第8号 平成18年12月7日(木曜日)

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平成十八年十二月七日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 中山 太郎君

   理事 愛知 和男君 理事 近藤 基彦君

   理事 福田 康夫君 理事 船田  元君

   理事 保岡 興治君 理事 枝野 幸男君

   理事 園田 康博君 理事 赤松 正雄君

      阿部 俊子君    赤池 誠章君

      新井 悦二君    伊藤 公介君

      飯島 夕雁君    石破  茂君

      浮島 敏男君    越智 隆雄君

      大村 秀章君    加藤 勝信君

      坂本 剛二君    清水清一朗君

      柴山 昌彦君    棚橋 泰文君

      谷  公一君    渡海紀三朗君

      冨岡  勉君    中谷  元君

      中野 正志君    中森ふくよ君

      長崎幸太郎君    野田  毅君

      葉梨 康弘君    早川 忠孝君

      林   潤君    平田 耕一君

      深谷 隆司君    藤井 勇治君

      二田 孝治君    森山 眞弓君

      矢野 隆司君    安井潤一郎君

      山崎  拓君    逢坂 誠二君

      岡本 充功君    玄葉光一郎君

      鈴木 克昌君    田中眞紀子君

      田村 謙治君    筒井 信隆君

      中川 正春君    長妻  昭君

      平岡 秀夫君    古川 元久君

      石井 啓一君    大口 善徳君

      福島  豊君    笠井  亮君

      辻元 清美君    糸川 正晃君

    …………………………………

   議員           加藤 勝信君

   議員           葉梨 康弘君

   議員           船田  元君

   議員           保岡 興治君

   議員           枝野 幸男君

   議員           小川 淳也君

   議員           鈴木 克昌君

   議員           園田 康博君

   議員           赤松 正雄君

   議員           斉藤 鉄夫君

   衆議院法制局第二部長   橘  幸信君

   衆議院憲法調査特別委員会及び憲法調査会事務局長  内田 正文君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月七日

 辞任         補欠選任

  越智 隆雄君     飯島 夕雁君

  柴山 昌彦君     赤池 誠章君

  棚橋 泰文君     阿部 俊子君

  早川 忠孝君     長崎幸太郎君

  山崎  拓君     浮島 敏男君

  古川 元久君     田村 謙治君

同日

 辞任         補欠選任

  阿部 俊子君     中森ふくよ君

  赤池 誠章君     柴山 昌彦君

  飯島 夕雁君     清水清一朗君

  浮島 敏男君     冨岡  勉君

  長崎幸太郎君     早川 忠孝君

  田村 謙治君     古川 元久君

同日

 辞任         補欠選任

  清水清一朗君     越智 隆雄君

  冨岡  勉君     山崎  拓君

  中森ふくよ君     棚橋 泰文君

    ―――――――――――――

十二月六日

 国民投票法案の廃案を求めることに関する請願(志位和夫君紹介)(第九七一号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一〇五七号)

 国民投票法の制定反対に関する請願(志位和夫君紹介)(第九七二号)

 国民投票法案の反対に関する請願(田島一成君紹介)(第九七三号)

 同(仲野博子君紹介)(第九七四号)

 同(土肥隆一君紹介)(第一〇五八号)

 同(鉢呂吉雄君紹介)(第一〇五九号)

 憲法改悪のための国民投票法制定に反対することに関する請願(日森文尋君紹介)(第一〇五六号)

同月七日

 国民投票法案の反対に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一一五〇号)

 国民投票法案の廃案を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一一九三号)

 同(石井郁子君紹介)(第一一九四号)

 同(笠井亮君紹介)(第一一九五号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一一九六号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一一九七号)

 同(志位和夫君紹介)(第一一九八号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一一九九号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一二〇〇号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一二〇一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 日本国憲法の改正手続に関する法律案(保岡興治君外五名提出、第百六十四回国会衆法第三〇号)

 日本国憲法の改正及び国政における重要な問題に係る案件の発議手続及び国民投票に関する法律案(枝野幸男君外三名提出、第百六十四回国会衆法第三一号)


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     ――――◇―――――

中山委員長 これより会議を開きます。

 第百六十四回国会、保岡興治君外五名提出、日本国憲法の改正手続に関する法律案及び第百六十四回国会、枝野幸男君外三名提出、日本国憲法の改正及び国政における重要な問題に係る案件の発議手続及び国民投票に関する法律案の両案を一括して議題といたします。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。新井悦二君。

新井委員 おはようございます。自由民主党の新井悦二です。

 本日は、発言する機会をいただきまして、まことにありがとうございます。また、委員会の皆様方におかれましては、これから本格的にインフルエンザの時期を迎えますけれども、健康には十分気をつけていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 さて、日本国憲法に関する調査特別委員会は第百六十三回国会に設置され、七回にわたる論点整理の理事懇談会を含めますと、きょうまでに調査等の時間が約五十一時間、また、四回にわたる小委員会を含めますと法案審査時間が約二十五時間、合わせまして約七十六時間もの議論を重ねてまいりました。

 この日本国憲法の改正手続に関する法律案は、何よりも、国民が意思決定を的確に行い、また、意思決定を反映できるという投票制度でなければならないと思っております。そのために広く国民的議論がなされることが必要であり、自由で公正な国民投票運動が行われることが重要であると考えております。

 憲法改正国民投票法制の整備は、憲法制定権力の担い手である国民がその権利を行使する制度を整備することであり、憲法改正に対する国民の主権を回復し、真の国民主権を具体化することにほかならないと思っておりますので、その趣旨に従いまして順次質問をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 まず初めに、投票の方式と過半数の意義についてお伺いいたします。

 与党案、民主党案それぞれについて、投票人が憲法改正に対する賛成または反対の意思表示を容易にできる仕組みとなっているのか、また、過半数の意義についてはどのように考えているのか、両提出者の方にお伺いいたします。

船田議員 新井委員にお答えいたします。

 国民投票におきましては、やはり発議された憲法改正案に対しまして正確な民意を把握することは最も重要なことだ、今御指摘のとおりでございます。

 そこで、私ども与党の原案といたしましては、賛成するときはマル、反対するときはバツを自書していただく、記入をしていただく、そして、白票は無効票とした上で有効投票総数の過半数でもって国民投票が決せられるべきだ、こういう考え方に立って立案をいたしました。しかしながら、やはり民主党あるいは他の政党の皆さんとの協議を行ってまいりまして、さらに、できる限り無効票を少なくして投票人の意思を酌み取ることを重視することが必要であると考えるに至りました。

 そこで、現時点で考えておりますことは、投票用紙にあらかじめ印刷された賛成または反対の文字をマルで囲むということとしたらどうか。ただ、賛成または反対の文字をバツの記号等で消したものについてもそれぞれ反対票、賛成票として有効票とカウントする、こういう方法が考えられるのではないかというふうに思いました。

 したがいまして、白票つまり賛成、反対いずれの文字に何の印もついていないものや、あるいは、賛成、反対の文字の両方にマル、あるいは両方にバツ、こういったような票は疑問票ということになるわけでありますが、そういうものは無効票ということでございまして、その無効票を除外したものを分母といたしまして、賛成票がその過半数であったかどうかによって国民投票の結果が決まる、このように考えていきたいと思っております。

園田(康)議員 新井議員の御質問に私ども民主党もお答えをしたいと思います。

 おっしゃるとおり、やはり私どもも国民の意思というものをしっかりとこの投票の方式によって酌み取る、そしてそれを反映させていくことが重要であるというふうに考えておりまして、当初の私どもの法律案におきましては、投票方式は、改正案に賛成するときはマルを記載する、反対するときは何も記載しないということとしておりました。ただ、この委員会の中でのさまざまな皆様方の御指摘を受けておりまして、いわば改正に対する国民の賛成あるいは反対の意思表示が容易にできる仕組みという形で、与党案提出者の方からもさまざまな御提案をいただいたところでございました。

 したがって、その審議の結果を踏まえまして、やはり憲法改正案に対して賛成するときは投票用紙に印刷された賛成の文字を囲んでマルの記号を自書し、そして、憲法改正案に対して反対するときは投票用紙に印刷された反対の文字を囲んでマルの記号を自書するという形、これはもう積極的に私どもも修正という形で検討してまいりたいというふうに考えております。

 そして、今、やはり他事記載というところを、無効票をどのように減らしていくかも一方で考えていかなければいけないというところで、反対、賛成それぞれにバツあるいは二重線を付して消すという形をもってその意思が明確になるということであれば、それもそれぞれ有効という形で考えていくことも検討してまいりたいというふうに考えた次第でございます。

 もう一点、過半数の意義についても御質問があったかと思います。

 これについては従来より、九十六条の過半数の意義というものをどのように考えるかという形で、賛成投票数が棄権票をも含めた投票総数の二分の一を超えたという形としているのではないかというふうに考えておりまして、いわゆる投票に行かなかった者、棄権した者まで過半数の分母に加えることはやはりこの九十六条の文言からすると難しいのではないか、適切ではないというふうに考えております。

 そして、投票所にわざわざ足を運んで投票したことをどのように考えるかというところで、これも憲法上の規定でも国民の承認と書いているところからすれば、投票所に足を運んでこの国会の発議に対して是という意思表示が示されなかった、これに関しては承認の意思がなかったものと判断するというふうに考えております。

 ただ、やはり白票を通した国民の棄権の自由をどのように保障していくかというところで、私どももここを積極的に考えたいというふうに思っておりまして、与党が投票方式について柔軟な対応をするということを前提に、過半数の意義については賛成投票数が賛成票及び反対票を合計した投票総数の二分の一を超えたことという形で、これまた私どもも修正するということを考えておるところでございます。

新井委員 次に、国民に対する情報提供についてお伺いいたします。

 憲法改正については、やはり国民が賛成か反対かが判断できるように情報提供が重要であると考えますが、判断資料は十分に国民に提供されているのかどうか、両提出者の方にお伺いいたします。

赤松(正)議員 今御指摘ありましたように、この憲法改正案について、国民の皆さんが判断をされる資料が十分に提供されるということは極めて大事なことであると思います。

 第一義的に、国会が国民に対して、発議する側としての憲法改正案に対する基本的な情報を提供する役割を担っているわけでございまして、その役割を担って広報協議会が発行する国民投票公報におきまして、客観的、中立的な記述文のほかに賛成意見、反対意見が公正かつ平等に扱われて、まず、憲法改正案に関する基本的な情報として国民に提供されるということがあると思います。さらに、政党等が行う無料の広告放送や新聞広告等において賛否双方の意見が伝えられるということになろうかと思います。

 さらに、本法律案では国民投票運動を原則自由にしておるということで、国会が提供する、先ほど述べた広報協議会等による基本的な情報にとどまることなく、憲法改正案に関するさまざま多様な意見が十分に提供されることになる、そんなふうに考えている次第でございます。

園田(康)議員 私どもも、当然同じく、国民の皆様方が賛成、反対の判断ができるようにしっかりと情報提供をしていかなければいけないということは同意でございます。

 そして、この国会における憲法改正の論議というもの、調査というもの、これがしっかりと国民の皆様に周知できるということを積極的に考えていかなければならない。一義的には、この法案によって設置される審査会の会議録、あるいは、それに対するマスコミ等の報道がきちっと正確に国民の皆さんに周知されることをまず前提としたいというふうに思っておるところでございます。そして、わかりやすいパンフレットの作成というものが広報協議会の中でしっかりと行われるということも私どもは考えておるところでございます。

 そして、その発議をされた後、各政党のさまざまな意見というものがあろうかと存じますので、やはり各政党も、国民から負託された国会議員、そしてそれで構成されている政党というものがその責任をしっかりと全うしていくという意味では、ここもさらなる国民運動の一義をなすものであるというふうに考えているところから、無料広告を通じて国民の皆さんに情報提供をしていくということをしっかりと考えていきたいというふうに思っております。

新井委員 ぜひともやはり国民にわかりやすい情報提供というものをしていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 次に、周知期間についてお伺いいたします。

 国会発議から国民投票の期日までの期間として少なくとも何カ月ぐらいが必要と考えているのか、両提出者の方にお伺いいたします。

保岡議員 今度の法案においては、六十日以上百八十日の期間ということに定めているわけですけれども、国民投票を行うに当たっては、国民が憲法改正案の内容を理解するのに必要な周知期間という考え方で法案を作成しております。

 どの程度の周知期間を置くことが適切かということは、憲法改正の内容やその周知のためのパンフレットの作成に要する日数等によって異なってくるということだと思います。例えば、憲法改正案の内容が多岐にわたって複雑なものであれば周知のためには約六カ月を要するであろうと思われますし、逆に、憲法改正案の内容が単純なものであれば二カ月あればそれで十分というケースもあると思います。

 投票期日まで最長でも六カ月というのは短過ぎるという御指摘もこの委員会でされたりいたしました。

 しかし、憲法改正の発議はある日突然になされるものではなくて、憲法審査会における慎重かつ十分な審査の後に行われるものである。審査会がスタートしてから三年間は憲法改正の要否あるいはその方向性、内容について十二分に議論をして、かつ、その後に憲法改正原案というものを多数で作成した後の審議というものも十二分にされる。そういった期間というものは公開されて、もちろん国会もその広報に努めなければなりませんが、マスコミ等で報道されることによって国民に周知される。

 そういった審査の過程は、国民がそういう期間にそういうプロセスの中で憲法改正の内容を承知していくということになりますので、このような点を踏まえると、六十日から百八十日という期間が短過ぎるということはないと思います。むしろ、発議から投票まで余り長い期間を置くことによって間延びをして、かえって国民の関心が薄れてしまう結果になるおそれもあります。

 このようなことも考慮して、ある程度幅を持たせて臨機応変に対応することができるようにしておくことが適切であるとの考えに基づいて、周知期間を先ほど申し上げたように六十日から百八十日とし、この間において、国会の議決において定める日に投票を行うものとしています。

 ただし、初めて行われる国民投票については、内容にもよるとは思いますが、それなりの周知期間を置くことにする配慮も必要かと存じます。

園田(康)議員 私どももこれについては同意でございます。

 すなわち、憲法改正を国民に発議した場合に、やはりその内容によっては、先ほど来お話がありますように、単純なものあるいは複雑多岐にわたるものという形で、それぞれに臨機応変に、このぐらいの周知期間が必要ではないかということをしっかりと考えて設置をしていくことが求められるのではないかなというふうに思っておる次第でございます。

 したがって、やはり私どもも、パンフレットの作成であるとか、改正案の内容に対して、しっかりとその周知期間というものをそれごとに定めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。

 そして、この国民投票というものが初めて行われるというところに関しては、今保岡委員からも御指摘がありましたとおり、我が国で行われるということはいまだかつてなかったわけでございますので、これについては、やはりそれ相応の周知期間を置くことも考えられるのではないかなというふうに考えております。

新井委員 次に、特定公務員の国民投票運動についてお伺いいたします。

 特定公務員の全面的な国民投票運動の禁止について、与党案では特定公務員の範囲が選管職員等だけではなく裁判官、検察官、警察官にまで及んでおり広範に過ぎるように思われますけれども、この点について与党提出者の方にお伺いいたします。

船田議員 お答えいたします。

 今御指摘いただきました特定公務員の範囲でございますが、当初私どもの与党案におきましては、選管職員、裁判官、検察官、警察官などは、その職務の性格あるいは一定の強制力を持って公務を行う方々でございまして、投票人の意思決定に対しまして他の一般国民ではなし得ないような大きな影響を及ぼすおそれがある職種の人たちである、こういうことで、国民投票運動そのものは禁止をいたしたわけであります。

 しかしながら、本委員会においての与野党間の議論、あるいは、昨年あるいはことしの海外派遣による調査の結果等を踏まえますと、刑事罰を設けてまでこれらの方々の国民投票運動を禁止する必要性については疑問が残る、このように思いまして、裁判官、検察官、警察官等といった選管職員以外の方々については禁止の対象から外すということで修正をかけよう、現在こういう考え方でおります。

