第5号 平成18年11月9日(木曜日)

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平成十八年十一月九日(木曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 中山 太郎君

   理事 愛知 和男君 理事 近藤 基彦君

   理事 福田 康夫君 理事 船田  元君

   理事 保岡 興治君 理事 枝野 幸男君

   理事 園田 康博君 理事 赤松 正雄君

      新井 悦二君    伊藤 公介君

      越智 隆雄君    大塚 高司君

      岡部 英明君    加藤 勝信君

      柴山 昌彦君    杉田 元司君

      谷  公一君    渡海紀三朗君

      野田  毅君    葉梨 康弘君

      早川 忠孝君    林   潤君

      平田 耕一君    深谷 隆司君

      藤井 勇治君    二田 孝治君

      矢野 隆司君    安井潤一郎君

      山崎  拓君    吉川 貴盛君

      逢坂 誠二君    岡本 充功君

      玄葉光一郎君    鈴木 克昌君

      筒井 信隆君    中川 正春君

      長妻  昭君    平岡 秀夫君

      古川 元久君    石井 啓一君

      大口 善徳君    福島  豊君

      笠井  亮君    辻元 清美君

      糸川 正晃君

    …………………………………

   議員           加藤 勝信君

   議員           葉梨 康弘君

   議員           船田  元君

   議員           保岡 興治君

   議員           枝野 幸男君

   議員           小川 淳也君

   議員           鈴木 克昌君

   議員           園田 康博君

   議員           赤松 正雄君

   衆議院法制局第二部長   橘  幸信君

   衆議院憲法調査特別委員会及び憲法調査会事務局長  内田 正文君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月九日

 辞任         補欠選任

  大村 秀章君     大塚 高司君

  坂本 剛二君     杉田 元司君

  棚橋 泰文君     吉川 貴盛君

同日

 辞任         補欠選任

  大塚 高司君     大村 秀章君

  杉田 元司君     岡部 英明君

  吉川 貴盛君     棚橋 泰文君

同日

 辞任         補欠選任

  岡部 英明君     坂本 剛二君

    ―――――――――――――

十一月九日

 国民投票法案の廃案を求めることに関する請願(石井郁子君紹介)(第三七〇号)

 同(笠井亮君紹介)(第三七一号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第四四九号)

 同(志位和夫君紹介)(第四五〇号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第四五一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 日本国憲法の改正手続に関する法律案(保岡興治君外五名提出、第百六十四回国会衆法第三〇号)

 日本国憲法の改正及び国政における重要な問題に係る案件の発議手続及び国民投票に関する法律案(枝野幸男君外三名提出、第百六十四回国会衆法第三一号)


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     ――――◇―――――

中山委員長 これより会議を開きます。

 第百六十四回国会、保岡興治君外五名提出、日本国憲法の改正手続に関する法律案及び第百六十四回国会、枝野幸男君外三名提出、日本国憲法の改正及び国政における重要な問題に係る案件の発議手続及び国民投票に関する法律案の両案を一括して議題といたします。

 本日の議事について申し上げます。

 本日は、去る七日に行われた小委員会での両案中のメディア規制・国民に対する周知広報に係る事項の審査について、小委員長からその経過及び概要の報告を聴取し、小委員である委員から発言していただいた後に質疑を行い、小委員以外の委員各位にも小委員会における議論について認識を共有していただければと存じます。

 それでは、まず、小委員長から報告を求めます。日本国憲法の改正手続に関する法律案等審査小委員長近藤基彦君。

近藤(基)委員 それでは、御報告申し上げます。

 日本国憲法の改正手続に関する法律案等審査小委員会における審査の経過及びその概要について御報告申し上げます。

 本小委員会は、去る七日、会議を開き、参考人として、社団法人日本民間放送連盟報道委員会委員・報道小委員長渡辺興二郎君、社団法人日本民間放送連盟放送基準審議会委員・放送倫理小委員長山田良明君、ジャーナリスト・真っ当な国民投票のルールを作る会事務局長今井一君、日本弁護士連合会副会長吉岡桂輔君及び専修大学文学部助教授山田健太君をお呼びし、日本国憲法の改正手続に関する法律案及び日本国憲法の改正及び国政における重要な問題に係る案件の発議手続及び国民投票に関する法律案、特にメディア規制・国民に対する周知広報について御意見を聴取した後、これらの参考人に加えて、日本弁護士連合会憲法委員会事務局長菅沼一王君にも御参加いただき、懇談を行いました。

 会議における参考人の意見陳述の内容を本委員会全体で共有するために、その概要を簡潔に申し上げますと、

 渡辺参考人からは、

 まず、当初検討されていたメディア規制が基本的に盛り込まれなかったことは率直に評価したいとの見解が述べられました。

 次に、国民投票における放送の使命は正確な報道と議論を触発するための場を提供することであり、民放連では、政治的公平と多角的論点の提供という観点から、偏りのない放送を心がけているとの意見が述べられました。

 また、政党に認められる無料の意見放送については、国会の発議の時点で賛成が三分の二に達しているため、賛成意見が圧倒的に多くなることが予想され、バランスがとれないのではないかとの危惧が述べられました。

 また、憲法改正において、国会の役割は発議であり、その後は国民の自主的判断と議論に任せられており、政党にのみ特権を与えることには疑問があるとの意見が述べられました。

 山田良明参考人からは、

 まず、投票日前七日間の国民投票運動のための広告放送の制限について、この時期においては国民の議論が最も活発になされるべきであり、放送の自主自律の観点から反対であるとの意見が述べられました。

 また、国民投票のCMについては、商業CMと異なる、これまでにないCMの形態であり、課題は少なくないが、自主的に解決していきたいとの意見が述べられました。

 今井参考人からは、

 まず、テレビ、ラジオを通じた広告については、理性より感性に訴える力が強く、また、広告料金が高く、資金の多寡によって不平等を生むおそれがあるといった放送広告の特徴を踏まえ、事業者の常識と良識による自主的な制限が望ましいが、それがなされない場合には規制もやむを得ない、しかし、期間については、期日前投票が開始されるまでしか認めるべきでないとの意見が述べられました。

 一方、新聞や雑誌等の活字媒体を通じた広告については、一切規制の必要はないとの意見が述べられました。

 また、テレビ、ラジオ番組のキャスターの発言について、意見表明は自由とすべきであるが、反対の意見への配慮も必要であり、これに係る規制については良識に基づいた自主的な制限が望ましいとの考えが述べられました。

 吉岡参考人からは、

 まず、当初検討されていたメディア規制が削除されたことは率直に評価したいとの見解が述べられました。

 次に、憲法改正に関するメディアにおける意見広告、国民に対する周知広報については、あくまでも賛否平等でなければならないとの見解が述べられました。

 その上で、投票日七日前からの放送規制に反対であること、政党等以外の団体や市民にも無料広告を認めること、無料広告枠について、賛成、反対の意見を同等の割り当てとすること、広報協議会の構成について、外部委員の選任の検討を含め、賛成、反対の意見が平等に反映されるように委員を選任すべきであること、国民投票公報は、国民の目線に立って、正確かつわかりやすく丁寧に、公正な立場から作成されるべきであること等の意見が述べられました。

 山田健太参考人からは、

 まず、広告表現は商業活動であるとともに、憲法が保障する表現の自由の一形態であり、原則自由で必要最小限の合理的規制とすべきであるとの見解が述べられました。

 その上で、メディア規制について、投票日七日前の運動禁止の根拠等についての問題点が指摘され、さらに、無料広告枠の提供について、政党等にのみ認める根拠、広報広聴活動について政治的機関である国会に広報の内容を負わせることの危険性、議員数を配分の基準とすることの危険性等についての問題点が指摘されました。

 これらの問題点を踏まえ、より具体的な見直しの方向性として、広告を含むメディア規制は行わないこと、認定団体に対する広告助成等の意見が述べられました。

 このような参考人の御意見を踏まえて、小委員及び参考人の懇談が行われ、小委員及び参考人の間で活発な意見の交換が行われました。

 特に、今回のテーマであるメディア規制・国民に対する周知広報について申し上げますと、まず、総論的な事項として、当初検討されていたメディア規制が盛り込まれなかったことに対し、各参考人から高く評価する声が多く述べられました。

 放送の中立性に関しては、放送法三条の二に定められており、放送局には放送の公平が義務づけられていることから、国民投票に際してもバランスを欠いた放送を行うことは考えられず、個別の放送のあり方に関しても、基本的には各放送局の自律的判断にゆだねられるべきであるとの意見が述べられました。

 これに対しては、放送の中立を確保するためには何らかの担保が必要なのではないかとの意見が述べられ、また、個別の放送のあり方に関しては、放送局が広告主の意向を無視し得ない現状にかんがみると、自主規制に任せてよいものかとの疑問が呈されました。

 メディアにおける意見広告を無制限に認めることの是非については、資金力の多寡によって有利、不利があるのは問題であり、放送料のミニマムプライスレートの適用、国民投票運動期間の延長等の方策を検討すべきであるとの意見が述べられました。

 法案提出者からは、公平公正の観点から規制をするとなれば、広告の内容にわたる規制は不可能であるから、法案においては投票前七日間の広告放送の制限という形でしか行っていない、また、放送時間、放送料金などの広告条件の平等取り扱いについてはきちんと対処する必要があると考えている旨の発言がありました。

 投票日の七日前から広告放送を制限することの是非については、与党案、民主党案ともに、放送メディア特有の扇情的な影響力の大きさ、その扇情的な言論を言論の自由市場で淘汰する時間的余裕の確保の必要性にかんがみ、投票の七日前からは、政党等による無料広告放送を除いては、テレビ、ラジオを利用した広告放送を禁止することとしておりますが、政党が行う無料広告であっても投票日前の一定期間は禁止すべきであり、その禁止期間は期日前投票の開始日以降とすべきであるとの意見が述べられた一方、国民投票運動が一番盛り上がると想定される投票日直前の時期こそCM放送を行うべきであるとの意見、効果的な宣伝効果を出そうとする資金力のない勢力に不利となるおそれがあるとの意見が述べられました。

 政党のみに無料広告を認めることの是非については、与党案、民主党案ともに、無料のテレビ、ラジオ放送及び新聞広告は国会に議席を有する政党等に与えられるものとしておりますが、政党以外の団体の無料広告枠は認められておらず、公正中立な制度とは言えないとの意見が述べられた一方、憲法改正が発議された経緯やその議論の状況等につき、これを当事者として最もよく理解している政党等によって活発に国民投票運動がなされる必要があり、だからこそ政党等に無料広告枠を認める必要があるとの発言がありました。

 無料広告枠の割り当て基準については、与党案、民主党案ともに、無料広告の放送時間や放送回数は政党等に所属する国会議員数を踏まえて広報協議会が定めることとしておりますが、無料広告の配分について、賛否の多寡は国会が発議する局面で問題となる要素であり、発議後は国民に対し賛否両論を十分に説明することが重要なのであるから、賛否平等とすべきであるとの意見が述べられました。

 なお、この点に関し、民主党案提出者から、賛否平等に取り扱う制度への修正を考えているとの発言があり、それを受けて与党案提出者からも、より賛否平等に近づける方向で議論しなければならないと考えている旨の発言がありました。

 広報協議会の構成については、与党案、民主党案ともに、各会派の所属国会議員数を踏まえて各会派に割り振ることとなっておりますが、少数派に対する配慮規定が設けられており、両法案の考え方で問題ないとの意見が述べられた一方、広報協議会の役割が広報の実施内容について協議するという性格のものであれば、その構成は賛成派、反対派同数とすべきではないかとの意見が述べられました。

 国民投票公報の内容の一つとして挙げられている憲法改正案の解説は、賛成の立場からの解説にほかならないのではないかとの意見が述べられた一方、法案提出者からは、憲法改正案の解説等とは、現行憲法との対照表や審議の経緯等に関する客観的、中立的な説明を想定している旨の発言がありました。

 また、参考人から、滋賀県の米原における市町村合併住民投票の際の、広報紙の表面に選択肢で等分した解説を、裏面に各議員で等分したコメントを掲載した例が紹介されました。

 会議を通じての小委員長としての感想を申し上げれば、さきの国会において、放送、雑誌、新聞業界から参考人を招いて意見を拝聴したのに引き続き、今回、小委員会において議論を行い、かなり議論が深まってきたと感じております。

 民主主義社会の基盤である表現の自由に基づいて多様な観点からの自由な報道がなされることが、国民の知る権利に奉仕し、投票に際しての判断に資することから、何よりも報道の自由が確保されることが重要である点については、各小委員に共通の認識であったと考えます。

 また、無料広告枠の割り当てについて、両案の提出者から、賛否平等の方向で議論したいとの大きな歩み寄りの発言があったことも特筆すべきことであると感じました。

 投票に際して国民が適切に判断できることが重要との認識に立ち、本委員会において各委員の知恵を出し合うことにより、必ずや合意形成を行うことができると確信した次第であります。

 今回のテーマであるメディア規制・国民に対する周知広報については、国民投票に際して国民の判断の基礎を提供する重要な問題であると考えております。本委員会におかれましては、小委員会における議論を踏まえて、さまざまな角度から、メディア規制及び国民に対する周知広報に関する議論をさらに深めていただければと思っております。

 以上、御報告申し上げます。

中山委員長 次に、小委員である委員から小委員長の報告に関連しての発言をそれぞれ十分以内でお願いをいたします。

 発言時間の経過につきましては、終了時間一分前にブザーを、また終了時にもブザーを鳴らしてお知らせをいたします。

 それでは、まず、愛知和男君。

愛知委員 ただいま小委員長から御報告がございました、委員会での様子を大変公平な立場から御報告をされておると思いますので、私からは特に多くの補足を申し上げることはないわけですが、せっかくの機会でございますから、若干私見を踏まえて意見を申し上げさせていただきます。

