第3号 平成18年10月26日(木曜日)

会議録本文へ
平成十八年十月二十六日(木曜日)委員長の指名で、次のとおり小委員及び小委員長を選任した。

 日本国憲法の改正手続に関する法律案等審査小委員

      愛知 和男君    加藤 勝信君

      近藤 基彦君    葉梨 康弘君

      福田 康夫君    船田  元君

      保岡 興治君    枝野 幸男君

      鈴木 克昌君    園田 康博君

      赤松 正雄君    笠井  亮君

      辻元 清美君    糸川 正晃君

 日本国憲法の改正手続に関する法律案等審査小委員長            近藤 基彦君

平成十八年十月二十六日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 中山 太郎君

   理事 愛知 和男君 理事 近藤 基彦君

   理事 福田 康夫君 理事 船田  元君

   理事 保岡 興治君 理事 枝野 幸男君

   理事 園田 康博君 理事 赤松 正雄君

      新井 悦二君    伊藤 公介君

      石破  茂君    石原 宏高君

      猪口 邦子君    小野 晋也君

      小野寺五典君    越智 隆雄君

      大村 秀章君    加藤 勝信君

      木原  稔君    柴山 昌彦君

      谷  公一君    渡海紀三朗君

      土井 真樹君    冨岡  勉君

      中谷  元君    中森ふくよ君

      西本 勝子君    野田  毅君

      葉梨 康弘君    早川 忠孝君

      林   潤君    平田 耕一君

      深谷 隆司君    藤井 勇治君

      藤野真紀子君    二田 孝治君

      松本 洋平君    武藤 容治君

      森山 眞弓君  やまぎわ大志郎君

      矢野 隆司君    安井潤一郎君

      小川 淳也君    逢坂 誠二君

      岡本 充功君    鈴木 克昌君

      田中眞紀子君    高井 美穂君

      筒井 信隆君    長妻  昭君

      平岡 秀夫君    古川 元久君

      柚木 道義君    遠藤 乙彦君

      大口 善徳君    福島  豊君

      笠井  亮君    辻元 清美君

      糸川 正晃君

    …………………………………

   議員           加藤 勝信君

   議員           葉梨 康弘君

   議員           船田  元君

   議員           保岡 興治君

   議員           枝野 幸男君

   議員           小川 淳也君

   議員           鈴木 克昌君

   議員           園田 康博君

   議員           斉藤 鉄夫君

   衆議院法制局第二部長   橘  幸信君

   衆議院憲法調査特別委員会及び憲法調査会事務局長  内田 正文君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二十六日

 辞任         補欠選任

  石破  茂君     土井 真樹君

  加藤 勝信君     中森ふくよ君

  坂本 剛二君     石原 宏高君

  棚橋 泰文君     武藤 容治君

  谷  公一君     松本 洋平君

  渡海紀三朗君     やまぎわ大志郎君

  中野 正志君     小野寺五典君

  平田 耕一君     猪口 邦子君

  森山 眞弓君     藤野真紀子君

  安井潤一郎君     木原  稔君

  山崎  拓君     冨岡  勉君

  逢坂 誠二君     柚木 道義君

  玄葉光一郎君     高井 美穂君

  中川 正春君     小川 淳也君

同日

 辞任         補欠選任

  石原 宏高君     小野 晋也君

  猪口 邦子君     平田 耕一君

  小野寺五典君     中野 正志君

  木原  稔君     安井潤一郎君

  土井 真樹君     石破  茂君

  冨岡  勉君     山崎  拓君

  中森ふくよ君     加藤 勝信君

  藤野真紀子君     森山 眞弓君

  松本 洋平君     西本 勝子君

  武藤 容治君     棚橋 泰文君

  やまぎわ大志郎君   渡海紀三朗君

  小川 淳也君     中川 正春君

  高井 美穂君     玄葉光一郎君

  柚木 道義君     逢坂 誠二君

同日

 辞任         補欠選任

  小野 晋也君     坂本 剛二君

  西本 勝子君     谷  公一君

    ―――――――――――――

十月二十四日

 憲法改悪のための改憲手続法案の廃案を求めることに関する請願(志位和夫君紹介)(第一九七号)

 国民投票法案の廃案を求めることに関する請願(笠井亮君紹介)(第二七五号)

 同(志位和夫君紹介)(第二七六号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 小委員会設置に関する件

 小委員会における政府参考人出頭要求に関する件

 小委員会における参考人出頭要求に関する件

 日本国憲法の改正手続に関する法律案(保岡興治君外四名提出、第百六十四回国会衆法第三〇号)

 日本国憲法の改正及び国政における重要な問題に係る案件の発議手続及び国民投票に関する法律案(枝野幸男君外三名提出、第百六十四回国会衆法第三一号)


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     ――――◇―――――

中山委員長 これより会議を開きます。

 第百六十四回国会、保岡興治君外四名提出、日本国憲法の改正手続に関する法律案及び第百六十四回国会、枝野幸男君外三名提出、日本国憲法の改正及び国政における重要な問題に係る案件の発議手続及び国民投票に関する法律案の両案を一括して議題といたします。

 順次提出者より趣旨の説明を聴取いたします。保岡興治君。

    ―――――――――――――

 日本国憲法の改正手続に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

保岡議員 ただいま議題になりました自由民主党、公明党共同提出の日本国憲法の改正手続に関する法律案につきまして、提出者を代表して、提案の理由及び内容の概要について御説明を申し上げます。

 日本国憲法はその第九十六条において改正手続を定めているにもかかわらず、そのための具体的な国民投票法制につきましては、日本国憲法が施行されてから六十年近くも経過しようとしている今日に至るまで、整備されてまいりませんでした。このような基本的な憲法附属法典の整備は、国民の負託を受けている私ども国会議員の基本的責務であると言っても過言ではありません。憲法改正国民投票法制の整備は、憲法制定権力の担い手である国民がその権利の行使をする制度を整備することであり、憲法改正に対する国民の主権を回復し、真の国民主権を具体化することにほかならないからであります。

 昨年秋以降、本特別委員会及びその理事懇談会において、憲法改正国民投票法制全般に関し、活発な論議をしてまいりました。その結果、自由民主党、公明党及び民主党の三党間においては、ほとんどの事項について共通の認識が得られてまいりました。しかし、同時に、なお幾つかの重要な点について意見の相違が確認されたところでございます。

 今後は、お互いが現時点で最良と考える法制度について具体的な法律案の形で提出し、これを国会の委員会、本会議という国民に見える公の場において論議をし、かつ、これに対する御意見、御批判をいただきながらさらに幅広い合意形成を目指してよりよいものにしていくことが、憲法という国家の基本ルールの改正に関する手続法の制定手続としては望ましいと考えました。これが本法律案の提出に至る経緯でございます。

 以下、本法律案の主な内容について御説明申し上げます。

 第一は、本法律案は、あくまでも日本国憲法第九十六条の実施法であり、憲法改正国民投票だけを対象としているものであります。

 第二に、国民投票の期日は、国会が憲法改正を発議した日から起算して六十日以後百八十日以内において、国会自身が議決した期日に行うこととしております。

 第三に、投票権者については、日本国民で年齢満二十年以上の者としております。

 第四に、憲法改正の発議があったときは、憲法改正案の内容の広報活動を行うため、国会に両院の議員各十名で構成する憲法改正案広報協議会を設置することといたしております。

 第五に、投票の方式については、賛成するときはマルの記号を、反対するときはバツの記号を自書することとし、白票は無効としております。そして、賛成の投票数が有効投票数の二分の一を超えた場合に国民の承認があったものとしております。

 第六に、国民投票運動についてでございますが、国民投票運動は基本的に自由として、投票の公正さを確保するための必要最小限度の規制のみを設けることといたしております。その上で、投票事務関係者や特定公務員の在職中の国民投票運動の禁止、公務員等や教育者の地位を利用して行う国民投票運動の禁止、国民投票の期日前一週間のテレビ、ラジオにおける広告放送の制限などに関する規定を設けております。他方、政党等に対するテレビやラジオ、新聞における無料広告枠の提供といった国民投票運動の一部公営に関する規定も設けられております。

 第七として、罰則についても、投票の公正さを確保するための必要最小限度の規定のみを設けることとしたほか、いわゆる買収罪についても、その対象を社会常識的な範囲を逸脱する悪質行為に限定するべく、組織により、多数の投票人に対し、賛成または反対の投票をし、またはしないよう勧誘する行為であって、その報酬として金銭や投票行動に影響を与えるに足る物品を供与する行為等に限るということにしたところであります。

 第八に、憲法改正の発議手続を整備するため国会法の一部を改正することといたしております。その内容は、憲法改正原案を発議する場合の賛成者の員数要件、憲法改正原案を審査する憲法審査会の設置、そして憲法改正原案という重要議案を審査することに伴う憲法審査会における審査手続の特例などでございます。

 最後に、この法律の規定のうち国民投票の実施に関する部分は、公布の日から起算して二年を経過した日から、また、国会法の一部改正の部分は、公布の日以後初めて召集される国会の召集の日から、それぞれ施行することといたしております。

 以上がこの法律案を提出いたしました理由及びその内容の概要であります。

 委員各位におかれましては、何とぞ、慎重な御審議をいただいた上で、速やかに御可決いただきますようによろしくお願い申し上げます。

中山委員長 次に、園田康博君。

    ―――――――――――――

 日本国憲法の改正及び国政における重要な問題に係る案件の発議手続及び国民投票に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

園田(康)議員 民主党の園田康博でございます。

 私は、民主党・無所属クラブの提案者を代表いたしまして、ただいま議題となりました日本国憲法の改正及び国政における重要な問題に係る案件の発議手続及び国民投票に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。

 この法律案は、日本国憲法九十六条に規定する憲法改正国民投票に関する手続と国政における重要な問題についての諮問的国民投票に関する手続とを一体のものとして定め、あわせてそれぞれの発議に関する手続の整備を行うものでございます。

 憲法改正の是非を問うため、具体的手続は、本来、一九四六年に現行憲法が制定された際に憲法附属法として同時に整備されるべきものでございました。また、これらの手続は、憲法改正そのものに関する議論と区別して中立公正に進められなければなりませんでした。改正が容易な制度であっても、逆に改正が困難な制度であっても、どちらかに偏った制度では国民の意思を正確にとらえることができず、ひいては立憲主義の自殺行為となるからでございます。

 このため、私たちは、具体的な憲法そのものの議論がこれ以上深まる前に、改正推進派も改正反対派も双方が納得できる制度を整えておくべきであると考え、本法律案を提起いたしました。

 ところで、憲法改正手続国民投票制度は、間接民主制を基本とする我が国政にあって、直接的に国民の意思を問う例外的な制度でございます。そして、立憲主義の観点から、直接的に国民の意思を問うことが望ましい案件は、憲法の条文そのものを改正するケースに必ずしも限られるものではございません。

 もちろん、国会の意思とは無関係に、国会の立法権限を法的に制約するような手続は認められません。しかし、特に立憲主義にかかわる問題について、国会がみずからの意思に基づき諮問的に国民の意思を問い、その主権者の意思を十分に考慮しながら権限行使することは、何ら憲法に反するものではなく、むしろその趣旨にかなうものでございます。

 このため、私たちは、一般法である諮問的国民投票制度の創設と、その特例法である憲法改正国民投票制度の創設とを一本の法律として提案しております。

 では、以下、ポイントとなる点に絞って、法律案の内容を説明いたします。

 第一に、投票権者の範囲でございます。

 我が党は、従来から、成人年齢そのものを十八歳に引き下げることを主張しています。このこと自体、速やかに実現すべきと考えますが、せめて少なくとも憲法改正国民投票に関しては、投票権年齢を十八歳に引き下げるべきだとして提案をしております。なぜなら、憲法は長期にわたってこの国の公権力のあり方を規律するものである以上、この国の未来に、より長期にわたってかかわっていく若い世代に可能な限り決定に参加する機会を認めることが必要だからでございます。

 第二に、投票用紙への記載方法及び過半数の意義についてでございます。

 憲法九十六条は、国会の発議に対する国民の賛否を聞くのではなく、その承認を要求しています。わざわざ投票所まで足を運び、かつ、是とする意思を示さなかった者については、承認の意思がなかったものと判断するのが適切です。このため、本法律案では、国会の発議を是としこれを承認する者が投票用紙にマル印を付すものとして、マル印を付した票が投票総数の過半数に達した場合に憲法が改正されるものとしております。

 第三に、いわゆる国民投票運動についてでございます。

 国民投票と公職選挙は、投票という行動では似ております。しかし、選挙においては政党や候補者という運動主体が事実上限定的に存在いたしますが、国民投票においては賛成または反対の意見を持つすべての国民が運動の主体となり得ます。また、国民投票では改正に賛成または反対の運動と政治的意見表明との区別がつかず、これを規制すると政治的意見表明そのものに強い萎縮効果が働きます。

 このため、少しでも萎縮効果の生じることのないよう、一つには、特定公務員の運動禁止規定や、公務員、教育者の地位利用による運動禁止規定を原則として設けないものとしております。例外として、投票事務等に関与する公務員については運動禁止の規定を設けております。

 また、一票を金で買うような行為は国民投票においても許されるものではないと考えますが、本当に悪質なケースだけが対象になる構成要件を設けることは困難であるため、萎縮効果が生じないよう、買収罪の規定を設けないことといたしました。

 以上が本法律案の主な内容でございます。

 委員各位におかれましては、この法律案と与党案について、改正を目指す者と改正に反対する者の双方が納得できる中立公正な制度が創設できるよう、謙虚かつ真摯な議論をお願いして、趣旨の説明といたします。

中山委員長 以上で両案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

中山委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がございますので、順次これを許します。近藤基彦君。

近藤(基)委員 おはようございます。

 自由民主党の近藤基彦でございます。

 憲法改正手続法案に対する質疑の記念すべきトップバッターとなったわけでありますけれども、本日はテレビを通じて多くの国民の皆さんが見ておいでになられますので、冒頭に若干時間をおかりして、この法律の意義や提出されるまでの経緯について、テレビをごらんの国民の皆さん方のために簡単に御紹介をいたしたいと思います。

 今回議題となっております二つの法律案は、両方とも議員立法であります。政府が政府内部で議論をして国会に出してきた法案ではなく、国会議員同士で議論をして、議員みずからが筆をとって立案した法案だということであります。したがって、私が質問いたします相手方もふだんは大臣であったり政府のお役人であったりするのですが、きょうは法案を提出した国会議員に対して質問をいたしたいと思います。

 ある意味、私は、国会というところは本来そうでなければならない。つまり、国会議員の本来の姿は立法者であって、国会議員がつくった法案を国会議員が議論してよりよい法律に仕上げていく、そして、その過程のすべてを国民に見ていただいてその判断にゆだねるというのが理想の形なのではないかと思うからであります。

 特に、憲法改正手続法案という我が国の国の形を決定するルールを定める最も基本的な法律案であり、かつ主権者である国民の最も基本的な権利を保障するこの法律案が、国民の代表である国会議員の手によってつくられ、きょうから本格的な審議に入ったことは、大変な御労苦をいただいた同僚の法案提出者とともに、私の深く喜びとするところであります。

 ところで、この法案提出者のほとんどの方々は、与党側も民主党側も、この憲法調査特別委員会の理事またはその経験者であり、さらにさかのぼれば憲法調査会の幹事であった方々であります。実は私も、初当選以来六年余りずっと、憲法調査会そして現在の憲法調査特別委員会に籍を置いて活動してまいりました。この間、一貫して会長、委員長を務めておられる中山太郎先生の公正円満な御指導のもと、実に丁寧な議論を重ねてまいったと思っております。中山委員長の議事整理の公平中立さは、憲法改正に関しては意見を異にする与野党の多くの議員からも高く評価されていると思っております。