 特に、このような方々も、やはり意見を表明する権利は持っていると思います。意見表明の権利を行使することと国民運動を行うことはなかなか区別がつかないといった事態もありますので、ここはやはり、できる限りあいまいな部分はなくして、一般に広く国民運動が十分に行えるようにということを重要視して今のような限定を設けたい、こう考えたわけであります。

新井委員 それに関連して、公務員、そしてまた教育者の地位利用による国民投票運動についてお伺いしたいんですけれども、公務員、そしてまた教育者の地位利用による国民投票運動の禁止について、この地位利用の概念が少しあいまいなような気がするという懸念もあります。国民投票運動に関しては過度の規制を設けられるようなことはあってはならないと考えておりますけれども、この点について与党提出者の方にお伺いいたします。

船田議員 これまでのこの委員会における議論を踏まえまして、国民一人一人が萎縮することなく自由に運動を行い、自由闊達な意見を闘わせることが特に重要である、こういう観点から、公務員、教育者の地位利用について次のような修正の方向が考えられないか検討しているところでございます。

 一つ目は、対象となる行為が明確になるように、地位利用それから国民投票運動とは何かという定義を明確に規定することでございます。地位利用とは、その地位にあるために特に国民投票運動を効果的に行い得るような影響力または便益を利用するということでありまして、国民投票運動とは、憲法改正案に対し、賛成または反対の投票をし、またはしないよう積極的に勧誘する行為である。こういった具体的、限定的な規定に変更するということでございます。

 二つ目の修正につきましては、そのような地位利用による国民投票運動の禁止の規定に違反した場合でも罰則は設けないことにしたいということでございます。ただ、罰則は設けなくても、悪質な行為が行われた場合には、例えば公務員法制上の懲戒処分、懲戒の事由になるということで対処することが十分に可能である、そこで歯どめがかけられるのではないかということでございます。罰則を設けないことによって、国民運動が萎縮しないように配慮していきたい、こういう修正をしたいということであります。

新井委員 私も、やはりこの地位利用の概念というのは非常に難しいと思います。ぜひともそこら辺は真剣に対応していただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 また、投票日前の広告放送の制限についてお伺いいたします。

 憲法改正に対する多様な意見やその反論などは国民に十分に周知されることが重要であると考えられますが、本法律案においても、このような観点から、直前七日間以外は広告放送の制限は設けていないと承知しております。

 この点については、さらに規制の期間を長くすべきという意見がある一方、規制を緩めるべきとの意見もありますけれども、このことについて両提出者はどのように考えているのか、お伺いいたします。

船田議員 今の御質問はマスコミの広告放送の制限ということであると思いますが、この期間につきましては、やはり広告放送、特に電波というメディアを使ったものにつきましては、非常に影響力が大きいということでございます。ですから、その中で誹謗中傷が行われたり、あるいは事実と異なるような情報を提供され、あるいは非常に扇情的な状況で人々の心を動かしてしまう、こういったいろいろなことが想定されるわけでございますので、冷却期間を置こうということで投票日前七日間は有料広告放送の禁止を打ち出したわけであります。

 しかしながら、この問題につきましては、本当に七日間でいいのかどうかといった議論もございます。いわゆる期日前投票制度が例えば十四日前から行えるとすれば、七日ではなくて期日前投票の期間十四日に合わせるとか、あるいは私ども、後ほどいろいろまた議論があると思いますが、有料の広告放送については量的には無制限ということで考えているわけであります。

 ただ、この問題については、どのくらいのお金をかけるのかという問題や、あるいは金に糸目をつけず大量に有料の広告放送を行う政党が出てもこれは確かに困るなとも思っておりますので、総量規制ということもどこかで考えておかなければいけないんじゃないかというふうに思います。

 したがって、七日間あるいは十四日間の規制ということで一部間接的に総量規制ということにはつながると思いますけれども、さらに検討して、もう少し規制が必要であるという場合には、その期間をさらに延ばすということも今検討しております。これは与野党間で今後鋭意詰めていきたいと考えております。

園田(康)議員 私どもも、やはりこの広告放送については現段階では何らかの規制が必要になるのではないかなというふうに感じているところでございます。

 すなわち、今船田委員からもお話がありましたとおり、まず、無料広告放送の制限につきましては、私どもも同じく、今御指摘のあったとおり、七日間というふうに規定を設けているわけでありますけれども、これは、投票日前の一週間というものは冷静かつ慎重に国民の判断にゆだねるというところから七日間と考えた次第でございますけれども、その期間については、期日前投票等の制度も今ございます関係から、十四日ということも、確かに長く延ばして考えるということも一方ではあるのではないかなというふうに考えている次第でございます。

 これは、いわば政治的公平性の確保ということを、それ以外は規制を設けていないというのは政治的公平性というものをきちっと自主規制にゆだねるという意味で考えていたわけでありますけれども、ただ、商業広告という面におきましては、御指摘のとおり、さまざま優良な広告代理店というようなところのつながりによって、放送によるさらなる強弱がなされてしまうのではないか。

 それによって扇情的に誘導されるという点もあろうかと存じますし、賛成意見、反対意見がいわば公平に扱われるというところまで踏み込むということであるならば自主規制にゆだねてもいいのではないかというふうに思っているわけでありますけれども、先日の参考人からのさまざまな御意見もあったわけでございますけれども、この点についてはそれがしっかりと公平に行われることが担保できるのかなというところは、まだ私どもも大きな疑問を持っている次第でございます。

 したがって、ここに何らかの規制をかけていくということは考えられるのではないかな、むしろ考えていく必要があるのかなと今思っているところでございます。

新井委員 やはり広告放送というのは国民に対しても非常に影響力が大きいものでありますので、ぜひとも公平性を保ってやっていただきたいと思っております。

 次に、投票率の向上につきましてお伺いいたします。

 まず、投票率を上げるということはだれでも考えているわけでありますけれども、これはやはり非常に重要でありますけれども、そのための施策としてどのようなものを念頭に置いているのか、両提出者の方にお伺いいたします。

赤松(正)議員 投票率を上げるということにつきましては、先ほど御質問いただいた、情報提供をいかに国民の皆さんにしていくかということと密接に関連をしていると思います。したがって、先ほど申し上げました広報協議会による憲法改正案や、あるいはまた政党等による、先ほどお話に出ておりました広告等の、そういったものを十二分に使っていくということが第一義的にあろうかと思います。

 ただ、その前提といいますか前段階として、この法が予定をしております憲法審査会における憲法改正をめぐる、憲法審査会では前段階、一九四六年憲法の吟味という部分と、それを経た上での新しい憲法をどうつくっていくのかという二つに分かれようかと思いますけれども、そういった議論を通じて、国民の皆さんに憲法改正の必要性、重要性について深い理解を得ていただいて、これは自分が投票することが極めて大事だ、こんなふうな認識を持っていただくことが前段階の事項として極めて大事である、そんなふうに考えておる次第でございます。

園田(康)議員 私どもも、やはりこの投票率を上げていくというのは、国民の理解度が深まっていくことにつながるというふうに考えておりますので、投票率、すなわち国民の関心というものをしっかりと引き上げていくというか整えていくということは、やはり私たちも積極的に考えていかなければならない。

 やはり国会の中での審議、具体的には憲法審査会での議論というものをしっかりと国民の目に見える形で行う必要があるのではないかなというふうに考えておるところでございます。加えて、発議をされた後の実際の国民投票における工夫もさらに行う必要があるというふうに考えております。

 やはり周知期間の設定であるとか、あるいは広報協議会において改正案賛成意見、反対意見というものをしっかりとわかりやすく国民の皆さんに公報をつくっていくということ、それから、国民投票運動の保障というものをしっかりと担保し、国民が自由闊達な議論の中で関心を深めて、そして憲法そのものに対する意見も持っていただくという形の環境づくり、これはしっかりと行っていかなければならないのではないかなというふうに思っております。また、投票の方法、様式というものも明確に国民の民意というものが出されるように、先ほども議論が出ておりましたけれども、それにもさらなる工夫が必要ではないかなというふうに考えております。

新井委員 どうもありがとうございました。

 ぜひとも、国民の幅広い議論を行って、早期に成立を図っていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 きょうはどうもありがとうございました。

中山委員長 次に、近藤基彦君。

近藤(基)委員 自由民主党の近藤基彦でございます。

 我が自由民主党と公明党から提案されました憲法改正手続法案、それから民主党から提案されました法案につきまして、これまでこの憲法調査特別委員会やその下に設置されました小委員会において、真摯で実に濃密かつ建設的な議論が党派を超えてなされてまいっているところでございます。

 憲法調査会以来の中山太郎委員長の公正中立な議事整理は、きょうの野党の質疑時間を見れば一目瞭然かとは思いますが、その中山委員長のもとで、第百六十三回特別会の冒頭の昨年九月二十二日に設置されて以来、きょうまで一年二カ月余りの間に、既に約八十時間を超える国民投票法制の調査及び法案審査がなされてまいっているところであります。

 また、昨年とことしの二回にわたって、欧州各国を中心として九カ国、延べ二十七日間にわたる海外の国民投票法制の調査も行ってきたところであります。

 今国会に入ってからは、本委員会のもとに日本国憲法の改正手続に関する法律案等審査小委員会が設置され、私も小委員長としての役目を仰せつかって、参考人を交えながら、テーマごとに四回にわたって具体的な項目を詰めた議論を行ってまいったところでございます。

 十一月二日には国民投票運動規制・罰則について、十一月七日にはメディア規制・国民に対する周知広報に係る事項について、十一月十六日には憲法審査会その他国会法改正部分に係る事項について、そして十一月三十日には国民投票の対象、投票権者の範囲、投票用紙への賛否の記入方法及び過半数の意義等に係る事項について、それぞれ実に活発かつ建設的な議論を行ってまいりました。その議論の内容は、本委員会にその都度詳細に御報告申し上げているところでございます。

 さて、以上のような本委員会及び小委員会における議論を通じまして、かなり議論が詰まってきたと思っております。両法案の提出者からは、新しい提案や歩み寄りの発言があった部分もございました。本委員会に所属するすべての会派が知恵を出し合って、与野党の幅広い合意のもとによりよい法律案に仕上げていくことが、この天下国家の大法律案にふさわしく、また望ましい姿であると考えております。

 本日は、このような観点から、一つは、両法律案の提案者から、歩み寄りがあった点について改めて確認したい論点について、もう一つは、これまで必ずしも十分に言及されていない論点について、それぞれ法案提出者のいわば立法者意思をきちんと議事録に残しておくべきとの趣旨から、幾つか質問させていただきたいと思います。

 それでは、まず、小委員会においても集中的に議論がなされました国民投票運動規制と罰則関係について、両案提出者にお伺いをいたしたいと思います。

 まず、公務員の地位利用による国民投票運動について、与党案では罰則をもって禁止をしておりますが、萎縮効果を考えるとやや厳し過ぎるのではないでしょうか。修文の用意もあるとの御発言もこれまでなされておりますけれども、改めて現時点でのお考えをお聞かせ願いたいと思います。一方、民主党案では何らの規制も設けられておりません。公務員がその地位を利用して国民投票運動を行うような悪質な場合についても、何らの規制もかからないということでよいのでしょうか。

 与党案提出者から御答弁をよろしくお願いします。

船田議員 近藤議員にお答えいたします。

 公務員の地位利用による国民投票運動の禁止につきまして、与党案、今御説明いただいたとおりでございますけれども、その後、当委員会においての与野党間の議論を踏まえ、また参考人の意見なども十分参考にいたしまして、やはり国民一人一人が萎縮することなく、自由に運動を行い、自由闊達な意見を闘わせるということが特にこの分野においては重要である、必要である、こういう観点から少し修正を加えていきたいと考えた次第でございます。

 一つ目は、対象となる行為が明確になるように、地位利用そして国民投票運動という文言を、それが何であるかを定義づける、明確にする必要があるということであります。地位利用につきましては、その地位にあるために、特に国民投票運動を効果的に行い得るような影響力または便益を利用するということであります。国民投票運動とは、憲法改正案に対し、賛成または反対の投票をし、またはしないよう積極的に勧誘する行為である。こういう具体的、限定的な規定ぶりに変更するというのが一つ。

 二点目は、そのような地位利用による国民投票運動の禁止の規定に違反した場合でも罰則は設けないということでございます。もちろん、悪質な行為につきましては、罰則ではなくて、公務員法制上の例えば信用失墜行為などの懲戒事由に該当するものとしてその分野において対処するということが可能であると考えておりまして、罰則はないけれども、やはり公務員としてのさまざまな問題、公務員法上の規制というものが一般的にはかかる、こういうふうに考えております。

園田(康)議員 私ども民主党は、公務員あるいは教育者の地位利用における国民運動の禁止というものを規定すると萎縮効果が働くのではないかというところから、この規制は設けておりません。しかしながら、今修正の御提案があった部分に関しましては、やはり私どもも公務員の地位利用というものが悪質なというところでかんがみれば、起き得る可能性というものも確かに否定はできないのではないかというふうに考えているところでございます。

 したがって、今、議論の中では、地位利用とはどのようなものであるのかを明確にするということや、あるいは、先ほどお話があったように、罰則がかからないということの対応はさまざまな公務員法の規定等々の懲戒に当たるという形をもって行うということであるならば、私どもも、やはりそういった悪質なケースというものがきちっと明確にされていくということであるならば、それに対応するということは考えておるところで、積極的に検討をしてまいりたいというふうに思っております。

近藤(基)委員 両案提出者の御答弁からいたしますと、両者の立場に実質的な大きな隔たりは全くないと感じました。

 続いて、必ずしも十分に共通の認識が得られていないように思われる組織的多数人買収罪の要件について、与党案提出者にお伺いをいたします。

 与党案では買収罪を設けておりますが、その要件は、組織的多数人買収罪という名称があらわしているように、非常に限定されております。

 具体的には、「組織により」あるいは「多数の」あるいは「賛成又は反対の投票をし又はしないよう勧誘し」あるいは「投票をし又はしないことの報酬として」「賛成若しくは反対の投票をし若しくはしないことに影響を与えるに足りる物品その他の財産上の利益」といった、いわば通常の買収罪に比べて五重の縛りと言っていいんでしょうか、が設けられております。

 これらの要件の内容や趣旨はどのようなものか、お聞かせをいただきたいと思います。

加藤(勝)議員 私どもの提案させていただいております百九条に今の御指摘の各文言が入っているわけでありますが、一つ一つ順番に御説明をさせていただきたいと思います。

 まず、「組織により」という要件は、複数の行為者の間で、指揮命令に基づき、あらかじめ定められた任務の分担に従って構成員が一体として行動するということであります。例えば、仕事帰りの職場仲間が居酒屋で憲法談義を展開し上司が飲み代を支払った場合は、「組織により」という要件には該当しないと考えております。

 また、「多数の」という要件は、必ずしも何人以上が多数に当たるかは一概に言うことはできませんが、その行為がなされた具体的状況に応じて多くの者を対象とするということであり、その趣旨は、社会常識で許容される範囲を逸脱する悪質な行為を処罰しようというものであります。

 「勧誘し」という要件は、外形的な積極的勧誘行為を要することを要件としたものであり、その勧誘行為と財物、役務との結びつきを条文上要求することにより、罰則が科される行為を明確にして、萎縮効果を排除するために設けられたものであります。勧誘行為に至らない、単なる意見表明、憲法談義があっただけではこの要件には該当いたしません。

 「報酬として」という要件は、公職選挙法における買収罪の要件として、解釈上、報酬性、対価性が要件とされていることから、万が一にも拡大解釈されるなどの疑義が生じることのないよう、条文上明記することとしたものであります。

 「影響を与えるに足りる」という要件は、投票行動に影響を与えるに足りるだけの一定以上の価値、すなわち、社会的に相当な財貨性を有するもののみを対象とするという意味であります。この要件は、国民投票運動に随伴して配布されることが社会通念上許容されるビラ、うちわ、ティッシュなどのように著しく価値の低い財物の配布行為を買収罪の対象から排除するために設けたものであります。