 メディア規制につきましては、国民一人一人が、憲法という基本的な国のあり方を定めるものとして、日本のあるべき姿についてしっかりと考え、答えを出すということができるように、国民が多様な意見に触れる機会を保障するメディアの重要性を改めて再認識した次第でございます。

 当初はメディア規制を設けることが検討されておりましたけれども、これが、いろいろな経緯があり、その規制を基本的になくすということになったことについては大きな進歩だと思います。このことについても、当日いろいろと御評価をされておったと思います。

 政党の無料意見広告につきましては、政党のみに無料広告を認めることについて異論を述べられる参考人もおられましたが、市民団体等にこれを認めるかについては多くの解決すべき課題がありまして、これは慎重な検討が必要であると感じました。

 また、賛成、反対のバランスを、議席数案分ではなくて、賛成、反対間で平等とすべきであるという意見に対しましては、与党案提出者及び民主党案提出者それぞれから前向きな意見が述べられたことが非常に印象的でございました。

 投票前七日間の広告の禁止につきましては、これの撤回を求める、あるいは期日前投票開始日から禁止すべきであるとの意見がいろいろと述べられました。

 期間の制限は、これはいろいろ難しい問題がございますが、今井参考人の御意見にもございましたように、音声や映像を用いる放送メディアは時に扇動的なものになり得る多大な影響力を持つものでありまして、資金力のある者が大量に広告を出す可能性があり、こういった弊害を考慮に入れると、一定期間、国民が憲法改正について冷静な判断を下せる環境をつくることは必要でないかという御意見が出まして、非常に印象的でございました。

 なお、今井参考人の御意見として非常に印象に残りましたものの一つは、国民には非常に信頼を寄せるけれども、メディアに対しては全然信頼を寄せていないということを非常に強調されておりまして、このことが非常に印象的であると同時に、私個人的にもかなり同感する思いを持ちました。

 広報協議会につきましては、その構成委員数を賛否同数にすべきとの意見が述べられましたけれども、国会において国会議員を委員として設けられる組織である以上、会派所属議員数の比率によることが原則でありまして、改正憲法の発議に反対した会派にもできる限り配慮することとしておりまして、現在提出されている法案については問題ないと私は考えます。

 国会が広報を行うべきでないという参考人の意見もありましたが、国会が発議した以上、憲法改正案について責任を持ってしっかりと国民に周知し、国民に議論の場を提供することは国会の役割でありまして、国民の代表である我々が果たすべき説明責任ではないかと考えております。

 それから、国家の基本的なあり方を選択する国民投票では、いかに多くの有益な情報が国民に提供されるかが、国民による適切な判断の基準となるわけでありまして、その際、メディアの果たす役割は大きなものがありまして、日本の民主主義の力を信じつつ、国民が適切にその判断を下すことができるような国民投票制度を仕組んでいくことが重要であると感じた次第であります。

 以上申し上げた上で、さらにちょっと、当日時間がなくて申し上げられなかった私見をこの機会に申し上げさせていただきます。

 国民が正しい判断をする材料を提供するということですが、そういう点からいいますと、憲法改正案を議論する国会の、その経緯を国民に知らせるということが一番正しい情報を国民に与えることではなかろうか。そういう点からいいますと、憲法の問題を議論する国会の国会中継をもっともっとテレビなりなんなりで国民に、まあテレビですね、国会中継を非常に多くやってもらえば、国会での結論が出るまでの経過というのがはっきりわかりますから、国民に正しい材料を与えることができるんじゃないか。

 私は、これをNHKでやってもらうというのか、あるいは民放でも、民放でやってもらうとするとお金を出さなきゃなりませんけれども、これはまさに国会が国のお金で民放に放送してもらう、中継をしてもらうということも十分考えていいんじゃないか、こんなふうに思ったわけでありまして、できた改正案をどうやって国民に周知させるかというのはやはり限界があるわけで、改正案ができる経過を国民に見てもらう、聞いてもらうというのが、究極的に一番いい、国民に正確な材料を与えることになるんではないか、こう思うのでございます。これは国民投票法の内容の話ではございませんけれども、ぜひこのようなこともこれから検討していただければな、こんなことを感じたわけであります。

 なお、問題がまたちょっと外れるかもしれませんが、前回のヒアリングでも出た話ですが、国民の意識がまだ低い、国民投票法に対する意識も低い、あるいは憲法の問題に対しても低い、だから今やるべきではないんだというような話がちょっと出たことがあるのでございますが、国民投票に対する意識が低いのは国民投票をやらないから低いのでありまして、国民投票の意識が高まってから国民投票をやればいいというのは、これは順序が逆なのでありまして、国民投票をやれば意識が高まるわけですよ。ですから、この議論は逆転した議論だろうと私は思うのでありまして、一刻も早く国民投票法をまず成立させ、そして、またその後何年かかるかわかりませんけれども、なるべく早い機会に国民投票をやるということを通じて国民の意識が高まるんじゃないか、こういうことを非常に痛感をしております。

 以上申し上げまして、若干私の私見を踏まえた補足意見とさせていただきます。ありがとうございました。

中山委員長 次に、園田康博君。

園田(康)委員 民主党の園田康博でございます。

 私も、先般行われました小委員会での御議論を踏まえまして、若干の補足的な発言をさせていただきたいというふうに思っております。

 先ほど近藤小委員長からも御報告がありました。今回のこのテーマにつきまして、本日も、この委員会においてメディア規制と国民に対する周知広報ということでございます。私ども、これまでの議論、そして先般の小委員会の参考人の皆様方からの御意見をいただきまして、きょう時点といいますか今日時点で、やはり民主党としても、若干提出者として我が方の法案、あるいは与党の皆様方からも若干の修正といいますか改正の余地を考えているという御発言があるわけでありますけれども、それにつきまして少し先に述べさせていただきたいというふうに思います。

 まず第一点目は、新聞広告と放送スペースなどについて。賛成、反対の幅、割り当てについてです。

 これにつきましては、当初、私どもは、広報協議会の構成割合、会派別といったものを踏まえて、その中には少数会派に対する配慮というものも当然なされているわけでありますけれども、そこにおける割り当てが構成割合を踏まえてなされるものであるというふうに考えていたわけでありますけれども、これまでの議論を踏まえますと、先般の小委員会での御発言でもありましたけれども、政治的公平性というものと、国民への多角的な論点を提示するマスメディアの責務、そして、国民の皆さんへの周知、そして理解を深める、議論を深めるということから考えれば、やはり賛成と反対の割合についてはフィフティー・フィフティー、平等の扱いが適当ではないかというふうに考え始めているということでございます。

 そして、広報協議会のあり方につきましても少し御議論になりました。

 この広報協議会は、賛否などの実質的な議論をする機関ということではなくて、あくまでも私どもは、国民への広報を客観的かつ中立的に行い、その内容が作成されているかどうかを判断、チェックする機関であるという認識で法案を作成させていただいているところでございます。

 ところが、若干の誤解もあったのかもしれませんが、その広報協議会の解説、仕事が、やはり賛成、反対のこの構成、会派別の構成によって、賛成なら賛成、三分の二以上の賛成で発議がされるわけでありますけれども、それに引っ張られてしまうのではないかという御懸念が指摘をされたというところもございました。したがって、この部分ももう少し条文の内容を考慮してはいかがかなというふうに考えております。そして、そのかわりに新旧対照表などをしっかりとこの中に盛り込むというふうに、御指摘もありましたので、やはりそういったものも、当初からそれは考えていたわけでありますけれども、これを明文上規定をするという方向でもよいのではないのかなというふうに考えている次第でございます。

 そして、先ほども御指摘がありましたけれども、投票日直前の放送規制につきましてでございます。

 これも、参考人の御意見からは、メディア規制というものはゼロで考えていくべきであるということ、しかも、投票日直前になってくると大変な国民の関心事になるのではないかというところからすれば、ここに規制をかけることはふさわしいものではないという御意見のある一方、扇情的なそういう誇大広告というものが行われ、冷静かつ客観的な判断ができなくなってくるのではないかというところからすれば、まだこの辺は検討の余地を残しておかなければいけないのかなというふうに考えている次第でございます。

 手法によっては全く規制をゼロにするという考え方、あるいは、期日前から行われるその前日までというところ、そういったところも、修正といいますか、内容をさらに検討するということは進めていかなければいけないという認識はあるということだけ申し上げておきたいというふうに思います。

 ただし、参考人から、総じて、メディア規制について、規制をすべきでないという基本に立って、規制はあくまでも自主規制にゆだねるべきという御意見が大勢を占めていたという印象を私も受けているところでございますが、一方で、放送媒体の常識と良心に基づいて自主的に制限することが望ましいとしながらも、いわゆる商業広告につきましては、資金力の差がどうしても広告量の差につながりかねない。そういう可能性がある、その危険性や危惧も払拭し切れていないということで、理性的な判断ではなくて感性に訴えるものになってしまうということからすれば、やはり何らかの規制というものはこの中でも考えておかなければいけないのではないかというふうに思っておるところでございます。

 民主党も、政治的意見表明や表現の自由など、放送媒体を通じて幅広く自由な国民議論を巻き起こしていくためには、可能な限り規制はゼロで行うという視点に立っておるところでございますけれども、この投票日直前の規定については、まだ今の段階では、七日間の国民の冷静かつ慎重な議論を期すための規制についての規定を設けているのでございます。何らかの規制が必要という立場に立っているわけでありますけれども、今後、新聞各社の、そういった活字媒体などからの御意見もお聞きしていく中で判断をしていきたいというふうに思っております。

 そして、いわゆる政党等の無料広告についてでございます。

 政党等以外の団体や市民に対しても無料の広報活動を可能にすべきという御意見をいただいておりました。国民投票においては、国民に対して憲法改正案に関する情報や意見というものがまず適切に伝わるということが重要であって、憲法改正が発議された経緯というもの、先ほど愛知委員からも御意見がありましたけれども、そういった経緯あるいはその御議論というものの状況等をしっかりと把握している当事者である我々国会議員の中から、あるいは理解をしている政党にその役割を担わせていくものではないかという考え方で私どももこの規定を置かせていただいているわけであります。

 仮に政党以外のところに認めるとしても、その要件というものを判断しなければならないわけでございまして、だれがどういう団体を認めるかという判断になりますと、そこにどうしても裁量的な判断というものが必ず入ってしまうというところから、中立、客観的判断ができる機関は今のところないのではないだろうかという考え方に立っているところでございます。あるいは無料広告枠の配当基準でございますけれども、賛成意見、反対意見につきまして平等に扱うという判断で、今そのように考えているところでございます。

 それから、広報協議会の構成でありますけれども、ここに外部委員の選任を設けてはどうかという御意見もちょうだいしていたわけでありますけれども、国会内に設けられる機関につきまして、国会議員以外の者が委員として参加することが本当に適当なものであるかどうかという議論をまたさらに進めていかなければいけないのではないかと思っておるところでございます。そして、もし仮にその外部委員の意見を取り入れることを考えていこうということになれば、それは参考意見をそういう方々から聴取するという、運用面で柔軟な対応というものも考えられるのではないかというふうに考えている次第でございます。

 いずれにしましても、私どもも、今後、この御意見を幅広くいただきながら、柔軟に対応していこうという考えに立っているということだけ申し上げて、補足意見とさせていただきます。

中山委員長 次に、赤松正雄君。

赤松(正)委員 公明党の赤松正雄でございます。

 私は、一点だけ簡単に補足意見を申し上げさせていただきます。

 それは、今お二方からもありましたけれども、投票日直前の放送規制について、一人を除いて、投票日直前一週間と期日を決めて規制をかけることには反対や疑問とする意見が出されたわけですけれども、その中で非常に印象に残りましたのは、ジャーナリストの今井一さんが言われたことであります。

 彼は、当日の私どものこの小委員会のために関係各方面に取材をし続けて、数日間、それこそ直前三日間ほどは眠れぬ日が続いたというような、ちょっとオーバーかもしれませんけれども、そういう話をされておりました。

 眠れぬ日が続いた後に、何らかの規制が必要だという結論に達した、こういうわけですけれども、やはりジャーナリストという職業柄、メディア規制ということについて、あってはならないというか、もう一〇〇%メディア自由というふうにあるべきだ、そういう考え方からいろいろ関係方面に取材をし、自分も考えた末の結果として何らかの規制が必要だ、そういう結論に達する経緯というものが、非常に話を聞いておりまして印象に残ったわけです。

 私は、そういう結論に達した背景、最も強く感じるのは何かということを聞いたわけですけれども、その際に彼が言っておりましたのは、テレビスポットなどについて、先ほど愛知委員からもありましたけれども、賢く見ている日本人の良識というものは信用しているものの、テレビ局は信用していない、信用できないという発言がありました。具体的な例として、サラ金のコマーシャルというような形を挙げておりましたけれども、テレビ局が何らかの自己規制をしていないで、有害な広告を垂れ流しにしている実態というものは見過ごすことができない、こういうふうな言い方をしておりました。

 放送媒体の当事者が常識と良識に基づいて自主的に制限するということは望ましいわけですけれども、現実にそれがなされないならば、何らかの法による規制というものを持ってこざるを得ない、そういうことであります。テレビ、ラジオなど放送メディアを通じた広告は、一回十五秒で完結させるという時間的制約から、投票権者の理性的判断を促すんじゃなくて、感性に訴えるものにならざるを得ないし、扇情的な誇大広告になるおそれがある、そういうことが理由ということでありました。

