおりでございまして、政治家自身あるいは政府機関等々に対してはこうした法規制の網がかかっていないということ自体、こういう規制をしようとしているわけですから、国民の側から見ればさまざまな思いとか感情が起きかねないことをぜひ御承知おきいただきたいと思います。

 あわせてお聞きをいたしますが、各事業者に課しました取引に関する記録の保存期間、これは七年とされていますが、その理由をお聞かせいただけますか。

○米田政府参考人  この法案は現行法を引き継いでおるわけでございまして、現在の本人確認法の取引記録の保存の期間が七年でございます。

 なぜ七年になっているかということは、これは、対象となる犯罪の時効等を勘案いたしまして、かつ、実態としても七年に近いところで摘発する例もあるということで七年になっているということでございます。

○小川(淳)委員  テロ資金供与に対しては公訴時効が七年ということがもとになっているんだと思います。

 しかし、きのうも議論になっていますが、具体的に、例えば警察庁さんが取りまとめられた「平成十八年の組織犯罪の情勢」、これを拝見しますと、もちろん犯罪なんですけれども、冒頭申し上げたような、例えばオウム真理教だとかあるいは二〇〇一年のテロ事件なんかに比べますと、ややほっとするというか、わいせつビデオの販売、高利貸し、賭博に性風俗犯罪といったものが網にかかってきているわけですね。

 私は、今議論が継続しています共謀罪の議論についてもそうだと思いますし、この法案についてもそうだと思うんですが、本来、確実に把握をして捕らえなければならない大きな獲物、魚でいえば例えば鯨みたいなものですね、これは絶対逃してはいけない。それに対して網をかけようとしているわけでありますが、実は、かかってくるのは小魚がかかってくる。鯨は絶対逃がさないように、鯨だけがかかるような網かけができればいいわけですが、実際問題、それが難しい。

 そうすると、やはり犠牲になってくるのは、冒頭も申し上げましたが、社会の自由な空気といいますか安心感といいますか、密告だ何だと言われていますが、そういうことに対する疑念のない社会、こういう社会を犠牲にしながら網をかけて本当は鯨をねらいたい、しかし実際には小魚がかかってくる、よし、ついでに小魚も含めて全部やってやろうじゃないかと。小さく産んで大きく育てようなんという議論がきのうもあるわけですが、私は、そこにやはりこの法制の限界があるんだと思います。

 そこで、大臣がいみじくも、それぞれの国是、国情に応じてということを冒頭おっしゃったわけでありまして、同じような規制を例えば飛行機で貿易センターを爆撃されたアメリカでやると言われたら、そんなにどうこうという議論が出ないのかもしれません。あるいは、地下鉄が爆破され、バスが爆破されたイギリスでこんなことをやろう、それもそうかもしれません。列車が爆破されたスペインでもそうかもしれません。しかし日本では、ここまでの網かけをやろうとすると、それは逆の心配が出ますよという声に対して、私は、当局として非常に繊細な感覚をお持ちいただく必要があると思いますが、大臣、この私の認識についていかがでしょうか。

○溝手国務大臣  非常にありがたいというか貴重な御指摘と受けとめておりますが、今回のFATFの流れというのも一つの流れの中にありますし、今おっしゃったアメリカの方は、あれだけテロが起きながら弁護士の届け出義務がないわけでございます。イギリスには届け出義務がある。同じテロの被害を受けたところでも反応が違っているということで、このことだけではございませんが、非常にセンシティブな問題であるから慎重に取り扱えというあなたの御忠告については、私も全くそうだと思います。

 ただ、テロのために何とかしなくちゃいかぬ、国も何とか頑張ってくれよという強い声もあるということも事実だろうと思いますので、そのための立法として、そういうことに資するための動きであるというように御理解いただければ大変ありがたいと思っております。

○小川(淳)委員  共謀罪のときも議論になったんですが、国際条約の国内法化、あるいは今も大臣がおっしゃいましたFATFの方針があるんだということなんですけれども、もう一段突っ込んで申し上げれば、合意をもたらすに当たって、いや、それぞれの国是、国情に従った対応の余地は残すべきだという主張、これは警察庁あるいは国家公安委員会単体でできるかどうかは別にして、国際合意に当たってそういう主張を盛り込んでいくこと、あるいはそれを盛り込もう、場合によっては盛り込むんだという意思、これが日本政府としては、今後いろいろな国際合意がなされるんだと思いますが、そこに権能を高めていくことというのはこれから大きな日本政府の課題だという気がいたします。その点、御指摘を申し上げたいと思います。

 そして、申し上げたように、非常に大きくまた階段を上がろうとするこの法律案ですが、審議が始まったのが先週木曜日ですか、金曜日ですか、わずか一週間、そして実質審議が先週の一時間ときのう、きょうですか、こういう非常にスピード審議になった理由の一つが、いわゆる日切れ法案、年度内成立を目指していると。なぜこんな大切な法案を、もっと中身を時間をかけてしっかり審議するということにされなかったのか。その点、理由をお聞きいたしたいと思います。