近藤(基)委員 ただいまの五つの要件に加えて、船田提案者から、国民投票運動の意見表明として通常使われているものかどうかという点から、さらなる限定を加えていく用意があるとの御発言があったと承知しておりますが、その趣旨はどのようなものでしょうか。五重の縛りに加えて、さらにこのような限定を設けた場合、本当に十分な取り締まりができるのでしょうか。

船田議員 今近藤議員から御指摘をいただいたさらなる限定という部分でございますが、例えば、国民投票運動の一環として、コンサートの開催とか映画の上映、それから書籍、CD、DVDの頒布などが考えられるんじゃないか、こう思っております。このように、意見を表明する手段として通常想定される媒体を用いた国民投票運動については十全に保障しようという意思がございますので、それに沿った条文あるいは解釈にしていきたい、こう考えております。

 なお、国民投票運動における意見の表明の手段として、例えば、通常用いられないものであるかどうかということについては、その内容に立ち入って判断することなく、そのものの属性によって外形的に判断されるものというふうに理解をしております。

 このような限定は、十分な取り締まりをすることを念頭に置いたものではないわけでありまして、買収罪を設けない場合には、最も悪質なコアな部分まで放任することになってしまって、公職選挙法との法体系上のバランスを失することになるということに配慮しつつも、もう一方では、やってはいけないということを明確にして、国民が萎縮することなく国民投票運動を展開できるようにする、こういう従来の発想をさらに進めたものでありますので、ぜひその点は御理解いただきたいと思っております。

近藤(基)委員 ありがとうございました。

 国民投票運動及び罰則の規定について、両法律案提案者にお伺いしてまいりましたが、両法律案にはこれらの規定の適用について適用上の注意規定というかなり珍しい規定が設けられております。その趣旨はどのようなものか、両法律案提出者にお伺いをいたします。

赤松(正)議員 今近藤委員御指摘のように、国民投票運動及び罰則の規定の適用について、「適用上の注意」という、かなり珍しいという御指摘がありましたけれども、こういう規定を設けているというのは、一にかかって国民投票運動そのものが通常の衆参両院の選挙等さまざまな選挙の運動と比べて際立って主権者である国民の政治的意思の重要な表明であるという観点から、表現の自由、学問の自由または政治活動の自由といった人間の持つ基本的な自由の権利と密接に関連するというところから来ている、そんなふうに考えている次第でございます。

 今申し上げた、そういう表現の自由や学問の自由または政治活動の自由といったものを不当に侵害されることがないように慎重に行われなければならないという立法者の意思を明確にして、これを運用する当局に対して、くれぐれも趣旨に沿った法運用をすべきであるということを命じたもの、そんなふうな趣旨であると理解をいたしております。

園田(康)議員 おっしゃるとおり、大変珍しい規定でございまして、しかしながら、今赤松委員からもお話がありましたとおり、国民投票において主権者である国民の意思がしっかりと示される際には、やはり表現の自由、精神的自由権であるところの表現の自由あるいは学問の自由、そして政治的意見表明の自由、政治活動の自由というところがしっかりと担保されていかなければならないというところから、私どもも、やはりこの点については、同趣旨において、運用する当局に対して、しっかりとこれが担保されていかなければなりませんよ、注意をしていかなければなりませんよという意味での規定を設けさせていただいたという形でございます。

近藤(基)委員 次に、憲法審査会等の国会法改正部分について、両案提出者にお伺いをいたしたいと思います。

 まず初めに、内閣の憲法改正原案の提出権は認められるとお考えでしょうか、両案提出者にお伺いをいたします。

保岡議員 憲法改正原案の内閣の提出権でございますけれども、憲法制定権力は国民にあるということでございますので、その原案の提出権も基本的に国民の代表である国会議員に属するものと理解しております。いろいろ学説があることはそのとおりなんですが、多くの学説はそのように解していると思います。しかし、内閣にも憲法改正原案の提出権があるという学説もまたあって、その旨の内閣法制局の答弁もなされております。

 ただ、今回の立法は、議院による憲法改正原案の提出手続のみを定めたものでございまして、内閣の提出権については規定をしていないということで、内閣に提出権があるかどうかはこの法案では決しているというわけではありません。もし、今後、内閣が憲法改正案の提出を考えるのであれば、別途、内閣法や国会法の改正案について、国会の審議をお願いすればよいのではないかというふうに考えております。

園田(康)議員 同じく、私どもは、やはり最終的な決定権というものは主権者である国民にあるというところにまず原点を置いて、そして、正当な選挙によって選ばれた国会議員、国会によってその意思が示されるというところにこの国民投票、憲法改正の原案の提出というものはまず限定されるものであろうというふうに考えております。

 したがって、御指摘の内閣に関する提出権ということでございますけれども、私見になるかもしれませんが、やはり、国民主権の原理、あるいはその負託を受けた国会が憲法改正案をつくって、そしてそれを国民に最終的にゆだねるというところで、憲法そのものの本質からいくと、国家権力に対する抑制というところの原点に立ち返るならば、内閣による提出をして、そしてそれが、いわば恣意的に提出はされるかもしれませんけれども、最終的には国民が判断するというところの微妙な部分がまだ残っているのかなというふうに思っておりますので、その点では、やはり現時点では内閣による提出権というものは抑制的に考えておくべきであろうなというふうに思っております。

近藤(基)委員 私も、私見ではありますが内閣には提出権はないと実は思っておりますので、そういう点では両案とも同じ意味だと解釈をいたしました。

 続いて、憲法審査会についてお伺いをいたします。

 憲法審査会については、現在の憲法調査会を改組して設置されるものと理解しておりますが、このことを前提として、細目的ではありますけれども、重要な論点と思われる憲法審査会の権限及び組織体制についてお伺いをいたしたいと思います。

 従来、憲法調査会における具体的な議事のあり方については、国会法に定められている事項のほかは、憲法調査会規程という衆参各議院の本会議議決で定められておるところでありますけれども、例えば、通常の委員会とは異なって、会期中であると閉会中であるとを問わずいつでも開会ができる、あるいは会議は原則公開とする、独自の事務局を置くといったことが定められております。これらの点については、新たな憲法審査会にも基本的に引き継がれることになると思うのでありますが、提案者としてはどのようにお考えになっているんでしょうか。両案提案者にお伺いをいたします。

加藤(勝)議員 近藤委員の御指摘のとおり、憲法審査会の組織及びその補佐体制については、基本的に現在の憲法調査会の体制を引き継ぐべきものと考えております。ただ、憲法審査会は、憲法調査会とは異なり、憲法改正原案の審査、提出権限及び憲法改正手続法案の審査、提出権限が新たに付与されていること、また、これと関連いたしまして、その調査権限にも憲法密接関連基本法制の調査が追加されている、こういうことに伴いまして、幾つかの相違点が出てくるということになります。

 例えば、これまでもたびたび指摘されてきた両院の合同審査会とその勧告権限の規定もその一つでございます。また、憲法調査会規程を一部改正する形で規定することを予定している憲法審査会規程、これは仮称でございますが、における憲法改正原案審査の際の公聴会の開催の義務づけなどもその例であると思います。

 さらに、これらの新たな権限に伴って、事務局の体制についても、現在、衆議院事務局、調査局、法制局の合同した形での独自の事務局の設置、こういう基本は変えないことになると思います。ただ、法制的な職員による補佐、こういう体制については充実を図っていくことが求められていくのではないかというふうに考えております。

園田(康)議員 これにつきましては、私どもも同イメージを今持っております。すなわち、憲法改正の原案の審査、提出権限及び憲法改正手続法案の審査、提出権限がこの審査会には新たに付与されている。そして、この間も議論になりましたけれども、憲法に密接に関連する基本法制に対する調査というものが追加をされるということになりますと、これはやはり幅広い調査対象、審査というものがしっかりとこの中で行い得るものというふうに私も考えております。

 したがって、事務局体制も、これに従ってしっかりと担保していくといいますか、広げていくということをやはり心がけておく必要があるのかなというふうに思っておる次第でございます。

近藤(基)委員 憲法審査会は、設置されてから国民投票法本体が施行されるまでの二、三年程度は、改正の要否や方向性の検討のための調査に専念するものと理解しておりますが、その調査の具体的なイメージはどのようなものなのか、両案提出者にお伺いをいたします。

赤松(正)議員 憲法審査会の審査のありようといいますか、中身についての御質問でございます。

 具体的な調査の仕方は今後の議論によるところが大きいかと思いますけれども、基本的に、憲法審査会で行われる調査の具体的なイメージというのは、私見でありますけれども、例えば、去年の四月の衆議院の憲法調査会の最終報告書で多数意見として述べられたものについて、これは幾つかのグループに分かれておりますから、それぞれごとにいろいろな角度から、小委員会をつくってそれぞれの項目に従って徹底した議論、つまり、さきの憲法調査会は改正を前提としたものではなかったということでありますから、今度は改正をするとしたらどのようにしていくべきか、あるいはまた、法律で対応できて改正しなくても済むというものもあるのではないかというふうな観点で、具体的に、着実にその吟味をしていく、詰めた議論をしていく、そういうふうなことがイメージされるのではないかというふうに思います。

 いずれにしましても、憲法審査会ができて、直ちにその場に新しい、あるべき、例えば、政党によって違うわけですけれども、既に具体的なイメージとしての新しい憲法を持っておられる側からするとまどろっこしく思われるかもしれませんけれども、その前段階としての、今の一九四六年憲法のどこを変えて、どこを変えなくてもいいのかという議論を、二、三年というふうな、年数については多少の幅がありますけれども、少なくとも三年ぐらいの時間をかけて徹底的にきちっとした議論をしていく、そんなふうなイメージでとらえているところでございます。

園田(康)議員 やはり、この憲法審査会というものは、各党共通の場がしっかりと国会の中に設けられるということが前提にあろうかと存じます。そして、その共通の場において、これはやはり超党派でしっかりと憲法に対する議論を行っておくものであろうというふうに思っておりますので、やはり調査に専念するというのは私も同意見でございます。

 そして、その調査に関しては、やはりまず憲法改正をすることを前提に、憲法のどこを改正するのか、あるいは改正しなくてもいいじゃないかという御意見もありますので、そういったことも踏まえて超党派でしっかりと議論をしていくという必要が、私はこの場で求められるものである。そういった観点では、国会の中だけではなくて、参考人の方々、各層各界の方々からの御意見も拝聴しながら、そして海外調査もしっかりと進めながら十分な調査を行っていきたいというふうに思っております。

 今赤松委員からもお話がありましたように、私もやはり、一定期間が来たらすぐに、では改正原案ですよというような話ではなくて、まず憲法そのものに対する国会内の議論というものをしっかりと行って、憲法に対する共通の認識を持てるような努力をこの中でまずしていきたいなというふうに私は考えております。

近藤(基)委員 以上、私見を交えながら両法律案の提案者に質問をさせていただきましたけれども、これまでの本委員会及び小委員会における建設的な議論を受けて、双方の提案者から率直な御答弁をいただけたと思っております。

 両法案が提出された段階から、相違点は重要な点とはいえ、わずかなものであったと思っております。ただいまの御答弁からいたしますと、もはや一つの到達点に近づいてきつつあるのではないか、そんな私的な感想を抱きました。これからの委員会での議論におけるさらなる歩み寄りに期待をいたしたいと思います。

 私も、小委員長として、与野党を超えた幅広い合意形成に尽力をしてまいりたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げ、質問とさせていただきます。ありがとうございました。

中山委員長 次に、平岡秀夫君。

平岡委員 民主党の平岡秀夫でございます。

 順次質問をさせていただきたいというふうに思いますけれども、最初に、国民投票と他の投票、選挙とか住民投票といったようなものの関係についてお聞きしたいと思います。

 御高承のとおり、憲法第九十六条では、国民の承認というのは、「特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、」行われるということが定められているわけでありますけれども、今回の法案を見てみますと、第一条で言っているのは「国民の承認に係る投票に関する手続」ということで、憲法上の位置づけとしてはどっちの投票になっているのかなというところが必ずしも明確ではないんですけれども、私が個人的に受けている印象としては、憲法上の特別の国民投票の方にウエートがあるというか、そちらの方の位置づけなのかなというふうにも思うわけであります。

 そうだとすると、後段にあります「国会の定める選挙の際行はれる投票」ということについて、どういうふうに考えているのか。もしそれ自体を排除している法案であるということになると憲法違反というような問題もあろうかと思いますので、まず、その辺の位置づけをはっきりさせていただきたいというふうに思います。

 なお、私の質問は両法案担当者に聞くものがかなりありますけれども、まず与党案の提出者に答えていただいて、民主党提案者の方は、特に異論がなき場合は、時間の問題もありますので、異論ありませんという程度で答えていただければ助かりますので、よろしくお願いします。

加藤(勝)議員 御指摘のように、国民投票の実施につきましては、憲法第九十六条に、特別の国民投票、そして国会の定める選挙の際に行われる投票の二つが規定をされております。

 しかしながら、与野党が政権をかけて争う国政選挙と、国会の三分の二以上の勢力が協調して行われる憲法改正の是非を問う国民投票とは質的には異なるものであるというふうに考えられます。したがって、これを同時に行えば有権者の混乱というものを引き起こしかねない。こういう観点から、この法律においては、憲法改正国民投票と国政選挙を同時に実施するということは想定はしておりません。

 しかしながら、同時に実施することを禁止する規定を置いているわけではなく、国政選挙と同時には実施しないということは、発議機関である国会の政治的判断により担保するということにしたものであります。したがって、御指摘のように、憲法九十六条に違反するということにはならないのではないかというふうに考えております。

枝野議員 憲法九十六条は、「又は」ということでどちらかの機会にやれということであって、なおかつ、その発議をいつどのようにするのかということ自体は国会の自律に任されているわけでありますので、国会がどういうタイミングで発議をするのかという裁量の範囲の中に、どういうタイミングで国民投票が行われるのかということも私は含まれるというふうに思われますので、殊さら「国会の定める選挙の際行はれる投票」を排除するということでなければ、憲法の違反という問題にはならないというふうに憲法論的には理解をしております。

平岡委員 ありがとうございます。

 考えてみると、全国を見るといろいろなところでたくさん選挙とかが行われていて、たまたま国民投票をやる日に選挙をやらなければいけないような事情があるような地方公共団体が出てきたりするということも十分あるんだろうと思うんですね。その場合に、皆さん方が提示されている問題点というのが果たして生じないのかといったような点については御検討はされておられるのでしょうか。与党提案者にお聞かせいただきたいと思います。

加藤(勝)議員 当然ながら、国民投票が地方選挙等と同時に行われるということは想定される事態でございます。この場合、地方選挙や補欠選挙が同時に行われるという理由で公職選挙法に定める政治活動規制が働いて、当該活動のみに国民投票運動が制限されるということになると、大変不合理なことが生じるわけであります。

 そこで、この法律案では、そうした選挙が行われる場合であっても、公職選挙法による政治活動の規制は、「政党その他の政治活動を行う団体が、国民投票運動を行うことを妨げるものではない。」という旨を百八条において規定しているところでございます。

枝野議員 望ましいかどうかという観点からすれば、有権者、投票される皆さん、あるいは運動される皆さんの便宜を考えると、地方選挙等についても、国民投票とは別途していただいた方が望ましいのではないかと私は思います。

 ただ、それは、憲法改正国民投票については国会みずからが自律的に判断をするということでありますので、なおかつ、国政選挙との絡みということについては、我々自身のところでいろいろ調整することは憲法の範囲内で許されていると思いますが、では、逆に、憲法に特段の規定もないのに、国民投票があるから地方選挙をやるなみたいなことを立法することができるのかというと、そこはできないということになるというふうに思います。

 また、あえて申し上げれば、政権を争う選挙と憲法改正国民投票の違いという部分の理解、整理が混乱する可能性に比べれば、政治の仕組み、構造自体が違う地方選挙等との同時実施ということが仮にあったとしても、その混乱はそれほど大きくない、相対的には大きくないのではないかというふうに思いますので、今加藤委員の方から御説明のあった調整規定はちゃんと置いた上で、同時実施されることもあり得るということで立法をするしかないというふうに思っています。