 これに対しまして、民放連の代表の反応というのが、非常にまたこれも興味深いものがありました。

 七日間の放送禁止というものがどういう結果をもたらすのか、逆に、意図とは違ったマイナスの結果をもたらさないのかどうかということも含めて真摯にこれから検討を進めていきたい、こういう答弁がありましたり、またサラ金のコマーシャルに見るように、有害広告の垂れ流しなどといった現実に対して、そういう指摘を小委員会の場で受けたことに対して、それなりに神妙な受けとめ方をされていたというふうに見えたことが非常に印象に残ったということのみを補足させていただきまして、終わります。

中山委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 十一月七日、一昨日の小委員会の補足的発言として、二点にわたって感想を述べたいと思います。

 第一は、改憲案の国民に対する周知広報は、賛成意見、反対意見が公平、平等に扱われるべきだという原則が参考人から共通して述べられたことであります。それ自体が憲法制定権を有する国民から見れば当然のことだからだと受けとめました。

 民放連の渡辺参考人は、放送に求められる役割は正確な報道であり、国民の間で議論を触発するためにそういった場を提供することだと強調されました。その際、留意しなければならないのが、賛成と反対のバランスをいかにとっていくかということになる、政治的公平と多角的論点の提示が強く求められると指摘されました。

 日弁連の吉岡参考人は、主権者である国民が的確な情報に基づき自主的な判断がなされるよう、賛成意見、反対意見が公平、平等に広告でき、また周知広報されなければならないと述べました。

 さらに、山田健太参考人は、有権者の政治選択にとって公正かつ十分な改正案についての情報提供が求められると、配付されたレジュメの中で指摘しておりました。

 今井参考人も、テレビ、ラジオの広告規制は是か非かという文脈で話されたことではありましたが、規制すべきとの主張の大きな理由は不公平が生じるからだとして、資金力のある者もない者もひとしく広告が出せるようにすべきだと述べられました。これらの意見が強く印象に残っております。

 第二は、この原則に照らして、与党案、民主党案ともに、改憲賛成の政党や団体等にとってやはり有利な広報の仕組みとなっていることが明らかになったということであります。

 民放連の渡辺参考人は、国会で三分の二以上の賛成で憲法改正は発議されるわけだから政党等による意見の無料放送というのは当然、改正賛成の意見が圧倒的に多くなることが予想される、時間の割り当てなどを決める広報協議会も所属議員数の比率により各会派に割り当てるということになっている、放送局としては賛否のバランスをとって報道していきたいが、この法案に記された政党等による意見の無料放送ではバランスが崩れることになるのではないかという危惧の念を持たざるを得ないと述べました。現場の意見として重く受けとめるべきだと感じました。

 また渡辺参考人は、日本国憲法が憲法改正について定めているのは国会が国民の意思を離れて憲法を変えられないように判断を仰ぐための規定であろうと思う、そうであるならば国会の仕事は改正を発議することであってその後は国民の自主的な判断と幅広い議論にゆだねるべきではないか、国会が三分の二以上の賛成で発議されたからといって国会に議席を有する政党のみが放送を無料で使用する特権を持つことには疑問を禁じざるを得ない、こういうことも指摘されていました。

 日弁連の吉岡参考人は、投票日前七日間の広告規制について、主権者国民の関心も最も高まる時期にテレビ、ラジオを利用した広告運動の一切を禁止することは、主権者国民の正しい判断の道を著しく損ねることにもなりかねず、到底許されない、特に、与党案、民主党案では、この七日間は政党のみがテレビ、ラジオを利用でき、しかも、その時間や回数は当該政党等に属する議員の数によることとなるのだから不平等性はより顕著になると指摘されていました。

 また、吉岡参考人は、広報協議会の構成について、各議院の議員の三分の二以上の賛成で国会の発議がなされるのであるから、憲法改正に賛成している国会議員は三分の二以上いることになり、各会派の人数割りをした場合には必然的に賛成派の議員が三分の二以上の多数を占めることとなる、そのような構成の広報協議会が国民に対して周知広報するとなれば、憲法改正賛成の論拠に偏ったものが広報され、反対派の意見は十分に広報されないのではないかとの疑念が生じる、反対会派にもできるだけ配慮するとの規定についても、これだけでは広報の公正性を担保し得るとは評価できないとも述べました。極めて当然の意見だと思いました。

 山田健太参考人は、投票前七日間の広告規制について、広告表現について禁止という最も強力な表現規制を課することは表現の自由に対する行き過ぎた規制に至ること、期間限定としていることや政党のみ例外としていることも疑問であること、また、政党の広告について政党のみ無料で利用と優遇されていることも疑問であること、さらに、広報協議会についても、政党あるいは議員に広報や広告の内容の判断を負うことには問題があり、内容を客観的かつ正確な解説、説明をするという客観性の担保をどのようにするのか、候補者原稿をそのまま掲載する選挙公報との差異は明らかである、広報広聴活動自体が不要という結論も導かれるが、万が一何らかの形で認めるという場合でも、議員数を配分基準にすることについては、小選挙区制に起因する得票率と議席数の乖離や、賛成意見を優遇することによって民主主義の根本である少数意見の尊重をどう担保するのかという問題、公平性の問題など、さまざまに議論すべき論点が残っていると指摘されました。

 私は、参考人のこれらの指摘は、単にテクニカルに解決が図られる問題ではなく、憲法九十六条の理解にかかわる根本問題であると考えます。

 最後に、私は両法案が少ない国民の賛成で改憲案が承認されかねない内容になっていることを繰り返し当委員会でも指摘してまいりましたが、それに対して法案提出者からは国民投票運動を活発にすること、そしてもう一つは周知広報を徹底することで投票率を引き上げるのだという答弁がなされてきました。

 この二つの手段のうち、国民投票運動については、十一月二日の小委員会、本委員会を通じて、法案は活発な国民投票運動どころか正当な意見表明や国民投票運動を萎縮させる規制が盛り込まれていることが明確になりました。周知広報というもう一つの手だてについても、七日の小委員会を通じて、いかに改憲に賛成の政党、団体にとって有利に改憲案を周知広報できる仕組みになるかが明らかになったと私は思います。

 法案提出者が投票率の引き上げの手段として取り上げた二つの手だてはいずれも根拠のないものであり、結局のところ、いずれも賛成票をふやし、できるだけ少ない国民の賛成で改憲案を通すために有効だということでしかないと断ぜざるを得ないと思います。先ほど国民の意識が低いからむしろ国民投票をやるんだという御意見もありましたが、私はそれこそ国民主権から見て逆転していると思います。

 一昨日の参考人の御意見の中でも、国民や視聴者は賢明である、非常に賢い、よく考えているという御意見がありました。憲法制定権者は国民であります。そして、憲法改正を望んでいない国民にとっては国民投票というのは要らないわけですから、やはりそういう中で無理やり国民投票をやったとしても結果として失敗するということになるだろうということを申し上げて、このような法案については廃案しかないこと、このことを重ねて指摘して、補足の発言としたいと思います。

中山委員長 次に、辻元清美君。

辻元委員 社民党の辻元清美です。

 メディアの規制、国民に対する周知広報についての小委員会の報告及び補足的発言をいたします。

 まず、メディアにおける意見広告を無制限に認めることの是非について、各参考人から意見を聞きました。表現の自由は守られるべきものであり、報道規制があってはならないということは当然であるという点では、すべての皆さんが一致していたと思います。しかし、先ほどから出ておりますように、テレビでのCMについては、政治的公平性を確保するためには幾つかの解決されるべき課題があることが、現場の人やジャーナリストの皆さんから指摘がありました。

 今井参考人が、お金を出せば幾らでも意見広告を出せるような状態になるのではないかという危惧を指摘されたことは、先ほどから出ているとおりです。何らかの形で規制を加えるという道をとるしかないのではないか、また、これが不公平じゃなくて、お金を持つ者も持たない者も、つまり資金力のある方もない方もひとしく同じ量そういった広告を出せるんだったら話は違ってくるという意見を述べられました。

 これに対しまして、民放連の山田参考人は、CMの内容によって意見の強弱や賛否の強弱など著しくアンバランスを生じた場合に、放送法の規定にもある政治的公平の観点からどのように考えるべきかなど、難しい問題をはらんでおりますと発言され、さらに、量的、内容的な公正、公平性をどのように確保するのか、また、果たして可能なのかどうかということも検討しなければいけない、したがって、通常のCM考査とはやや違う考え方をしなければならないと、自由を原則とした場合も放送業界内の自主規制のルールづくりが必要であるという現場からの意見を述べられました。

 さらに、日弁連の吉岡参考人は、テレビの影響力の大きさは事実上無視し得ないものがあります、また、テレビ等の電波は限られた媒体であり、テレビ広告等を行うためには多大な費用がかかることからすれば、資金力のある者のみがテレビ等を利用できるという不公平なことになりかねないとも言えますと。これは現場の方の発言ですので、非常に重いなというように思いました。

 また、民放連の山田参考人は、今回の国民投票なんかの場合に十五秒のCMが果たして許されるのか、少なくとも六十秒ないと国民投票の意見広告はできないのではないかという、前回お越しいただきました天野祐吉参考人の発言を引かれて、時間の長さも検討しなければならないと指摘されました。この六十秒のCMが基本ということになれば、通常でいえばさらに莫大な資金がかかるので、民放連の方の御発言でしたので、ますます資金力の差というのが出かねないのかなというようにちょっと危惧をいたしました。

 私は、皆さんの御意見を伺いながら、公平性の担保をどのようにすればいいのか、それができない限り、有料の広告については何らかのルールや規制を検討すべきというような思いを強くいたしましたが、引き続き、この点についてはさらに突っ込んで私たちがしっかり考えていかなければならない点ではないかというふうに思いました。

 また、政党が行う公費助成による放送あるいは意見広告については、賛否平等を前提にした上で行われるべきであるという意見が大半だったように思います。

 日弁連の吉岡参考人からは、両案によれば結局、憲法改正を提案した側の多数意見の政党が無料で多くの時間の放送や多くの回数の広告ができることになってしまいます、国会における多数意見、少数意見がそのまま反映されることなく、賛成意見も反対意見も同等の時間、同等の回数の放送や広告ができるようにすべきでありますとの意見が出されました。

 また、山田健太参考人は、なぜ政党の意見広告のみがいいのか、国会での議論をそのまま引きずるべきではないという意味からいっても、研究者や市民団体などが政党と同様に意見を展開する場を与えられるべきであるということも解決されなくてはならないとされ、山田参考人はこの点を非常に危惧されており、この点についてはまだまだ議論をしてほしいというような指摘がありました。

 広報協議会につきましては、広報協議会の決定方式が三分の二の多数決原理で行われることに照らしても、公平性や平等性を担保するためには、賛成の意見の議員と反対の意見の議員からそれぞれ同数の委員を選任するなど、賛否の意見が平等に反映されるような委員の選出規定を定める必要があると、日弁連の吉岡参考人から指摘がありました。

 山田健太参考人からは、議員数を配分基準にすることについて、小選挙区制に起因する得票率と議席数の乖離であるとか、賛成意見を優遇することによって民主主義の基本である少数意見の尊重をどういうふうに担保するのかという問題であるとか、あるいは公平性の確保の問題であるとか、その点についてさらに議論を深めるべきではないかと意見が述べられております。

 さらに、ここは私は山田健太参考人の意見で傾聴に値すると思ったんですが、政党が責任を持って議論の中心になることと社会に流れる改憲情報が政党発信の情報が中心になることとは似て非なるものであるという指摘がされました。これはしっかり受けとめなければいけないのではないかと申し上げたいと思います。

 憲法九十六条、各議院の総議員の三分の二以上の賛成という意味は、あくまでも発議における規定であり、発議後は国会内の議席に引きずられることを意味しない、よって、発議後は公共空間において広報活動はすべて平等に扱われるべきとかねがね私も主張してまいりましたけれども、この考え方について日弁連の菅沼参考人に意見を求めたところ、九十六条については私と同じ解釈であり、だからこそ、あらゆる場面で賛成と反対を対等に扱うべきと主張しているというお答えでした。この前提はとても大事なものだと思います。

 民放連の渡辺参考人の次のような発言もこの前提に立っていると思います。先ほども指摘されましたが、日本国憲法が憲法改正について国民投票を定めているのは、国会が国民の意思を離れて憲法を変えられないように判断を仰ぐための規定であろうというふうに思います、そうであるならば、国会の仕事は改正を発議するということでありまして、その後は国民の自主的な判断と幅広い議論にゆだねるべきではないかと思う次第でございますと。主権者の立場から見たら当然の意見であると思いますけれども、この意見も同じような前提を基礎にして述べられたものだと思います。

 国会の中で仕事をしている私たちは、議席を基準に物事を決める思考回路になりがちですけれども、国会の多数で発議した改正案、国会では多数をとらないと発議ができませんので、この改正案が一たび国会の外に出され、世に問われる段階では国会内の物事を決める基準で扱ってはならないということを私たちは心すべきではないかというふうに思いました。

 参考人の総合的な見解は、それぞれ具体的な個別の問題につきましては違う意見もございましたけれども、発議後は広報活動の内容を賛否平等に扱うこと、そして広報活動を担う公的な主体が中立公正に運営され客観的な判断がなされなければいけない、ここを強く皆さんが主張されたと思います。

 最後になりますけれども、山田健太参考人は、見直し案の具体的な御提案も幾つかされたんですけれども、中にはゼロベースの見直しも含まれますが幸いにも国会での本格的な審議は始まったばかりだと認識しております、このような場をより多く設け、多くの意見を参考にされ、表現の自由が確保され、最善の政治選択が提供されることを期待すると発言されましたが、この発言にあるように、国会の外の専門家ですら審議は始まったばかりという認識であるということを最後に指摘し、私の発言を終わります。