 この中山委員長のもと、昨年秋の憲法調査特別委員会の発足後、私どもは集中的に国民投票法制の調査及び議論をしてまいったわけであります。現在までに委員会での調査そして海外調査も行い、さらに、法案提出前の二カ月余りの間、論点整理の理事懇談会での議論も行ってまいりました。この成果は現在提出されております与党及び民主党の両法案に結実していると思っております。

 本日は、そのような各会派の政治的な利害を超えた調査を踏まえて立案された両法律案のどこが共通していてどこが異なっているのか、その基本的な点を問うてみたいと思っております。この天下国家の大法律案は、与野党対決の法案ではなく、与野党の幅広い合意を踏まえて制定されるべきであり、そのような視点から幾つか質問させていただきますので、よろしくお願いを申し上げます。

 冒頭に申し上げたとおり、この委員会の審議は国会議員同士の議論であります。しかも、両法律案とも基本的な考え方や制度の根幹となる部分は私自身は共通であると考えております。しかし、同時に、わずかではありますが重要な点について相違があることも確かですので、お互いの真摯な協議あるいは工夫次第で合意に至ることは十分可能であると考えております。

 したがいまして、与党案、民主党案、双方の提出者の方々も、提出されている御自分たちの案に必要以上に拘泥することなく、現時点で手直しするべきと思われる点があるのであれば率直にそのようなアイデアをお互い出し合って、建設的な議論にしていただきたいと思うものであります。

 それでは、まず第一問でありますが、船田先生は先週の当委員会で、与党案については過半数の賛成をもって成立させることも可能であるがそれ以上の幅広い合意を目指していくという趣旨の御発言をされたと思います。繰り返しになって恐縮ですが、テレビを通じて多くの国民の皆さんの前で、与党案提出者としての基本的な姿勢をもう一度確認させていただきたいと思います。

 また、斉藤先生にも、与党案提出者のお一人、そして公明党政調会長として御所見をお述べいただきたい。

 それと、枝野先生にも、同じ趣旨でありますが、民主党案の筆頭提出者として、また民主党憲法調査会長として、与党側の呼びかけに対しどういう姿勢で臨まれるおつもりなのか、お伺いをいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。

船田議員 近藤議員にお答えいたします。

 先ほど近藤議員から、立法府のあり方、特に、議員同士が議論をして、そして法律案も議員みずからつくり、幅広い合意を得られるように努力しようではないか、こういう大変示唆に富んだ、そして重要な御発言がございました。私も全く同感でございます。

 特に、この憲法改正の国民投票法案につきましては、これまで憲法調査会でも議論をし、この憲法調査特別委員会においてもずっと真摯な議論をやってまいりました。特に、前国会におきまして論点整理ということをやらせていただいて、憲法改正の国民投票法案手続法につきまして、どうしようか、どういうものがあるかということで、お互いに議論できたということは大変意義のあるものであったと思っております。

 その結果として、今回、与党案それから民主党案それぞれ出されたわけでございますが、この後また詳しく内容については議論されると思いますけれども、御承知のように二つの法案とも見たところ余り大きな違いはございません。むしろほとんど同じであると申し上げてもよろしいかと思います。もちろん、相違点につきましては幾つかの論点が残っているわけでありますが、決してこれは今後の話し合いで乗り越えられないハードルではない、このように感じております。

 先ほど御指摘をいただいた先週の私の発言、まさにそれはそういう意味でございまして、それぞれの立場を乗り越えて、より幅広い合意を得るために、なお今後この委員会におきまして十分に議論していくという点においては私も全く同感でございます。与党案というものを既に出しておりますけれども、その内容に拘泥することなく、幅広い意見、そういったものも取り入れながら合意点を見出していきたい。

 よく対決法案というふうに言われたときもあるんですが、決してそうではありません。合意直前までいったけれども前国会においては時間切れということで、それぞれにそのときの考えで法案を提出した、こういうことでございますので、その点をぜひ御理解いただきたいと思っております。

斉藤(鉄)議員 近藤委員にお答え申し上げます。

 先ほどの船田議員の答弁と全く同感でございます。それに加えて、今回は憲法改正の中身の議論ではなく、その大前提となる公平中立なルールづくりということでございます。したがいまして、この国民投票法案をつくるということ以上に与野党の幅広い合意を得るということの方がもっと大事、このように私は考えております。そのような合意を目指してこの委員会で議論を進めていきたい、このように思っております。

枝野議員 お答えをいたします。

 今の船田先生、斉藤先生の御発言を歓迎して受けとめたいと思っております。

 私どもも、この憲法改正に絡む国民投票制度については、できれば国会内の全会一致で制定されるべきであるというふうに考えております。それは、まさに国民の皆さんの意思を問うルールでありますので、例えば将来、憲法改正の発議がなされた場合、それに賛成である立場からも反対である立場からも、このルールで投票が行われればその結果は国民の意思であるということをみんなが納得できる制度でなければいけません。

 そういう意味ではまさに土俵づくりでありますので、憲法に対する考え方の違いにかかわらず、これなら中立公正だとみんなが納得できる制度であるべきである、それであるならば、本来、全会一致となることが望ましいというふうに思っております。

 この間も中山委員長を初めとして与党の皆さん方もそうした点に十分考慮をされた運営と進行で進めてきていただいていると思っておりますし、私どももそれに向けた努力をさせていただいているつもりでございます。

 幾つか与党案と私どもの間に違いがございますが、これについては本委員会で、きょうをスタートに、国民の皆さんの見えるところでオープンな議論をさせていただき、またいろいろな有識者の皆さんから知恵をいただいて、足して二で割るとか政治的取引でどうこうするとかという性質のものでもないというふうに思いますので、一番みんなが納得できる形をこれから模索していきたいというふうに思っておりますので、その限りにおいては私どもの案、提出をしているところについて現時点ではベストだと思っておりますが、そうしたものを踏まえて柔軟に対応していきたいと考えております。

近藤(基)委員 お三方の考え方はよくわかりました。各会派の幅広い合意形成を目指して、今後精力的かつ真摯に協議をしていくということであります。

 私の思い違いでなければ、二つの法律案を出す際に、お互いの主張が分かれるような重要な論点に関しては、水面下で修正協議をするのではなく、むしろそれぞれの主張を法案の中にはっきり書き込んで、国民の皆さんの前で議論をし、国民の皆さんの意見も聞きながら、よりよい解決策を模索していこうじゃないかという姿勢が双方にあったと思います。

 ただ、国民にとってわかりやすい議論を心がけることは、そのこと自体は私は悪いことではないと思います。そうすることによってすべての論点が一気に解決するかといえば、そう物事簡単にはいかないだろうと思っております。論点によっては、知恵の出しようによって短時間で決着がつくものもあれば、他方、他の制度への波及があることなどから、方針は決まっても実現までにかなりの時間を要するものもあるということを明確に意識しておく必要があるのではないかと思っております。

 このように論点を仕分けする視点を持ちながら、今後精力的に詰めるべきと私が考えている幾つかの論点について、時間の許す限り、両案の提出者に伺ってまいりたいと思います。

 まず、国民投票の対象として、憲法改正国民投票だけでなく、国政上の重要問題に関する一般的な国民投票まで加えるかどうか。そして、投票権者の年齢要件をどのように考えるか。つまり、現行の公選法の選挙権年齢と同じように二十歳とするか、それとも十八歳に引き下げるべきか、さらには案件によっては義務教育を終了した十六歳にまで引き下げるような制度設計とするべきかどうかという点であります。

 この二つの論点について、私は、民主党から現行制度に対する大きな改革提案をいただいたと受けとめております。と同時に、これらはいずれも我が国の法制度及び社会制度の根幹に与える影響も甚大であると考えております。したがって、この二つの論点については、それぞれに、そのような制度が他の法制度や社会的制度に与える影響を慎重に見きわめた上、相当周到な対応策が必要ではないのかと思っております。

 例えば、中山委員長を団長として、本委員会の理事、委員をメンバーとする調査団により、昨年そしてことしの二回にわたって行われた海外調査の報告書を拝読させていただくと、一般の国政問題に関する国民投票については、スイスなど一部の国を除き、間接民主制との整合性を保つために慎重に取り扱っている例が多く見られております。他方、投票権者の年齢につきましては、多くの国で共通して十八歳とされております。その意味では十八歳投票権は世界標準とでもいうべき制度であるとは思います。しかしながら、その大前提として、国民投票の投票権年齢と他の国政選挙の選挙権年齢、また民法上の成人年齢などとすべて同じくしております。

 この点について、与党案、民主党案の提案者はそれぞれどのような御認識をお持ちなのか、お伺いしたいと思います。

保岡議員 近藤先生が御指摘のように、国政上の重要問題に関する一般的な国民投票法制というものを民主党が提案されております。与党案にはそれがありません。そしてまた、投票権者の年齢についても、我が党は満二十年以上の国政選挙と同じような年齢要件を提案しておりますし、民主党は御指摘のように十八歳以上、例外的に十六歳という御提案でございます。この二つの論点については、今委員が御指摘のように、日本の他の法制、社会的な制度への影響が非常に大きいわけでございます。

 例えば、民法では、二十以上にならないと、親の同意がない法律行為は瑕疵があるものとして取り消しもできる、一人前に契約ができない、それから刑法では二十歳未満は少年として扱われるという、特別な刑法上、私法上の取り扱いを受けております。こういったことなど、いろいろ成人要件というものによって資格が与えられたりしておりまして、この社会を支えるいろいろな制度の基盤を、成人年齢以上の者に与えられているということが一般でございますし、世界も大体国政選挙と成人年齢は一致しております。

 そういうことで、私たちとしても、いろいろ文献調査、海外調査などを踏まえまして、この点については慎重に、しかし私は、非常に一般的な国民投票法制にしても、これは確かに、議会制民主主義をとる、国会が唯一の立法機関であるというこの日本国憲法制度の枠内ではその例外になるのではないだろうかと思います。

 というのは、諮問的な国民投票の効果しか一般的な国民投票には認めないという御提案なんですが、事実上は、国民が投票しますと決定的に国会はそれに縛られる、私はそう思います。したがって、国会の議論の参考にするための投票であると言われるんですが、事実上は決定的な拘束力を持つ。事実、オランダのEU憲法の国民投票は諮問的でありますが、国民投票の結果は国政に対する重大な制約に現在なっております。そういったことなどを考えて慎重に議論をして、議会制度の間接民主制の例外として適当であるかどうか、この取り扱いはよく検討する必要があると思っております。

 年齢については、私は最近大学生やいろいろな人とお話しする機会があるんですが、政治のみならずあらゆる点についてもう一人前の立派な議論をしておられるというようなこともありますので、十八歳以上に成人年齢を下げるということを前提にでございますけれども、国民投票の投票年齢もそれに合わせるという考え方、これは世界標準でもあるし、私は検討に値するものであろうと思います。ただ、これも確かに、成人年齢にかかわることは教育その他いろいろな観点から先ほど申し上げたような制度に影響しますので、検討をする期間というものも必要であろう、そういうふうに考えておるところでございます。

 いろいろ議論して、将来の課題としてしっかり答えを得ていきたいと存じます。

鈴木(克)議員 近藤委員に、民主党としてこの国民投票の対象そして年齢要件について御答弁をさせていただきたいというふうに思います。

 まず、国民投票の対象でございますが、確かに間接民主制、代議制を採用する我が国の統治理念は十分踏まえなくてはなりませんけれども、特に重要な課題については間接民主制を補完するものとして直接国民の意思が表明される機会が保障されてしかるべきではないか、このように考えております。そして、今回はその一体的な整備を目指してまいりたいということでございます。

 民主党案では、憲法が定める間接民主制の原則に反しないよう、国政問題国民投票の結果は国やその機関を拘束しないものとし、国家意思の形成に当たって事実上参考とされるにとどまるものとしているところでございます。

 次に、投票権者の年齢要件でございますが、国際的に見れば、先ほどもお話がありましたように、多くの国々で十八歳以上の者に参政権が付与されているのは御案内のとおりであります。特に、主要先進国ではもはや我が国だけが取り残された状況にあると言っても過言ではありません。民法の成年規定は百年以上前の価値観によって立つものでありまして、結婚や自動車免許の取得については既に十八歳をもってその資格が付与されております。

 民主党は、そもそも選挙権年齢を十八歳以上に引き下げるべきだということを主張してまいりました。これ自体、速やかに実現すべきと考えておりますが、残念ながらその具体的めどは現在立っておりません。こうした中で、せめて、少なくとも憲法改正のようにその効果が長期に及ぶものについては若い世代の声を政治に反映させる必要性が特に高い、他に先行しても十八歳に引き下げるべきだというふうな認識に立っておるところでございます。

 以上であります。

近藤(基)委員 ありがとうございました。

 時間がなくなってきておりますので、もう一問だけにさせていただきたいと思います。

 ところで、今御説明にありました投票権者の年齢要件に関連してでありますけれども、投票権者の範囲について伺いたいと存じます。

 与党案、民主党案の両案ともに、公選法では選挙権が停止されている者や有しない者についても国民投票の投票権者として認める、つまり、公選法のシステムと違えてまでも投票権者の範囲をできるだけ拡大しようという仕組みをつくっておられると認識しております。

 それはどのような点にあるのか、そしてどのような理由に基づくものであるのか、御説明をいただきたいと思います。これは両案とも同じ内容でありますので、与党案の提出者から簡単に御説明いただければと思います。

加藤(勝)議員 お答えいたします。

 御承知のように、国政選挙等におきましては、成年被後見人、禁錮以上の刑に処せられ、その執行が終わるまでの者、恩赦等によりその執行を受けることがなくなるまでの者、一定の選挙犯罪者等は選挙権を有しない、こういうふうにされているわけでありますけれども、国の形をまさに決めるこの憲法改正に係る国民投票におきましては、国政選挙以上に幅広い国民の参加が望まれるということ、そしてまた、そうした投票は頻繁にまた定期的に行われるとは当然考えられないわけでありますから、たまたまその時期に公民権停止で参加ができない、これもいかがなものかなというふうに考えるわけであります。

 また、事務的にも、国民投票の場合にも国民投票名簿というものをつくるわけでありますけれども、通常の選挙人名簿とは違うものをそもそもつくるということになっておりますので、そんな大きな負担にならないのではないか、こういうふうに考えているわけであります。

 もっとも、成年被後見人につきましては物事をなかなか的確に判断でき得る状況にはないということでありますから、憲法改正の是非についての判断を求めるのはいかがか、こういう判断から、憲法改正の国民投票においては公民権停止者のうち成年被後見人を除いて幅広く選挙に参加していただこう、こういうふうに考えているところでございます。

近藤(基)委員 ありがとうございました。

 時間になりましたので、以上、私自身の意見を交えながら、両法律案の論点について総花的な交通整理を試みてみました。双方の提案者の御答弁を聞きながら、御主張の隔たりは法案の字面以上にはない、むしろ質疑が進むにつれて両者相寄れるような感想を強く持ちました。

 議論はようやく始まったばかりでありますが、国民にオープンな形で、また相互に真摯で、かつ生産的なものとなることを期待いたして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

中山委員長 次に、古川元久君。

古川(元)委員 民主党の古川元久でございます。

 本日は、民主党を代表して質問させていただきますが、質問に当たりまして、ここまで中山委員長のもと、この憲法改正のための国民投票法が与党側そして私ども民主党から議員立法という形で提案をされて審議に入るということに対しまして、これまでの委員長を初めとする委員の皆様方の御尽力に心から敬意を表したいと思います。