平岡委員 同日実施じゃなくても、多分、発議されてから投票までの間というのは非常に長いんですよね。長いということになると、その間に地方選挙が行われる可能性も十分にあるということなので、もう少しその点の、どういう取り扱いになるかということの整理は、先ほどの与党案でいくと百八条ですか、それだけで本当に十分なのかどうかということは、そもそもの問題の、なぜ別にやるのかというところから、原点に立ち戻ってしっかりと検討しておく必要があるんじゃないかということを指摘させていただきたいというふうに思います。

 それと、憲法九十五条の地方自治特別法の住民投票に関してですけれども、この問題については前にこの委員会でも指摘させていただきましたけれども、最近行われていないということが非常に問題だろうというふうには私は思っています。例えば、今度米軍再編特別措置法みたいなのができて、新たに米軍再編の対象となっている地域に対して特別な措置が講じられるというようなことについて、やはり地域住民の方々の判断を求めていくというようなことは当然あってしかるべきだというふうに私は思うんですね。

 そうであるとすると、そういう投票をどういう構造で行うのかと考えたとき、今、公職選挙法の準用方式でやっておって、かなり今回の国民投票法案とは内容が違っているというふうに私としては理解をしているわけであります。ここは本当は政府に聞くべきなのかもしれませんけれども、この委員会はできるだけ政府を交えないで議員同士でやるということが何か一つの大きな柱になっているようでありますので、政府・与党という意味で、あえて与党の方にお聞かせいただきたいというふうに思うわけでありますけれども、この際、憲法第九十五条で行われる地方自治特別法の住民投票についても、国民投票法案に倣って整備すべきではないかということを私としてはお願いしたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

加藤(勝)議員 平岡委員が従前からそうした御意見をこの場においても展開されているということは十分に承知をさせていただいております。

 地方自治特別法のいわゆる住民投票については、現在、地方自治法に基本的な定めがあり、その委任のもとに地方自治法施行令において詳細な規定が設けられているというふうに認識をしております。

 御指摘のように、そのあり方については、私どもとしては、憲法改正国民投票の議論とは切り離して別途に議論されるべきものというふうに認識をし、今回はその対象としていないというところでございます。

平岡委員 そういう意味では、やはり政府に来てもらって、どう考えるかということをしっかりと聞かないといけなかったのかなというふうにも思いますけれども、とりあえずは与党提案者はそういう考えであるということでおいておきたいと思います。

 次に、投票権者の範囲で、十八歳以上の人に対する投票権の問題に入りたいと思います。

 せんだっての船田議員の発言をちょっと読み起こしてみますと、経過措置三年間という表現を使っておられて、経過措置三年間というと、普通は、三年後に施行されますよ、施行されるまでの間に何か途中で必要なことを定めるのが経過措置という表現なんですよね。

 ただ、よく発言の中身を見てみますと、船田議員の発言は、この三年間の間に、関係法令の年齢を十八歳に改正することとあわせて、それに伴い必要となる関連事項を整理する内容の法案というものを制定していくというように私は内容的には理解せざるを得ないんじゃないかというふうに思っているんですけれども、ある意味では、経過措置三年間という言葉でいけば、関係法令の年齢を十八歳に改正する法律を三年後に施行させるということをまず決めて、そして、その施行までの間の三年間でいろいろなことをやっていきましょうというやり方があるんだろうというふうに思いますけれども、船田議員に、経過措置三年間という意味がどちらの意味で使われているのかということについて、まず明確にしていただきたいというふうに思います。

船田議員 平岡議員にお答えいたします。

 今御指摘のように、私ども、二十ということを考えておりましたが、その後の与野党間の話し合い、あるいは諸外国の例をつぶさに拝見いたしまして、やはり十八歳選挙権年齢に改めていこう、こういう方向で踏み切ろうとしているわけでございます。

 この十八歳選挙権を認める場合に、関連する法令というのは、言うまでもなく公職選挙法、選挙権年齢を定める公選法、それから、成年年齢を定める民法を初めとして、数多く存在しているというふうに承知をしております。この法律が施行されるまでの、この法律というのは国民投票法案でありますが、それが施行されるまでの三年間の間に、政策的な整合性がとれるようにこれらの関連法令について十分に検討を加え、必要と思われる法制については適宜必要な措置を講ずる、このようにしたわけであります。

 ただ、三年間という一律の期間において立法府としてできるのはこのような法律の制定、改正までであって、その施行や適用がいつからとなるかは、公選法あるいは民法、少年法、その他の個別の関連法令ごとにそれぞれ必要な周知期間とか準備期間、経過期間はばらばらだと思います。したがいまして、これを一律に三年以内に施行するというのは適当ではない、このように考えております。

 ちなみに、国民投票の投票権と最も密接に関連をする選挙権年齢については、個人的には三年以内に施行されることが望ましいと考えておりますが、仮に三年という期限ぎりぎりに法改正がなされたとしても、その数カ月後から半年後には施行されるものと理解をしております。

平岡委員 今の答弁に関連してでありますけれども、本当に三年後にきちっと十八歳ということでいろいろな関係法令ができるのかというか、つくっていただけるのかという問題があるんだろうというふうには思うんですね。そういう意味では、それが実行される最大の担保というのは、今回の法案の中でしっかりと三年後に十八歳になるよという、三年後の施行という形の法律改正が行われているということであり、そして、それに必要な関連整理というのがその三年間の間に行われるという、そういう法律の中身なんだろうというふうに思うんです。

 そういう視点から見たときに、今の与党の答弁に対して民主党案提出者の方は同意できるのかどうか、その辺をお聞かせいただきたいと思います。

枝野議員 御指摘のとおり、三年間たったら自動的に本則に戻るというか、本則十八歳がこの法律でもスタートするし、それから関連法令も三年後に同時にすべて十八歳成年で施行されるということにする方が私は望ましいとは思います。

 ただ、憲法改正に係る国民投票制度で、本則で十八歳と書かれていながら経過措置の時点で国民投票が行われるだなんということが政治的に行われるとしたら、そんな提案をしたら国会は国民からばかにされると思いますので、逆に言えば、もし三年後に十八歳本則適用になっていなければ国民投票はできない、政治的にできないということだというふうに思います。

 さらに言えば、少なくとも、十八歳成人のためのほかの関連法令の法律案は、恐らく本国民投票法が成立したらその数カ月後には必ず国会に提出をされる、もし政府がされなければ民主党が提出をすることになると思います。その法案が継続しながら三年間たなざらしにされて、なおかつ、本則十八歳なのに附則で国民投票を施行するだなんという話で国会の三分の二が合意するだなんということはあり得ないことですので、政治的には、三年後に十八歳になる、成人年齢を含めて全部なるということは、私は担保されているというふうに思っております。

 ただ、船田委員がおっしゃられたように、実はこれは平岡委員にも後で党内で十八歳成人の法案をつくるときにはよろしくお願いしたいんですが、いろいろな法律があり得る。なおかつ、それを全部十八にするのか。例えばたばこやお酒は、私見ですけれども、これは十八歳に下げるという話とは全然別次元の話。たまたま成人年齢とたばこやお酒は二十からというのが今一致しているだけであって、これが成人年齢、投票権年齢が十八になるから十八になるという性質のものではないだろうと思いますが、多分、いろいろなところに、成人年齢が変わることによって影響する法律が、隠れているものを全部ピックアップするのには相当なエネルギーがかかる。その中には例えば行政の組織法的な部分にかかわるようなこと、あるいは施行までの間にどれぐらいの期間が必要なのか、それこそ公職選挙法であれば多分数カ月だと思いますし、民法などであれば周知期間で半年とか一年とかで足りると思うんですが、しかし、それがすべて今の時点で予測可能か、ピックアップ可能かというと、そうではない。

 ということを考えると、例えばこの法律施行後の一年後に法改正ができても、そこから経過措置が三年ぐらい必要な法律がもしあったときにどうするのかという問題が残りますので、法律の組み立て方としては、先ほど船田委員がおっしゃられたような組み立て方をするのにも一理はあるのかなというふうに理解をしています。

平岡委員 それでは、次のテーマの過半数の話にちょっと入ってみたいと思うんです。

 先ほどの質問者に答えて、園田提案者の方からも、過半数の話について言うと、これからの話ということでありましょうけれども、憲法改正の成否を決める過半数というのは、賛成票、反対票を合計した投票総数の過半数というふうにしていきたいというか、そういうことを検討したいというか、そういうお話がありましたけれども、そういうふうにしていかざるを得ない一つの理由というのが、棄権というものをどう位置づけるかということにもかかっているんだろうと思うんですね。

 要は、投票所に行かない人は棄権ということがはっきりしているわけですけれども、投票所に行っても、例えば複数のテーマが憲法改正の内容としてあるような場合に、あるものについては賛成、反対があるけれども、あるものについてはよくわからないから棄権だという人もいる、そのときにその棄権をするという行為をどう評価するかという問題があるんだろう。

 その点に関して、枝野委員がこの前の委員会で概略こういうことを言っておられました。複数のテーマが国民投票に付されたときに、投票所まで足を運び、なおかつ特定のテーマについて棄権をするという自由をどう担保するのかということが問題であって、悩ましい問題だというような話がありました。

 それを踏まえて私なりに思うのは、例えば、今回の法案では明確には書いてありませんけれども、テーマ別の投票用紙を設けることも否定はされていないというふうに思いますけれども、そういう方式にして、それぞれ投票用紙の記載欄に棄権欄というのを設けていく。そして、その棄権欄に印をつけた棄権票については、通常投票所に足を運ばない棄権と同様に、投票数にはカウントしないというような取り扱いということも考えられるのではないかというふうに思うんですけれども、あえて、悩ましいと言われていた枝野提案者にその辺の御見解をお聞かせいただきたいというふうに思います。

枝野議員 御指摘のとおりで、従来の民主党案ですと、Aテーマについては投票したいけれどもBテーマについては投票したくないという人が投票用紙を受け取らないということで、立会人、あるいは周辺にいる、同じ時期に投票所にいる人にこの人は棄権をしているんだということが見えてしまうということで、投票所に足を運ばない棄権とはちょっと意味が違って、投票の秘密という観点から確かに適切ではない。そういう意味で、無効票が限りなくゼロになる可能性の高い前回の船田委員からの提案は検討に値するというふうに申し上げました。

 さらに、今の平岡委員の御指摘を踏まえますと、投票用紙を受け取っても、何も書かないで投票箱に投票するのと、何か書いて投票するのとではやはり違いますので、Aテーマについては賛成、反対の意見があるけれどもBテーマについては棄権をしたいという人が、投票用紙を受け取った上で、賛成にマルをつけたのか反対にマルをつけたのか棄権にマルをつけたのか、どれかにマルをつけたんだなということがわからない形でするということの方がより適切だと思いますので、賛成、反対欄だけでなくて、棄権の欄もつくって、どれかに印をつけるという形で賛成または反対の意思がはっきりしているものを分母とするという形がより望ましいのかなと思いますので、それも踏まえて最終的に調整したいというふうに思います。

平岡委員 憲法の九十六条を素直に読むと、ちょっと省略しますけれども、特別の国民投票においてその過半数の賛成を必要とすると。素直に読めば、投票総数の過半数だというふうに私は読めるんだろうと思いますし、憲法制定当時に連合軍最高司令部に提出された憲法英訳の中でも、その過半数というくだりのところは、リクワイア ジ アファーマティブ ボート オブ ア マジョリティー オブ オール ボーツ キャスト ゼアオンというふうになっているということで、投票されたすべての投票のマジョリティーだ、こういうような表現になっているということから見れば、立法者意思もやはり過半数の分母というのは投票総数、先ほど私が提案したような、棄権票というのがあるとすれば、それを除いたものが投票総数として分母となるべきじゃないかというふうに思うんですけれども、あえてこの点については与党の提案者の方にお答えいただきたいというふうに思います。

赤松(正)議員 憲法九十六条の過半数の意義ということにつきましては、賛成投票数が有効投票総数の二分の一を超えることとする考え方、あるいは投票総数の二分の一を超えることとする考え方、さらには有権者総数の二分の一を超えることとする考え方まであることは承知をいたしております。

 今おっしゃった、憲法制定当時の連合軍最高司令部へ提出された憲法英訳で、リクワイア ジ アファーマティブ ボート オブ ア マジョリティー オブ オール ボーツ キャスト ゼアオンとなっているということについては、単なる英訳文にとどまるものじゃないということは承知しておりまして、少なくとも規範的な意味における日本国憲法の正文は日本語である、こんなふうに理解をしております。

 本法律案では、国民投票において考慮されるべき民意というのは、あくまでも賛成または反対という意思を明確に表示した国民の意思である、こんなふうに考え、有効投票総数の過半数でもって国民投票は決せられるべきだ、こんなふうにしたところでございます。

平岡委員 時間がないので、国民投票無効訴訟の話に移りたいと思うんです。

 国民投票の無効訴訟の場合に、百三十三条を見ると「憲法改正の効果の発生の全部又は一部の停止」という表現があるんですね。ただ、これは具体的にどういう効果をもたらすのかというところが、この法律を見てもよくわからないように思います。

 投票が行われたら、そこで投票の結果が出るわけでありますけれども、片方では、通知が中央選管から総務大臣を通じて内閣総理大臣に行き、内閣総理大臣から衆議院議長とかに行くというような仕組みの中で、内閣総理大臣がそれを受け取ったら、公布の手続をとりなさいと。公布をすれば、多分、施行はいつなのかということも含めて書かれて、いつ施行となりますね。

 他方、訴訟が提起されると、いずれは訴訟の結果として、国民投票の結果は無効という結果も出るというふうに思うんですけれども、その前に憲法改正の効果の発生の停止というものがあったときには、これはどこにどういう影響を与えてくることになるのか、この辺が法律上よくわからないので、その辺の関係を与党提案者の方に説明をしていただきたいというふうに思います。

保岡議員 平岡先生の質問の趣旨がにわかにちょっとわかりにくいところもあるんですが、憲法改正の効果の発生の停止というのは、国民投票の結果を覆すものではないんですね。これを否定するものではない。国民投票の効力を否定するものではない。したがって、国民投票が有効であるという前提で進む手続はそのまま進んでいくんだろうと思います。

 ただ、憲法改正というのは、非常に根幹的な基本法でありますし、特にそれが場合によって施行された後覆されるというような結果になりますと、これは非常に重大な国政上の支障を生ずる。例えば、立法の機関のあり方についての改正であったり、例えば裁判所では、最高裁のほかに憲法裁判所のようなものを設けた場合、それが動き出した後、効果が否定されると大変ですので、そういった緊急性のある場合に限定してでありますが、憲法改正の効果の発生を一時停止するということでその支障、混乱を避けようとするものと理解しています。

平岡委員 今の答弁でいくと、結局、手続的なものは、例えば公布とか施行とかということについては全く妨げられないで、憲法改正の内容そのものが効力を持たない状態がしばらく続く、停止という状態で続く、こういう理解でしょうか。

保岡議員 そうですね。公布の効力とか憲法改正で定められた施行日には何ら影響しない。そういった制度、手続は、国民投票の結果を受けて進んでいくというふうに理解しています。

平岡委員 それで、この無効訴訟の中に、国民投票の一部無効の場合に国民投票の再投票ということが書いてあるんですけれども、全部無効の場合は再投票というのは非常にわかりやすいとは思うんですけれども、一部無効の場合は再投票の対象というのは全部が対象になるのか、無効となっている一部のみが対象になっているのか。もし一部の場合だとしたら、その部分についての手続――そこはいいです。全部が対象になるのか一部が対象になるのか、そこをちょっと教えていただきたいと思います。

保岡議員 一部無効の判決が確定したときは、その開票区に限って国民投票が無効になるので、更正決定が可能である場合を除いて、当該選挙区のみにおいて再投票を行う、その他の開票区の結果と総合して国民投票の結果を確定することになると思います。

平岡委員 そういうことですか。そういうことだとすると、例えば、ほかの投票結果がどうなのかということが新たに再投票する人たちにはわかっている状態で投票を行う、こういうことですか。