 以上です。

中山委員長 これにて小委員である委員からの発言は終了いたしました。

    ―――――――――――――

中山委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。早川忠孝君。

早川委員 自由民主党の早川忠孝でございます。本憲法調査特別委員会で質疑の機会を与えていただいたことを心から感謝申し上げます。

 十一月の二日並びに本日、二回にわたりまして日本国憲法の改正手続に関する法律案等審査小委員長からの詳細な御報告をちょうだいいたしました。憲法調査会におけるかつての調査と同様に、大変周到でかつ議論を尽くした充実した審議が行われているということを改めて実感をいたしました。

 ちなみに、私は、今回のこの特別委員会の大きな役割というのは、これまで国民投票法あるいは憲法改正の発議の手続法が、六十年間全く審議の対象となってこなかったということについて、どうしてもこの段階で一定の成案を得ていただきたい、こういうふうに念願をしております。

 本年は憲法が公布されてから六十年の節目であり、また我が国が国連に加盟して国際社会で一定の活動をするようになった、それからちょうど五十年という大きな節目だと思っております。

 私は、平成十年に「新しい日本への意識改革」、あるいは平成十一年に「時代に合った新しい憲法を創る」という書物をみずから公刊して、憲法改正の必要性について弁護士の仲間でも意見を述べてまいりました。

 憲法調査会あるいはこの憲法に関する調査特別委員会の審議を通じて改めて実感しておりますのは、この衆議院の委員会における議論というのがいわゆる机上の学問、個人的な議論をはるかに凌駕するものであるというふうに思っているところであります。

 今回、審議の対象となっておりますいわゆる国民投票等の手続法でありますけれども、私は、与党案及び民主党案の二つの法案について、基本的に同じ方向性を持つものだというふうに思っております。

 既に前回の委員会で重要な論点について報告がなされました。残念ながら、私ども小委員会に属さない委員あるいは提案者でない委員はこれについてみずからの意見を表明する機会がありませんでした。

 そういう意味で、私は、小委員会は基本的にはこの二つの提案者の意見を何とか調整していただく、このことに大きな意味があるのではないかというふうに思っているわけであります。特に、提案者であるという立場を離れ、あるいは、憲法改正にそもそも賛成しない政党に所属されているという、そういったお立場を離れて、小委員会の委員に属される方々におかれては、一人一人が国民の代表者であるという立場に立って誠実に両提案の調整に当たっていただきたいというふうに念願をするところであります。

 これまでは、国民投票の対象を憲法改正案に限定するかあるいは国政における重要な問題について諮問的な国民投票制度を付加するか、これが第一点、それから、国民投票の投票権者を公職選挙法と同様に二十歳以上の成人とするかあるいは十八歳までこれを拡大するか、あるいは国会が特に認める場合には十六歳までにこれを拡大するということを考えるか、さらには、国民投票について罰則をもって一定の行為を禁止する行為規制の範囲と対象者の範囲をどうするか、こういったことについての議論がこれまで展開をされてきたわけであります。

 私自身は、国政参加の権限というものが二十歳以上の成人であるということから、これまで二十歳以上とすべきであるということを主張してまいりました。しかしながら、これまでの委員会における海外調査、あるいはそれぞれの参考人等の意見を踏まえての小委員会における議論を踏まえて、私は、十八歳までこれを拡大するという結論をぜひとも出していただきたいというふうに思うに至りました。これをぜひ述べさせていただきたいと思います。

 憲法の制定の当時と比べて大きく世の中は変わってまいっております。すなわち、これまでは、例えば刑事裁判は裁判官が担うと言っておりました。しかし、一般の国民がこれに参加する裁判員制度がいよいよ実現をしようとしております。あるいは、いわゆる公共的な、公権力の行使と思われているさまざまな公的な事務について、市場化テストという新しい法律が施行され、いわゆる民間でできることは民間で、こういうふうな流れが出てまいりました。

 さらには、アメリカの中間選挙の結果を見ると民主党が下院において大勝利を博した、こういうふうなことがけさの新聞で報道されているところでありますけれども、我が国においても小選挙区制度が導入されて十年が経過をし、まさに政権の交代というのが実はあり得るという状況になってきている、こういうことが出てまいっております。

 さらには、憲法が公布された当時、いわゆるメディアの中でテレビというものは出ておりませんでした。現在、メディアの中でテレビの与える影響力がいかに大きいか、こういったことを踏まえて何らかの対策を講じなければならない、こういうことになってまいりました。さらには、世界一のブロードバンド大国となったということの中で、八千万人以上の国民が携帯電話を保有する、こういうふうな時代にもなっている。そういった場合においての国民に対するいわゆる周知広報ということについての手段も考えなければならない。

 冒頭で申し上げましたように、憲法が公布されてから六十年間、憲法改正の手続法が全く提案されないままほぼ六十年が経過をしてきたという意味では、世界で最もすぐれた先進的な憲法であるというふうに思っていたこの日本の現在の憲法制度には、いわゆる制度の欠陥というのが内在をしていたということがあったわけであります。

 しかし、この六十年の変化の中で、私は、この国民投票手続、いわゆる憲法改正のための手続等の法案を審議することの意義というものを再確認すべきであるというふうに思ってまいりました。それは、自分たちの国の基本法であるものは自分たちの手でつくるんだという、こういった実感を持てるよう審議を尽くさなければならないということであります。

 そして、この六十年の歩みの中で、かつては二十歳以上と思っていたこの投票権者を十八歳というふうに拡大するというような、言ってみれば権利行使者の範囲を広げるという、そういった結論を出すことができれば、私は、国民投票法案についての審議というのが大変大きな意義を持つことになるのではないかというふうに思うわけであります。

 そこで、小委員長から報告がありましたメディアによる報道について、これを規制の対象としないということについて、当初、一定の規制の対象とすべきであるということが与党の中で議論をされていたけれども、結果的にはこれを対象としないというふうな結論でもって法案が提案されるに至ったということであります。この与党案提案者の御所見を改めてこの段階でお伺いしたいと思います。

船田議員 早川委員にお答えいたします。

 早川委員からは、憲法あるいは憲法の見直しということにつきまして、大変御見識を御披瀝いただきまして、私も同感であります。大変ありがとうございます。

 また、与党案、民主党案、それぞれ提案をされて現在審議をされておりますが、ほぼ同じ方向である、こういう御認識と、また同時に、できるだけ早く調整をすべきである、こういうお話もいただきまして、大変心強く感じました。その方向に向けてさらに努力をしたいと思っております。

 ところで、お尋ねのメディアによる報道についての規制問題、我が党の中でも、相当、この規制ということについては一定のものが必要ではないか、以前はそういう議論がございました。しかし、前国会におきましても、またおとといの小委員会におきましても、放送あるいは雑誌、新聞業界から参考人をお招きいたしまして、数度にわたりさまざまな角度から意見を聴取するということがございました中で、やはり、一つは放送法の規定がございます。政治的中立を掲げた放送法。それから、マスコミ各社において、倫理綱領を定めている、あるいは第三者機関を業界の中に置く、そういうさまざまな措置を講じているということ、また、それに対しての各マスコミの取り組みというのが極めて真剣である、こういったことも理解できるようになりました。

 したがいまして、私どもとしては、この与党案におきましても、マスメディアによる報道については新たな規制を設ける必要はないのではないか、このように考えました。

 ただ、先ほども報告にもありましたように、また私どもの法案にもありますように、投票日前七日間につきましての有料の広告放送ということにつきましては、やはりテレビやラジオの持つ影響の大きさ、それから、扇情的な報道があってはやはりまずいではないか、こういうことで七日間の禁止をする、この点だけは規制の一つということで入れさせていただいているということでございます。

 なお、昨年あるいはことしの海外派遣、調査をいたしましたけれども、それぞれの国では、メディアに対してはもちろん基本的には規制はほとんどないわけでございますが、ただ、その中で幾つか気になる点がございます。

 一つは、各放送局に持ち込まれたビデオとか放送媒体をどう取り扱うか、こういうことについては、若干国によっては規制をかけるところも出てきておりまして、例えば、取り扱いを平等にしてほしい、放送時間帯を例えばゴールデンタイムにやるか深夜にやるか、それを賛成、反対で分けてしまうとか、あるいは料金の設定を不平等に扱うとか、そういったことも場合によってはあるかもしれない。それをやはりきちんと担保して、賛成意見と反対意見が平等かつ正確に放送されるためには、放送法だけではなくて、もう一つ何か訓示的なものが必要ではないか、こういったことについてはなお若干の研究が必要だろう、検討が必要だろう、このように考えております。

早川委員 ありがとうございます。

 今、船田委員からお話がありました。私は、まさに周到な配慮のもとで、メディアによる報道についての規制のあり方について検討をこれからもさらにお進めになるというふうに理解をいたしました。私は、罰則でもって禁止をするということは、これは決して望むものではありませんので、ぜひ小委員会において議論をしっかりと進めていただきたいと思います。

 その他、政党による国民投票運動のあり方云々等について、政党とは何ぞやとか、あるいは、きょう小委員長から報告がありましたけれども、政党以外の市民団体にまで無料広告の対象を拡大すべきではないのかなという新しい論点が提示をされました。私は、これに対しては消極の立場におりますけれども、これまた、ぜひ国民全体の立場に立って議論を小委員会においてお進めいただきたいということをお願い申し上げて、私の質疑を終了させていただきます。

中山委員長 次に、長妻昭君。

長妻委員 民主党の長妻昭でございます。

 本日は、質疑の機会をいただきましてありがとうございます。きょうのテーマといいますのがメディア規制・国民に対する周知広報についてということでございますので、このテーマに沿って質疑をさせていただきたいと思います。

 今回、このテーマといいますのは、まさに政治とメディアの関係はどうあるべきなのかという非常に深い問題もはらんだテーマだというふうに考えておりまして、与党案、民主党案は、メディアに対する規制というのは直前七日間の広告禁止ということに限定をされて、あとは自主規制に任せているというのは私もまさに同感でございます。

 論点といたしましては、例えばテレビに関しましては、テレビの広告費が非常に高騰していくのではないか、つまり金持ち優遇、お金を持っている人が大量に広告を出すような事態になってしまうのではないか、あるいはCMに関しては賛否の不平等が生じないのか、CMに関しても賛成、反対が同じ時間扱われるのかどうか、あるいは政府提供の番組や政府自体が広告を出すことはどう考えるのか、あるいは自治体が税金を使って地元のテレビ局に広告を流すことはどう考えるのか、あるいはギャラの高い有名人をかなり多く出したCMというのはどう考えればいいのか、あるいは、外国人もCMを出せるということでございますけれども、それに関してどう考えればいいのか。これはいろいろな論点があるというふうに思いますけれども、ここの与党案、民主党案ではいろいろな論点がありますが、基本的にはマスコミの自主規制に任せるというのは、私もこれは正しい判断だというふうに考えております。放送法に重大な違反があることを除いて、本当にマスコミの自主規制に任せていただきたいというふうにも思うわけでございます。

 その中で、自民党に質問をさせていただきたいんですが、昨今、私も懸念をいたしておりますのは、政府あるいは自民党が、仮にこの憲法改正の国民投票がなされた場合に、例えばマスコミに対する報道や特集番組等に対して介入圧力と受けとめられかねない意見を言う、私はこういう懸念を持っているわけでございますけれども、それに関して、自民党の方にそういうことは一切ないんだ、政府からもそういうマスコミが萎縮をしてしまうような介入というのはしないんだ、こういうことを明言いただきたいというのが一点。

 もう一点、自民党の方にお伺いしたいのは、例えばタウンミーティングのようなものも開催をされると思うのでございますけれども、その際、ついこの前起こった事件でございますけれども、教育改革に関してやらせ質問、政府から依頼を受けて質問をするというような非常にゆゆしき事態が起こりましたが、こういうことはもう一切ないんだ、この憲法改正の国民投票ではないんだと、この二点を自民党の方にここで確約をいただきたいと思います。

船田議員 それでは、長妻議員にお答えいたします。

 私どもが提案をしている法律案におきましては、中央選管、総務大臣といった政府機関におきましては、これは憲法の改正案の内容にわたらない、国民投票のまさに手続そのものに関する周知を行うということは規定をさせていただきました。

 しかし、今長妻議員が御指摘のように、政府が憲法改正案の内容に立ち入った広報を行うということは私どもは全く想定をしていない、これは御安心をいただきたいというふうに思っております。

 ましてや、政府機関やあるいは政府の高官がマスコミの報道あるいは特集番組に対して介入と受けとめられるおそれのある意見の伝達をするということも決してあってはならないことでありまして、これは長妻委員の御指摘のとおりである、こう考えております。

長妻委員 タウンミーティングの件はいかがでございますか。

船田議員 タウンミーティングの問題も、これは別途他の委員会でも議論され、大きな問題になっておりますが、私どもは、広報協議会を中心として、いわゆる説明会というのを全国に展開しよう、こういう予定でおりますけれども、このことにおきましても、今回のような事態が決して起こらないようにここは十分配慮しなければいけませんし、万が一そういう事態が発生しそうな場合には、広報協議会において各党の皆さんの御意見を出していただきまして、そこできちんとコントロールする、あるいはシャットアウトをするということは可能でございますので、そのような仕組みがきちんとできている、このことは申し上げておきたいと思います。

長妻委員 この議事録というのはずっと残るわけでございますので、ぜひ厳守いただきたいと思います。

 次の質問でございますけれども、皆様方に資料を配付申し上げましたが、唯一、メディア規制というのが、直前の七日間の広告放送の禁止ということが盛り込まれております。これは各国で、事務局につくっていただきました表でございますが、例えばスイス、デンマークは全面的にテレビ、ラジオにおける国民投票においての意見広告というのは禁止だ、フランスは投票日前二十日間が禁止だ、ロシア、カナダ、ポーランド、スロバキアは投票日当日と前日が禁止だ、イタリア、エストニアは投票日当日のみが禁止だ、そしてオーストリアあるいはスペイン、イギリスなどは、これに関してはちょっと不明であるということでございまして、この国以外は把握をしていないということでございます。