 そして、本日の議論を通じてこの憲法改正のための国民投票法に関する国民の皆様方の理解が深まっていくように、私自身、地元などでお話をしていても、憲法に関する関心は、一部の非常に改憲を主張される方、そしてまた護憲を主張される方、そういう方以外のかなりの部分の方はまだそれほど憲法に関する議論について関心が高まっているという状況にはないのではないかなという感覚を持っております。

 そしてまた、とりわけこの国民投票法というものについての理解や認識というものはまだまだ一般の国民の皆様方の間では深まっておらない、そういう感じがしておりますので、本日は、この国民投票法の、これからもちろん具体的な中身のところの実質審議に入っていくわけでありますけれども、そこに入る前段階のところといたしまして、この法律の占める位置といいますか、一体この法律というものがどういうものなのか、この法律の持つ性格というものについて、憲法、国民主権原理との絡みで御質問をさせていただきたいと思います。

 私、さきの国会で代表質問をいたしましたときにも申し上げたんですけれども、日本国憲法が立脚しております国民主権原理というのは、憲法第九十六条が規定するところによりまして、憲法改正権限を国民自身の直接民主制的手続に係らしめているという点に究極的に表現されていると。この意味で、国民投票法制は、まさに国民主権原理をいかに実質的に機能させるかという観点から検討され、定められなければならない。そして、そういう意味では、憲法を変えるも変えないも主権者である国民が実質的かつ最終的に判断すべきであり、そのための言論の機会などをいかに保障し、国民の意思をいかに的確に反映させることができるかということこそが国民投票法制の制度設計の基本であるべきだ。そのように述べさせていただきました。

 そして、私ども民主党の基本的な立ち位置は、この国民投票法案が主権者たる国民の自由闊達な議論を通じてみずからの憲法を選び取るための中立公正なルール設定のための法案である、そういう認識に立って、ぜひ議論を進めていきたいというふうに思っております。

 先ほど我が党の提案者の方からの趣旨説明にもありましたけれども、そういう意味では、本来この手続法の議論は、改正に関する議論が一方で行われているような段階ではなくて、一九四六年に現行憲法が制定されて、そもそも改正などの議論が行われる状況じゃないようなときに憲法附属法として同時に整備されるべきものであったというふうに私たちは考えております。

 それにしても、とにかく国民主権原理のまさに一番の発現でありますこの国民投票、とりわけ日本国の基本的な枠組みを決める憲法改正の国民投票ということになれば、手続法に瑕疵があるために結果に問題があるというような疑義が生じることがあってはなりません。そういう意味では、先ほどの趣旨説明にありましたように、具体的な憲法そのものの議論がこれ以上深まる前に、改正推進派も改正反対派も双方が納得できる制度を整えておくべきだ、そういう立場に私ども立つわけであります。

 ただ、残念ながら、実際にはかなり具体的な憲法改正の議論というものも一方では行われているということも事実でありまして、そこで、やはりこの国民投票法の実質審議に入るに際しましては、まずは提案者それぞれの立場で現時点における憲法改正の必要性についてどのように考えているのか、そのことをきちんと国民の皆様方にも理解していただく必要があるというふうに考えますので、それぞれの提案者の方の、特に与党の場合は自民党さんと公明党さん、それぞれの立場は違うと思いますので、それぞれの立場での現時点における憲法改正の必要性についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。

加藤(勝)議員 今、古川委員からお話がありましたように、憲法に定められました改正の手続の議論と憲法改正の議論、これはもちろん別建てで分離して行われるべきである、その前提に立った上でお話をさせていただきたいと思います。

 我が党は昨年、新憲法草案の明示もさせていただいたところでありますが、御承知のように、憲法ができて約六十年たとうとしているわけでありまして、その取り巻く状況は大きく変わってきているわけであります。

 例えば、我が国に対して国際的な意味で求められる貢献、こういったものも高まってきたわけであります。また、技術進歩に伴って、当時では考えられないさまざまな社会事象等も出ております。また、プライバシーあるいは環境といった視点からさまざまな課題も提出されている。こういう新しい状況に対応いたしまして、国の形あるいは理想を決める憲法というものをしっかり手直ししていく必要がある、このように考えているところでございます。

斉藤(鉄)議員 公明党の憲法改正についての考え方でございますが、一言で言いますと、加憲、そういう考え方を持っております。加憲と申しますのは、現在の日本国憲法を非常に高く評価をしている、憲法九条も含め平和主義そして国民主権、基本的人権の尊重、この三つの基本的原理を今後も引き続き維持していくべきである、このように考えております。その上で、ここ六十年、戦後六十年、人類が、また私たち日本国民が得てきた新しい価値観や考え方もございます。そういうものをつけ加えていく必要があるという意味での加憲でございます。

 したがいまして、その新しい価値観をつけ加えていくための手続を整備しなくてはいけない、このように考えておりますが、しかし、どのような価値観をつけ加えていくべきかということについては、この場を通じて本当に議論をして合意を得ていくということのプロセスが当然必要でございまして、急ぐ必要はないというのが私たちの立場でございます。

枝野議員 民主党は、現時点では憲法を改正するとかしないとかということの具体的な決定はいたしておりません。変えることを含めて憲法のあり方を一から議論し、それに基づいて憲法提言を提起し、国民との対話集会を重ねているところであります。

 そもそも、歴史的な必然性はあったんだと思いますが、憲法については変えるか変えないかという二元論で議論されてきた不幸な歴史があると思っておりまして、具体的にどこの部分をどう変えるのかという提案の中身によって、変えた方がよくなる場合もあるし、変えた方が悪くなる場合もあるわけですので、抽象的、一般的に変えた方がいいとか変えない方がいいとかという議論から少し脱却をしなければならないというのがまず一つの立場であります。

 それからもう一つは、憲法は最終的に国民の皆さんに決めていただくという性質でございますので、国会議員なり政党なりが変えるんだとか変えないんだとかということをただ言っても、何の意味もない、自己満足にすぎない。国民の過半数の皆さんが変えるべきだというのであれば、それにこたえて変えるための提起をする役割があるんであるし、国民の過半数の皆さんが変えるべきでないと思っているのに、幾ら国会議員が変える変えると叫んでも意味はないということであります。

 ただ、もちろん我々発議権者といたしまして、問題点あるいは議論すべき点というものを整理して国民の皆さんにお示しをし、そして国民の皆さんの世論がどういうところにあるのかということを、議論を喚起すると同時に、それを踏まえた、世論にこたえて発議権者としての役割を果たしていくという重要な責任を負っているわけでありますので、まずは私たちなりの論点を整理して、そして国民の皆さんに今お示しをし、全国で対話集会を進めているところであります。

 そして、これは、我が党として行うと同時に、従来も衆参両院の憲法調査会においてそうした機能を果たしてきたと思っておりますし、また、私どもの案にもあります憲法審査会においても、当面は、そうした国民との対話、議論の中から、この部分はこういう方向で変える必要があるのではないかという国民的なコンセンサスが把握をできればそのことについて発議をする、そうでなければ発議をしても逆に言えば国民から否定をされるわけですから。こういう議論を丁寧に進めていくべきであろう、こんなふうに考えております。

古川(元)委員 ありがとうございます。

 それでは、それぞれの提出者の皆様方の憲法に対する考え方を踏まえた上で、もう一度改めてお伺いいたしますが、それでは、なぜ、そのお立場にあって今国民投票法の制定が必要とお考えになっておられるか、それぞれの提出者からお答えいただけますか。

葉梨議員 お答えします。

 今古川委員もおっしゃられたとおりですけれども、憲法は国会がつくるものではなくて国民がつくるものです。ですから、国民が主権者として、憲法をつくろう、その権利を行使するための手続法ですから、本来であれば一九四六年の段階で私もつくっていなければならなかったものだというふうに思っています。

 しかしながら、なぜ今かという御質問ですけれども、今いみじくも三党の提出者から憲法についてそれぞれ見解が表明されたわけですけれども、我々は、戦後、この国会においてすら、憲法について議論することがタブーであったという時期を経験してまいりました。そして、今ようやく国民の間で、憲法を変えようという立場からも、あるいは憲法を守ろうという立場からも、タブー視することなくいろいろな論議が深まろうとしている。

 その中で、その国民の主権というのをしっかりと行使させるための手続法というのをやはり我々の責任として今整備しなければならないというふうに考えます。そして、この手続法は、憲法をどのように変えるかというような中身とは別に、公正中立なものとして、与野党がしっかりと合意していくべきものというふうに私は考えております。

園田(康)議員 民主党の提案者といたしましてお答えをさせていただきます。

 古川議員からも御指摘、そして先ほど私からも趣旨説明の際にも申し上げました、さらには、今与党の提案者からも御発言がありました、憲法制定権者、すなわち、この最終的な決定権はやはり国民にあるというその原点を私たちは忘れてはならないというふうに思っております。したがいまして、それに対するいわゆる手続法の制定、これに関しては、やはり憲法の附属法、ここに帰着をするものであるというところから、私どもも、やはり憲法が制定された当時から憲法附属法としてこの手続法がなされていなければならなかったということになろうかというふうに思っております。

 そして、いわば、ここまで申し上げたら言い過ぎかもしれませんが、先ほど与党の提案者からもお話がありました、この憲法の議論そのものがタブー視されてきたという不幸な歴史がやはり我が国の中にもあったということは否めないものであろうというふうに私も感じておるところでございます。したがって、それに引きずられるごとくこの手続法がなかなか議論をされてこなかったという点からすれば、やはりこの制定におきましてはしっかりと私ども立法府も議論をして、そして、これは憲法改正の具体的な内容という形ではなくて、やはり手続法としての国民の制定権の回復、これをしっかりと私どもはつくっていかなければいけないというふうに思っているところでございます。

 したがって、改正とは切り離した形での冷静な議論を行った上で、やはり中立かつ公正な制度、憲法改正あるいはそれに反対をする方々も含めて、皆さんに御納得していただけるようなものが今こそつくられるべきではないかというふうに考えておる次第でございます。

古川(元)委員 ありがとうございます。両提出者とも、憲法改正の議論とは切り離して公正中立なルールをつくろう、そういう認識に立っておられるということはわかりました。

 ただ、安倍総理は自民党総裁選挙のときには一番に憲法改正を掲げておられるわけでありまして、そういう声もあってか、国民の中には、これは憲法改正のために国民投票法の制定を急ごうとしているのではないか、そういう疑念の声が上がっているということは御承知のとおりだと思います。

 では、国民の皆さんのこの疑念をどういう形で払拭されるおつもりか、それぞれの提出者の方からお答えをいただきたいと思います。

保岡議員 先ほど来提案者、各党述べておりますとおり、できるだけこの国会で幅広い論議をする。これは、憲法改正を必要だと、戦後六十年たった今日、内外がもう別世界のように変わっている。したがって、日本のあり方あるいは世界の中での今後の我が国民のあり方、こういったことの最も基本である憲法についての見直しをいろいろ議論するのは当然起こってくる話で、そういった議論がこれから進んでいくその過程も国民と一緒に考えていかなければならないが、その手続は憲法改正の当然理論的前提になるわけなので、その手続法をきちっとできるだけ早く整備しておくことは、憲法改正案というものについて議論が深まっていく以前に、早く、中立的な公正な客観的な立場でつくっておくべきだというのは当然の理だと思います。

 そういった意味で、できるだけ多数の会派、護憲の立場も改憲の立場も含めて、全員が公正な客観的なルールとして議論を尽くすということが大事で、そういう幅広い合意の上に手続法を形成していくように今後努力を尽くしていきたいと思います。

枝野議員 古川委員から御指摘をいただきました懸念というもの、国民の皆さんの中にある懸念というものは、私どもは率直に謙虚に受けとめていかなければいけないだろうというふうに思います。

 歴史的に、戦後六十年の現行憲法の歴史の中で、護憲、改憲の二元論というのが事実存在してきたことは間違いありませんし、そうした流れの中で物を見ていきますと、国民投票制度が整備されるというのは憲法を変えるためのプロセスであると受けとめられる方がいてもそれは当然だろうと思います。

 ただ、やはりここで冷静に、私どもは国民の皆さんに丁寧に御説明をし説得をしていかなければいけないだろう。これは憲法改正を決めるための国民投票制度をつくろうとしているのではありません。国民の皆さんが憲法改正を是とするか非とするか、つまり、国会の多数が憲法改正だと言った場合であっても、国民の皆さんはそれを否定する、否決する権限を認めるといいますか具体化をする、そのための制度であります。現に、私ども、海外でのさまざまな国民投票制度の調査に行かせていただいておりますが、多くの国で、実は、議会の圧倒的多数が提案をした国民投票が国民の皆さんで否決をされるというケースを多数経験している姿を見てきております。

 したがいまして、私ども、今後のいろいろな憲法に絡む議論についても謙虚でなければいけませんが、これが通ったからといって憲法改正が前に進むのではなくて、国民の皆さんが決めるというその権限が具体化をされるにすぎないということをまずはきちっと丁寧に説明をしていくことだろうというふうに思っておりまして、そのための努力を続けていきたいというふうに思っております。

古川(元)委員 ありがとうございます。

 これは、今の保岡議員の御答弁にもありましたが、幅広く、護憲、改憲、両方を含めたコンセンサスをつくってというお話がありました。枝野委員からも、できれば全会一致でというお話がございました。しっかりと、やはり真摯に、そして胸襟を開いた議論をこの国会の場で行って、やはり、国民の皆さん方のだれが見ても公正中立だ、この手続によって国民投票が行われれば、それはまさに主権者としての国民の意思が発現したものだというふうに認識されるような手続法が制定されるように、努力を私自身も委員の一人として続けたいというふうに思います。

 残された時間で、ちょっと幾つかポイントとなるところの、民主党案の方の提出者に御確認といいますか、お話を聞きたいと思います。

 この憲法改正の国民投票について、国民の皆さん方の中でやはり一つ心配があるのは、例えば憲法九条の改正と環境権なんかを一括して投票に付すのではないか、そういう疑念があったりするわけですが、この法案の中では、両案とも、憲法改正案については内容ごとに関連するまとまりのある事項ごとに発議するということになっております。しかし、その判断主体は国会でありますので、もし三分の二の多数で決めれば、非常にいろいろな多岐にわたる一括改正案というものも発議されてしまうのではないか、そういうことも考え得ると思うんですが、この点については民主党案の提案者はどのように考えておられるでしょうか。

小川(淳)議員 お答えを申し上げます。

 改正案の発議方式についてのお尋ねでございますが、これは本当に国家の基本的なルールの変更に当たるわけでございまして、できるだけ民意を的確に、適正に反映してまいる必要があると考えております。したがいまして、委員御指摘のとおり、例えば安全保障に関する規定と環境権の規定、こういった性格の異なるものを一括して投票に付すということは好ましくないものだと考えております。したがいまして、与党案、私ども民主党案、両案ともにこの原則を法案の中に明記するということでございます。

 そこで、何が一括で何が個別なのかという判断についてのお尋ねでございますが、一方ではできるだけ個別に、できるだけ細かく、各課題ごとに当否を問う要請、一方では例えば投票の簡便といった便宜上の要請もございますでしょう。また、憲法の内容が、体系そのものがお互いに矛盾があってもなりません。こういった両方の要請をよく勘案した上で、そのバランス上、これは適宜適切にそのときの国会において判断していくというふうに今の段階では申し上げざるを得ないと思っております。

古川(元)委員 時間となりますので質問はこれで終わらせていただきたいと思いますが、私たち民主党は、国民の皆さんと憲法についての対話をより深めていく、今の時点で改憲とも護憲とも、そういうふうではなくて、とにかくオープンにやっていく。そういう意味では、公正中立な視点で公正中立な制度をつくるという意味からいいますと非常に自分たちの役割は重い、そういう認識をいたしております。そういう自分たちに課せられた使命をしっかりと自覚して、今後ともこの委員会で真摯な議論を続けていきたいということを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