○溝手国務大臣  本法案は、昨年十二月に施行された財産犯等の犯罪収益の剥奪、被害回復関係の法整備と相まって、暴力団等の組織的な犯罪を助長している犯罪による収益の効果的な剥奪、やみ金融や振り込め詐欺等の犯罪による被害の回復など、国民生活の安全と平穏に大きく資するものであり、早急に整備する必要があると考えております。

 また、犯罪による収益の移転につきましては、規制のより緩やかな国あるいはそういった地域にねらいを定めて行われる傾向があるということから、我が国としても、国際社会と連携してテロ資金対策、資金洗浄対策を推進することが重要かつ喫緊の課題と考えたところでございます。

 さらに、我が国における銀行のマネーロンダリング及びテロ資金対策は勧告改定前の状況であることから、これらの主要国と比してマネロン対策に相当おくれをとっているということになり、現状維持ということになりますと、FATF参加国としての責任を果たし、アジア太平洋地区におけるマネロン対策のリーダーシップをとっていくことも相当困難になる、そんな政治的な判断も含めましてお願いをいたしたところでございます。どうぞよろしく御理解を賜りたいと思います。

○小川(淳)委員  きのうの審議の中ですと、大体八億ぐらいの予算措置ですか、それから人員を移していくということからすれば、年度当初というのは非常にきれいな形だとは思います。

 しかし、法案の中身からいいますと、これはやはり十分な、むしろ予算審議等々終わって、しっかりした議論を五月から六月にかけてやって、公布日から周知期間、これは全国五十万社ですか、五十万事業所に対する周知の期間も必要でしょう。こういう公布日から施行まで十分な期間をとって、そして新々年度から施行していくというぐらいの準備立てをむしろすべきだったような気がいたします。その点、あわせて御指摘を申し上げます。

 そしてさらに、これも私のやや持論とも相まってくるんですが、申し上げたように、刑事当局、警察当局はいろいろな捜査手段、捜査網を獲得してきたのがこの間の世相を背景にしたここ近年の動きであります。

 そこで、きょう、国家公安委員長と、そして担当の米田部長さん、あわせてここへお越しですが、お二人の間には、もちろん共通の利害もあるでしょう。しかし、大臣、時に牽制関係にあることも十分御自覚の上でここにお越しをいただきたいわけです。

 私は、こういう刑事当局、捜査当局がいろいろな手だてを持てば持つほど、一方で、例えばイギリスには、もう二十年以上の歴史を持った、警察に対する外部監査の独立委員会という制度がございます。これは、国家公安委員会を日本が持っていることと恐らく趣旨なんかはよく似ているのかもわかりませんが、年間一万件前後の警察に対する苦情処理をしているんだそうですね。

 捜査当局がさまざまな手法を、もちろん合法的にですよ、身につけていけばいくほど、さっき申し上げた、世の中の自由な空気をある程度犠牲にしながらこれを進めているわけでありまして、これと引きかえと言ってはなんですが、やはりこうした警察制度の適正、あるいは警察制度そのものの公正公平な運用、これはもう当然のことでありますが、そのことを監視していく外部機関のようなもの、これを議論として取り上げていく必要があると私は思います。これが一点。

 それからもう一点。このさまざまな取引を報告させようという仕組み、これ自体は、目的との兼ね合いにおいて必要なことかもしれません。しかし、私は、実はかつて金融庁に籍を置かせていただいた際に、ペイオフの解禁にかかわる法制を担当したことがありました。そのときに一番苦労したこと、悩んだことは、金融機関に対して名寄せを求めたことなんですね。

 つまり、さまざまな支店に口座をたくさん持つ人たちを一気に合算して一千万というラインを判別しないといけないわけですが、名前が一字違ってもどうなのか、住所の横棒の打ち方が一つ違ったらどうなのか、これは金融機関に大変な負担を強いました。恐らく、似たようなことが、この報告制度あるいは記録をつくっていくということに当たって出てくる。

 そこで、そのときに思ったのは、日本に納税者番号制度があればな、そのことをすごく強く思ったんですよね。やはりこういう管理制度というのは、やみ社会を減らしていくという陰性の目的でつくるんじゃなくて、むしろ、社会保障をちゃんとやりますとか年金をしっかりしますとかいう陽性の目的でつくって、そのことが反射的にやみ取引を抑制していくという方向感で整備を図っていくことがベストだと思います。その意味では、担当ではないかもわかりませんが、閣僚のお一人として、そうした認識もぜひ持っていただいて、この法規の運用に当たっていただきたいと思います。

 この法案については、趣旨はよく理解をいたしますが、さまざまな懸念される点もございます。国会として附帯の意見表明等も必要だと思います。そのことをあわせて申し上げて、質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。

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