 これはいろいろな考え方があると思いますが、今回、七日間ルールというのを決めた理由といいますか、不在者投票というのが投票日前十四日ということは聞いておりますけれども、一つの考え方としては、投票日当日あるいは前日に限定して禁止をするという考え方もあるのではないかと私などは思うのでございますけれども、これは与党、民主党の両提出者にお伺いいたします。

葉梨議員 まず、広告放送について、各国でいろいろな形での規制がある場合、ない場合があるということで御資料をいただきまして、ありがとうございました。

 私どもの法律案においては、基本的に広告放送についても言論の自由市場による淘汰、すなわち、不当な広告放送があった場合でも言論によって対抗することが可能であると考えております。したがって、広告放送について全面的な禁止ということは行っておりません。ただし、メディアについても、活字メディアと違いまして、音声や映像を用いる放送メディア、これは国民世論に対して大きな影響力、これは理性ではなくて、時に感情に訴えるという意味での影響力を有するものというふうに考えております。

 そこで、各国の例も参考にいたしまして、国民投票期日直前の一定期間において、このような放送メディアを利用して国民投票運動のために国民の感覚に訴える扇情的な広告放送が集中的に流れるような事態を想定した場合、基本的にこれを言論に対して言論で対処するとはいっても、投票期日直前になされたような場合には言論の自由で淘汰する時間的な余裕がないということを懸念したわけでございます。

 そこで、これはなぜ一週間か、期日直前ではなくて一週間かということですけれども、このような冷却期間といいますか、冷静な言論で対処し、国民が冷静にこれを判断できる、いわば冷却期間、これを一定期間置くことは必要であろう。そしてさらには、今のテレビ、ラジオの番組というのも一週間が大体サイクルになっておりますので、そのような形での冷却期間を一週間という形で置かせていただいた次第です。

鈴木(克)議員 それでは、民主党の方から御答弁をさせていただきたいと思います。

 委員おっしゃるように、今回、本当に政治とメディアというものについて、基本的に、国民、そして我々が考え直さなきゃならない、そういうようなことも十分想定されるというふうに思うんですね。

 ただ、やはり国民に対して憲法を改正するということに関する情報や意見が本当に適切に伝わっていくということが大前提だというふうに思うわけですが、そういう中で、なぜ七日間かということについて、基本的には与党案と私どもも余り乖離はございません。ほとんど基本的には一緒だということでございますが、今もお話がありましたけれども、言論の自由市場による淘汰、こういうことをやはり基本的には考えていくということが必要ではないかなというふうに思います。例えば、不当な広告放送があった場合でも、いわゆる言論でまた対抗していくということが本来ではないのかなというふうに思っております。

 ただ、非常に放送というのは、特に映像なんかは大きな影響力を持っておりますので、感情に訴えるとか扇情的なというような部分もございます。したがって、いわゆる集中的にそういうものが流されたときに、言論に対して言論でもって対抗するといっても、例えば投票日直前に集中的にやられた場合には、もうそれに対する対抗の方法がないということも想定されるわけでありまして、したがって、一週間ぐらいは、冷却期間という言い方が当たっておるかわかりませんが、双方一切そのことについては放送しないということで、やはり直前七日間とすることが適当ではないのかな、今このような考え方をしております。

長妻委員 放送法の中立等々の規定というのは広告にも当てはまっていると思っておりまして、放送法の考え方の中で規制が既にあるわけでございますので、そういう考え方もあるのではないかと私は思います。

 最後に一問でございますけれども、政党等の公費助成による放送の時間あるいは新聞広告の寸法についての割り当てというのは、法文では、与党案、民主党案とも所属議員数を踏まえてという記述がございますけれども、賛否平等とするべきではないかというふうに私などは一つの案として考えているわけでございます。これに関して、賛否平等ということについて、自民党の、与党の提出者の方と民主党の方に聞いて質問を終わりたいと思います。

船田議員 今、長妻委員から、無料枠といいますか、公費助成の部分の割り当てのあり方ということで議論がございました。

 おとといの小委員会においてもこのことはかなり議題の一つとなりまして、私どもも答弁をしたわけでございますけれども、やはり一つは、諸外国の例を見ましても、これはさまざまございまして、スペインなどでは議席数比例というものがあります。それから、スロバキア、ポーランド、デンマークは政党間平等とする国であります。イタリアは、今御指摘のように賛否平等、こういう形になっております。若干、諸外国の例でも、私どもの数少ない例を挙げますと、政党間平等というのが非常に多いというのが印象ではございます。

 しかしながら、これまでの議論を踏まえますと、議席数比例というのは、ちょっとこれは、提案はいたしましたけれども、やはり改善すべきではないかなというふうに考えておりまして、政党間平等あるいは賛否平等に近い形を私どもとしては今選択をすべきではないかということで、現在、内部調整をしているということでございます。

鈴木(克)議員 それでは、民主党の方としてお答えをさせていただきますが、基本的にはやはり同じような考え方でございます。

 私ども、最初は所属議員数を踏まえて配分をということを考えておりました。しかし、機械的に割り当てた場合に、本当に時間数やサイズ、寸法が著しく不足をするというような状況になってきたとき、果たしてそれでいいんだろうかというような議論もございまして、実は今、私どもとしては、真剣にもう一度検討し直そうということで、どちらかといえば、無料広告の割り当て基準については、議員数の比例ということではなくて、賛成意見と反対意見を同等に扱っていくべきではないかというような考え方を今強めておるということでございます。提案したときにはそんな状況ではなかったんですが、その後、変わってきたというふうに御理解いただければと思います。

長妻委員 今、自民党の法案提出者の方から検討というようなお話がございましたけれども、日本独特のいろいろな状況もございますので、ぜひ検討をしていただきたいというふうに思います。

 今、質疑をさせていただきまして、やはり私が冒頭に申し上げましたように、ぜひお願いをしたいところは、この憲法の国民投票に関しましては、マスコミが萎縮するような、受けとめられかねないような、そういうような行動というのは慎んでいただきたい。NHKに対する放送命令というのがございまして、法律での規定というのはあるんでしょうけれども、しかし、安易に発動をするのは私は問題があるというふうにも考えておりますので、先ほど船田議員の方からも御答弁がございましたので、ぜひその御答弁、厳守をいただきたいと思います。

 以上でございます。ありがとうございました。

中山委員長 次に、石井啓一君。

石井(啓)委員 公明党の石井啓一でございます。

 質問に入る前に、委員会の運営についてちょっと一言感想を申し上げたいと思います。

 小委員会方式で、比較的少人数でテーマごとに議論を深めていくということは新しい試みで、大変有意義であるというふうに思いますが、小委員会のメンバーとそれ以外のメンバーとでやはり情報の量の格差が出るということもございまして、今回は火曜日に小委員会が行われましたが、私はほかの委員会に出ておりまして、その小委員会の状況は拝聴することができなかったわけですけれども、昨日、速記録を入手して、それを読みまして、大分参考になりましたので、小委員会以外のメンバーとしましては、小委員会の開催とこの本委員会の開催は、速記録を読むぐらいの時間差を設けていただければ大変質疑が深まるんではないかというふうな感想を持ちましたので、一言申し上げておきたいと思います。

 それで、本日の小委員からの補足的な発言で大分明らかになったところもございますが、重複するところもあろうかと思いますけれども、基本的に、与党案、民主党案、両案の提出者に対して質問をさせていただきたいと思います。

 まず、投票日の七日前から広告放送を制限することについては、これは民放連の方や日弁連の方からは到底許されないというような非常に強硬な反対意見もございましたし、また、なぜテレビ、ラジオだけ制限するのかという御意見もございましたが、これについての御見解を伺いたいと思います。

葉梨議員 先ほど長妻委員にも御答弁をさせていただきましたけれども、活字のメディアと違って、テレビ、ラジオのメディアですと、時に感情的、扇情的な形になってくるというようなこともあり得る。しかしながら、基本的に、広告放送も含めて、テレビ、ラジオであっても自由にというのがこの法律案の建前でございます。

 ただ、しかしながら、広告放送ということになりますと、投票日の期日前に非常に集中的に扇動的な広告がなされるということがどのような形で投票行動に影響を及ぼすか、非常に変な影響を及ぼしてしまうんではないかということも考えられます。そこで、このようなことが言論の自由市場の中で淘汰される一定の冷却期間を置いて、そして国民に冷静に判断していただくということで、大体一週間、テレビの番組、ラジオの番組、ワンサイクルになっておりますので、一週間の広告放送についてはこれを禁止していこうということで、テレビ、ラジオについてこのような規定を置かせていただいたという趣旨でございます。

小川(淳)議員 民主党案につきましても同様でございます。

 とにかく自由闊達な議論を巻き起こしたいわけでございますから、そのツールとしてテレビ広告等も例外では決してないという大前提に立っております。その点では、民放連さん、日弁連さんのおっしゃることもよく理解できるわけでございます。

 繰り返しになりますが、冷静な論理的な判断よりも、むしろ感情的な、直観的な、短絡的な判断に至りかねないこの広告放送については、一定期間制約を設けようと。これは諸外国の例を見ても、例えばフランスで二十日間、スペインでは五日間、スイスでは全面禁止といったような例もございます。これらを総合的に考慮した上での今回の判断ということでございます。

石井(啓)委員 これについては、先ほど赤松委員も指摘されていましたが、私も速記録を読みまして、今井さんの御意見、非常に深く受けとめたといいますか、印象的だったんですけれども、国民は信用できるけれどもテレビ局は信用できない、こういう言い方をされていましたね。

 テレビ局もいろいろあろうかと思いますけれども、報道の現場とか編集の現場、放送の中立ということで相当自主的な規制をやられているかと思いますけれども、広告という面では、やはりテレビ局も利益を上げなければいけないわけですから、これまでもテレビの広告についてはいろいろ物議を醸すところもありましたので、このテレビの広告について、本当に扇情的なスポット広告が排除できるのかな、自主規制に任せてできるのかなということについては、私も非常に疑問に思っておりまして、そこまでまだ信用できないなという感じを持っているということを率直に申し上げておきたいと思います。

 それから、次の質問ですけれども、政党のみ無料広告を認めることにつきまして、政党以外の団体や市民に対しても検討されるべきと、検討されるべきということで具体的な案、意見を参考人もお持ちではなかったようですけれども、こういった御意見についての御見解を両案の提出者にお伺いしたいと思います。

加藤(勝)議員 もう御承知のとおり、憲法改正案そのものは、国会、衆参の三分の二で賛成をし、そして国会が発議をするという形をとるわけでありまして、国会が改正案の発議機関として広報という意味でもしっかりとした役割を果たすべきである。そして、やはりこの国会を構成する政党が、さらには憲法改正案についてその経緯やその中身について相当議論をして理解を深めている政党が、国民に対してしっかりした情報を提供することによって活発な国民投票運動を行っていくべきである、こういう趣旨でテレビやラジオの放送や新聞広告について一部無料という制度をとっているわけであります。

 さらに、御指摘のようにその他の団体や市民に対して検討されるべきという御意見も、先般もあったわけでありますが、それでは具体的にそれ以外の団体、市民という方たちをどういう形でそこへ参加をしていただく方法があるんだろうか、こういう点も含めて相当慎重に議論していかなければ、具体的には実行していくということは難しいんではないかな、かように考えております。

小川(淳)議員 民主党案も同様でございます。

 発議の主体となりました国会、その国会の中では、ある程度政党ごとにまとまった考え、価値観を持って発議をするわけでございますから、その政党に、議論の経過あるいは議論の状況、内容を当事者としてよく国民の皆様に御説明をするという責任があるんだと思います。その部分については、一定の公設枠、公営枠を設けようという考え方でございます。

 委員御指摘のそれ以外の団体、市民に対しての無料枠でございますが、既に加藤委員、与党案からもおっしゃられましたとおり、一体どこで線を引くのか、どの団体はよくてどの市民はだめなのかといった議論は非常に難しい線引きが求められると思いますし、また、実際に大変大きな額の公費を投ずることになりますので、これに値するのかどうか、その辺の判断も非常に難しいものと考えております。

 したがって、今、必要最小限、最低限の公設枠、公営枠として政党に無料広告を認めていくというのが現在の判断でございます。

石井(啓)委員 重ねて民主党の提出者に伺います。

 小委員会では、ポーランドの事例ですかね、ポーランドが、政党以外の団体を公的な運動主体とするとき、国民投票の投票日の一年以上前から正式に登録された機関であり、かつ全国的に活動している組織ということで認めている、こういう事例が説明されておりましたけれども、こんな海外の事例等を参考にして何か今後検討するようなことはお考えでいらっしゃいますでしょうか。

小川(淳)議員 諸外国の例については大いに参考にすべきだと思います。ただ、今この委員会で、きょう現在において、このポーランドの事例をすぐに当てはめられるかどうかも含めて、これは慎重な検討を要すると考えております。

石井(啓)委員 では、引き続き御検討のほどお願いいたします。

 それから、無料広告枠の割り当て基準、これはもう既に御発言があったところですが、議員数比ではなくて、賛成意見も反対意見も同じ回数、時間にすべきとの意見について重ねて見解を確認いたしたいと思います。

船田議員 お答えいたします。

 確かに、国会の発議というのは両院の総議員の三分の二以上ということですので、これを議席数比例といいますか、踏まえて配分するということになると、これは三分の二以上が賛成のスペース、残りが反対のスペースということになると思います。また、政党間平等という例も先ほどちょっと申し上げましたけれども、これも結構諸外国では多い例ではありますけれども、今の日本の政党の状況を考えますと、三分の二に近い、あるいはそれを超える場合もあるかもしれない、そういう状況でございます。