中山委員長 以上で古川元久君の質疑は終了いたしました。

 次に、赤松正雄君。

赤松(正)委員 公明党の赤松正雄でございます。

 先ほどから自由民主党、そして民主党の代表の方から、この憲法改正のための国民投票法案に関しましての包括的な大事な議論がございました。私の方からは、いただいた時間、ほぼ一点に集中させた形で、先ほど来の議論をより私流に、皆さんによくわかっていただくために少しばかりお話をさせていただき、また聞かせていただきたいと思います。

 まず、その前に、先ほどもお話ありましたけれども、この委員会が今日をここに迎えるまでの間、中山委員長を初めとして多くの各党の皆さんの大変な努力によって、まず五年間の憲法調査会という場があって、広範囲な角度から憲法に対するさまざまな調査が行われた。それを踏まえて、あれが終わったのはたしか去年の四月でございました。約一年半がたったわけで、一年半がたって、今回この特別委員会という場で手続に関する、先ほどもお話ありましたけれども、一九四六年憲法というのはそのつくられた時点で改正のための細かい手続がなされてしかるべきであったと私たちも思いますけれども、さまざまな理由でそれがなされなくて今日まで延ばされてきたということから、若干の、先ほど来お話がありますような幾つかの誤解といいますか、今なぜこの時期にというふうなこともあったりしまして、若干少し複雑な部分もないわけじゃございません。しかし、あくまで本来憲法が持っていなくちゃいけないルールについて、しっかりとここで決めておこうということでございます。

 その観点から、先ほども両案の相違点というふうな話がありました。相違点がそんなにないじゃないかという話があって、一致する点が多いというお話がありましたが、私は、むしろ一致点の中でちょっと気になるところがありますので、双方の提出者の皆さんにお話を聞かせていただきたいと思います。

 まず、まずといっても一つなんですけれども、要するに、私はこの用意された法案の中でこだわりたいのは憲法審査会です。憲法審査会の性格、位置づけ、この問題について少しこだわりたいというふうに思います。

 私は、かねてより、先ほど申し上げました憲法調査会の五年間というのは、私の後に登場される社民党や共産党の皆さんが強く主張されていたと記憶いたしておりますけれども、憲法改正の目的というのではなくて、要するに、今の現行憲法というものが今の日本社会の中でどういう施行のされ方をしているのかということをありとあらゆる角度からしっかり吟味する、調査する、そういうことが目的だったわけであります。

 五年たって、先ほども申し上げましたように、昨年の四月に五年間の憲法調査会の作業の結論としては、憲法を変えた方がいい、大筋変えた方がいいという意見もありましたし、変えなくていいという意見もあったり、要するに、何かをこうしろ、ああしろというのではなくて、大きな観点からいろいろ議論した結果、不備もあるし、うまくいっているところもあるし、うまくいっていないところもあるよねという意見が結構多かったのではないか。もちろん、部分的にぜひ変えるべきだという声が多かったテーマもあったやに記憶をいたしております。

 そういう観点を踏まえまして、私は、今つくられようとしている、議論をされようとしているこの手続法の中に位置づけられております憲法審査会というものが、例えば与党案の中の百二条の七、「憲法審査会は、憲法改正原案及び日本国憲法の改正手続に係る法律案を提出することができる。」こういうふうな、改正原案及び改正手続に関する法律案を提出することができる、この前半の部分、改正原案を出すことができるというふうな形というものは、憲法調査会から第二段階としてのこの憲法審査会というのが、まさに議案の提出権、そして議決権を持ったいわゆる常任委員会と同じ性格を持ったものとして位置づけられている、こんなふうに見えるわけですけれども、そういう受けとめ方でよろしいんでしょうか。

船田議員 赤松議員にお答えいたします。

 これまで私どもは、憲法調査会ということで、憲法のあり方、また実際に現行憲法がどういう利用のされ方をしているのか、そういう広範多岐にわたる調査を五年間続けてまいりました。その後、手続法はやはり必要であるという観点から、憲法特別委員会、これがこの委員会でございますけれども、そこで手続法の議論を現在やっております。

 この後の段階ということで、私どもとしては、憲法審査会という次のステージというものを用意したいと考えております。この憲法審査会におきましては、私どもの提出した法案にも書いてありますように、一つは、従来からの憲法調査会と同様に、さらに具体的、詳細に調査を行うということと、もう一つは、今赤松議員が御指摘をいただいたように、改正原案を提出すること、そしてその審査をすること、こういった役割、機能も持たせようというのが私どもの基本的な考えであります。

 したがって、この憲法審査会は、常任委員会というのとちょっと違うと思っておりまして、特別の常設機関ということで、私たちは、国会の中に特別に位置づけをしていただきたい、こういう考え方であります。

 ただ、今後、調査と審査、両方あるわけでございますけれども、当面何に重点を置くかということは、やはり調査ということにさらに重点を置いて何年間か議論する必要があると思っております。いきなり改正原案が出て、そしてそれを審査するということは、現実の問題としても私はなかなか考えにくいと思っております。

 もちろん、現在において、自民党も昨年草案を出しました。民主党さんも憲法提言ということで出されております。公明党さんもいずれ加憲という形でその考え方をお示しいただくというふうに聞いておりますけれども、ただ、それは各党それぞれに独自の考え方で出している、そういうものでございまして、それをこの国会で議論するというにはなおまだ時間がかかるということでございますので、現実の問題としては、もしこの後、憲法審査会に衣がえをした段階においても、当面は、やはり原案の審査とかそういったことではなくて、なお具体的に調査を続けるという実態になる、このように理解しております。

枝野議員 今、与党案の船田さんからの御答弁、大筋私どもも同じような認識でございます。

 ただ、技術的なことをちょっと御説明申し上げますと、国民投票の制度について整備をしようとしたときに、いつ発議をされるのか、どういう手続で発議をされるのかということがセットになっておりませんと、法律としては、制度としては非常にわかりにくい話になってしまうということですので、国民投票の仕組みと同時に、こういうプロセスで発議されたときに国民投票になるんですよ、こういうことを同時につくらないとやはりわかりにくいのではないかということが一つ。

 それから、先ほど古川委員からの質疑の中でもありました、一括か個別かというのが国民の皆さんからも大きな関心を持たれて見詰められていたテーマでありますが、ここが発議にかかわるところ、国民投票というよりもどういう発議の仕方をするかによって決まってくるところでございますので、この部分のところを一緒に整備しませんと、一番関心の強いと思われる一括投票なのか個別投票なのかということについて答えを示さないまま議論しなければならない、こういった技術的な問題もありまして、実際の発議をするための手続、つまり、憲法改正案の審議をする場はこういう場ですよ、こういうプロセスで議論するんですよということは一応決めておきませんと、事実上、当面は今船田先生からお話あったような調査が行われるというふうに思っておりますが、欠かせないのではないか、制度としては欠かせない、こういう判断をいたしました。

赤松(正)委員 今お二人の御答弁で、片や、当面の部分でそういう仕組みをつくった、また、先行きのことを考えてそういう制度は必要だ、こういうふうなお二人のお話であったと理解します。

 ただ、私は、あえてもう一度こだわりますけれども、例えばこれは去年、先ほども申し上げましたけれども、憲法調査会が終わった段階の最終報告書、まさに中山委員長と船田委員そして枝野委員がそれぞれ、憲法調査会の終わった時点でこの場で発言をされている中に、共通している点ではこうおっしゃっています。

 中山委員長は、「本調査会の後継機関において、それらの事柄ができるだけ幅広い会派の枠組みの中でオープンな形で議論されていくことが望ましい」、こういう言い方をされています。

 また、船田委員は、「憲法問題を取り扱う国会の常設機関の設置に積極的な意見が多かった」「将来の憲法見直しに向けての議論の場を視野に入れつつ、まずは現在の調査会の枠組みを維持し、」こういう言い方をされております。

 また、枝野委員は、「憲法そのものの議論を深めることと、憲法改正手続法制を整備することは、国民の皆さんに憲法に対する関心と当事者意識を高めていただく上で、車の両輪とも言える関係にあり」云々、こういうふうにおっしゃっております。

 私は、さきの憲法調査会というのは、国民の皆さんの目から見ていれば、改正をするための議論ではないんだよ、今の日本の憲法というものがどういう動き方をしているのかということについて、いろいろな角度からしっかり調査をするというものであったはずだと。

 それで、五年たった。それで、ほとんど時間を置かないで、先ほど来言っております、この法律が通って今皆さんの提出されている憲法審査会という場において、当面とそれから先行きのことという仕分けの仕方はありましたけれども、しかし、そのつくられる場というのは、言ってみれば、性格としては、そこに憲法改正のための原案が提出されそして結論を出すという、枝野委員のそれはそういう仕組みはあらかじめ想定しておくことが必要だということはわかりますけれども、そういう場を今ここの中にビルトインするというのは、ちょっと私は、少し急ぎ過ぎといいますか、仕組みにおいてももう一段階つくる必要があるのではないのかという感じがしてなりません。

 つまり、落ちついた雰囲気の中で、先ほど常設の憲法機関というお話がありました。委員長もそういう言い方をされております。つまりそれは、具体的な、憲法改正を発議するといく前に、要するに、果たして今のこの日本国憲法というのは変えるとしたらどこを変える必要があるのか。さっき民主党の皆さんの方から、変える変えないではなくて全部ひっくるめた形での議論を今壮大に展開しているというお話がありましたけれども、まさにそれを私どものこの憲法調査会の次のステージで、期間は別に何年とは言いませんけれども、そういう、後ろに提出され決議をされるというものが待っているような状況ではなくて、しっかりと落ちついた中でやる必要があるんではないか、こんなふうに私は考えるわけでございます。

 そうでないと、国民の目から見ていて、憲法改正というのはいつどこでそういうことをすると決めたの、そんなことどこでも我々の前では、どこでもというのはちょっと言い過ぎですけれども、余り具体的にわかってこない。

 それを、各政党ごとには、先ほどお話があったように、自由民主党の中でもいろいろな議論が展開されている、公明党もやっております、また民主党も今やっておられる、社民、共産もそれぞれの立場でやっておられる、そういう角度の中で、それぞれがやっているのではなくて、委員長が言われるようなオープンな超党派の議論の場で、大筋変えた方がいいという意見が多かったという憲法調査会の結論を踏まえて、さあ、では今度はどこを変えるんだろう、どこを変えなくてもいいんだろう、今の憲法のもとにある法律のしっかり発動していない法律はどれなんだ、新たな法律をつくる必要があるのか、それでもって何かうまくいく手だてはないのかというふうなことをしっかりやって、つまり、憲法を変えずとも現行を改革していくということで十分済む問題もあるんじゃないのかというふうなことをしっかりやることによって、その過程をしっかりと踏まえることによって、私は国民の皆さんの理解は深まっていくのではないか。

 いや、そのことは二つあって、前段に入っているんだと先ほど船田委員はおっしゃいましたけれども、私は、それは今のこの憲法改正手続法の書き方ではそういうふうには読めないというか極めて弱いというか、それだったらしっかりとそのための場というものを新たに設けた方がいいというふうに思うんですが、この考え方について、斉藤委員の方からお願いをいたします。

斉藤(鉄)議員 今赤松委員御指摘のとおり、具体的な原案を発議して議論をする前に、しっかりと、この憲法改正そのものについて、必要なのか必要でないのか、また、必要であるとしたらどういう形で国民合意を図っていくのかということについてじっくり議論をする必要があるというのは、全く同感でございます。

 今回の法律の中では、国民投票の本体部分については二年間凍結をすることになっておりまして、この凍結というのは、まさに、一つは国民投票法の周知期間であり準備期間であるという意味もございますが、より本質的には、先ほど赤松委員おっしゃった、発議を前提としない、まさに昔の憲法調査会、総合的な調査ということを目的とした二年間という意味もある、このように思っております。

 今赤松委員の御指摘は、その意味が入っているんだけれども、まだこの法案の内容では足らないという御指摘だったと思いますけれども、その意味づけをしっかりさせることも我々のこの委員会の議論の中でより前向きに検討していくべきだ、このように思っております。

保岡議員 とにかく憲法改正というのは国会の方で議決するだけでは成立しない、国民投票によって初めて成立する。そういう意味では、赤松先生御指摘のように、やはり国民に対して憲法改正の必要性、あるいはそれはどこにあるのか、どういう理由なのか、あるいは改正必要ないという意見はどういう観点からされるのか、こういったことを徹底的に国民に見える形で論議する国会の責任がある、我々国会議員の使命がある、こう思います。

 そういった意味で、実は、憲法改正案というのを提出してこの国会で議論する前に、必要とする準備をきちっと終わった上で、そして、その準備過程ででも国民にしっかりその準備の内容を、一緒に参加していただいて一緒に議論の答えを求めていくということが極めて大事であって、憲法改正案を議論するというスタートラインまでにはやはり準備の議論がしっかり終わる、尽くされるということは、恐らく、憲法改正の発議は三分の二の多数ということが憲法上国会の発議の要件になっておりますので、この合意、準備が終わったという認識は恐らく三分の二を超える幅広い国会議員の各政党間の合意があって初めてできるものであって、我々はそういう多数の幅のある、準備を終えたという答えが出るまでは憲法改正案というものを国会で論議するのは控えていこうというのが、今後二年間はもちろんできないという法的な担保はされますけれども、それ以降もそういうことを踏まえて幅広い合意の中で準備を完了する、その上で国民に投票を求める案を議論するという慎重な段階を踏んでいくという先生のお考えには全く賛成で、そういうふうに運用していきたいと考えております。

赤松(正)委員 今のお二人の御意見、後でまた枝野委員にお聞きしますけれども。

 実際に公布されて施行されるまでの間の二年間で、それまでは控えると御発言がありましたけれども、ここにお座りになっておる皆さんとは違う種類の、種類というと言葉は悪いですが、いろいろな物の考え方の人がいらっしゃるわけで、私はもうそういうふうな意見が主流なのかなと。要するに、そんなの時間をかけ過ぎているよという声がどこかから聞こえてくるわけですけれども、そういうことじゃいけない。

 ですから、すき間みたいな二年間に調査しますといっても、これは私は少しおかしい。しっかりそれなら看板を、もうはなから憲法を改正するという方向にのっとって、じゃ、どうするのか。もちろん、変えないという結論もあっていいんですけれども、それも含めた形で議論をする場が必要であろうと。

 こういう意味合いにおいて、くどいようですけれども、法全体が用意するというのはわかります、わかりますが、民主党さんが今国民的にいろいろな角度で、私たちは変えるとも変えないとも言っていない、今国民を巻き込んだ形でやっているとおっしゃるなら、なおさらそういう場がきちっと、単なる公布から施行までの間のすき間のような二年ということではなくて、もう最初からきちっと看板をそういう場という格好で設けるということに対してはどうでしょう。

枝野議員 先生の御指摘をされる趣旨は非常に理解をいたします。ただ、若干、ちょっと物の考え方が違うのかなと思うところは、私は、例えば憲法を変えるのか変えないのかまず方向性を決めて、変えるということであるならば、ではどの部分について変えるのか決めて、では具体的にどう変えるのか決めてというプロセスでは多分ないんだろうと思っています。

 つまり、例えば、ある部分について改正をした方がいいという意見をお持ちの方であっても、北向きに変えようとしているのか南向きに変えようとしているのか、いろいろな立場があるわけですから、一概に、変えることに賛成な人が多いから、では変える議論をしましょうとかということは、全体についても個別についてもやはり決められないんだと思うんですね。最終的にこういう条文なら、ああ、賛成の人が三分の二を超えるとか、こういう条文なら三分の二を超えないとか。つまり、いろいろな議論の中で方向性とか、具体的に条文を書いてみるとどうなってとかという段階がそれぞれのテーマごとに深まっていく。しかも、これはあらゆる論点が同時並行にいくとは多分思えないですね。