保岡議員 無効となった選挙区の結果が国民投票の結果の異動ということにつながるかどうかということについては、当然、ほかの開票区の結果がわかっているわけですから、ある程度承知して投票することにはなると思います。

 しかし、恐らく先生は、そういう影響もあるから全体をやり直せ、その方がもっと適切な制度になるんじゃないかというお考えで御質問されていると思うんですが、他の開票区では公正に投票結果が出ているわけですね。これを覆すまでの理由があるかどうかという点になりますと、すべての開票区において再投票をやり直すのでは、要する時間や人的、物的コストも甚大になりますし、一部無効の判決の対象になった開票区にて再投票を行うことは、そういった意味でも不正のあったところだけ正すということで合理的な制度設計になっているのではないかと考えます。

平岡委員 時間が来たのでやめますけれども、今の御説明について言うと、もうちょっと勉強させてほしいなというのが率直な感じですね。

枝野議員 一部無効判決が出るという場合は、どこかの開票区で不正があった。そこの不正がなかったとして、あろうがなかろうが、それ以外の公正に行われた開票区の票の結果で、例えば無効にされる開票区の票が全部が賛成、全部が反対になったとしても、投票結果が変わらない場合には一部無効にもなりません。つまり、最終的な全体としての賛成、反対の過半数という、どちらが過半数をとるのかという投票結果に影響を及ぼす場合にしか一部無効もありません。

 したがって、他の開票区における結果がはっきりしている場合といっても、つまり、他の開票区の結果ではどちらが勝ちになるのかはっきりしないという場合で、つまり、ブッシュ・ジュニアが初めて当選したときのカリフォルニアだかどこかのように、ここの結果次第によってすべての結論が決まるという場合でないと一部無効にはなりません。もちろん、他の開票区の結果というのは影響を与える可能性はあるとは思いますけれども、だけれども、やり直しは、あなた方の結果で全部決まるんですよという状況ではありますので、ほかの開票区の結果を知っているという弊害は小さく、かといって全部をやり直すとコストが大きく、という点からは合理性が認められるんではないか、こういうふうに判断しています。

平岡委員 また勉強させていただきたいと思います。

 以上で終わります。

中山委員長 次に、逢坂誠二君。

逢坂委員 民主党の逢坂誠二でございます。きょうはよろしくお願いいたします。

 この民主主義社会の中で、主権者たる国民の意思といいましょうか、判断というものを仰ぐというのはなかなか難しいものだなということを私自身実感をしております。多くの国民がAだと言っているからAのとおり政策を進めればよかったかというと、そうじゃないことがあったり、なかなか難しいところがあるんだなというふうに思っているところです。

 特に、民主主義というのは単なる白黒をつけることではなくて納得のプロセスだというふうにも思うわけでありまして、必ずしも合理性のある判断でなくても、納得というものがあれば国民はある程度ついてくるというか、そういうところもあるんだろうなというふうにも思っております。

 いずれにいたしましても、今回テーマになっています憲法九十六条における国民投票でありますけれども、私は、最終的にはこの憲法のような問題というのは国民全体の投票によって決めるということは非常に重要なことであり、これは合理性のあることだなというふうに思っています。

 しかし、例えば夏にこの委員会がヨーロッパ視察を行ったあの報告書の中にもあったとおり、この国民投票というのはおりから出した猛獣のようなものであるという指摘があったり、あるいはまた、投票にはある種の限界もあるのではないかというふうに思っています。

 したがいまして、国民投票を実施する前に、このある種の猛獣性のようなものだとか限界というようなことを国民が十分理解をした上で、やはりこの投票制度の実施に臨む必要があるのではないかなと思っております。

 こうした観点から、きょうは幾つかの質問をしたいと思います。

 自治体の首長選挙なんかを見ておりますと、まれではありますけれども、有権者、その地域の市民の想定外の候補者が当選することが実は間々ございます。もしかすると、委員の皆さんもそういう場面に出くわしたことがあるかもしれません。私の住んでいる町のそばでも、前回の統一地方選挙の中で、なぜこの人がと市民の多くが思っているのに当選してしまったという結果が出たことがございました。

 つまり、今回のこの憲法の国民投票ではなくて、一般的な選挙において民意と違った結果を投票というのは導くこともあるように私には思われるんですけれども、こういうことに対する認識について、与党、民主党それぞれの提案者から御見解を伺いたいと思います。

船田議員 逢坂議員にお答えいたします。

 今、例えば自治体の首長選挙などで有権者の想定外の候補者が間々当選することもある、こういう御指摘がございました。この点については、私どももそういう経験をどこかではしているような気がいたします。

 ただ、人を選ぶ選挙と、今回提案しておりますまさに憲法改正案を承認するかしないかというこれは政策を選ぶ選挙でございまして、その点、若干、土俵というか土台といいますか、もともとの考え方というのは少し違っているのかなという感じはいたします。ただ、御指摘のように、この国民投票においても国民の意思が適切に反映できるように幾つか私たちは努力をしなければいけない、こう思っております。

 一つは、憲法改正案の内容や分量にふさわしい周知期間の設定、長過ぎてもいけないし短過ぎてもいけないということだと思います。それから、国会に設置される予定の広報協議会における憲法改正案賛成意見、反対意見の広報をどこまで丁寧に行うことができるか。それから、自由闊達な意見を展開させるために国民投票運動というものをなるべく制限なしで保障していこうという点。さらには、正確な民意を明確に把握するためのわかりやすい投票の方式。そういうことについて、私どもこれまで修正も加えながら真摯に検討を続けてきたわけであります。

 このことをやっていけば、もちろん制度に一〇〇%というものはございませんけれども、相当なところまで国民の意思を適切に反映するということにかなり近づいてきたな、こういうふうに私自身は思っております。ぜひその点は御理解をいただきたいと思います。

鈴木(克)議員 民主党からも御答弁をさせていただきたいというふうに思います。

 基本的には今船田委員がおっしゃったのとほぼ一緒であるというふうに御理解いただきたいと思いますが、今逢坂委員は、民主主義は納得のプロセスだ、そしてまた、投票にはある種の限界があるんではないかと。このお話については、非常に私自身も同意といいますか賛意を示すものであります。

 ただ、船田委員がおっしゃったように、人を選ぶ通常の首長選挙、それからまた今回御提案させていただいておるのは政策を選ぶ選挙ということで、これはわかりませんけれども、民意と違った結果ということを判断するのは非常に難しいというのか、選挙の結果が民意だということになるのではないのかなというふうに思います。

 したがって、今船田委員からも、周知期間を徹底するとか、賛成意見、反対意見を公平に、いわゆる国民の皆さんにわかっていただくような、広報協議会でしっかりと議論する、そしてまた国民運動を保障する、そして投票方式も、様式も非常にわかりやすくする、そういう努力をすることによって、今委員がおっしゃったようなことを少しでも解消していくということが我々のできるプロセスではないのかなというふうに思います。

 繰り返しになりますけれども、そういうことの中で出された投票の結果というものは、やはりある意味では民意をあらわしたものだというふうに理解をしていくしかないのではないのかな、またすべきではないのかなというふうに思っております。

逢坂委員 今の話から、両者ともに、ある種、投票への限界ということについての認識はあるように感じたわけでありますけれども、私は、憲法における国民投票というのは重要なもので、これしかこの憲法改正のかぎを握っているものはないのだろうというふうに思う、その前提で話をしているんです。とはいうものの、やはり投票という方式には限界があるんだということを国民が知った上でなければ、本当の意味での納得というものは得られないのだというふうに感ずるわけであります。

 そこで、再度でありますけれども、憲法の問題ではなくて一般政策についてある地域で住民投票などを行った場合に、その結果、例えば白と出る、黒と出るというようなことがあるわけですが、その結果にその地域の住民はどんな反応を示すか。例えば、私が冒頭に言った、民意と多少ずれている結果が出てしまったというようなことであっても、出てしまった結果に対して住民というのはどんな反応を示すのだろう。いや、それはちょっと違うんだけれども、結果が出ちゃったからずっと拘束されちゃうよというふうに強く思うものなのか、それとも、そうではない、やはり民意とずれているから、これは直さなきゃいけない、これは守る必要がないというふうに思い始めるのか、そのあたりの認識というのは、両法案の提出者、いかがでしょうか。

船田議員 逢坂議員にお答えいたします。

 今御指摘をいただいた、いわゆる住民投票、一定の行政単位において行われるものでありますけれども、これは全国で相当数今日まで行われました。その結果については、確かに、今逢坂議員御指摘のように、その地域に住んでおられる住民の皆さんの意思が十二分に反映できたかどうかということについてはいろいろと解釈はあると思っております。

 ただ、やはり投票は投票でございまして、その結果をどう扱うかというのは、それぞれの地域の、要するに住民投票条例を制定したその首長であり、また議会がそれをどう制度設計するかにかかってくると思っております。その結果が、まさに諮問的である、まさに参考にするということで対応する場合もあれば、あるいは、その結果に拘束される、義務的と言ってもいいかもしれませんが、そういったものも制度設計としてはあると思いますが、それはまさにそれぞれの地域の政策判断である、こう私は考えております。

 それ以上申し上げるのはちょっと越権であるなと思っておりますので、このあたりにしたいと思います。

鈴木(克)議員 私も、やはり、その結果というのは一つの重要な参考資料になるというふうに思っています。

 御指摘のように、基地だとか合併だとかいうようなことで住民投票がなされてまいりました。しかし、そのことをどうその地域の首長が受けとめるか、また議会が受けとめるかということの中で、住民投票と違った形の進め方をされて、さらに問題になっていくというようなケースもいろいろあるわけですけれども、いずれにしましても、しかしそうはいいながら、やはり出された結果というのはある意味で非常に重要な参考資料になっていくのではないのかな、またそうあるべきではないのかなというふうに私は思っております。

逢坂委員 それでは次に、今度は、まさに憲法に関する国民投票における部分を聞きたいんです。

 憲法に関する国民投票において、いわゆる無効訴訟というようなレベルの問題ではなくて、手続的、法律的には全く問題がなかったという投票結果が出た。しかし、その結果が、結果が出てしまった後にどうも国民全体の思う方向と違っていたのではないかというようなことが出た場合にどうするかということについてお聞きをしたいんです。

 例えば、私が冒頭に述べた自治体の首長選挙などの場合、全国の例を見ると、リコールが行われたり不信任決議が行われたり、何らかのチャンスをとらまえて、四年の任期以外のところでそういうことが行われているケースが随分あるように思うわけであります。

 万々が一、憲法の改正における国民投票において、そういった民意と違った結果が合法的な中で出てしまった場合、そういう場合には何か手当てが必要だというふうに思うのか、思わないのか。あるいは、もし手当てが必要だと思う場合にはその手法というのはどうあるべきなのか。あるいはまた、そういう手当てというのは不要なんだ、合法的な手続の中で出てしまったからそれは必要ではないとした場合に、民意とのずれというのはどういうふうにして埋めていくのかというあたりについて、両者から見解を伺いたいと思います。

船田議員 今の御質問でございますが、その御質問の前提となるところで、若干私が理解できていない部分があるのかもしれませんが、国民投票の結果が出て、それが本来の民意とずれているのかずれていないのか、これをだれが判断するかというのは非常に難しいことだというふうに思っております。これを発議した国会が判断をするということになりますと、これまた民意を曲げるということにもなりかねないでありますし、それから、国民の皆さんに判断をしていただくとしても、一体どのくらいの割合の方がこれはずれていると思って全体でまたやり直そうということにするのか、極めて難しい問題が内包されていると思います。

 したがって、今我々がやれることは、現在提出をいたしております、与党案にしても民主党案にしても、それぞれ民意とのそごを生じさせないようにできるだけ努力をする、先ほど私申し上げたような周知期間というものをどのように設定するか、あるいは広報協議会でどのくらい丁寧に国民に広報していくのか、そういうことを手だてを尽くしてやっていくということが必要だと思っています。

 一〇〇%完璧な制度というのはありませんので、しかしそれに近づけるように制度を改良していくということは大事だと思っていまして、最初のこの段階において、民意とずれているという理由で明確に何らかの是正措置が必要であるというふうには現時点では考えておりません。

鈴木(克)議員 私も全く今船田委員がおっしゃった意見に近いわけでありますが、合法的に出された結果が民意と違っておった場合という御質問だったわけですが、まさにだれが民意と違うというふうに判断をするかということは非常に難しい問題だというふうに思います。

 ただ、冒頭、逢坂委員おっしゃったように、投票にはある種の限界がある、このことを私は全く否定をするつもりはありませんけれども、しかし、そういう中で、一つの制度の中で出された結果はやはり尊重をしていくべきだというふうに思っております。

 したがって、先ほど申し上げましたような、やはり公平な制度設計をしていくということが我々に課せられた最大の責務だ、このように思っております。

 以上です。

逢坂委員 今の両者の話からも、憲法に関する国民投票というのは、その結果の取り扱いにおいて相当に厳格なものである、かつまた、それであるがゆえに相当慎重に、通常の首長選挙ももちろん慎重なものでなければならないのですが、それ以上に相当慎重な取り扱いというものが必要なのだなというような雰囲気を私は感じました。

 次の論点でございますけれども、実は、憲法に関する国民投票法制に関しては、憲法改正の議論がいろいろと沸騰している時期に手続法の議論をするのは余り得策ではない、憲法改正の内容の議論が静かなときに、ある種、改正内容にかかわらず粛々と改正手続法の議論をすべきだという考え方がちまたにはあるようでありますけれども、これについては、両提案者、どのようにお考えでしょうか。

保岡議員 先生御指摘のように、憲法改正に関する国民投票法制というものは、憲法の改正内容に関する議論が静かな時期に改正内容にかかわらず粛々と進めるべきである、これは全く同感でございます。さらに言うと、そういった意味で、憲法改正国民投票法制は、本来は憲法制定直後にきちっと制度整備しておくべきものであったと考えます。

鈴木(克)議員 私どもも全くそのとおりだというふうに思っております。まさに静かな時期に粛々と進めていくべきだというふうに思いますし、今、保岡委員がおっしゃったように、憲法制定の直後にこれが整備をされておれば、今こういう形での議論はせずに済んだというふうに思っております。

逢坂委員 以上の観点からいたしますと、これも両者にお伺いしたいんですけれども、今我々がこの憲法改正の国民投票の議論をしているこの時期でございますけれども、この今の時期というのはこの議論をする上で適切な時期というふうにお考えでしょうか。この点について両者からお伺いします。

保岡議員 憲法制定権力の担い手である国民がその権利を行使する制度を早急に整備するということは、これは立法府としての大きな責任でありまして、改正に関する国民の主権というものを回復して真の国民主権を具体化することは、国民の代表者としての使命であると考えます。

 このような観点からしますと、憲法改正国民投票法制は、本来は、先ほど申し上げたように憲法制定の直後に整備されるべきものであったと考えますが、憲法改正案が具体的に国会に提出されていない現段階において、憲法改正の中身と切り離して冷静に論議することは、公正かつ中立な憲法改正国民投票法制を目指すという点からしても適当で、今まさにこれを審議しているところだと思います。したがって、憲法改正国民投票法制は、できるだけ速やかに整備しなければならないと思います。

鈴木(克)議員 具体的な憲法改正案の議論が熱くならない段階で、できるだけそれとは切り離して改正手続法の議論をすべきであった。現時点ではむしろ遅きに失したのではないかというふうにも思う部分もあります。しかし、そうであっても、今ならばまさにぎりぎり間に合うタイミングだ、このように私どもは考えておりまして、本法律案を今まさに出させていただいておる、こういうふうに御理解いただきたいと思います。

逢坂委員 今二人の話はまことにもっともで、私もよく理解できるわけでありますけれども、ただ、憲法改正の内容に関する議論が静かな時期に、改正内容にかかわらず粛々と議論を進めることがいいんだという考えがある一方で、憲法改正に関する投票法制を議論するということそのものが、いやが応でも憲法改正を前提にしてしまうんだという指摘も随分多いわけであります。