 ただ、国民投票運動において国民に働きかけをする場合、賛成が極端に多くて反対が極端に少ない、こういう状況で国民の皆様に判断を仰ぐということになりますと、やはりそこには一つの、バランスを失するということもあるかもしれません。また、ある外国の例で、ちょっと聞いた話でございますが、賛成が圧倒的に多い分量であると、逆に国民がそれに反発をする場合もあるかもしれないと。これはその国その国の実情がさまざまではございますけれども、例えばそういう事例もございます。

 そういったことも勘案をいたしますと、やはり賛成、反対、それぞれほぼ平等に扱うことが一つの発議者としての見識、あるいは国民投票を成功させるための一つの方法ではないかな、こう考え始めておりまして、この点については、先ほど答弁いたしましたとおり、鋭意検討していきたいと思っております。

小川(淳)議員 民主党案についても同様でございまして、現在、考え方を練り直している最中でございます。

 当初は、とにかく各議員を平等に扱うという発想から来ていたわけでございますが、これはちょっと突っ込んだことを申し上げますが、私は、代表制の誤謬といいますか、現在の国会の勢力図そのものが例えば憲法改正のテーマに沿って構成されているわけでは必ずしもないわけでありまして、その意味では、特にこれは少数意見にも配慮をする必要があるでしょうし、国会での判断と国民の判断の間には、やはり賛成、反対を平等に並べることで国民の冷静な判断を促す、お願いをするということが、特に長期的な影響が及ぶ憲法改正に関しては重要なんじゃないかというふうに考えております。

石井(啓)委員 では、最後の質問ですが、広報協議会の構成について、これも会派の所属議員数の配分でなく、賛否の意見が平等に反映されるようにして、外部の意見も検討すべきという意見が出されていますが、これについての見解も伺いたいと思います。

保岡議員 御承知のとおり、日本国憲法というものは、改正手続を定める九十六条で国会が両院の三分の二以上の賛成をもって発議する、そして、それに対して国民が承認するものとしております。これは憲法自身が、国会の発議とは無関係にいきなり国民投票が行われるのではない、国会が発議した憲法改正案について国民投票を行うという制度を採用しているということは明快で、したがって、国会は改正案の発議機関にふさわしい役割を果たすべしということが当然期待されていると解すべきです。したがって、広報協議会は国会に設置され、国会の構成員である国会議員をその構成員として設置するということであって、その広報協議会を通じて国民に憲法改正案に関する基本的な情報を提供することは憲法の制度の趣旨にかなっているというふうに考えております。

 憲法改正広報協議会の委員の配分のお尋ねもございましたけれども、国会において国会議員を委員として設けられる組織ということでございます以上、会派所属議員の数の比例によることは、国会に関するいろいろな規則、ルールの基本的な原則だということでございます。ただ、会派所属議員の比率によって配分すると、憲法改正の発議に反対した会派から一人も委員が選ばれないという事態が生ずる場合、これはやはり反対の立場で議論に参加した議員、会派にできるだけ配慮することが必要だということにしているわけでございます。

 次に、外部委員を選任すべきかどうかという点でございますけれども、国会に設けられる機関に国会議員以外の者が委員として参加することが適当かということもいろいろ議論が必要だと思いますけれども、どうしても国会議員以外の者の知見を利用したいという場合は参考意見を聴取するなど運用で対処できる、これは臨機応変にいろいろな対応ができますので、こういう点を踏まえて国会議員を構成員とするということが適当なのではないかと考えた次第でございます。

 なお、国会が提供する情報というのは、あくまでも憲法改正案についての基礎的な情報であって、国民の議論の素材にとどまるものである。素材にとどまるものではあるけれども、何が発議されているかということを国民にきちっと広報して伝えるということは、憲法の改正案について国民の判断を適切に求める根源にかかわることで、海外調査の結果でも、どういう発議であって、それはどういう趣旨であって、そしてどういうものであるかということを明快に国民に示すことが国民投票法の非常に重要な基礎になるということは、いろいろ調査の結果得てきたところです。わかりやすく、できるだけ国民に明快に、それについての判断を求めるということの基礎は非常に重視しなきゃいかぬ。

 そういうことで、国会が発議するという立場から、国会に設置、構成員は国会議員とするということにした次第でございます。

小川(淳)議員 民主党案も同様でございます。発議者としての責任においてこの広報協議会を設置していくわけでございますが、他の国会のさまざまな組織、機関と同様に、基本的には所属議員数に応じてそのメンバーを選んでいくということでございます。ただ、この憲法調査委員会の運営でも既に体現されているように、とにかく少数意見を大事にしよう、少数意見によく耳を傾けた上で議論を進めていこうということでございまして、例えば反対された会派から委員が一人も選ばれないというようなことは、単純比例であっても許されないことでございます。そういった点には十分な配慮をした会派構成を考えていくということ。

 あわせて外部委員でございますが、やはり国会の機関ということでございまして、先ほど保岡先生おっしゃられましたとおり、運用面でその点の議論というのは補ってまいりたいと考えております。

石井(啓)委員 以上で終わります。

中山委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 先ほど自民党の早川委員からの御意見がありましたけれども、我が党は、国民の代表として選ばれている国会議員だからこそ、委員会、小委員会の設置には反対をいたしましたが、設置された以上はそこに堂々と出席して、このように出て、国民の立場から発言、質問しているということは一言申し上げておきたいと思います。

 それでは質問に入ります。

 まず、広報協議会についてですが、与党及び民主党の提出者に質問いたします。両案では、国会が発議した改憲案に対する広報を担う機関を国会に設置するというふうにされておりますが、先ほど来議論がありますが、提出者としては、国会が発議したのだから、その広報を国会が責任を持って行うためだという説明であります。

 しかし、国会というのは改憲案を発議して国民に提案する立場にあるわけで、したがって、国会は、国民投票において国民に改憲案への賛成を求める機関ということになると思います。国会が発議した改憲案について国民に賛成か賛成でないかの意思を問う国民投票において、国会がそもそも中立的な機関たり得るのかという指摘もあるわけです。

 そこで、国会の説明責任ということではなく、改憲案を発議する国会と国民投票との関係について、いわば原理的な問題になるかもしれませんが、提出者としてはどういう検討をされたのかということについて伺いたいんですが、どうでしょうか。

赤松(正)議員 今、保岡委員また小川委員から広報機関の国会設置については既に述べられたとおりであり、また、笠井委員につきましても、そういったことは既に御承知だろうと思いますけれども、広報協議会を通じて国民に基本的な情報を提供する、どういう角度から、どういう理由で改憲発議をするのかということについて、基本的な物の考え方ということをしっかり提示するというのは、やはり第一義的に国会に責任がある。そういうふうなことから、国会に議席を持つ政党によって活発な国民投票運動がなされるようにしていく、こういうことから出しているということでございます。

枝野議員 笠井委員御指摘のとおり、国会は発議をして承認を求めるという側面があるのは間違いないですが、国会は合議機関でありますから、国会として承認を求めているとしても、その構成員の中にその発議に反対の人たちが含まれる、これまた当然のことです。三分の二以上で発議をしたからといって、その発議に反対をした方は、国会の一員であるけれども、その承認をしない方向で運動されるわけでありますから、そこは理論的に問題はないと思います。

 むしろ、実は、国会に設置したということの意味は、では、どこができるのかという話です。当然のことながら、行政機関はもっと悪いだろうと思います。

 では、実際に発議がなされる状況、つまり、ある具体的な憲法改正案に対して賛成だ、反対だといろいろな議論が行われているときに、本当に中立公正な第三者機関を選任できるのか、だれが選任するのか。結局、選任するとしても国会で選任するわけでありまして、では、国会で選任したから中立公正だとお認めいただけるのかというと、やはりそうではないと思います。

 むしろ、直接、賛成の人も反対の人も両方必ず加わっていただいて、そこで事前に情報をとり、事前に物が言えるということを確保できる最大限の可能性を消去法で選んでいくと、国会以外にはないということになるんだと私は思っています。

笠井委員 今、原理的なこととしてはという、国会の、発議する側がやるということについて、賛成を求める機関であるということについては枝野委員も言われたと思うんです。私は、多数会派、少数会派とか、いろいろ意見が中にあるということではなくて、やはり九十六条の理解にかかわる根本的な問題に至ることだと思うんですよ。

 だからこそ、一昨日の質疑の中でも、日弁連の参考人からも、日弁連の中でも国会ではなくて第三者機関、いや独立行政機関でやるべきだという意見があったという紹介がありましたし、山田健太参考人も、広報を国会が担うというのは、結局、政党あるいは議員の意思が国民投票で問われることにならないかという疑問を呈されているわけです。

 では、どこがやるのかということになりますと、我々、私についていえば、今国民は望んでいない、改憲の国民投票は要らないという立場ですから、どこがいいかという提案をする立場じゃありませんので、ぜひそれは提出者が原理的な問題とのかかわりでやはり考えるべき問題だろうと思いますし、そこのところをやはり詰めて検討されないということになれば、結局、参考人からもありましたが、国民投票に大きな影響を与える国民への広報についても、改憲賛成の政党議員がやはり主導権を握るということに意図があるんではないかということになってしまうんじゃないかと思います。

 関連して、広報協議会の構成についてなんですけれども、両案でいいますと、その構成というのは各会派の所属議員数の比率によって選任するということであります。その理由立てとして、提出者で船田委員は、十月二十六日の審議で、先ほどもありましたが、他の委員会でも委員の割り当てというのは所属議員数の比率で割り当てられているので、これも同様にということで答弁がありました。これが繰り返されていると思うんです。

 私は、その説明を聞いても、やはり憲法改正というのはまた特別の場面である、そこでなぜ従来のやり方を単純に当てはめるということになるのか、どうしても理解できないんです。その点についての答弁をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

保岡議員 先ほど、なぜ広報協議会が国会議員を構成員として広報を担当するのか、原理的な説明を指摘されて、我々に意見を求められました。

 私からも赤松議員からもお話ありましたけれども、また枝野提案者からもお話がございましたが、これはやはり、先ほど私も石井先生の御質問に答えて申し上げましたけれども、国会が発議する、その発議の内容、趣旨、これをまず明確にわかりやすく国民に示すこと、このことは国会の責任であり、国会議員の責任だと思います。これは、改正案に賛成であれ反対であれ、責任のあることであって、特に反対派に考慮して、必ず会派にできる限りの配慮をするという規定を入れたのは、広報協議会が行うパンフレット、国民投票広報、この中には賛成意見と反対意見を書くことになっています。

 したがって、これは、法においても当然公正かつ平等に扱うものだということが規定されているわけであって、そういう観点から、三分の二の特別議決にもなっておりますし、かつ少数派に配慮もなされておりますし、平等、公平を期すための制度設計はきちっとできておる、私はそういうふうに考える次第でございます。

枝野議員 まず、これは広報協議会が何をするかというところもかかわるんですけれども、そもそも、賛成論、反対論、両論ある状況で発議されて、どこかが裁量的な文書をつくったり裁量的な物事をやろうとしたら、必ず中立公正じゃないと言われるに決まっているんですよね。そこで本当に中立公正な第三者が、客観的に両サイド、つまり賛成派からも反対派からもこれでいいだなんというものをつくれるはずがないという前提に私は立っています。

 したがって、まさに裁量的な部分がないことしかそこではつくれない。あとは、賛成論者と反対論者がそれぞれこの枠の中を自由に使うといって、それぞれ持ってきたものを機械的、自動的に印刷機を回すということしか多分あり得ないんだと思います。

 では、だれが、この人は中立だから、この人がつくった文章でこれでいいやという話になるかといったら、あり得ないと思います。説明会などにおいても、まさに機械的な配分をしていくしかないでしょうし、先ほどタウンミーティングのやらせ質問の話がありましたが、もし説明会で質問者みたいなことをつくるのであるならば、逆に、明確に賛成会派、反対会派から推薦してもらって、この人はここの色がついているんだという形にするしかない。この人は中立そうなんだけれどもという人を持ってくるなんということはあり得ない。こういう前提に立たないと、何をつくっても意味がないんだろうと思います。

 ですから、構成比をどうするかというのは実は余り大きな問題だと私は思っていません。つまり、機械的になっていますねという確認をするだけであって、そもそも機械的でないような、例えば中立部分、条文、改正案の中身を説明する部分ということとか新旧対照表とか、そういう部分のところが事実と違っていますねとか、そこのところに何か価値判断が入っている文章が入っていますねとかということをネガティブチェックするだけの機関であると思っていますので、別にフィフティー・フィフティーでも場合によっては構わないのかもしれませんけれども、ここはお互いの信頼関係の問題だと思います。

 裁量的なものが入っている、価値判断に基づいているものが入っているにもかかわらず数の力で押し切るということで少数派には心配があるかもしれないけれども、それなら広報協議会的なところで、価値判断的な部分が入っていないものでつくられているのに、逆に反対する側がそこで了解をしなければ、広報のためのパンフレットが発行できずに、手続的瑕疵で自動的に国民投票が無効になってしまうみたいなことが起こってもいけないということでありますので、三分の二多数で、全会一致でなく反対をした会派がある場合には、反対した会派から必ず入ってもらう。ということは、そこでおかしなことがもし提案をされようとしたら、実施される前に把握をして、世の中にこんなむちゃくちゃな偏ったことをやろうとしている、けしからぬということを言える機会をちゃんと担保するというところで私は十分に確保されるのではないかと。

 むしろ問いかけさせていただきたいのは、これはもともと私の発案で、与党も受け入れていただいた話ですが、普通にほっておけば、総務省が、中央選挙管理会がこういうことをやるという流れでありました。その場合に少数派の声が届かないということを考えれば、十分に少数会派、少数派に配慮して、中立的なものが担保される仕組みになっていると私は思っています。