 例えば、極論を言いますと、二院制の問題であるとか、こういう問題は特に衆参との関係の中で相当時間が、もし変える可能性があったとしてもかかるだろうということを考えますと、テーマごとにスピードも違うし、しかも、ある段階でここは変えるんだとか変えないんだとかと結論を出すこと自体がなかなか難しい。

 そういうことを考えますと、大きな枠としての仕組みをつくった上で、先ほど与党側からもお話がありましたので安心をいたしましたが、まずは憲法調査会での調査報告書に基づいて、あのときに変えた方がいいんじゃないだろうかなというニュアンスの多かったテーマについてさらに深掘りをしながら、その先のステップは国民の皆さんの理解といいますか、それを見ながら決まっていくのではないか、こんなふうに考えております。

赤松(正)委員 今枝野委員からのお話の中にありましたそういう議論の仕方、私は非常に大事だと思いますので、ぜひともいろいろな工夫を凝らして、実際に憲法審査会が施行されるまでの、つまり、この法が成立してからの期間の中できちっとルールを決めて、また、国会議員だけではなくて広範囲な市民の代表の皆さんも入れた形でしっかりと議論をしていく。これを法の仕組みの中に担保していかないと、私はやはり国民の皆さんのあらぬ心配を起こすんじゃないかという感じがいたします。

 最後に、そういうことを申し上げた上で、さっき枝野委員が、南向きなのか北向きなのか、どういう形で変えるかわからないのを国民に選択を迫るのは難しいという話がありました。

 憲法学者の中に、要するに、国民投票というものを国会が発議して、そして国会の中で三分の二で決めて、そして国民に過半数を求めるその前に、国民投票という憲法を改正するということの大枠の方向性というものを示してそれを国民に問うという第一段階の国民投票があったらいいんじゃないかという説を唱える人がおりますよね。私も、それは非常に一つの方向性として大事だなと。どの方向かわからないのに全部決めちゃってから国民の皆さんに選択を迫るというのはいささかちょっと難しいところがあるというふうなことも含めて、もう時間が来ましたので、これはお考え方を聞きたかったんですけれども、そういう問題もあるということを問題提起させていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

中山委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 憲法改正手続法案について質問いたします。

 今回の憲法改正の手続を定める法案の国会提出は、現行憲法制定後初めてのことであります。これは、憲法九条を変えて日本を海外で戦争をする国につくりかえる、改憲の動きをさらに一歩を進める、極めて重大なものだと言わなければなりません。

 安倍首相は憲法改正について五年近くのスパンでと歴代首相で初めて具体的な政治日程にまで言及をされ、みずからリーダーシップを発揮したいと述べて、今国会の所信表明演説では「まずは、日本国憲法の改正手続に関する法律案の早期成立を期待します。」とまで表明されております。今回の手続法案が、現に進行している改憲の動きと密接不可分に結びついていることは紛れもない事実だと思います。こうした九条の改憲の条件づくりとなる法案は直ちに撤回するように強く求めたい、こう申し上げたいと思います。

 そこで、まず、この今議論のある問題について具体的に伺っていきたいんですが、自民党提出者に伺います。今なぜ提出者は改憲手続法をつくろうというのかという問題です。

 先ほど来の議論の中でも、憲法九十六条、改正規定がある、それなのにこの手続法がないことは国民主権にかかわる、ないがしろにするものだという御意見がありましたが、私は、この六十年、改憲手続法がつくられてこなかったのは、国民が改憲を具体的に必要としてこなかったということだと思うんです。手続法がないことで国民の権利が侵害された事実はどこにもないじゃないかと。

 この間の世論調査でも、安倍新政権に望む課題として憲法改正を挙げているのは、朝日新聞では二%、毎日新聞では五%、産経では二・五%、日経では八%にすぎませんでした。まして国民は、改憲手続法の制定を国政の重要課題と見ていない、改憲の焦点となっている九条は変えるべきでないというのが多数の意見です。

 この九条改憲のための手続法をつくるということになりますと、国民の要求に反するものにほかならない。にもかかわらず手続法をつくろうとする理由を、つまり国民の要求がないところでやろうとする理由を自民党の提出者はどういうふうに説明されますか。

葉梨議員 お答えいたします。

 笠井委員にもぜひ御理解をいただきたいんですけれども、これは、改憲手続法というふうに今おっしゃられましたが、護憲のための手続法でもあるということをぜひとも御理解いただきたいと思います。

 そしてまた、改憲の要求が高まらなかったというふうにおっしゃられますけれども、今これだけ憲法を変えようという側からもあるいは憲法を守ろうという側からも国民の間でタブー視することなく憲法についての議論が高まっているということも、また御理解をいただきたいと思うんです。これだけの議論がある中で、国会としてこのような手続法を整備しないということは、やはり我々として怠慢のそしりは免れないと思います。

 憲法を変える、あるいは変えない、最終的には国民の英知に求められるものだと思います。その英知をどのように生かすかということは、我々立法府の責任としてしっかりと考えていかなければならない、かように考えております。

笠井委員 答弁になっていないですよ。護憲のための手続法って、あなた方が出しているのは日本国憲法改正手続のための、変える手続のための法律案ですよね。タブー視と言いますけれども、国民の中で、さっきも言いました、そんな世論はないじゃないですか。大体、戦後のほとんどの時期、政権与党であった自民党が、国会の怠慢なんと言うのは天につばするようなものです。

 改憲に対する国民の主権回復と大げさなことを言われるけれども、手続法がないことで国民の権利が侵害されたことはない。政治家のリーダーシップとかいろいろあなた方も議論されますが、やろうとする改憲というのは国民の要求から出ているものじゃないということであれば、そういうリーダーシップは国民にとっては迷惑なだけです。

 具体的な改憲構想と切り離して、公正中立とよく言われます。しかし、そういっても、自民党は既に昨年十一月に新憲法草案を出されている。そして、政党の中でも改憲の議論が進んでいるという状況です。

 私、民主党の枝野議員に伺いたいんですが、今回の法案提出は、単なる形式的な手続法づくりではなくて、現に進行している改憲案づくりと密接不可分に結びついているということだと思うんですけれども、その点についてはどういう認識でいらっしゃるでしょうか。

枝野議員 議員の中に、具体的に憲法を早期に変えたい、そして、具体的にそのイメージをお持ちになっていて、そこのステップとしてお考えになっている方がいらっしゃるのは、そのとおりだろうというふうに認めます。しかしながら、私どもは、そういう趣旨でこの法案を提出しているつもりは全くございません。

 実際に憲法が変わるのか変わらないのかというのは、まさに国民の皆さんの意思で決まります。多くの国民の皆さんが望んでいない発議をすれば、国民投票が仮に行われたとしても、国民投票で否決をされて、発議に賛同した議員や政党は大恥をかくだけではなくて政治的に相当大きな責任を負うことになるんだろうというふうに私は思っていますので、国民投票という制度がしっかりと整備をされた上で、本当にこれを国民の皆さんに発議して問いかけていいんだろうかというのは、むしろ国民の皆さんの声に率直に耳を傾けて、ある意味では議会人がより慎重にならざるを得なくなるのではないか。私どもは現時点でもそういうつもりで議論させていただいていますが。

 ですから、もし笠井委員がおっしゃるように国民の多くが望んでいないのであれば、国民投票で否決をしていただければいいだけであって、むしろその国民投票の手続などがアンフェアなものであったとすれば、国民の世論が正確に反映されないということになりますので、中身についてこれではアンフェアじゃないかとか、ここはこう直さないと公平な国民の意思を問えないじゃないか、こういう議論、提案をぜひしていただいて、共産党さんもこれなら国民の意思が正確に反映されると納得していただいた制度をつくりたい、こういうふうに思っております。

笠井委員 今、流れとして、議員の中での議論でそういう改憲の動きとリンクしているということはあるんだと、その上でというお話をされました。さきの本会議でも、枝野議員が、そういう意味では改憲の議論が一方である、実際に案も出ている中でタイミングとしては今ぎりぎりだということで、そういうリンクしているということについてはそのとおりだというふうに言われました。

 そこで、問題は中身はどうするかということなんですが、私、その点でぜひ両案の提案者にもう一回端的に伺いたいんです。

 憲法の制定権を持つのは国民であります。憲法問題では、その国民の意思が一番基本であって、それが最大限反映されなければならないというふうに思うんですけれども、その点について端的にそれぞれ……。制定権は国民にある、憲法問題ではその意見が最大限に反映されなきゃいけない、そういう認識についてはいかがでしょうか、端的にお答えください。

保岡議員 それはおっしゃるとおりで、国会やお互い国会議員の当然の責務はそこにあると思います。

枝野議員 笠井委員の御指摘のとおりでございます。

笠井委員 ところが、実際に提案されている法案というのを拝見すると、その一番肝心な国民の意思を冷静かつ客観的に反映する仕組みには、私、およそなっていないというふうに言えると思うんです。

 日本共産党は九条改憲のための手続法をつくること自体に反対でありますが、両法案の内容について言えば、最大の問題は、憲法を制定する権限を持つ国民の意思を反映する、このことではなくて、改憲を進めようとする勢力にとって改憲案を通しやすい、可能なあらゆる仕組みとなっているというところにあると思うんです。加えて、改憲案を議論する常設機関として憲法審査会を設置して、この法案と連続的に改憲の流れを推し進めようという中身になっている。

 私、具体的な問題を幾つかただしたいと思います。

 まず、改憲案の国民の承認に関する過半数の意味であります。

 憲法第九十六条は次のように述べています、「この憲法の改正は、各議院の」つまり衆参両院の「総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。」と。まさにこの点であります。この国民の過半数についてでありますが、与党案を見ますと、有効投票総数の過半数というふうにこれを言いかえて、しかも、いわゆる最低投票率を設けておりません。なぜこういう規定にされたのか、説明いただけるでしょうか。

加藤(勝)議員 御指摘の憲法九十六条の過半数、これについてはいろいろな考え方があるわけであります。有権者総数の二分の一を超えること、あるいはそこから棄権を除いた投票総数の二分の一を超えること、さらには棄権に白票等の無効投票を除いたいわゆる有効投票数の二分の一を超えることと。これはいろいろな考え方があるのは承知しているところであります。

 すなわち、棄権や無効投票、こういったものをどう扱うかということにもつながるわけでありますけれども、ただ、この国民投票において考えるべき民意というのは、やはり賛成あるいは反対ということを明確に意思を表示していただいたその国民の意思であるのではないかというふうに考えるわけでありまして、したがって、白票等を一律に反対の意思であるというふうにみなしてそれを母数に入れる、こういうふうに考えるのは逆に国民の本来の意思と異なる結論に結びつくことにもなりかねないのではないか。このように私どもは考えまして、法案では有効投票総数の過半数でもって国民投票は決せられるべきだ、こういうふうに結論づけているところであります。

 それから、最低投票率についてでありますけれども、国民投票においては多くの方に御参加いただいてその意見を正確に反映していく、こういう仕組みづくりが必要でありまして、投票率は高ければ高いほどいいというのは当然のことであります。しかし、逆に、最低投票率制度を設けるということは、ある意味では投票をボイコット、こういう運動を誘発しかねない。そういうことでは、逆に国民の正確な意思反映を妨げてしまうおそれがあるのではないか。さらには、九十六条においては、最低投票率を設けることがこの九十六条の規定と整合するかどうか、こういう問題もあるのではないかというふうに思うわけであります。

 逆に、投票率を高めるという意味においては、周知行動、周知広報を的確にやる、あるいは国民投票運動、こういったもので対処していけばいいのではないかというふうに考え、最低投票率制度といったものをつくることは適当ではない、こういう結論に至ったところでございます。

笠井委員 いろいろ今説明がありましたけれども、私、この国民の過半数というのは非常に大事な問題だと思います。言うまでもありません。

 それで、例えばこの与党案でいきますと、仮に改憲の国民投票の投票率が有権者の五割、五〇%あった場合に、無効票というのが除かれるわけですけれども、これは極めて少ないとした場合でも、投票率五割近くの過半数、つまり、結果として有権者の二割台の賛成で改憲案が承認されることにもなりかねないということになると思います。

 ことし三月に、岩国市で米軍の艦載機の移転の賛否を問う住民投票がありました。このときには有権者の過半数の投票がなければ成立しないというかなり厳しい条件が課された、そういう仕組みです。そういうもとで実際に見事に有権者の過半数が投票するということでそれが成立した上で、結果として、有権者の過半数の移転反対の意思を表明するという結果になりました。憲法改正の国民投票で、一地方自治体の、当然これも大きな問題です、大変な問題です、しかし、そういう一つの政治問題の賛否を問う住民投票よりハードルを低く設定していいはずはないというふうに私は思うんです。

 自民党提出者に伺いますが、これでどうして主権者国民の意思を反映すると。それが一番基本だと先ほど言われました。そして、それを酌み尽くすという、そういうふうになっていると言えるんでしょうか、お答えいただきたいと思います。

加藤(勝)議員 先ほどの答弁と重複することになると思いますけれども、まず私どものやるべきことは、今お話のある中で国民的な議論をしっかり深めていただいて、そして国民が投票にしっかり参加をしていただける、こういう土壌をしっかりつくっていく。そのために周知広報、逆に言えばそういうことをしっかりやっていく。そして、比率を上げて、それによって国民のしっかりとした意思、賛成あるいは反対という意思をそれぞれ持っていただくように努力をし、その意思を投票という形でお示しをいただく、こういうことで努力していくことが適切である、こういうふうに考えているところでございます。

笠井委員 議論してとかいろいろ言われましたが、結局は、この仕組みというのは有権者の二割台の賛成で改憲案が承認され得る、そういう制度であることは否定できないわけですよね。国民の主権の具体化と言いながら、国民投票に参加する国民が少なくてもいいということになりますと、本気で国民主権を考えているのかという、考えていない証拠じゃないかというふうになってきます。

 それから、白票を一律に反対票に数えるのは民意をつくり出す云々というお話もありましたが、私、これもおかしな議論だと思うんです。国民投票とは改憲案に賛成かどうかを問うことであって、賛成の意思表示のみを求めるということが九十六条の趣旨です。こういう点で言いますと、結局は、最低限の国民の賛成で改憲案を通そうという意図があるからではないか、こう言わざるを得ないと思います。

 次に、今出されている手続法案ですが、与党案、民主党案、いずれも改憲案を国会で発議、提案すると。これは、今度は国民に内容を周知広報するためにということで、名称は若干あるかもしれませんが、広報協議会をつくるという仕組みになっております。そして、その構成は改憲案に賛成した議員が圧倒的多数を占めて、周知広報のパンフレットなどをつくったり、いろいろな活動をするというふうにされているわけですが、私、それだけじゃないと思うんですね。政党等による無料のテレビ、ラジオのCMとか新聞広告を出せることになるというふうになっております。そうなりますと、では、どういうスペースで賛成の政党は意見広告、無料でCMをやれるか、反対の政党がやれるかということですが、その時間、スペースの比率は、法律案を見ますと所属国会議員数を踏まえてということになっております。

 自民党提出者に伺います。なぜそういうふうに所属国会議員数を踏まえて無料CM、新聞広告を出せるようになっているのか、理由を説明してください。

船田議員 笠井議員にお答えいたします。

 広報協議会、これは私どもの、また民主党案にも共通なものでございまして、我々国会議員が憲法改正の発議をする、また、その前にいろいろ議論をして、この改正の案につきましてはこういう理由である、さまざまな考え方を持っているわけでありまして、これをやはり国会みずからが国民の皆さんにわかりやすく説明し、また反対の人たちもそれをわかりやすくなぜ反対かということを説明していただく、これを国民に広報するためにこの広報協議会を設けるということにしたわけでございます。