 ただ、私が後者で指摘した、紹介した考え方、要するに投票手続を議論することはいやが応でも改正が前提となってしまうんだという考えを前提にすれば、この改正手続をどんな時期に議論をしても、憲法改正の内容の議論を静かなときに粛々とやるという、この目的というか適切さが保てないような感じがするのでありますけれども、この点について両提案者はいかがお考えでしょうか。

保岡議員 本来制定しておかなければならなかった制定直後であれ現在であれ、これは、憲法改正の内容、例えばそれが改憲であり護憲である、いろいろな立場で改正について論議をしながら、その改正の内容を国民に問う結果になったとき、特定の案に有利なルールではいけないというのは時期にかかわらず当然のことであって、そういった意味で、本当に、現在は戦後六十年たって、終戦直後と今日とでは内外の状況は別世界というほど大きな変化を遂げていますから、それぞれの党でいろいろな改正案が論議され、改正案としての成案を得る動きが各党で行われております。しかし、そういうものとは全く切り離して冷静に、改憲であれどんな内容であれ、これは国民の憲法改正の内容についての判断、意思をゆがめるようなものであってはならないのは当然であって、そういう点で、現在仮にこの憲法改正の手続の法制を論議するにしても、そういった公正中立な立場で論議をしていくことが大切だと思います。

 先生がおっしゃるように、いつ論議しても同じような問題は当然生ずるんですから、今まさに、遅きに失したと先ほどお話もございましたけれども、できるだけ早く、この法制はよき制度として成立を目指さなきゃならないと思います。

鈴木(克)議員 私も基本的には同意見でありますけれども、ただ、我々が今制定しようとしておるのは、現在の憲法の中身をどうのこうのということではなくて、いわゆる国民投票法制なわけであります。

 確かに、どんな時期に議論しても、憲法改正というのが裏にというかあるというふうに見られれば、どんな時期に改正を提案しても議論を呼ぶというのは、そのとおりかもしれません。しかし、あくまでも国民投票法制でありますので、まさにこれは改憲の立場に立っても護憲の立場に立っても公正中立な手続を我々は今制定しようとしておるわけでありますので、そういう意味であるというふうに御理解をいただければ、時期がどうのこうのということではないのではないかな、こんなふうに思っております。

逢坂委員 両提案者のきょうの話を聞いて、私自身も、この憲法改正の手続というのは、やはり粛々と、改正するしない、内容にかかわらず進められるべきであるということを改めて強く認識をしたわけであります。

 しかしながら、極めて重要な問題であることは言うまでもありませんし、冒頭に述べたとおり、例えば、欧州の視察においても、おりから出した猛獣のようなものであるという例えがあったり、きょうの話からもわかるとおり、投票ということにはある種の限界があるというのも事実だと私は思うわけであります。したがいまして、主権者たる国民の皆様が、このある種の猛獣性でありますとか投票の限界というものを十分に理解をする、そうした上で、要するにこれまで議論されている憲法改正の内容を十分に周知した上で、投票する以前の、制度そのものに対する深い認識というものを持った上で、この手続が確立されていくことが重要ではないか。そうすることが、冒頭に私が述べた民主主義の納得のプロセスをより強固なものにしてくれるのではないかなというふうに思っているところでございます。

 私のきょうの質問は以上で終わりたいと思います。どうもありがとうございます。

中山委員長 次に、石井啓一君。

石井(啓)委員 公明党の石井啓一でございます。

 十一月三十日の、この特別委員会のもとの小委員会での討議におきまして、与党案と民主党案の大きな違いでございました、一つは投票用紙への賛否の記載方法、二つ目に国民投票の投票権者の対象年齢、三つ目には国民投票の対象について、歩み寄りの方向が示されたことは大いに評価をいたしたいと思います。

 すなわち、投票用紙の賛否につきましては、与党案提出者から、マル・バツを自書する方式ではなく、賛成、反対の二つの欄を設け、投票人はどちらかの文字をマルで囲むことによって投票する方式に変更する。賛成、反対のいずれかの文字をバツや二重線で消すような記載についても柔軟に対応する。これに対して、民主党案の提出者からも、他事記載を厳格に排除する必要はないと考えており、投票者の賛否の意思が確認できるものをできるだけ無効票にしないような方式として与党案提出者からの提案は検討に値する、こういうやりとりがございました。

 また、投票年齢につきましては、与党案提出者から、国民投票法の本則で投票権年齢を十八歳以上と規定した上で、附則において、例えば公布後三年までに成人年齢等に関する法制上の措置を講ずるものとし、当該措置が講じられるまでの間は二十歳以上を投票権年齢とすることを検討したい。これに対して、民主党案提出者からは、本則で投票権年齢を十八歳以上と規定するとの提案に対して積極的に評価したい、成人年齢等に関する法制上の措置については、定められた年限までに政府がきちんと措置を行う担保をとっていただきたい、こういうやりとりがございました。

 さらに、国民投票の対象については、与党案提出者から、憲法問題などに限った予備的な国民投票は検討に値するという発言がありまして、民主党案提出者からは、一般的国民投票の一類型として憲法問題などに限った予備的国民投票を検討したい、さらに、予備的国民投票に関する調査、検討が本法によって設置される憲法審査会の対象であることを確認できるのであれば、提案は検討に値する、こういうやりとりがございまして、非常に双方歩み寄りの方向が示されたというふうに思っております。

 私ども公明党といたしましても、もともと両案の相違は少なく、より幅広い合意を得るために、与党と民主党双方が一致した形での法案成立を目指すべきだというふうに主張してまいりました。

 そこで、両法案提出者にお伺いしたいと思いますけれども、この両案の修正合意をできるだけ早期に、できれば今国会中におまとめいただきたいと思っておるんですけれども、その決意、お考えをお伺いしたいと思います。

    〔委員長退席、愛知委員長代理着席〕

葉梨議員 お答えいたします。

 もともとこの法律案は、石井先生が言われるように、私ども対決法案だとは認識をしておりません。憲法調査会においては中山会長、さらに憲法調査特別委員会においては中山委員長の非常に公正な議事の進め方の中で、与野党、もっとも、社民党、共産党さんはそもそも必要ないと言われていたことはちゃんと付して申し上げておきますけれども、与野党が公正ないろいろな話し合いをしながら合意直前まで行ったものが、さきの国会においてそれぞれ提出していこうというような経緯であったものですから、これは対決法案であるという認識は持っておりません。

 ただ、私が個人的に思いますのは、理事懇談会とか理事会でいろいろと今までも協議が図られてきたんですけれども、この臨時国会において、法案が提出されて、議事録にも残る形で、また参考人もお呼びしながら、いろいろ意見を聞いて、国民に開かれた形で議論をする中で、先般の十一月三十日の小委員会、あるいは十二月五日の憲法調査特別委員会の発言にもありましたけれども合意形成が図られつつある、そういうような形というのは、私はむしろ、かえっていい形になったのかなというふうに思っています。

 この問題は対決法案ではございません。したがって、政争の具にするとかあるいは党利党略のために使うということではなくて、開かれた形で丹念に議論をする必要はありますけれども、やはり早期に合意をすべきであると思うし、合意したものについては、これはもう粛々と成立を図る方向に進んでいくべきものじゃないかというふうに思います。できるだけ開かれた形でできるだけ早期の合意をということを目指して、私どももお話し合いをしてまいりたいと思っています。

枝野議員 石井委員からの御指摘、それから今の葉梨提案者からのお話と、基本的な認識を一致させていただいております。

 この法案は、憲法本体に対する考え方の違いを超えて、内容について中立公正であるという共通認識を持つことが何よりも大事な法案であるというふうに考えておりますので、できるならばすべての会派が一致をして制定されるべき性格のものであるというふうに思っております。

 したがいまして、与党二党と私どもに加えて、さらに国民新党の皆さんにも賛同をいただける形にしたいと思っておりますし、そのほかの二党の皆さんについても、今つくるべきであるかどうかについての意見が違っていることはもうはっきりしておりますので、法案に賛成をしていただけないとしても、もしどこかの時点でつくるのであるならばこういう中身であるなという内容的な賛同はいただけるための努力を最大限図っていかなければいけないと思っておりますし、これまでも図ってきているつもりでおります。

 その上で、石井委員御指摘の三点について、考え方がかなり近くなってきているということは大きな前進であるというふうに思っております。

 ただ、あえて、若干メディアなどが先走っている部分がありますので改めて確認をさせていただきたいんですが、私は、今のような前提で、これは政治的な意見の対立でどうこうという話ではない性質、むしろ技術的な問題のところできちっと詰められるのか。手続法というのは実は実体法よりも重要であって、実体法の部分が仮に間違っていても、しっかりとした手続があればその手続によって実体の誤りを正すことができますが、手続が誤っていたら何度やっても正しい中身はつくられないということになりますので、手続法の中立公正さと同時に、これは初めて行う制度ですので、実際に運用してみたときに見落としがあって何かトラブルが起こったということは許されない仕組みであります。

 したがって、技術的に問題がないのか、見落としがないのかということを丁寧にやっていかなければならない。そここそが実はこの法案の最大の問題であって、政治問題の部分は実は余り大した話ではない。その技術的な問題をどうやってきちっとチェックし、詰められるのかということが最大の課題であるということを、私は特にメディアの皆さんに対してこの一年間繰り返し申し上げてきました。

 若干政治性を帯びる三つの点についてかなり考え方が近づいてきたということは大変大きな前進でありますが、技術的な部分で例えばきょう既に議論が出ているところでも、テレビのコマーシャルの話、無効訴訟の話等について、実際に運用したときに、あれ、こんなことが起こるとは思っていなかったなんということにならないかどうかということのチェックをきちっとしていかなければならない。これを丁寧にしっかりやらなければならないというふうに思っています。

 そういったことを含めてきちっとした制度を、私は一貫して、無理にいつまでにやらなきゃいけないということで急がなければならないとは思っていませんが、逆に言えば、殊さらおくらせることは全くよくないことであるし、意味のないことでありますので、今言った技術的な点がクリアできた時点で、恐らくこの委員会での採決ということになるのではないか。それは今国会中かもしれないし、その後かもしれないというのは、ひとえに技術的な問題だというふうに思っています。

石井(啓)委員 今枝野委員がおっしゃったように、技術的な問題を丁寧に詰めておくということは非常に大事かと思います。一方で、余り長々と議論をしておりますと、国民の皆さんが、法案は出たけれどもいつまで議論をしているんだということにもなりかねません。また、余り時間をかけますと、国民の皆さんの関心自体が薄らいでいくというようなこともございますので、丁寧な検討となるべく早期の検討ということで、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 続いて、民主党案の提出者にお伺いしたいと思いますが、今申し上げた投票用紙への賛否の記載方法でございますが、与党から提案された方法、また、民主党さんも御主張されているように他事記載を選挙と同じように厳格に排除することまではないだろうということで、なるべく投票者の賛否の意思が確認できるように柔軟に対応することによって、無効票あるいは白票を少なくするということはできると思うんですね。そういった場合、過半数の定義については与党案の有効投票総数の過半数でよいのかどうか、この点について確認をしたいと思います。

小川(淳)議員 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、そもそも、公職選挙と異なりまして、厳格に無効票を排除して相対的な順位を競うという性質の案件ではないことから、私どもとしては、積極的な賛意を拾っていけば国民の承認を得られるのかどうか判断できるというところから出発したわけでございます。

 ただ、この間の議論、ごらんをいただきましたとおり、先ほど来技術的な詰めといったような議論も出てきております。例えば、複数のテーマについて何回か投票行動を行うときに、明確な棄権と明確な反対との峻別ができるのかどうか、そうした技術的な点もございます。

 したがいまして、御指摘のとおり、今与党案とのすり合わせの中で、有効投票総数の過半数という形で賛否の判断をしていく、この可能性については十分検討に値するものと判断をいたしております。

石井(啓)委員 続きまして、最低投票率制度についてお伺いしたいと思います。

 これについては、両案提出者から慎重な意見ということで、特に、憲法九十六条が要求する以上の要件を加重するものであり憲法違反の疑いがある、こういう指摘は私は説得力を持っていると思っております。

 ただ一方で、悩ましいところは、仮に一〇%、二〇%といった極めて低い投票率のもとで承認された憲法改正が、多くの国民の皆さんに本当に正当と受け入れられるのかどうかということについては、私は個人的にちょっと悩ましい点だなというふうに思っておりまして、両法案提出者は、極めて低い投票率の際の国民投票の有効性についてはどのようにお考えなのか、お伺いをいたしたいと思います。

葉梨議員 結論から申し上げますと、一〇%、二〇%にならないように、ちゃんとやはり努力しなければならないということだと思いますけれども、非常に悩ましいところでありまして、例えば大きな政治的なイシューになるような問題について、それほど低い投票率になるかというのは、私は個人的にはそうは考えていないのです。

 先般の憲法調査特別委員会の議論でもありましたけれども、この憲法審査会においては、相当長い時間をかけて、与野党の合意形成を図るためにいろいろな形での審議が行われ、そして国民の声を吸収するというような作業が行われる。その過程で、先般も議論になりました予備的国民投票という形もあるかもわからないし、少なくともいろいろな形での世論調査というのは丹念に行われていく。そして、その中で、例えば統治機構であるとか、あるいは国民が全くノーと言わないようなものについて、与野党も合意形成が図られて、非常に技術的な問題である。それについて国民投票をかけたときにどれほどの投票率になってくるかというのは、ちょっと私も自信が持てないところはあるんです。

 ただ、いずれにしても、投票率が低いという状態は決していいことではないし、やはり上げるという努力をしっかりしていかなきゃいけない。

 ですから、そこは一に、この憲法審査会の議論の中で、こういう問題だ、こういう問題だということを国民にどういう形で周知徹底していくかということが必要でしょうし、また、憲法教育ということで、憲法というのは非常に大事なものである、国民投票にそれぞれ参画することは国民にとって非常に大事なことであると丹念に教育をしていくこともやはり必要なことじゃないかなというふうに思います。

 諸外国の例でも、なかなか投票率というのは、特に、大きなイシューであるとそれなりの投票率をとるのですけれども、必ずしもそうではない場合は非常に低い場合もやはり間々あるようでございます。外国の調査をした過程でも、イタリアの大学教授の方から、最低投票率は設けない方がいいんじゃないか、あるいは、設けるとしても極めて低いラインにしておかないと制度としては動かなくなるよというような御指摘があったこともつけ加えておきたいと思います。

小川(淳)議員 民主党案も同様でございます。投票率の高い低いに関しては、これは公職選挙の際も同じような議論が出てくるわけでございまして、やはり高いにこしたことはありませんし、低いことは望ましくないという全く同様の考えを持っております。

 そこで、投票率を上げていくように努力するというのもそのとおりだと思いますが、一方で、テーマによっても恐らく投票率が高くなったり低くなったり。

 しかし、投票に行かれるのかどうかも含めて、最後は国民の皆様の判断にゆだねていく。公職選挙の際も同様ですが、そこまで含めて国民の判断を信頼し、ゆだねていくというような腹づもりが私どもには求められるのではないかという気がいたします。

石井(啓)委員 投票率を上げる努力をそもそもしなきゃいけないというのは、もっとも、そのとおりだと思います。

 ただ、極めて低い投票率に陥った場合は、改正の発議をして、国民に周知、理解を広げてもらうことに成功しなかったと受け取ることもできるのかなという感じがしておりまして、ちょっと私、個人的にまだ悩ましいなというふうに思っていると申し上げておきたいと思います。

 続いて、予備的な国民投票についてお伺いしたいのですが、国民投票の対象として予備的な国民投票が検討の俎上に上げられておりますけれども、どうもそのイメージがなかなかつかみにくいところがございます。具体的にどんなテーマをどういう形で予備的な国民投票として国民に問うかということは、今後検討されることでありますから固まったイメージというのはまだこれからだと思うのですけれども、現時点で、自民党、公明党、民主党の各党の提出者はどういうイメージでとらえられていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。