笠井委員 今お二人から答弁があったわけですけれども、いずれにしても、私ももとの話に戻ってくると思うんですが、やはり国会というのは国民投票において国民に改憲案の賛成を求める機関になるわけでありまして、そういう中で、発議した後は国民が賛成か賛成でないかの意思を問われて、そこで国民投票をやるということになるので、やはり国会が中立的な機関となり得るかということが原理的に残ってくると思うんです。

 そして、実際には広報協議会をつくって構成をそういうふうにしても問題はないだろうと言われるけれども、しかし、では解説をどういうふうに書くかについてもいろいろな解釈が出てくる。説明会の持ち方というのもいろいろある。それで、従来のやり方で所属議員数の比率で割り当てた協議会をつくって、そして従来のやり方のように運営するとなれば、当委員会の運営でもありましたけれども、結局は、意見が分かれたときにはやはり多数の意見というか、場合によっては委員長が職権でという形で決められることを体験しているわけであります。

 だから、私は、法案などを審議する国会の仕事というのと、改憲案を発議して国民に提案した後は主権者国民が判断するという憲法改正における国会の位置づけという、この区別がやはりあると思うんですよ。それが実際には提案されている側にはないのではないかというふうに思わざるを得ないと思うんです。

 憲法改正というのは憲法制定権力を持つ国民が判断することであって、国会は、その改憲案の発議、提案までしかできないんだと思うんです。そこに、協議会の持ち方にせよ、所属議員が関係するにせよ、そういう余地がないのではないか。やはりそういう根本問題を考えていかないと、これは九十六条に基づいてやるという憲法の仕組みですが、そこの根本が問われるのではないかというふうに思います。

 もう一つ、広報協議会の構成を所属議員数の比率でという御説明の中に、発議時点における国民の民意の反映という意味からだという答弁が六月の本会議でもありました。しかし、憲法改正について、既に発議時点で国会において国民の民意が反映しているんだということを持ち出すとするならば、わざわざ憲法九十六条で国民投票を定めているのはなぜかということになってしまうわけです。

 つまり、三分の二というのは憲法改正を発議したときに国民の意思を反映しているんだということになれば、なぜ九十六条でその上に国民の過半数の承認を求めるということになっているかということになるわけで、私は説明を受けてもどうしてもその点が理解できないんです。発議時点における国民の民意の反映があるから広報協議会の構成を所属議員数の比率でいいんだという説明をもう一回ちょっとしてもらいたいんですが、どうでしょうか。

保岡議員 三分の二で発議するという数は、直前の選挙やその後の会派の異動や、いろいろな議員の考え方が議論を通じて変わっていく中で形成されるのであって、それは国会の通常の機能であると私は理解しています。

 それと、国会で発議することを前提に、憲法で例外的に直接民主制の制度を導入するのは、憲法が基本法である、国家権力の制約をするための国民の意思の最高の法であるということからして、これが直接民主制にゆだねられて、国民投票を経て初めて成立するというのは当然のことであって、また憲法がこういった性格の法規であるということはだれもが認めているところではないかと私は思います。

枝野議員 その国会の議席数の配分が民意の反映だからというのは、多分、うちの党の答弁ではないと思うんですが、もしうちの党の答弁であれば、私は撤回をいたします。

 そうではなくて、便宜上国会がやるしかないということの中で、国会の機関であれば国会の議席の配分でやる原則にするしかないという話であって、なぜ国会でやるしかないという話になるかといえば、それはお互い、イタリアで塩野さんがおっしゃっていましたが、何ができるかじゃなく何ができないか。

 では、ほかにどうするんだと。今、共産党さんの御提起に基づいて、そうですね、発議する国会がやるのは変ですねということになって、なおかつ他の代替の提案がなければ、中央選挙管理会がやるということになりますよ、もともと与党の提案はそうですから。どちらがいいのか。もし国会に問題があるということであるならば、中央選管でなく、国会でなく、こういうやり方をすれば皆さんも納得できる、より中立公正度が高まるやり方じゃないかという御提起をされれば、柔軟に、幾らでも我々は修正するつもりでいます。

笠井委員 先ほどの、発議時点での国民の民意の反映という意味からだという比率の問題については、本会議では民主党の御答弁でもされていたというふうに私は承知しているんですが、それは撤回するというお話だったので、それは結構です。

 これは、やはり憲法九十六条の基本的な理解にかかわる問題だと思うんですね。しかも、法案提出者が前に御説明の中で、選挙の際に憲法改正問題は争点にはしないということも繰り返し言われておりました。そういう点からも、国会の議席に改憲問題に関する民意は反映されないということが一つあると思うんです。

 それからもう一つは、一昨日の小委員会でも山田健太参考人から、先ほども紹介がありましたが、小選挙区制に起因する得票率と議席数の乖離という問題が指摘されました。この点からも、広報協議会の構成というのは民意を反映したものという議論、所属議員数の比率でということでは成り立たないということを私は言いたいと思うんです。

 それと、枝野委員が言われた最後の問題で言えば、私もさっき言いましたが、私はとにかく今こういう形で国民投票が必要ないという立場ですので、提案されている各党が、私が申し上げた点も考慮に入れていただくならば、どうしたらいいかということで大いに知恵を絞っていただく問題だろうと思います。

 終わります。

中山委員長 次に、辻元清美君。

辻元委員 社民党の辻元清美です。

 私は、まず最初に、先ほどから議論になっております広報協議会及び広報活動における平等性の問題について質問をしたいと思います。

 この点は、与党案、民主党案一緒ですので、一問目は与党の提出者の方にお伺いしたいと思います。

 先ほどから、反対の立場の者にはできるだけ配慮をするという答弁がありました。三分の二以上で発議されるわけですから、反対が少数になるというのはその原理に従えば当然のことであり、そして、この配慮をするという発想がどこから出てきたのか。何か配慮をすると言うたら、おこぼれをやるみたいに聞こえて仕方がないわけですね。まず、その発想そのものが果たして憲法原理からいって正しいのかどうかというところをこの後質問したいと思っておりますので、この配慮をするという発想はどういうところから出てきたか、与党提出者に説明を求めます。

 ちょっと、与党に聞きたいんです。(枝野委員「いや、私の案です」と呼ぶ)では、どうぞ。

枝野議員 与党に御質問ですが、そもそも広報協議会というアイデアを提案したのは私で、それを与党がお受け入れになったので、私の方から御答弁させていただいた方が筋で、それでいいかどうかだけ与党は御確認いただければいいと思います。

 配慮という言葉の日本語の持つイメージが若干誤解を招くのかもしれませんけれども、まさに配慮しなければいけない。つまり、辻元議員御指摘のとおり、もともとが三分の二以上が賛成派であるということの中で広報協議会がつくられるわけでありますけれども、まさに広報協議会の役割、性格からすれば、賛成の人たちだけで構成をするということになると、事後的にしか、そこで出されてくる例えばパンフレット等が中立公正であるかどうかということについて物が言えない。これではアンフェアである。したがって、必ず反対派の人たちが入っている必要がある。

 ただし、今の政治状況を考えれば、必ず反対派の方がいらっしゃるということが想定されますけれども、例えば全会一致で提案される場合もあり得るわけで、そういった場合には反対派の人を入れるものとするという条文は書けないわけでありますよね、全会一致なんですから、国会内につくる以上は。ただし、そのときにも、国民投票を求める以上は、世の中には反対の人もいるかもしれないということを前提でこういったことは配慮しなければいけないわけです、国会の責任として。

 それから、今、例えば現状の国会議席数を前提とすれば、具体的に申し上げれば、衆議院で何議席以上ある会派には少なくとも一人以上とかという規定の仕方はできます。実は、そうしたいなと私は思いました。しかし、これも、その都度その都度の政治状況が違ってきますので、そういうやり方をするとかえって少数派にとって不利になる場合もあり得ることも考えられます。あるいは、少数派内部、つまり発議に反対をした党派がお互い仲がいいかどうかというのもそのときそのときになってみないとわからないとか、いろいろあります。

 したがって、法律的に非常に明確かつクリアに条文を書くことが困難であるということの中で言葉を選んでいくと配慮という書き方にせざるを得なかったということでありますので、逆に言えば、ここもより明確、クリアに、国会で反対をした会派があれば必ずその中から一人は入るんだ、だけれども例えば三分の二にぎりぎりのときにどれぐらいどういうふうに入るのかというところまで考えたときに、問題ないような条文の書き方があれば、御提起いただけば柔軟に修正するつもりでいます。

辻元委員 今の枝野委員の御答弁の中にちょっと一つ象徴的な言葉があったと思います。せざるを得なかったということです。これは、ここにちょっと凝縮されて私たちが考えなければいけない点があるんじゃないかと思うんですね。

 なぜかというと、先ほど全会一致という話が出まして、この間の参考人の中からもそういう発言が出ました。ある専門家がこう言っています。国会が憲法改正案を全会一致で発議した場合、全政党が憲法改正に賛成していることを意味する、しかし、そのような場合でも国民投票においては賛成意見と反対意見は均等に取り扱わなければならない。国会が絶対多数で可決した憲法改正案であっても、国民投票による承認を求めている憲法の趣旨に反するということなんですね。

 ですから、私は、九十六条の解釈、三分の二の解釈というものに非常にこだわっておりました。そもそも憲法とは何かとか、九十六条の解釈を基礎にしないと、その枝葉である手続法も出てこないんじゃないかということでこだわっていたんです。なぜかというと、現状の政治状況とか議席に引っ張られて物事を考えるのではなく、憲法原理に従ってどう解釈するかというところを突き詰めて議論しなければならないと思うんですね。

 全会一致の場合ということも、これは、今の私たちは反対していますけれども、考えられる、それで配慮するという規定であった。そうすると、結局、国会は発議する側ですから、三分の二ぎりぎりであろうが全会一致であろうが、まないたのコイで、発議した後は判断を仰ぐ立場ですね。ですから、国会の中にいる私たち、それから議論してきた私たちにとっては、先ほど枝野さんが、ほかに何かいい機関があればという話がありましたけれども、当面これしか考えられないかなという意味での御発言だったと思うんです。

 しかし、国会の外から見たら、国会は問われる立場なのに、何だか議席に従ってとか会派の勢力図によって賛成とか反対の意見が取り扱われるのは嫌だなというふうに、国会の外から見たら、発議したことを問われる立場の者が広報活動の先頭に立つことに対する不信や疑念が出るということも理解できると思うんですね。

 ですから、三分の二で発議される、これは発議までであって、発議された後の取り扱われ方というのは、やはり中立機関というものを、ぎりぎりまで私たちはないものかどうかを探すべきではないかというふうに思う点が一点ですね。

 そこで質問なんですけれども、現状の議席配分というのは何かということを考えるべきだと思うんです。

 選挙のときも、現状の議席配分で広報活動の時間数や政党活動の車の台数などを決めるわけではありません。現状の議席配分によって問われることはないわけです。候補者の数によってすべて規定されているわけです。ですから、人を選ぶ選挙においても議席配分に左右されているということはないと思います。これは選挙の例ですけれども。

 私は、やはりこの三分の二という解釈に今までちょっと引っ張られてきたんじゃないか、発議後もあたかも何かそれに引っ張られた判断がなされていたので、配慮をするというような形、それから、せざるを得ないという形になっているんじゃないかと思います。ですから、ここのところはもう一度、私は、今までの御議論がありましたけれども、さらに外から見て、主権者の側から見て、発議した問われるべき国会と主権者の関係というところから考え直す余地があるというふうに思います。

 先ほど枝野筆頭の方からはそれについていい意見があればということでしたけれども、保岡筆頭はいかがでしょうか。

保岡議員 まず、基本的な問題として、国会は発議までが責任があって、後は国会がかかわることは、関与することはかえってゆがめる要素を持ち込むことにならないか、そういう御趣旨だと思います。私は、広報協議会というのは、先ほども申し上げているように、憲法改正で国民投票を求める際一番大事な、何が提案されているか、何が発議されているかということをきちっと伝えるということが国会の重大な責任だと思います。したがって、改正案はもとより、重要な点を整理して、要約して要旨を伝えるとか、あるいは、それでもわかりにくいことを従来の議論の経緯を踏まえてさらに明快にその趣旨を明らかにするというようなことは国会の責任だ、私はそういうふうに思います。(発言する者あり)ちょっと待ってください。

 それで、私としては、そういう意味で、先ほど全会一致のこともありました、全会一致の御発言があったりいろいろしましたけれども、全会一致というのは、これは、仮にあったとしても、議論の過程で反対意見というのは必ずあると思うんです、反対の趣旨やいろいろな考え方が。したがって、最終的に全会一致であっても、それをどう取り扱うか。国民に国会の発議の内容をきちっと伝える際の賛成意見、反対意見というものをどう伝えるかという問題もあるし、また、発議当時の会派の数がどれだけあるかということもわかりませんし、先ほど枝野さんが言われたように、それは今考えられる最も公正、公平、客観的なあり方を制度化したという点では、先ほどの枝野先生の御説明を我々もそのとおりだと思っております。

辻元委員 枝野さん、さっきと同じ意見ですよね。

枝野議員 今保岡筆頭は、与党案はわかりやすく伝えることの作業のために広報協議会があるかのごとき趣旨のことをおっしゃいましたが、我々は全く違います。わかりやすく伝える責任は、賛成枠のところをもらっている政党、反対枠のところをもらっている政党、その枠の中でそれぞれ反対の立場からわかりやすく、賛成の立場からわかりやすく伝えるので、広報協議会がこれこれこう説明すればわかりやすいですねなんということで中立部分をつくるだなんということは、我々全く想定していません。