 その委員の配分ということについては、他の国会でのいろいろな機関、あるいはいろいろな委員会等においても、これはどこでもやっていることでございますが、会派所属議員数の比率によってその委員を配分する、こういうことにしているわけであります。

 ただ、ここでお断りをしなければいけないことは、この広報につきましては、賛否両方の意見について、なるべくこれは多数、少数を踏まえつつも中立公正に賛成、反対という意見を国民に示す、こういう必要があるわけでございますので、広報協議会のこの所属議員数の比率といっても、これは完全にそれに比例するということではなくて、例えば反対を表明している会派から一人も選ばれないという事態が生じたような場合には、少なくとも反対派の会派の皆様にも御参加いただけるようにそこはきちんと配慮するんだということを法律案にきちんと書かせていただいているということでございますので、まずそれを御理解いただきたいと思っています。

 それから、パンフレットにつきましてでございますが、これについてはもう少し配慮を強くしていこうという考え方でございます。つまり、どういうことかといいますと、我々が考えております広報のパンフレットの内容でございますが、これを大きく三つに分けまして、一つは改正の原案の内容について、その背景も含めて客観的、中立的にまず解説をするという部分が一つございます。それから二つ目には、賛成の立場からなぜ賛成であるのかという議論、これを解説も含めてきちんと説明をするという部分。そして三つ目には、反対の考え方の皆さんがどういう理由で反対なのか、こういうことを解説する部分。つまり、大きくは三つの部分に分かれる、このように考えております。

 そうなりますと、中立的な部分が一とすれば、残り、賛成の部分が一つ、そして反対の部分が一つということで、賛否平等にかなり近い、非常に近いという形になる、こういうことでございますので、そのような配慮をしているということも御理解をいただきながら、ぜひ共産党さんにおいても御検討いただきますようにお願いいたしたいと思います。

笠井委員 広報協議会の構成については所属議員数を基本にという話でしたが、結局は三分の二の賛成でやるわけですから、圧倒的多数をとにかく改憲賛成の議員が占めて広報協議会をつくると。

 そして、今パンフレットについても、中立の改正案が三分の一、そして三分の一は賛成意見、反対意見は三分の一と言われましたが、改正案は改憲をするという意見です、賛成はそれを賛成だという意見です。三分の二は改憲という中身のパンフレットになる、三分の一が反対というふうになる、こういうことになると思います。

 しかも、今ちょっと御説明がなかったんですが、無料のテレビ、ラジオのCMや新聞の広告なんですけれども、これも所属議員数という話になっているんですね。

 そうなりますと、それを踏まえてとなっておりますが、これは単純に言っても、両院の議員の三分の二以上が賛成して提案するわけですから、踏まえてやりますと、CMも新聞広告も三分の二以上は賛成意見の政党のスペース、反対は三分の一以下ということになるわけであります。しかも、仮に現在の所属議員数、これはまたいろいろ動きますし、我々ももっとふやしますけれども、それで配分してみますと、総議員数、衆参七百二十二人で、現時点で改憲に明確に反対しているという政党は日本共産党と社会民主党、合わせて三十一人ですから、比率で言うと四・三%です。

 例えばこの所属議員数に応じて新聞広告を出しますと、私ちょっと張ってきました、こういうふうになります。(新聞を示す)四・三%ですからね。無料で出せる広告、改憲賛成という政党はそれ以外の九五・七%。こういう形で、圧倒的にこういう広告があふれるわけであります。こういうふうになる。

 しかも、テレビの無料CMもそうです。これでいきますと、例えばテレビで一時間の枠で、全体として、一遍にやらないかもしれませんが、憲法賛否について無料CMの場が提供されるとなりますと、この所属議員数、現時点で仮に計算すると、憲法改正賛成の政党のCMのスペースは一時間中五十七分三秒です。そして、反対ということで無料でできるCMを共産党や社民党が出すとすれば、合わせても二分五十七秒です。こんなふうに圧倒的に改憲というふうに流れるわけです、世の中。これで公正中立に判断してくださいという話になるわけです。本当にそれがいいのかという問題があるわけであります。

 自民党提出者に改めて伺いますが、つまり、改憲に賛成した政党が圧倒的に利用できる仕組み、いろいろ工夫するとか配慮するとか言うけれども、そういうことになっていませんかということなんです。どうでしょう。

船田議員 お答えいたします。

 この広報、パンフレット以外に各政党がそれぞれの考えに従って国民に知らせる、私たちはこう考えるということを知らせるということはとても大事なことであって、そのために無料のCM枠あるいは新聞広告を公営によって行おうということもこの法案の中には入っております。

 今御指摘の点につきましては、我々のもともとの案におきましては、これも所属議員数を踏まえて定められる一定の枠内ということで放送あるいは新聞を考えているんですけれども。ただ、諸外国、私ども何回か海外派遣で調査をいたしました。そういうときに、議席数比例とする国は、例えばスペインなどはそうなっております。しかし、そうではなくて政党間で平等というところも結構ありまして、これはポーランドとかデンマークというところではそういうものを採用しております。またさらに、賛否平等に扱おうというのがイタリアというようなことで、諸外国によってその取り扱いはさまざまあるなということでございます。

 ですから、私どもも基本的には所属議員数を踏まえてということではありますけれども、今後この委員会での話し合いの中で、もしいろいろな皆さんの御意見でそれはもっともだということがわかれば、あるいはそういう考え方がよろしいということであれば、私どもはそれを修正していくということにやぶさかではないわけでございます。

 ですから、共産党さんにもぜひこの議論に加わっていただいて、四・三%ということではなくて、例えばそれがもうちょっとふえるということを、いや、かなりふやしてもいいと思いますけれども、かなりふえるということにもつながるかもしれませんので、これは最初から反対ということではなくて、ぜひ中身について一緒に議論をしていただきたい。その中でお互いに賛成、反対、賛否平等というところまでいくかどうかわかりませんけれども、それに近い形というのは可能である、私はこう思っておりますので、ぜひぜひ前向きに考えていただきたい。

笠井委員 諸外国をいろいろ私も一緒に見てきました。悪いものに倣う必要はないんですよ。公正中立と言うんだったら、本当に国民の意思をどう酌み尽くすかというのが当然必要なわけで、ちょっと配慮するとかという話じゃないんです。そういう話じゃないということを言いたいというふうに思いますし、しかも、こんなにひどいものを検討するのは当たり前です。だけれども、そういう法案を出しているところに、どうやったら改憲案を通すためにできるだろうかというふうに一生懸命考えたんだなということがあらわれているなと。無料だけじゃなくて、有料CMはお金がある人ができる。財界はできる。しかし、お金のない庶民の人たちは、憲法改悪反対と思ったら大変なんですよ、広告一つ出すにしたって。

 最後に伺いますが、憲法にかかわって国民が自由に意見を表明するという、権利を行使するかどうかという問題です。

 与党案で言いますと、公務員や教育者がその地位を利用して国民投票運動をすることができないと禁止しておりますけれども、これはかなりの人たちに及びます。四百万の公務員がいる、百三十万の教育者がいらっしゃる。

 自民党提出者に伺いますが、大学、学校の授業で、教員がみずからの信念に基づいて、そして研究に基づいて、憲法は守るべきだと発言をして、意見表明したりそれを文書にして配布したりすることは規制の対象になるんじゃないんですか。ならないと言えますでしょうか。

船田議員 お答えいたします。

 私は、国民投票運動ができるだけ活発に行われるということは国民投票法の趣旨に沿ったものであるし、また、先ほど投票率の問題がございましたけれども、投票率を上げるためにも、これは多くの方々がこの運動に参加をする、そして意見を自由に表明するということが必要であるというふうに思っております。

 ただ、今御指摘のように、公務員、特に特定公務員などはやはり一定の権力を持って国民に影響を与える可能性がございます。そういう立場の者が、その立場、地位を利用して国民の皆さんに何らかの圧力といいますか、そういった影響力を与えてしまうということは、やはりそれは避けなければいけない。こういうことで、私ども与党案というものは、公務員のいわゆる国民投票運動については一定の制限を設けたい、このように考えた次第でございます。

 ただ、諸外国、また外国の例を言って恐縮でございますけれども、我々が訪れた国々におきましては、この公務員の運動規制ということについてはかなり緩やかに対応しているという状況にありまして、私どもとしても、私どもの原案はそうでありますけれども、今後の話し合いによって、それを、特に罰則を設けるあるいは禁止をするということではなくて、特に悪質な行為というものについては、例えば、今、大学の先生が授業の講義で現行憲法はすばらしい、変えてはいけないという意見表明をするということ、これは私はひっかからない、セーフであるというふうに考えていきたいと思っています。ただ、その教授がこの国民投票に反対をしなければ単位を与えないよということで地位を利用して威迫をする、影響力を行使するということ、これはやはりおかしい、こう思っておりますので、そういったものはやはりできないような形にしなきゃいけない。やはり最低限の制限というのは加えておくべきである。しかし、それ以外はなるべく公務員の皆様にも幅広く運動自体というのはやれる状況、もちろん政治的な中立ということはありますけれども、運動について一切だめというのではない形をつくっていきたい。

 これは今後の皆様との話し合いだと思っております。

中山委員長 笠井君、質問時間が終わりました。

笠井委員 はい、終わります。

 何の担保もなければ萎縮効果を生んじゃうんです。やはりそういうことを通じて戦争をする国にしちゃいけない、憲法九条は国際公約ですから。九条の会、五千を超えて、本当に全国で守ろうという運動が広がっているんです。やはり改めてこの法案の撤回を求めて、質問を終わります。

中山委員長 次に、辻元清美君。

辻元委員 社会民主党・市民連合、社民党の辻元清美です。

 本日は、私は、憲法をめぐります今の状況と、それから、両法案提出者に対しまして、果たしてこの国民投票法案なるものが単なる手続法と言えるのか、そして公平中立な法案になっているのかという点を質問していきたいと思います。

 私は、最近、ここ一、二年、憲法講演ということで、私どもは護憲の立場ですけれども、全国を回ることが多いんです。そのときに必ず憲法というのは皆さんにとって一体何でしょうという質問をいたします。といいますのも、憲法について日ごろ自分たちの暮らしや歴史にとってどういうものであるかということを考える機会が、日常生活では少ないように思うんですね。やはり憲法というものに対する認識が一致していないと、幾ら憲法にかかわるいろいろな議論を深めても、それぞれイメージがばらばらなままになってしまいます。ですから、まず憲法とは何かということを提出者の皆さんに改めて問いたいと思います。

 憲法というのは、よく憲法は国民が守らなければならない決まりだと誤解されている方がいらっしゃいます。そうではなくて、憲法というのは、国民の権利を守る、そのために、政府が、国家機関ですね、その権力の行使の枠を決める、制限をするというのが憲法の持つ意味だと思います。これは皆さん変わりがないと思いますが、民主、公明、自民のそれぞれ、自民党はぜひ大先輩の保岡委員にお伺いしたいと思います。

枝野議員 憲法は、主権者が為政者、政をなす者に対して発する命令である。これは、いい悪いじゃなくて、定義でありますので、為政者が国民に対して発する命令は憲法ではありません。これは定義の問題ですので、ほかの御意見があることがおかしいと思っています。

 あえて言いますと、大日本帝国憲法も当時の主権者である天皇から為政者に対する命令でありましたし、現行憲法は主権者は国民でありますので、主権者国民から為政者である我々国会や内閣などに対する命令です。ちなみに、十七条憲法も、主権者の代行であった聖徳太子、摂政から当時の為政者に対する命令でありまして、これは国内的にも一貫している定義でありますし、国際的には、当然のことながら国民に対する命令が憲法だなんと言ったら国際的にばかにされる、こういう話であります。

斉藤(鉄)議員 憲法は、国民が権力者に対してこうしなければならない、規制をするというのが基本的な考え方であると思います。

 それに加えて、やはり憲法というのは普通の法律の上に立つものとして、ある意味で国のあり方というものを、我々の理想を目指す、こういう国をつくるということも含まれてしかるべきというふうに考えております。

保岡議員 憲法の国民主権主義という点からいえば、国民の最高規範でございますから、権力行使の制限規範という、先ほど来の近代憲法の原則というのは当然あると思います。

 ただ、最近の憲法は多様な機能を持っておると私は思っております。それは、一つには、国家機関を定め、そしてそれに授権する、行政、立法、司法と。それぞれ裁判所、政府のいろいろなお役所、それからまた国会、そういった組織について授権する。こういう機能も持っておれば、また、さらに進んで、国民と国家は単に対立するものではなくて、協働関係に立つものであるという観点から、国家の目標を設定したり、あるいは国民の行為規範という側面もあるかと思います。例えば、この憲法においても、納税の義務、教育を保護する子女に受けさせる義務、あるいは勤労の義務、国家がしかるべき正しい権力行使をするような命令に服すると同時に、国民もまたそれに協力して一定の義務を負うことを国民みずから憲法の中に定めている要素がある。

 そういった意味では、生存権など、これも一つのそういう国民の責任において自分たちが受ける権利というものを政府に求めているという点もありますし、また一方、公共の福祉の原理という点で権利と義務、責任というもののバランスをとろうとしていることも、この憲法に権利制限の公共福祉の原理の中にそれがあらわれていると思います。

辻元委員 保岡委員の御答弁だけちょっとニュアンスが違ったように思います。

 私はなぜこのことを聞きますかといいますと、昨年、自民党が新憲法草案なるものを出されました、その中でこの手続法の議論も進められていることに一抹の危惧を覚えているからなんです。それは、あの新憲法草案の中には、前文に、国民に対して国を守る責務を共有しとか、まるで国家から国民に対しての責務を課すというような方向に憲法のあり方そのものを変えてしまっているというような節があるからなんです。

 私は、これは本会議で枝野議員に民主党の提出者としてこの点いかがかということをお伺いしました。そうしたら、枝野議員は、それに対して「憲法の定義を全く理解していない論外のものである」という御答弁をされているわけなんですね。

 私は、少なくとも、権力を縛るものであるという共通認識は提案者の上で統一していただきたいと思います。それぞれ、その先の憲法、論じている憲法に対して、いろいろなばらばらのイメージで提出者が法案を出していただくというよりも、きちっとその部分を統一した見解として持っていただきたいと思います。そして、その議論は深めるべきだと思います。

 なぜかといいますと、国会の中でも、国会議員、政治家が憲法を守らなきゃいけない立場なのに、憲法は国民に守らすルールやろみたいに勘違いをしているような国会議員の方々も見受けるわけですね。このような国会の状況の中で憲法をどうするかという手続法を論じるということは、私は非常な不幸だと思っておりますので、そもそも憲法とは何かという議論を私たちはまず深めるということが非常に重要であるということを最初に指摘させていただきたいと思います。

 さて、その上で、安倍政権になって、私は憲法をめぐる状況は大きく変わったのではないかと思っております。それはなぜかといいますと、今、この時点でも、例えばどういう法案が議論になっているか。一つは、教育基本法のことが議論になっています、愛国心の問題が取り上げられています。さらには、防衛庁を防衛省に格上げする法案とか、それから共謀罪の創設や、アメリカ軍との集団的自衛権の行使への関与などが政治の課題として大きく上がってきています。これらは、私は、戦後の日本国憲法下での日本の国のあり方そのものを変えていこうという方向性を持った政策ではないかと思っています。その総仕上げとして憲法改正ということを射程に入れながら、特に政権党である自民党の皆さんは進んでいらっしゃるのではないかと思うんです。

 ですから、今こういう政治状況のもとで手続法と改憲への政治的な流れは別だと言っても、これはもう別だと言えない状況に達している中での議論であるということをお認めになった方がいいと思います。