 あわせて、この予備的な国民投票について、憲法審査会の議論の対象にすることを法案に明記をされるおつもりかどうか、両法案提出者にお伺いしたいと思います。

保岡議員 先生、憲法に限定した諮問的、予備的な国民投票というものの具体的なイメージをお尋ねなんですけれども、その前提として、まず、我々は、今までも申し上げてきたとおりですけれども、一般的国民投票制度というのは、その効果が、仮に諮問的なものであったとしても、事実上ほとんど決定的な拘束力があるということは否定できない。これは議会制民主主義の根幹にかかわる問題で、現憲法が国会は唯一の立法機関であると規定している趣旨からも極めて大きな問題だという認識があって、したがって、我々は、憲法改正国民投票と一般的な国民投票とでは本質を全く異にするというふうに考えています。

 ただ、今回は、憲法改正国民投票法制に特化した議論に限定して、一般的国民投票制度というものは、その意義はいろいろ考えられるので否定するものではない、そういった意味で別途検討というふうに考えているわけです。

 おっしゃるように、憲法問題に限った諮問的、予備的国民投票制度というのは、憲法改正事項に直接民主制を取り入れた憲法九十六条そのものの趣旨からすると、憲法の許容するぎりぎりの範囲内とも考えられるので、検討に値するかなと。

 その場合には、お尋ねのイメージなんですけれども、これは恐らく、憲法改正をするに際して、国会が憲法改正の発議の内容を検討し成案を得ていく上で、国民にどういう意識があるかということをあらかじめ知って重要な参考にするという意味と、もう一つは、憲法改正の環境、条件を国民に問いながら得ていくという二つの要素があると思いますが、いずれにしても、どういうことを発議できるのか、その発議の形式あるいは要件ということなど具体的な制度設計については、今直ちに本法律案に明記する段階には達していない。そういうことで、今後の憲法審査会の調査事項の一つとして、各政党間においてよく検討していくべき事項であると考えています。

 そういうことで、この問題についての取り扱いはまたよく相談をしなければならないと思いますが、どういう形で憲法審査会の調査事項の対象として議論していくことについての担保をするかは、お話し合いをする中で適当な考え方もあり得るんじゃないかというふうに考えています。

赤松(正)議員 各党からということなので、公明党の考え方を申し上げさせていただきます。

 憲法改正手続に関する有権的世論調査的なる位置づけとしての予備的国民投票は、従来この委員会あるいは小委員会でも私は申し上げさせていただきましたけれども、要するに、たびたび卑近な例で恐縮でございますが、憲法を家の建築に例えたら、全く新しい家を建てるのか、あるいは増改築をするのか、あるいは家を建てないでおくのか。こういうふうな選択のときに、施工主としての国民が、でき上がったものが自分たちのイメージしたものと違うじゃないかということにならないように防ぐということが第一義的にある、こんなふうに思うわけでございます。

 そういった意味で、イメージとして、あえて私見でございますけれども言わせていただければ、新築としての全面改正、そして改修、増改築としての加憲、全くさわらないといういわゆる護憲、こういった大筋の方向性というものは何らかの形で国民の皆さんにあらかじめ問う必要性はあるんじゃないのかな、そんなふうに思っております。

 したがって、本当にこれも全くの私見のイメージですけれども、全面改正を問う、あるいはもし改正をするならどのテーマがお望みですかというふうなことを問いかける、マルをつけていただく、あるいは全く変えないでいくべきだというふうなこと、こういった大枠三つぐらいの観点で国民の皆さんの意思を問うことが有権的な世論調査というような格好で行われてしかるべきじゃないかというふうに思っております。

 大枠、先ほど与党の筆頭理事の保岡さんが言われたとおりであるわけなんですが、これもあえて私的な考え方を言わせていただきますと、そういうふうな形にするということ、予備的な国民投票の必要性ということについて附則に盛り込んでいただければいいんじゃないのかなというふうに今考えているということを申し上げさせていただきます。

    〔愛知委員長代理退席、委員長着席〕

小川(淳)議員 民主党案についてお答えを申し上げます。

 この点は、まさに出発点においては与党案との間に相当な開きがあったところでございまして、私どもはそもそも一般的な国政問題に関する国民投票制度をこの際設けたらどうかという主張をさせていただきました。その意味では、御指摘の予備的な国民投票というのは、私どもの主張した一般的国民投票に非常に近いものではないかというふうに推察をしております。

 現時点でのイメージでございますが、やはり憲法改正の原案、原文、改正案が出ていって国民の信を問うというその前段階、そもそも、例えばですけれども首相公選制についてどうだとかいったようなことを、案文にする以前の段階でテーマとしてとっていくというようなイメージになるのではないかと予想をいたします。

 この具体的な制度設計についての法案化でございますが、これは今与党の方からお答えになられたと同様、現時点でどういった法的な扱いをするかについてはいまだ明らかではございません。さらに検討、議論を進めさせていただきたいと思っております。

石井(啓)委員 続きまして、十一月の十六日の小委員会において、公明党の赤松委員から、憲法審査会につきまして、憲法調査会は改正を前提としない広範な立場から自由に一九四六年憲法を議論した、それが終わった途端に憲法改正案の議論を常設の機関で行うのではなく、まずは、憲法調査会の次の機関としての性格を持った場所で一九四六年憲法を俎上に上げて、改正を前提とした上であらゆる角度からの議論をしっかりやらなければならない、それは憲法審査会の仕事を前半、後半に分けた前半の仕事ではなく憲法審査会とは別の場所でやるべき、こういった主張がされておりますけれども、これに関しまして、自民党、民主党提出者の見解をお伺いしたいと思います。

船田議員 石井委員にお答えいたします。

 確かに、十一月十六日のこの委員会のもとに置かれた小委員会におきまして、与党提案者の一人でもございます赤松委員から、今御指摘のような趣旨の御発言がございました。我々もこれは大変重要なことだというふうに考えております。

 要すれば、憲法調査会において、広範な立場から自由に現憲法の問題点あるいはすばらしい点、こういったものをお互いに確認し合おうではないかということで五年間やってきたわけであります。

 そして、その後どうするかということでございますが、いきなり憲法改正原案について議論をする、あるいは議決を行う、あるいは提案もする、こういうことはやはりなかなか想定しにくいことであり、むしろ、それは一定の期間そういうことを凍結して、改正ということを前提とし、あるいは改正の検討のための調査を深めていく、こういった第二段階が必要であるということは、私どもも従来から認識をしてまいりました。赤松委員の御指摘によりまして、さらにその気持ちが強くなったところでございます。

 ただ、私ども、現在修正をいろいろ考えておりますけれども、その一つに、国民投票制度本体部分が公布から二年間は施行されない、こういう期間がありまして、これに合わせて、二年間、今申し上げたような憲法審査会の中での憲法改正原案の審議を凍結するということを思っておりましたけれども、赤松委員からの御指摘もあり、第二段階というものをより丁寧に行うということを考えた場合には、二年ではなくてやはり三年程度必要ではないのかな、凍結期間を三年間にする、こういう前提でまた修正を加えていきたい、このように考えております。

 御指摘の点は、十分に認識をして、今後の修正案の中で真摯に協議をしていきたいと考えております。

小川(淳)議員 民主党案も同様でございます。基本的な調査をしっかりやるべきだ、あるいは別の機関でやるべきだという御主張については、それなりに力のあるものだと思っております。

 ただ、大きく違いますのは、国民投票法制がこの法案が成立した時点で完備をされる、つまり、いつどの段階でも改正について国民の賛否を問う実戦配備ができるわけでございます、手続的に。その前提に立ちますと、やはり議案の審議、あるいは提出、そして採決まで含めた憲法審査会というのが同時に実戦配備されるといったような位置づけは、法制的には必要なことだろうと思います。

 したがって、その法制的な位置づけを前提にし、かつ委員御指摘の基本的な調査をじっくりやるべきだということの要請、このバランスを考えたのがまさに二年ないし三年の凍結期間、そして基本的な調査に専念する期間というふうな位置づけを置いているわけでございまして、ぜひこの点は御理解をいただきたいと思っております。

石井(啓)委員 赤松委員に伺いますけれども、今両党からの答弁がございましたけれども、それを踏まえて、改めて御見解なり御感想なりをお伺いしたいと思います。

赤松(正)議員 私の言った趣旨は、この間、あの場で申し上げて、中山委員長からたしなめられましたけれども、ここの憲法調査特別委員会も、必ずしもこの法案の審議だけではなくて、いわゆる憲法にまつわる全面的な調査もするということがこの委員会の仕事に入っているわけですね。それから、もともとの憲法調査会も、繰り返すようですけれども、憲法改正を目的とした場ではなかった。

 ですから、そういう部分で、次の段階というときに私が言っているのは、一つの場としてのものを置くことによって今の一九四六年憲法というものをしっかり吟味するんだよということを国民の皆さんによくわかっていただくためにも、前の段階の延長線上にあるものとしての場が必要じゃないのかということを申し上げまして、憲法審査会の場のついでにやる前の、空白の二年間あるいは三年間にそれを当てるというんじゃないんだ、力点の置き方が違うんだということを言いたかったわけでございます。

 ただ、今両党の二人の委員がおっしゃったように、そういうことを十分に踏まえた上で、憲法審査会の場において、おまえの言ったそういうことを含めてやるんだよということでありますならば、あえて違う看板をかけるということにどこまでも固執するつもりはないと思います。

石井(啓)委員 これで最後にしますけれども、今船田委員の方からございました、凍結期間を二年から三年に延ばすということは結構かと思います。ただ、第二段階としての調査を行う期間が三年で最長だよということではなくて、私は少なくとも三年という位置づけで、三年たったらもうすぐに発議に向けての議論をやるんだということではないだろうということを申し上げて、私の質問を終わります。

中山委員長 次に、福島豊君。

福島委員 本日は、いささか抽象的なといいますか、私の問題意識についてお聞きをしたいと思っております。

 ただいま石井委員の方から、法案についての個別の論点について御質問がございましたが、私の方は、もう少し全体のプロセスを日本の今の社会の中でどう考えていくのかということをお聞きしたいと思っております。

 それに先立ちまして、まず何よりも大切なことは、与野党超えて合意形成を速やかに進めていただきたい、こういう要望でございます。そもそも、改正のための手続というものが存在しておらないという事態の方が一国の法体系としては私は整合性がないのではないか、そのように思っております。

 ただ、どのような手続によってこれを行うのかということについては、新しい制度を創設するわけであります。現在の日本の社会の状況、またメディアの著しい発展等々さまざまな状況が憲法の制定当時と大きく変わっておりますし、つくった後にここをこう改めればよかったなというようなことがないように、そこのところはよく議論をしていただいて、しかし、いつまでもだらだらやるわけにはいかないというのもそのとおりだと思っておりますし、迅速に合意形成に努めていただきたいというふうに思っております。

 この点についての与党また民主党提出者の両方の御決意を再度確認いたしたいと思います。

葉梨議員 先ほど石井委員にもお答えをさせていただきましたけれども、やはりこの問題というのは、政争の具にする、あるいは党利党略の具にするということではなくて、開かれた場でしっかりと早期に合意形成を図っていくということが必要だというふうに思います。

 もともと、与党案と民主党案に大きな差異があったというふうには認識していませんし、対決法案であるというふうにも認識していないんですけれども、幾つか対立点として、例えば十八歳あるいは二十ということで、ほかのいろいろな関連する法律にかかわるもので多少技術的な検討も必要だなというものもございました。

 また、一般的国民投票、予備的国民投票といったものを、では憲法改正の中で予備的国民投票というものが必要かどうか。そういった制度設計ということになりますと、現行憲法との絡みであるとか多少の時間もこれまた必要かなというような危惧を持ったんですけれども、たまさか今憲法審査会の議論が石井委員それから赤松委員からも闘わされましたけれども、二年ないし三年、少なくとも三年というお話が石井委員からもございましたが、その間は新しい憲法改正案について議論するわけではない。ですから、逆に言えば、この憲法審査会の中において、例えば十八歳、二十の問題にしても、予備的国民投票の問題にしても、技術的な、制度的な設計ができる、そういう時間ができたのかなというような感じを私は個人的には持っています。

 ですから、その他の問題について、やはり明確に合意できるところについては私は早期に合意すべきだし、そういった十八歳、二十、それから予備的国民投票、ほかの問題との関係で技術的な検討を必要とする問題については、やはり憲法審査会の場で今後も議論していくというような姿勢が必要じゃないかと思います。

小川(淳)議員 民主党も同様に考えておりまして、これは両党がそれぞれ案を提示したことで、かえって国民の皆様から見える場でいろいろな意見集約が進んできたというのが、この委員会審議の一つの成果じゃなかったかという気がいたします。その意味で、大分歩み寄りができてきたところもございますし、ある種の方向感をつかんできました。

 しかし、さらに技術的な詰めを要する点も残っているわけでございまして、とにかく、できるだけオープンに、できるだけ早期に、できるだけ幅広い合意を目指してこれからも協議を続けていきたいと思っております。

福島委員 今葉梨委員の方から御発言ありました、技術的にいろいろと詰めなきゃいけないものは引き続きやってという話だったんです。

 私は、二段階で基本的に共通している部分というのをきちっと確認して、幅広くというふうに民主党の提出者の方からお話があったんですが、何から何まで合意をするということではなくていいと私は思うんです。多少残す課題というのは技術的に詰めるということで、きちっとここまでのコンセンサスはできましたということで、一定の区切りをつけていくということが必要なんじゃないかなというふうに私は思っております。

 それから、前回の会議のときにも御質問したのでありますけれども、国民の憲法に対しての認識というのは、実はそれほど深くはないのではないか。何が問題なのかということについても、例えば集団的自衛権の問題にしても、どこまで認識をしてもらっているんだろうか。

 ただいま石井委員の方からありましたが、投票率が非常に低かったときにどうするのかということともつながってくるのでありますけれども、日本国の憲法の見直しのプロセスというものがまさに国民に根差した形でしっかりと行われるためには、その前提として、憲法自体が国民にどのように理解をされているのか、ここのところに改めて光を当てる必要があるんじゃないかというふうに私は思っております。

 そういう意味では、教育の問題が非常に大事だと思います。どのような形で教育の中で憲法というものが教えられるのか。そして、諸外国の憲法もさまざまな見直しが行われているわけでありまして、そういったプロセス自体がどういうものであるのかについても、私はやはりしっかりと教育をしていく必要があるというふうに思うわけであります。

 憲法について見直しを仮に行うとした場合に、国民一人一人がそうしたことについてどういうふうな視点で判断をするのかということについての土台といいますか、共通した認識といいますか、そういうものがやはり要るんだろう。これは、どの立場に軸足を置いてということで申し上げているつもりは全くないわけでありまして、一般論としてそういうことはあるのではないかというふうに私は思っております。

 この点について、与党提出者また民主党提出者それぞれのお考えを、お考えといいましても、多分一人一人相当違うのかもしれないなと思うわけでありますけれども、お聞きできればと思います。

赤松(正)議員 憲法をどのように教育の場で教えていくというか取り扱っていくのかということは、極めて大事なことだろうと思います。

 私は一九四五年生まれでございますので文字どおり戦後教育とともに歩んできたわけですけれども、自分の過去を振り返ったときに、憲法をどれだけ学校教育の場で勉強したのかなというと、ほとんど余りそういう記憶が、もっとも、ほかの問題についても覚えているわけじゃないんですけれども、余り記憶は定かでない。

 それは、よく今の教育基本法改正の流れの中で、あるいは今の未履修の問題等の中で、世界史、日本史、地理、こういったものの選択をどうしていくのかという流れの中で、特に歴史が、やはり現代史を教えるという部分で、教師の側の姿勢、人によっても大きく違うと思いますけれども、自信を持って教える人と、いろいろ意見が分かれるのでさわらないでおこうという、まあ、そんな教師がいるかどうかは別にしまして、こっちの受けとめ方としては、やはり難しい、ややこしいテーマなのでということで、どちらかというとほとんど学生にとって興味のないと言ったら怒られますけれども、古代から始まっていって肝心かなめの現代史に来たら時間切れというケースが多くて、ちょっと私、古い感覚で申し上げているかもしれませんけれども、そういう意味では、まさに日本史にとっても世界史にとっても、今を生きる人間にとって最も大事な規範である憲法のくだりになると、いろいろな意味で余りさわられないということが過去の実態じゃなかったのかなという感じがいたします。