辻元委員 今これは両案の共通部分について私は質問をしているわけで、共通部分ですね。ただ、解釈がちょっと違うわけですよ。両案について、同じ部分にも解釈の違いがありますので、ここのところは物すごい大事なところです。

 主権者から見ましても何か不公平だと感じるということはあってはならぬということは委員長が常々おっしゃっていることですけれども、共通の部分でもこうなんですよ。これはやはり、三分の二の原理は何かとか主権者とは何かというところにかかわってくると思いますので、この点についてはまだまだ議論を深めないと後でとんでもないことになるというように、枝野さんはうんうんと首を振ってはりますけれども、私は思うんですね。

 さてそこで、会派の議席配分。先ほど船田委員は各政党平等にということも配慮してはどうかというような、何だかうむうむという感じでおっしゃったんですけれども、例えば会派の数も、社民党と共産党は今は反対にとりあえずなっていますけれども、同等程度の反対の会派があと三つか四つぐらいできたら、各政党平等にとなると、反対派の方が大きくなる場合だってあるわけですよ。

 ですから、ここは賛否半分というのが一番、これはやはり外から見ても、ああ、そうかなと納得しやすいし、会派とか政治状況に振り回されるものではないというルールづくりの知恵を絞っていただきたいというように思います。

 これは、例えば、民意の反映が議席であるという話がありましたけれども、ちょっと個人的なことで恐縮ですけれども、前の参議院選挙のとき、私は七十二万票で落選したんですよ。十五万票で当選している人もいるわけですね。さらに、一票の格差というものは最高裁でも問題にされているわけですよ。このような状況の中でそれを基本に物事を決めていくということは、主権者の権利の行使をするに当たっては二重三重に問題があるという点も指摘したいと思います。

 先ほど政党、会派という発言もありましたが、船田委員にお伺いしますけれども、ここは両提案者が今ちょっと話しただけでも見解が違うわけですから、もっとさらに、かなり時間をかけて議論を深めるべきだと思いますが、船田委員、いかがですか。

船田議員 お答えしますが、いろいろな要素があって、どれを答えていいかよくわからないところもありますが……。

 私に与えられた質問としては、いわゆる無料枠の広報においての配分をどうするか、こういうことがメーンだと思いますが、先ほど諸外国の例で議席数比例、議席数配分ですね、それから政党間平等、それから賛否平等、いろいろ各国の実情に応じてそれぞれ選択をしていると思います。

 御指摘のように、政党間平等というのは確かに世界の中では割と多い形なのでありますが、ここで、今辻元委員御指摘のように、場合によっては、反対される党の数がふえていきますと、今度は逆に、賛否平等よりもさらに反対の方が多くなるということもあり得ると思います。これは、そのときそのときの政党の賛否の形、あるいは選挙の結果ということでそういったこともあり得ると思います。

 ですから、私としては政党間平等にこだわるつもりは全くございませんで、例としてあったということを表現したわけでありまして、そういったことも考えると、やはり賛否平等ということを最初から掲げた方が公平公正でいいのではないか、そういう考えにもなっておりますので、そこから先はまたなお柔軟に対応し、またいろいろと議論していきたいと考えております。

辻元委員 これは先ほど何回も申し上げているんですけれども、発議までと発議後の取り扱いを政治状況や議席配分に依拠することは極力または全面的に排除する方向で規則をつくるときはつくらないと、今船田委員がいみじくもおっしゃったように、反対に偏ったり賛成に偏ったりするということなんですね。

 ですから、いわゆる広報協議会の構成も、それから、そこからアウトプットと枝野さんがおっしゃいましたけれども、さまざまな印刷物などの問題も一緒です。例えば議席配分でいいますと、もしも一時間テレビで無料広告枠を設けたら、現状ですと反対が三分足らずで賛成は五十七分。例えば提案者がみんな賛成とすればですよ。ですから、それはもうもってのほかだということは共通の認識になってきたかと思いますけれども、さらにこの点は議論を深めていっていただきたい、一緒に深めたいと私も思っております。反対の立場ですけれども、深めていきたいと思っております。

 さて、そこでちょっと具体的な点も幾つか伺いたいんです。

 この間、広報活動における、どういうものを載せるかという具体的な話の中に、現行憲法の取り扱いが小委員会でも出ました。やはり参考人の方からも、改憲案だけではなく現行憲法も入れるということが、対照表みたいなものをつくるのがわかりやすいだろうという御指摘もありましたので、この点についていかがお考えかということ。

 それからもう一つは、解説というのが入っているんですね、要旨や解説。これについても御指摘がありまして、解説となると、例えば自民党の新憲法草案を私も拝見しましたけれども、九条の例で挙げると、集団的自衛権の行使とか海外での武力行使ということは非常に関心のあるところですけれども、それをどう解説するのかとか、反対派がどう解説するのかとか、非常に難しいわけですね。ですから、そもそもの原案だけではなくて解説というところの取り扱いについて、本法案にこのまま残すのかどうかという点が二点目です。

 それからもう一つ、広報協議会の行う任務については、説明会というのがあるわけですよ。広報物をどうつくるだけじゃなくて説明会。例えば、説明会ですと、憲法みたいな場合は四十七都道府県全部でやるのがもちろん当たり前だと思うんですけれども、そういうことをどこでどういう形でやるかということも決めるもので、その採決については三分の二で表決するという多数決の原理も導入されている。この説明会などについてはどのようなイメージで両案に入れられたのか。

 それから最後に、結局、小委員会でも説明会のこととか広報のことと関連して運動期間のことを言われました、六十日から百八十日。四十七都道府県全部で説明会を三日に一回やったらもうそれだけで百何十日かかってしまうとか、あと、私もそのときに小委員会で例を挙げましたけれども、教育基本法の今回の法案の取り扱いでも、六十日の二カ月なんというのは、まあ無理な話ですね。ですから、憲法になりますとあの期間では短いんじゃないかという小委員会での意見も出たし、私も広報のあり方との関連でそう思うんですが、今の点について、最後に立て続けで質問をいたしましたが、両案の提出者に答弁を求めます。

保岡議員 先ほど枝野筆頭からもお話がありましたとおり、これを提案していただいたのは民主党で、我々も、なるほど、発議したものをきちっと国民に示す、これは国会議員の責任で、国会に設置された機関でやるべきだ、それ以外にない、こう考えてこの提案を受け入れたわけです。ですから、基本的にまず枝野筆頭からお答えいただいた後、私が答えるというのがいいと思います。

 ただ、先ほど枝野筆頭から、賛成意見と反対意見の取り扱いについて私と見解が違うと言われましたけれども、法としては、反対意見、賛成意見は公正、平等に扱うという規定があるわけですね。だから、法としてはこれだけ書いてあるわけですけれども、公正、平等、その中で公正という点にかかわるいろいろ懸念を指摘されていると思うんですが、私は、この点については、これはもともと提案した民主党のお考えを基本として、重く考えるべきだと思っております。そういった意味で、私の理解としては、あくまでも法というよりも運用においてそういうことが予定されている、それで当然いいんだというふうに理解しております。

 運動期間については、これはいろいろ今までも議論がありましたけれども、憲法の総合的な調査をする段階、それからそれによって憲法の改正事項などを整理した上で三分の二で憲法改正を提案する、そして提案したものについて審議をしていく期間等、憲法改正の発議に至るまでは非常に長い期間議論をして、国会でそれを国民に知らしめていくべきであるということが前提になっております。

 したがって、確かにパンフレットをつくる期間とかいろいろ技術的な考慮も必要でございますけれども、余り一年とか二年とか長くなることは間延びする、かえって憲法改正の焦点がぼけていく、拡散していくというようなことになりかねないので、六十日以上百八十日以内が適当であると我々は考えたわけでございます。

枝野議員 まず、そもそも現行の提案している法案でも、ここにある解説という言葉の意味は、御指摘のあった新旧対照表のような話とか、それから現行憲法の参照条文、つまり、変える部分ではないけれどもつながっている、関係している部分をちゃんと示して説明する。それから、国会で発議のプロセスはあるわけですから、何月何日に衆議院でどうこうされて何月何日に議決されてなんという客観的な日誌みたいな話。イメージとしては、我々が法案審議する場合のいわゆる白表紙、参照条文とか新旧対照表とか載っているああいうのがありますね、あれのイメージであります。

 が、もしそういうふうに読み取られない、誤解があるんだとすれば、特に解説という言葉が何か価値判断の入るような話に受け取られるというふうな心配がこの間の小委員会でもありましたので、今法制局とも御相談をしながら、この解説という言葉を変えて、むしろ具体的に新旧対照表とか参照条文とかという書き方がいいのかどうか、これはちょっとテクニカルに法制局と相談しなきゃいけませんが、より紛れのない形に変える準備を進めておりまして、そういう意味です。

 つまり、あくまでも、パンフレットについていえば賛成枠、反対枠それぞれフィフティー・フィフティーで与えられる枠、これはそれぞれの賛成派、反対派が勝手につくって勝手に出せばいいんです。そこには手を入れない。それ以外の部分ということについては、もともと賛成派、反対派どちらもこれはお互い間違いないですねということで、意見が分かれるということにならない中身しかそこには載せない。そこに裁量の余地は入らない中身にするということを想定しておりますので、そういうことが間違いなく読めるような条文に、必要があれば変えるつもりでいます。

 説明会についても同じ発想であります。説明会についても賛成派、反対派が同じ時間を与えられて、それぞれ、我々はこういう理由で賛成である、我々はこういう理由で反対であるということを言う。その前段階として、まさに今のパンフレットの中立部分のところを朗読するようなイメージでやります。問題は、今回、特に小委員会の議論以来、いつどこでやるのかということ。これは確かに裁量の余地がある話でありますので、ここは確かに難しい。御指摘のところは考えなきゃいけないとは思います。

 説明会をやらないという選択肢もあるのかなと。つまり、そこのところは賛成派、反対派がそれぞれキャンペーンを張るでしょうから、そうした集会で行われるんでしょうから、いつどこでやるのかということについて裁量の余地がどうしても働かざるを得ないのならば、そこを中立公正に、賛成派も反対派も、では何月何日にここでやる、何時からやる、何時間やるなんということについて、お互いが公正だなんということを納得できるやり方が果たしてできるのかと言われるとなかなか難しいので、これは全く私見で、党内的にも全くだれとも相談していないんですが、もしかすると説明会はやらない方がいいのかなということを含めて検討をしたいと思います。

 それから、期間についてでありますが、私は、最短の六十日というのはこれでいいんだと思います。

 つまり、みんな憲法改正というと大がかりないろいろなことを考えていますが、いつも申し上げていますが、私は、現行の憲法の条文を読む限りは、裁判官の給料を普通の公務員と同じように社会の給与水準が下がったから減額するという、この間裁判官給与法の改正をやりましたが、あれはやはり現行憲法では憲法違反だろうと思います。裁判官の給与は下げてはいけないと書いてあるところは、あのときに法制局が解釈として言った言葉をちゃんと書くべきであると思うし、私は、現行憲法では私学助成金は違憲だ、これは私は大学の憲法ゼミのゼミ論なので違憲だと信じておりますが、違憲でないという人たちがたくさんいて意見は分かれるので、私はそこは合憲にしか読めないように変えるのには反対するつもりですが、私学助成金は合憲だと思うんだったら、ここのところの条文は変えた方がいいと思います。

 こういうかなり技術的な話も十分あり得るわけで、こうしたときに三カ月も四カ月も周知期間が要るとかという話になれば、それはちょっと違うだろうと思いますので、そうした場合には六十日あれば十分ではないか。

 私はそれは革命だと思いますが、全面書きかえという革命を現行憲法の改正手続を便宜上使って行うというようなことがもしなされる場合にも、この手続法が便宜上使われるわけですから、そうした場合に果たして百八十日でいいのかということについては、私は、全面書きかえは革命ですから、民主党は革命政党ではないので革命をするつもりはない、つまり全面書きかえをするつもりはないので想定しておりませんが、もしもそういうことを意図する人たちがいるのであれば、まさに革命手続を百八十日ぐらいでいいのかなという疑問は若干あるので、どうしても全面書きかえ、革命をしようという政党があるのであればもうちょっと長くてもいいのかな、こんな感じであります。

 以上です。

保岡議員 では、枝野筆頭の今の御説明を受けて与党の方からお話ししますと、忘れないうちに、説明会の問題ですが、これはパンフレットの反対意見、賛成意見を読むイメージだと言われたことは、私は同じような感じで、そういうものではないかと受けとめております。説明会はやらない方がいいんじゃないかという選択肢もあるようなお話でしたが、私は、できるだけ説明会もきちっとして、発議の内容そのものをまず正確に議論の対象として示す機会はできるだけ確保した方がいいと思います。

 また、解説ですね、憲法改正案に対する要旨、解説。要旨は、非常に重要なことを簡潔にまとめて、整理して示すという趣旨だと思うんですね。これは必要ですけれども、私は、改正案、条文そのものよりは短くなる、簡潔なものだというイメージです。そうだとすれば、発議の内容を正確に材料として国民に示すためには、やはり解説的な、解説というのは「よくわかるように物事を分析して説明する」というふうに広辞苑に出ていますけれども、そういう趣旨の努力は国会の責任において私はやるべきであって、それはちょっと枝野筆頭と認識が違います。

 違いますけれども、しかし、枝野筆頭が言われているように、またいろいろ御指摘を踏まえての御意見ですから、要するに公正中立、客観的な取り扱いをどうやるかという工夫の問題ですから、制度としてもう少しその点が担保できる表現がないかということについては、十二分に検討することは我々も受け入れて努力をしたいと思います。

辻元委員 今の御答弁を聞いておりまして、両案の共通部分にも両提出者による認識の違いが多々あるのではないかということの認識を深めましたので、引き続き慎重な御議論をお願いしたいと思います。

 終わります。

中山委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時三十八分散会


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