 さて、そこでお伺いします。

 自民党の中で、新憲法草案というものをつくって改憲が必要だ必要だと熱心でいらっしゃる方と、はよ国民投票法案をつくらなあかん、つくらなあかんと熱心な方が重なっているんですよ。でも、聞きますと、手続法と改憲は別なんだとおっしゃるわけです。

 船田さんにお伺いしたいと思います。

 船田委員は、自民党の中でも、この憲法の問題については、憲法の改正案起草委員会の委員をされてリーダー的な存在であったと思います。一方、この法案の提案者にもなっていらっしゃるわけですよ。さっきから改憲と手続法は別なんだとおっしゃっていますけれども、やはり堂々と言われた方がいいと思います。私たちは改憲をしたい、だから早く手続法も成立させるべきだと思っていると。そこから議論を始めた方が、何だかわざと、改憲が必要だということを前に出すと国民が何か心配するんじゃないかな、だから手続法は別なんだと言っていらっしゃるように見えて仕方がないんです。堂々とおっしゃったらいかがですか。

船田議員 辻元議員にお答えいたしますが、まあ、そういうふうに見えるかもしれないですね。ただ、それは辻元議員のお考えでありまして、私自身は、決して憲法の改正、もちろん中身の議論を昨年まで真剣にやってまいりました、リーダーではありません、私も一つの国民の権利と義務に関する小委員会の委員長という立場でその分野の議論は一生懸命させていただいたつもりでございますが、そういうことで昨年の自民党新憲法草案というのはできたというふうに思っております。

 ただ、そのことと現在ここで議論している憲法の改正のあるいは改正しないための国民投票法案の審議というのは全く別個であるということで、これは改めて私は申し上げておきたいというふうに思っております。

 この憲法改正のための国民投票法案、手続法でございますが、これは今までもいろいろな議論がありましたように、改正の確かに一里塚というふうに言えなくもないんですけれども、しかし、これは国民の皆さんに、どうするんですか、憲法改正するんですかしないんですか、変えるならどこをどう変えるんですかということを国民の皆さんに御判断いただくその手続、その舞台なんですね。その舞台をつくるときに、憲法の改正の内容についてああだこうだという議論をするということと混同してしまっては、これはもう本当に国民の皆様に大変な不信を与えるということで、私自身としては、そこは峻別をして、そしてその考え方をきちんと分けて、今回の答弁においても憲法の中身については一切触れずに、この手続の問題を議論させていただいているということでございますので、ぜひ御理解いただきたい。

辻元委員 私は御答弁に無理があると思います。むしろはっきり言われて進めた方がフェアだと思うんですよ。それは、私は手続法と改憲という話は地続きだと思っております。そのことについては後で具体的に質問していきますけれども。

 先ほどから、なぜつくられてこなかったのかという議論もありました。私は、立法府が怠慢だったからではないと思います。立法府がつくらないということに意味を見出してきた、そこに意思があったと思うんですね。それが戦後の歩みだったと思います。この憲法を変えずに戦争の惨禍から立ち上がり、そして、その反省のもとで日本はやっていくんだと。この国会の中でも、先輩方は何回か手続法の議論をお出しになりました。しかし、それはさまざまな政治的な判断で、この議論を進めることは今の日本にとってはよくないという御判断をされてきた積み重ねの歴史があると思うんです。

 それをやはり……(発言する者あり)今、時代が変わりましたというやじというか不規則発言がありました。私は、時代が変わったというよりも、今アジアの中の、特に世界情勢、危機感が高まっている中で、時代が変わったというよりも、私たちが思いをはせなきゃいけないのは、時代は繰り返すということですよ。ここに思いをはせた上で憲法を取り扱う時代であるということを共通の認識にしていただきたい。それを新しく時代が変わったからというようなことだけで済ませようとするというのは、無責任だと思っております。

 さてそこで、なぜ地続きかと申し上げますと、先ほどから出ています憲法審査会のことが気になります。これは単なる手続法だと示されているわけですが、その中に、要するに、この国会でこの手続法と言われている国民投票法案がもしも成立してしまったら、次の一月からの国会に憲法審査会というものが設置されて、憲法改正について議論を進めていく。幾ら改正についてするべきかしないべきかから議論を始めると言っても、その先には改正原案をつくり、そしてそれを決めることができる機能を持たせる機関を国会の中に設置するということです。これは単なる手続法ですよという性質と、国会の中で改憲の議論を始める正式な機関を立ち上げるというのは、全く性質を異にするものだと思うんです。

 ですから、私は、国民投票かなとドアをあけたら、まるで自動的にベルトコンベヤーが改憲への道というのでジーッと動き出してしまっていくような機能を内蔵していると思うんです。ですから、私はそういう意味で地続きだと申し上げている。

 これは自民党の提案者にお聞きしたいと思います。先ほどからこの点はほかの委員も指摘してきた点です。単なる手続法であるとおっしゃるのならば、この憲法審査会、要するに手続法だと言っておいてすぐ憲法の改憲についての議論をスタートできる機関というのは、これははっきりと切り離すべきだと思います、単なる手続法だとおっしゃるのならば。これは私は院の良識が問われる問題ではないかと思っています。いかがですか。

保岡議員 やはり憲法改正が必要ないという御意見もそれなりの根拠やいろいろな御主張があるわけで、そういった議論をしたり、先ほど辻元先生が言われた憲法の性格は何かということは、さっき言った、国民の中に国民の義務とか公共の福祉とか責任とかいろいろあるわけです、そういったことなどの内容にかかわってくることですので、やはりそういうことは憲法審査会でしっかり論議する。しかも、先ほど赤松先生の御指摘になったように、そういう憲法改正に賛成、反対、すべての立場から材料をそろえて議論を尽くして、憲法原案を得ていくというプロセスをちゃんとそこに担保していくようにみんなで運用を工夫していこうということでございますので、ぜひこれは辻元先生にも御理解いただいて、この審議には積極的にこれから参加していっていただきたい、そう思います。

辻元委員 今の御答弁には私納得できないんです。そうであるならば、本憲法調査特別委員会を継続させて、その中で議論していけばいいと思います、そもそも憲法とは何か。わざわざ改憲原案をつくり、決めることができる機関を立ち上げるということと今保岡委員の御答弁は、全然私は質が違うと思っております。

 かつ、この間の本会議の提出者の御答弁の中には、この憲法審査会の中に、憲法の解釈ですね、これは合憲か違憲かとか、そういうことまでも判断できるような機能を持たせたらどうかという御答弁もございました。ですから、ここはよく考えた方がいいと思います。単なる手続法だよ、改憲に賛成か反対か皆さんで決めていく法律だよと言っておきながら、それが通ったら自動的に、やはりどう考えても改憲に向けて動き出すという機関を設置するというのは、憲法改正に反対の人、賛成の人に対しても、手続法であったら手続法のことに絞るべきであると私は思いますよ。ですから、そこのところは今後法案提出者の中で真摯に受けとめていただいて、切り離すことも含めて御議論なさるおつもりはございませんか。

船田議員 今の御質問でございますが、これは多分先ほど赤松議員が御指摘をいただいた問題意識と非常に似通った部分があると思います。

 私自身、また我々提案者としましては、確かに、憲法調査会というのが五年間ずっとあって、そして今は特別なバージョンということで特別委員会でございますが、これが憲法審査会ということに衣がえをしていく、こういう段取りを法案としては考えておりますが、気持ちとしては、私は二段階ではなくて三段階という気持ちで考えております。

 つまり、調査会は純粋な調査。それから、憲法審査会ができて、しかしながら、手続法が施行されるまで二年間という猶予が与えられますので、少なくともこの二年間はやはりその調査の延長ということで、手続法は整ったけれども、より具体的に改正するならどこを改正する、しないならしないかということについて、これはもう一回調査をしっかりと行う。そういう期間というのがやはり二年ないし数年は必要であるというふうに思っています。そして、その間は、権限としてはあるんだけれども、しかしながら、憲法改正原案についての審査はやらない、こういう認識でこの数年間を過ごしていくということが必要である。そして、ある段階に来ましたら、これはそろそろ改正の原案についてみんなで議論するべきだな、あるいは改正原案についてこれを審査した上で採決をするならする、こういう段階が将来の第三段階としてある。三段階というふうに私は考えております。

 もし、そういう考え方でも担保できないということがあれば、それはこれからのこの委員会の話し合いの中で、例えばその憲法審査会では調査と審査と両方の役割を担わせるということに私どもはしておりますけれども、特に審査という部分については、これは何年間かある意味で凍結させるというようなことを答弁で担保するとか、あるいはこれは法律案の中に書き込むということも考え方としては決して不可能ではないし、皆さんで議論をしていただいて、そういうことがよろしいということであればそういう結論もあり得るかと思います。

 いずれもそれはこれから議論をする、こういうことでございますので、そのあたりは柔軟に考えてもよろしいと私たちは考えております。

辻元委員 今、船田委員の御答弁の中から、気持ちとしてはという御発言がございましたけれども、法律と気持ちは関係ありません。時の多数をとった為政者というのは権力があるわけです、その権力を縛る憲法をどうするかの手続法です。ですから、時の多数をとった者が、多数で何とでもなるという法律では困るわけです。ですから、幾ら気持ちとか認識と言っても、ここはきちっとやはり法律で切り離すものはしっかり切り離すということをしておかないと、後々後悔すると思うんですね。今柔軟に御対応ということでしたから、この点はさらに追及していきたいと私は思います。

 さてそこで、もう一つ、じゃ、公平かという点なんです。手続法だから公平だとおっしゃる。先ほどから出ています広報協議会という件なんですね。

 これは、例えば私社民党で、小さな政党だから文句を言うているのとちゃうんです。国会で三分の二で発議するというのは、発議までの話です、多数で発議するというのは。発議後、有権者の皆さん、主権者の皆さんに賛成、反対の意見を提供したり、発議後の活動というのは、発議までの三分の二や国会の議席に引っ張られるべきではないと思います。というのは、国会の外に出たら、今でも賛成の人と反対の人がいてはりますよ。ですから、やはり広報協議会の構成は、賛成、反対同数にすべきだと思います。

 また、例えば、選挙の議席とおっしゃるのならば、去年の選挙の争点は郵政民営化賛成か反対かだったんですよ。それでこの議席なんです、今の議席は。別に憲法改正について何か大きな争点にはなっていません、劇場選挙だとか刺客騒動とか言われましたよ。ですから、時々の政治状況によってやはり議席というのはいろいろな変化があります。ですから、私たちが過半数をとることもあるかもしれませんよ。しかし、私は、過半数をとったとしても、自分たちが多数派であったとしても、発議後は議会の議席を引きずるのではなく、堂々と、賛成と反対と半分半分で印刷物をつくったり説明会をやったり、そういうことをしないと、むしろ有権者からどういうことなんだという批判を受けると思っておりますが、この点について与党の提出者はいかがでしょうか。

葉梨議員 お答えをいたします。

 辻元委員、今の院の構成は昨年の郵政選挙の結果だというふうにおっしゃられましたけれども、今船田委員からも御答弁申し上げましたように、憲法審査会においては相当長期の間にいろいろな形での検討がなされていくわけです。ですから、当然のことながら、直近の選挙ということになりますと、憲法という問題が俎上に上った上で国民が判断をした、そういうような議席構成になるものだというふうに私は考えています。

 ですから、そのような国民の声をある程度踏まえながら広報協議会の構成というのも決めていかなければならないというふうに思いますが、さはさりながら、やはり公正に、そこら辺は公平に構成をつくっていくということが非常に大事である。そこで、反対派にも配慮をして、反対する党派についても広報協議会に入るようにというような配慮をこの法律ではさせていただいておるところです。

辻元委員 先ほど共産党の笠井委員が新聞を示されまして、これぐらいでちょびっとでしたよ、今の割合でいけば反対の意見が。そうしたら、どおんと賛成で、反対がぽちょっと。これを有権者の方が見られたら、むしろ憲法を変えたいと思っている人に不利に働くんじゃないかと心配申し上げております。えらい不公平やな、何が何でも改憲に持ち込みたいのかと不信感を買うと思うんですね。枝野議員、いかがでしょうか。

枝野議員 実は、民主党案も、先ほど笠井先生がお示しになったような形のもので提案をしておりますが、実際、今辻元委員から指摘を受けたようなことを、今回、デンマークで海外調査をさせていただいて、デンマークの高名なマスコミの方から、賛否をフィフティー・フィフティーで機会を与えないと、その機会が不平等であることをもって否決をされる、このリスクが非常に高いんだという御指摘を伺いました。率直に申し上げて、私ども、自分で提案している案でありますが、それを踏まえて、少なくともアウトプットについては賛否フィフティー・フィフティーであるべきではないかという方向で修正を図りたいというふうに思っております。

 ただし、広報協議会は院の組織でございますので、ここを賛否両派からフィフティー・フィフティーというのは、やはりなかなかやりにくいんだろうなと。ただ、これについては、今の議席構成であれば、共産党、社民党、国民新党、それぞれから必ず一人ずつ委員に入っていただくということを私どもは想定しておりますし、特に社民党や共産党、もし現状でこの二党だけが反対という場合であったとしても、その二党の方が広報協議会に入っていれば、そこでの進め方がアンフェアであればそのこと自体を広報できるという状況になりますので、そこでの進め方がアンフェアになるとは思えない。現に、きょうの委員会も、普通の委員会のようなドントでの時間配分ではなくて、社民党、共産党、国民新党の皆さんにもむしろ自民党よりも多い時間配分をしている。こういう配慮を今後とも最後まで憲法については続けていかなければいけないというふうに思っております。

辻元委員 今後の協議というお話もございましたけれども、私は、やはりこれは手続法と言いながら、改憲ということに対して地続きであると。そして、どうしても憲法を変えたいな、変えたいな変えたいなと思っている人たちが先導して先頭集団でつくっていくと、変えやすい方向に行きかねないと思うんですね。それがよくこの話にあらわれていると思います。

 ですから、憲法というのは主権者のもので、とても大事なもので、きょうのこの議論をお聞きになって初めて憲法というのは国民投票で変えるものなんだと思われた方もいらっしゃると私は思います。ですから、きょうがスタートだと思います。今まで何時間議論してきたとかいう話が先ほどございましたけれども、きょうがスタートで、ここから、そもそも憲法とは何か、そしてどういうことが必要なんだということのスタートの日にしていただきたいと思っております。

 最後になりますけれども、世論調査を見ますと、この国民投票法案について、全く知らない、または余り知らないと答えた人が六六%なんです、委員長。そして、よく知っているという人は三%だったんですよ。ですから、私は、主権者を置き去りにしたまま、改憲にはやる議員や会派が自分たちの都合のよい方向でルールをつくるということは絶対あってはならぬと思っております。ですから、今のままの法案で私たちは反対です。

 しかし、憲法そのものは何なのかという議論を進めていく、これは本当に重要なことだと思っていますので、やはり議員の認識を深めるというところからもう一度スタートとしてやっていただきたいというように私は思っております。

 時間が参りましたので、以上で質問と意見を終わります。

中山委員長 委員長から辻元委員の御発言について感想を述べさせていただきます。

 問題は、広く国民各層に国の基本の法律とは何かということを学校教育でぴっしり教え込むことが欠如している、ここにも最大の原因があります。これを何とか先生の政党も協力していただいて、学校教育で、憲法という基本法の立場、あるいは力、そういったものが即国民の権力であるということを教えるように御協力をぜひお願いしたいと思います。