 そういう意味で、これからまさにそういうタブーを置くことなく、憲法について、今福島委員が御指摘になられたように、日本国憲法の成り立ちについて、経緯とかあるいはまた中身についても、あるいはまた各国がどういうふうな憲法を持っているのか、まさに憲法調査会あるいは当憲法調査特別委員会に所属している私たちがこの数年いろいろ勉強をさせていただいたようなことの、そんな難しいことではなくてもっと簡略化した形、事実としてのそういう経緯、諸外国のありよう、また日本の現行憲法の、過去のいろいろな意見があった、そういう部分を並列的に吟味する材料、こういったことを学校教育の場においてしっかり教育するということが大きく取り入れられていくべきではないか。

 今、二十歳にするかあるいは十八歳にするかということで、十八歳という方向性が濃厚になってきているわけですけれども、そういう意味で、若い世代にとって極めて重要な関係のある憲法というものについて、若い段階というか年少の段階から、わかりやすい憲法の話というものを日常的な学校教育の中でしっかり取り入れていくことが極めて大事だ、そんなふうに考えております。

小川(淳)議員 今赤松先生から、世代を反映した御答弁がございました。

 私は四十六年生まれでございまして、やはりそれなりに公民教育とか憲法教育、社会科での授業は充実していました。しかし、振り返りますと、憲法というのはやはり変わらないもの、変えられないもの、変えてはならないもの、硬性憲法という存在感として教わったなと、これは私見ですけれども、そういう感覚がございます。

 今ここでこういう議論をしている以上、やはり憲法というのはそうころころ変えるものでは当然ありません。ありませんが、やはり時代に合わせて変わっていくもの、変えていくものという前提に立った動的なものとして、学校教育なんかでも憲法価値観みたいなことを議論したり、あるいは教えていくという、一つの時代の変わり目なのかなという気がいたします。

 私見で恐縮ですが、お答えにさせていただきます。

福島委員 私見でしかお答えできないようなことばかり聞きまして、大変申しわけなく思っております。

 次もそういった種類の質問なんですが、実際に憲法の見直しを行うプロセスの中で、メディアが果たす役割というのは極めて大きいんだろうなというふうに思います。そのときに、立法府としてどういう形で何を訴えていくのかということも当然あると思います。そしてまた、メディアに対してどういった報道を要請するというか、これも大変難しい言葉なんでありますけれども、どういうふうに全体のプロセスにメディアがかかわってくるのか。また、メディアとしての責任もあるんだろうなというふうに私は思うんですね。憲法という日本の社会の基盤であるところの法律を国民がどう判断するのかということを問いかけるときに、メディアが果たすべき役割また責任というものも恐らくあるんだろうというふうに思っております。

 こういったメディアの位置づけといいますか、具体的に法律でどうこうということではないのでありますけれども、全体的な考え方を、与党また民主党提出者の人にぜひお聞きできればと思います。

葉梨議員 今も教育のお話がありましたけれども、国民の間で憲法に対する関心を高めていくということ、それから憲法を改正すべきかしないべきか、そういったことについても有益な情報を提供していくという意味では、やはりメディアというのは極めて大事なことだと思います。でも、関心を高めるというのは、余り規制とかそういうような手法になりますと、やはり関心を高める方向に、お仕着せになりますと行かないわけなんです。

 ですから、メディアの位置づけというのは極めて大事だけれども、その手法においては、やはり自由な発想で、表現の自由を重んじて、自由闊達な議論をメディアの中でもしていただくということが当然のことながら重要になってくるだろう。そういうことで、この法律では基本的にはメディアの規制は行わないという形になっているわけなんです。でも、メディアというのは極めて大事であるというような位置づけになっております。

 ただ、現行放送法、特にいわゆる放送メディアについては、その影響力の大きさから、現行放送法で公正中立というような規定が現在あるわけで、私ども、今現在、提出者としてはこれで十分だというような意見を持っているわけですが、今福島委員からもお話がありましたように、例えば、賛成意見と反対意見が平等かつ正確に放送されるためには放送法の現在の規定のみで十分であるのか、そこら辺のところはまだ検討を加えていきたいというふうに思っています。

小川(淳)議員 私どもも同様でございまして、これは本当に、報道番組あるいはバラエティー番組を含めて、大変大きな影響力をメディアが持つことになるだろうという気がいたします。その上で、それをやはり信頼して、自律的、自主的な倫理観でもって報道に努めていただくということで、今回、特に規制を置かないという位置づけになっております。

 それこれ含めて、やはり一方で、新聞等残るメディアで冷静な議論、客観的な議論を進めていただく。一方で、大きく議論にもなりましたが、スポット広告などの扇情的な広告などについては、最低限の規制でもって、できるだけ国民の判断を冷静な方、客観的な方へ引き戻す。そういうバランスをとりながら、これは本当に死活的な、生命線的な役割を、このメディアには憲法論議に際しても果たしていただきたいと期待をいたしております。

福島委員 メディアはそれぞれの立場で、どういった見直しが行われるべきかという意見を当然持つ権利はあるんだと思うんですね。また、そういうことを表明する権利というのも当然あるんだと思うんですが、一方でどういった議論が行われており、またどういった意見が国民の中にあるのかということについては、バイアスを与えるということではなくて、提出者から御答弁がありましたように、できるだけ公平に客観的な情報を提供する、それに基づいて国民の投票行動はお一人お一人決めていただく、その媒介を果たすという役割も両方ある。

 ここのところを両方明確に、区分というのもあれなんでしょうけれども、一方でその意見を表明する立場と、そしてまた公平公正に報道する立場、この両方を両輪としてきちっと使い分けてというかバランスをとってやっていただくということが極めて重要なんじゃないかなというふうに私は思っております。

 続いて、憲法の見直しのプロセスの中において政党の果たす役割、これはメディアと同時に極めて大きなものがあるというふうに思っております。

 先般、審査会の役割に期待されることは多々ある、こういう話がありました。立法府として国民の意識喚起をすると同時に、また政党も一定の役割を担っていかなければ国民の意識喚起というものは十分行われないだろう。それはそれぞれの立場がありますが、それぞれの立場で取り組む必要があるんだろう、こういうふうに思っているわけであります。

 この点について、政党の果たす役割ということに関して、与党提出者また民主党提出者の方にお考えをお聞きしたいと思います。

葉梨議員 政党の果たす役割ということの御質問ですけれども、立法府においてはもう既に広報協議会などの議論が行われていますけれども、やはりできるだけ、発議機関の責任としてではあるけれども、賛成、反対、公正中立にというような形が今までの議論の中でもあるわけなんですが、政党というとさらにもう一つ加わってくるわけです。

 やはり政党というのは、立場を持っている政党ですから、それぞれの立場から、憲法の改正案あるいは改正しないということについていろいろな発言をしていくということが求められるわけなんですが、そこで一つやはり注意しなければいけないのは、憲法審査会の中でいろいろな政党が、まず当初は何年後になるのかわかりませんけれども、いろいろな形での、改正案なのか創憲案なのか加憲案なのか、そういったものを持ち寄ってきて、そして政党同士がいろいろと話をしながら、単なる妥協ということではなくて、より高次の段階、つまり弁証法の止揚、そういった形で何らかの合意形成が成るということは、もともとの自分たちの案とは違うわけなんです。このことをしっかりと政党というのは説明する責任がその時点においては出てくるわけです。

 なぜもともとの案よりもこういう形の案になったのか。こういう形であれば、我々の党としても、党利党略を超えてこれは日本の枠組みとしてしっかりとこれでやっていけるんだということを、やはり政党はそれぞれの政党の立場で説明しなければいけない。これは非常に重要なポイントであって、その時点においては政党というのは、統合のためのエントロピーを高めるのではなくて、やはりインテグレーションという形を考えた中で国民に説明していく。これをやると、それぞれの政党の支持者にとって憲法に対する関心というのは相当高まってくると思うんです。

 やはり、憲法の議論というのは、何か密室の妥協の産物で行われたのではないということを国民に対してしっかりと知らしめていくというのは、私は政党の責任だと思っています。

小川(淳)議員 民主党といたしましても、立法府あるいは政党に所属する者として、この国民の意識喚起というのは大変重要と考えております。

 まずは、議論を進めてきた内容、経過を一番よく知っている当事者として、この広報協議会あるいは投票公報の発行、それから無料広告枠を活用しての意識啓発に努めていく。これは直接当事者としてのそういった働きかけ、あるいは間接的には、先ほど委員の御議論にもございました、メディアの役割ですとか最低限の規制のあり方等々の議論を含めて、直接当事者あるいは間接当事者としての幅広い国民の皆様との向き合い方、おつき合いの仕方、これを立法当事者として考えていくということだろうと思います。

福島委員 最後に一点また御質問いたします。

 歴史認識の問題もそうなんですが、やはり私は、いまだに国民の中に大きな溝がある問題というのが幾つもあるんだろうな。例えば核武装の議論の問題とか集団的自衛権もそうかもしれません。そういった溝そのものが大分変わってきたのかなという気がしないわけでもないんですけれども、ただ、なくなったというようなことではなくて、やはり厳然として存在しているんじゃないか。そういったものが、憲法の見直しの中で、溝が溝として残ったままどちらかがどうだというようなことではなくて、私は、できればこういったものが昇華されていく、インテグレートされていくというプロセスが要るのかなという気もします。

 ただ、なかなかそれは実際難しい話なんだろうなというふうには思いますが、それは立法府の中でということもありますし、国民の意識としてどうかなというのもあるんですね。国民の意識としても、そういったあたりのことがどういうふうにインテグレートされていくのかということがあるんじゃないかと思うんです。

 ですから、そのためには、先ほど両提出者からもお話がありましたように、できるだけ公開の場で、開かれた形でいろいろな議論をしっかりと見せていく。その中で何がどういうふうに変わっていくのかというようなことが、ある意味でこういった溝、今まで、かたくななと言ってはいけないのかもしれませんけれども、ある意味ではそういう議論が繰り返されてきたわけでありますけれども、それをインテグレートするような議論がどれだけこれからまたできていくのかということが求められているんじゃないかというふうに思うわけであります。

 この点について両提出者の方から御意見を承って、私の質問を終わりたいと思います。

赤松(正)議員 今福島委員の御提起された問題は私も同じ問題意識を持っていて、極めて重要な問題提起だと思います。

 今、大きな認識の溝がある、そしてそれが昨今狭まりつつある、こういうふうに思えるという御指摘もございました。

 私が思いますのに、先ほど例として核武装あるいは集団的自衛権の問題ということを言われましたけれども、かつて日本の安全保障をめぐる国会における議論というのは、私なんか、かつて日本社会党で安保七人男なんというふうな名称で語られたりして、日米安保条約をめぐる国会における議論というのは、私が若いころ、極めておもしろいというか興味を引かれたテーマではありました。

 しかし、それはやがて年を経るにつれて、結局、体制選択、不毛の対立、要するに、全く国家観が違う人たち同士の議論というのは余り生産的でないなということがはっきりしてきたというふうに私は思います。ただ、それは今なお引き続き、そういう議論の必要性ということの、強くそういう観点に依拠しておられる人がいるということもわかっておりますし、その議論もまた大事だと思います。

 したがって、そういう観点からいくと、今の時点で必要なことというのは、やはりそういう大枠としての、私があえて言った、かつて不毛の対立と言われたのはそういう体制選択に絡めての話。そういったものは、それはそれとしてやる。もう一方で、やはり同じ土壌に立つ上で、どういうふうにしてこの国を守っていくのかという日本国防衛についての、同じ土壌の上に立って方法論が違うという人たちの議論と立て分けてしっかりやっていく必要性があるのじゃないのかなということを昨今痛切に感じる次第でございます。

 そこで大事なことは、要するに、国益とは何かということと国をどう守るかということと自分の所属する政党をどう守るかというのは全然違うということで、これはあえて私自身の体験を言いますと、かつて野党の時代に、国益という言葉に対してある意味で非常に生理的に嫌悪感を持った時代があった。しかし、今になってみれば、国益というのは大事だ、こう思うわけであります。

 どうしてもここで結論的に言わせていただきますと、大事なことは、まず改憲ありきとか、まず護憲ありきということではなくて、やはり、この国に生きている人間、政治家として、どうやってこの国を守るのかということについて、まさに政党の枠を超えてしっかりと議論していくということが、福島委員が提起された、共通の認識を形成していく上について極めて大事なことである。だから、言ってみれば従来のそういう枠を超える必要がある。

 ですから、核武装論なんかも、いわゆる大臣をしておられる人が言うのは問題があろうかと思いますが、そうでないところで普通の政治家がどんどんそういった部分についてはタブーを置くことなく議論するのは大事なことである。集団的自衛権の問題、つまり海外における武力行使、それと我が国をどう守っていくのかという部分における問題等をしっかりそれぞれにおいて議論していくということは極めて大事だと思います。

 以上です。

小川(淳)議員 ここもやや私見が入らざるを得ないあれかもしれませんけれども、御指摘のように、特に歴史認識とかあるいは核武装それから集団的自衛権、委員が個別に御指摘になりましたこういうものについては、まるで遠心分離器にかけたかのように議論がどんどん拡散をしてさらに対立が深まる。こういうのは、私もいろいろな有権者との接触の中でもすごく感じてまいりました。恐らくそういうことが、国会の中でも、例えば伝統的な改憲派とか護憲派とかいうところに影響を及ぼしているという側面は否めないんだろうと思います。

 ただ、二つ申し上げなければなりませんが、ひとまず国民投票のルールについては、特定の改憲派、護憲派どちらにもくみするものではないものとして整備をしたいということが一つ。

 もう一つは、おっしゃる国民の共通認識をつくっていくためには、ある意味これは痛みを伴う議論かもわかりませんが、私は、これまで議論が徹底的に不足をしていたか避けてきたかというところにやはり原因があるような気がしてなりません。我々国会議員が率先して、痛みを伴いながらしっかり議論を闘わせていくこと、これが唯一の、遠回りのようで一番の近道のような気がいたします。

中山委員長 午後二時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十九分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時二分開議

中山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 今国会も会期末が近づいてくる中で、自民、公明案と民主党案が、修正協議で合意とか、それから修正で合意とかというような活字が躍ったりしているような状況も一方であります。また、だらだらせずに今国会で採決かもしれないという話もありましたが、私は、今、論外だというふうに感じております。

 前回の委員会の発言でも申し上げましたが、両案の間には歩み寄りとか最終合意に向けたステップとかいうのがあるのかもしれませんが、主権者国民から見れば、手続法案の根幹にかかわる問題点といいますか、そういう意味では対立点というのは厳然としてあるということが言えるんだと思うんです。そういう点で、そもそもの問題を含めて幾つかただしていきたいと思います。

 まず、改めて、そもそも論といいますか、私は、当委員会でも、それから前国会の本会議の質疑の中でも、改憲手続法がないことで国民の権利が侵害された事実はなく、また、今日においても手続法を求める国民の世論も運動もないもとでなぜ今改憲手続法をつくろうとしているのかをただしてまいりました。

 それで、両案が国会に提出されてから、これは前国会で継続になっているわけですが、既に半年が経過しているわけであります。そして、法案提出者の皆さんは、本委員会での議論そのものが国民への周知のための重要な機会だというふうなことを繰り返し言われて、十月二十六日には、テレビも入って、国民にも知ってもらおうということで質疑が行われたということでありました。

 ところが、国会に寄せられる国民の意見はどういうものかということを冷静に見てみますと、参考人にも来ていただきましたが、日弁連を初めとする法律家団体やメディア関係者、それから自治体労働者の団体や教育者団体など、寄せられる意見書や要請書というのは手続法案に批判的なものばかりが圧倒的だと思うんです。それで、国会への請願も、これは間もなく今国会の状況がまとまるんだと思うんですが、圧倒的に、この手続法案、国民投票法案は反対とか廃案にせ