 次に、糸川正晃君。

糸川委員 国民新党の糸川正晃でございます。

 冒頭、私ども国民新党も大変少数会派ではございますけれども、質問時間に大変御配慮いただきましたことを御礼申し上げます。ありがとうございます。

 私も、この憲法改正国民投票法案の与党案と民主党案につきまして質問させていただきたいというふうに思います。

 日本国憲法が制定されまして六十年が経過したわけでございます。この憲法が取り巻く情勢というものも大きく変化しておるわけでございます。その中で、本法案というものは憲法制定後初めて審議に付されたものでございまして、主権者たる国民の声を国の基本法である憲法にどのように反映させるのか、こういうことを考えますと、極めて重要な意義を有するものであるというふうに考えております。この新たな制度をよりよいものにつくり上げていく上でも、広く国民の声というものを聞いて、慎重かつ濃密な審議というものが必要になるのかなというふうに考えております。

 そのようなことを踏まえた上で、私は、第一回目の総括的な質疑でありますので、総論的な事項を中心に質問させていただきたいというふうに考えておりますし、また、本日の質問者の最後でございますので、確認の意味も含めまして、まとめを少し質問させていただきたいというふうに思います。

 まず冒頭、与党案、民主党案の提案理由の説明というものを拝聴いたしましたが、改めて、国民投票法案の提出に至った意義につきまして、憲法を取り巻く情勢の変化にかんがみた憲法改正の必要性も含めまして、双方の提出者にお伺いをしたいというふうに思います。

船田議員 糸川議員にお答えいたします。

 言うまでもなく、日本国憲法九十六条では改正の手続が定められているわけですが、にもかかわらず、具体的な国民投票法制については、この憲法が施行されてから六十年近くたっているんですが、いまだ今日に至るまで整備されてこなかったということであります。立法府の怠慢とかいろいろ言われておりますが、これは私ども残念なところであると思っております。

 憲法改正国民投票法制を整備するということは、これは言うまでもなく憲法制定権力の担い手である国民がその権利を行使する制度を整備するということですから、憲法改正に対するまさに国民主権を回復すること、あるいはその真の国民主権を具体化する、こういうことにほかならないわけでありまして、極めて重要であるというふうに思っております。

 また一方で、憲法を取り巻く状況も大変大きく変化しておりまして、そういったことも踏まえますと、五年間憲法調査会でいろいろ議論しましたけれども、どこをどう変えるか、変えた方がいいか、いろいろな意見が出されまして、これもいろいろと議論が積み上げられているということでございます。

 そこで、将来憲法を改正するか、もちろん改正しないかという選択肢もありますけれども、いずれにしても、その選択肢を国民の皆さんに与えるためにやはり手続法を整備するということは今喫緊の課題である、こういうことで提案をさせていただいたということでございます。

枝野議員 これは本来憲法に基づく附属法であるべきですので、変えるとか変えないとかという議論の全くない、本来は一九四六年に制定をされてしかるべき法律であったというふうに認識をしています。その後制定されなかったことについては、先ほど辻元委員でしょうか、御指摘されたように、しかるべき背景、時代状況があったんだというふうに思いますので、それが立法府の怠慢だとは思いません。

 ただ、具体的な憲法の改正、ここをこう変えるとかああ変えるとかという議論が余り煮詰まっている状況では中立公正さを疑われる仕組みになる。そういう意味では若干遅かったのかなと思わないではないんですけれども。

 これは非常に難しい、歴史的な経緯の中でいつやればよかったのかということになると難しい。ただ、おくれるほど悪くなるだろう。つまり、現に、特に自民党あるいは公明党、私ども憲法提言を提起して、憲法の中身についての議論がなされている現状であるのは間違いないわけですから、それが深まれば深まるほど中立公正さを疑われるという意味で、そういう意味では遅いほど悪くなるというのは間違いない。したがって、今の時点で提出をいたしました。

糸川委員 ありがとうございます。

 さきの国会では、理事懇談会で非常に精力的に憲法改正手続に関する論点整理が行われたということを聞いておるわけでございますが、残念ながら私はその理事ではございませんでしたので、どういう状態だったのかというのもわかりません。また、国民の皆様もどういうお話がされていたのかということもわからないと思いますので、その状況や経過というものがどのようなものであって、その結果が双方の案にどのようにフィードバックされたのかということを双方の提出者にお聞きしたいというふうに思います。

保岡議員 本委員会が昨年の総選挙後創設されました。その特別会では、自由討議、参考人からの意見聴取及びこれに基づく質疑などをやっております。それから、引き続いて前国会、百六十四国会では、秋に行いました欧州各国国民投票制度調査議員団の派遣報告をやっております。また、各党代表からの基調発言、それからこれに基づく質疑などをやっております。そういったものと並行しながら、ことしの三月から、各会派の代表が参加している理事懇談会において、合計七回、約十時間に及ぶ国民投票法制に関する論点整理を行ってきたところでございます。

 この理事懇談会で議論を重ねる中で、与党と民主党とは幅広い点で意見の一致を見るに至りました。例えば、当初双方の主張に乖離があった次のような論点について意見交換を重ねるうちに、その集約一致を見ております。まず、公民権停止中の者にも投票権を認めること、三カ月居住要件の撤廃、発議から投票までの周知期間、広報協議会の構成や協議会が作成するパンフレットに対する反対会派や反対意見の反映のための配慮、それからマスコミ規制の全廃、外国人の国民投票運動の自由化、政党等の国民投票運動の一部公営、投票に固有の自由妨害罪の取捨選択、以上のほかにも、当初において意見の乖離があったわけではありませんけれども、個別発議、個別投票の原則の規定の仕方や、訴訟制度、国会における審議体制の整備など、論点整理の中であるべき法制の細部を詰めていくプロセスがございました。

 この間、ヨーロッパの方に、昨年の十一月にはオーストリア、スロバキア、スイス、スペイン、フランスを訪問し、また、ことしの七月にはポーランド、イタリア、デンマーク、エストニアを訪問して、欧州各国の憲法、国民投票法制を調査しました。先ほど来、提案者がいろいろそれを引用して答弁をしたところでございます。

 もちろん、現時点においては、国民投票法制の対象として一般的国民投票も含めるかどうかなど、先ほどから議論の対象になっております相違点がございます。このほか、政党による放送、新聞の広告の無料枠の配分とかマスコミ規制のあり方など、なお慎重に今後も検討していくべきものも残されています。しかし、今後、委員会において議論を重ねる中で成案を得て、それを幅広い会派の合意をもって国民投票法制の成立を期すということにしたいと思っております。

枝野議員 具体的なプロセスは今保岡理事からお話のあったとおりでございますが、御承知のとおり、この法案は、初めてつくる法案であります、かつ、技術的にたくさんの論点がございまして、委員会などでのやりとりの中でも、ここは一緒なのか一緒じゃないのかとか、非常に実務的整理が必要でありましたので、理事懇談会の場で各党の考えていることを論点ごとに並べて事務方で整理をしてもらうと、ああ、なるほど、ここは違っているようだけれども一緒だったんだなとか、それぞれそのときに説明を受けると、ああ、なるほど、それはその方がいいなとか、こういうプロセスを七回ほどやりました。

 この途中の一覧表は昨年の五月の段階で全委員の方にもお配りをさせていただいているので、それはごらんいただいているかと思います。ただ、これは理事懇談会という形でやりましたので、理事会にオブザーバーあるいは傍聴という形でも参加されていない国民新党の皆さんにも御参加いただくことができませんでしたし、それからクローズでございましたので、ある程度煮詰まってといいますか整理がされた上での議論は、こういう場ではなくて、もっとオープンな、そしてすべての会派に御参加いただける場で今後は進めていかなければいけない、こんなふうに思っております。

糸川委員 私も、ぜひそういう場に参加して、広く国民の皆様に御理解いただける場というのを提供していただければなというふうに感じております。やはり理事会という場はクローズされておるわけですから、そういう場の意見というのも国民の皆様にお話ししていただかないと、今後は、国民がどんどん参加するんだという意向でございますので、その部分が重視されるということを望みたいというふうに思います。

 この国民投票制度の議論というものを行うということは、国民の憲法に対する認識を深めることに資するんだというふうに考えております。国民はこの憲法改正というものを望んでいない、また国民投票制度も必要でない、こういうような意見も聞くわけではございますけれども、むしろ国民投票制度を設けた上で、国民の判断を是か非かというところで仰ぐべきだ。

 先ほど来さんざんお話をいただいておりますけれども、確認の意味も含めまして、再度、このことにつきまして双方の提出者からお答えいただきたいというふうに思います。

葉梨議員 糸川委員のおっしゃるとおりだと思います。

 先ほど社民党の辻元委員からも、国民投票によって憲法を改正するということが国民の間にも知られていないんじゃないかというような指摘がございましたけれども、やはり今の憲法の仕組みについて、さらにはこのような議論を行っている国民投票制度についてしっかりと国民に知っていただく、そういう機会できょうはテレビも入っているというふうに認識をしています。

小川(淳)議員 同様でございまして、とにかく今改憲を望んでおられるかおられないか、そのことと切り離して手続法は議論するということでございます。御指摘のように、既にこの二時間余りの審議の中で、憲法の性格ですとか、あるいは委員長から子供たちに対するしつけといったことまで議論が深まったわけでございまして、こういったことを契機に主権者としての意識とか、そういうことも含めて深まってまいればと大いに期待するところでございます。

糸川委員 この憲法改正国民投票制度というものは主権者の国民の参政権の行使の方法というものを定めるものでありまして、その重要性は、先ほど来ずっとお話をしてきたわけですから、言うまでもないわけでございます。

 そこで、この憲法改正手続の法案を審議して、そしてまた制定するに当たって、その法案の内容というものを広く国民の皆様に知っていただくと。今葉梨委員からも、本日テレビを入れたということはそういう意義もあるんだというお話があったわけですけれども、今後、この法案を国民の皆様に周知していただくということが重要になってくるんだと。初めて制定されるということですから、どういうものなのかということは恐らく国民の皆様はわからない。それをしっかりと周知してもらわない限り、この権利を行使するということも適当に行われないんではないかということもありますので、どういうふうに国民に周知をするのか、これについて双方の提出者からお考えをお伺いできればと。

葉梨議員 やはり私ども国会議員ですから、国会の場でしっかりと議論をしていくということ、これがまず第一に必要だと思います。その議論はやはり建設的でなければなりません。そしてまた、国民に開かれた形でなければなりません。そして、わかりやすい言葉で国民に語りかけなければなりません。そういうような私たちの努力によって、しっかりと、憲法について、あるいは国民投票制度について国民の理解が深まっていくものというふうに私は考えております。

園田(康)議員 糸川議員の御指摘、私もごもっともだと思っておりますし、今、与党提案者、葉梨さんからもお話がありました。本日のこの議論を通じて、先ほども御指摘がありましたけれども、恐らく、国民の皆様方、大半はこの憲法改正国民投票法という法制がなければ憲法改正が行われないというようなことすら、手続上のことすらもまだまだ深く理解をされていないという現実からかんがみれば、私ども、国民の正当な選挙で選ばれた代表者としての国会議員、あるいは国会の役割、立法者の役割というものは大変大きなものであろうというふうに思っております。

 したがって、本日、こういう形で、国民に開かれた形でまずテレビを入れさせていただいたというのは大変意義のあるものであったというふうに思っておりますし、今後もそれを継続あるいはもっと深めていくための方策を考えていかなければいけないというふうに思っておりますし、また、委員会等のあり方も今後さらに議論を深めさせていただいて、例えば参考人の方からも意見を仰ぐような、そういう場も今後設置をするということも考えていいのではないかというふうに思っております。また、この伝え方は、国民の皆さんにもっとより深く理解をしていただくためのものとしてマスコミを通じてのものというものが考えられるわけでありますけれども、さらにそこの場においては、いわばマスコミの皆様方の見識なども今後私どもからもあるいは国民の方からも問われる場面も出てくるのではないかなというふうな気がいたしております。

糸川委員 もうおっしゃるとおりで、やはり国民の皆様にしっかりと理解していただかなければいけないわけですから、それは私も含めて責任を持ってしっかりと取り組んでいきたいというふうに思います。

 与党案でありまして、国政における重要な問題に係る案件について国民の賛否を問う一般的国民投票制度、これが導入されておりません、与党案は。民主党案では同制度が導入されておるわけでございます。我々国民新党は、御承知のように昨年の郵政解散で、解散・総選挙はある意味国民投票的な運用がなされたというような中で成立した政党でございますけれども、この国民投票的な運用ということの当否を含めて、そして一般国民投票制度の採否という意味でこれがいいのか悪いのか、そういう理由も含めて双方の提出者にお伺いしたいというふうに思うんですが。

保岡議員 先ほど来お答えしてきたとおりでございますけれども、憲法は国会を唯一の立法機関にしておりまして、憲法自身、直接国民が投票するものはこういう憲法改正の国民投票など限定をしております。

 そういった憲法の精神を踏まえるならば、一般的な国民投票は諮問的なもので、国会議員、国会が判断する参考にすぎないという民主党のお考えではございますが、事実上はそれが拘束力を持つ、国民が判断したものを国会が反対の行動をとれるはずがないわけです。そういったことなどを考えると、やはりこれは非常にいろいろなケースが考えられますから、そういうことも検討することに値しないとは思いません、しかし、よくよく慎重に考えて、そのルールなどもよく見きわめた上、制度として立ち上げるのであれば、それが憲法事項であるかどうかも含めてよく検討する必要がある。

 しかし、これは将来の一つの検討課題としては、議論していくことに十分値するのではないだろうかと思っております。

鈴木(克)議員 それでは、民主党案の方で御答弁をさせていただきたいと思います。

 申し上げるまでもなく、昨今、ヨーロッパでも国民投票、特にEUの憲章をめぐっての投票、それから、国内では住民投票ではありますけれども基地問題や合併で投票を行うということが非常に多くなってきておるわけであります。こうした中で、重要な課題については間接民主主義を補完するということで国民の皆さんの直接の意思を表明するという機会をやはりつくっていくべきではないか、これが今回の一体的な整備を目指す根本だというふうに思っております。

 先ほどのお話のように、今回の解散・総選挙は本来多様な政策がいわゆる争点とされるべきであったわけでありますが、単一の国政の重要課題で国民の意思を問うという形の選挙であったわけであります。これはある意味では国民投票によるような形でもよかったのではないのかな、このように思っております。

 国民投票法制ということになるわけでありますけれども、憲法改正ということで、憲法の場合はこの国民投票法制の特例という形で私どもは考えていくべきではないかなというふうに思っています。そのほかの一般的な国民投票制度については、間接民主制、そして代議制を採用しておる我が国の統治原理と矛盾しないような、やはりそこに配慮を十分しなければならないということで、あくまでも諮問的なものというような位置づけで私どもは考えてまいりたいと思っております。

 以上であります。

糸川委員 ありがとうございます。

 次に、これも再三議論されておるわけでございますが、与党案では投票権者の年齢要件が二十以上というふうに規定されておりまして、民主党案ではその年齢要件が満十八歳以上、ただし国会で決まれば十六歳まで引き下げることもできるというようなことを規定されていると思うんですが、それぞれのこの年齢要件を定めた根拠について、もう一回御説明いただければというふうに思います。

保岡議員 我々は、憲法改正の国民投票の権利も、それから国政選挙も、やはり国民主権主義に基づくものであって、同じ基盤に立つものであると。したがって、現在、憲法において成人の普通選挙が保障されているところでございますが、その成人年齢は二十以上ということになっておりますので、それに従ったものでございます。

 しかし、先ほどから申し上げているように、最近は、高校を卒業して大学生になると、一、二年生という十八、十九の年齢にしても非常にしっかりした物の考え方に立っていろいろな御判断をされているということは、いろいろな機会にお互いにそういうことを感ずる場面が多いと思います。一方、低年齢者の犯罪とか、あるいは教育のあり方とか、義務教育のあり方とか、いろいろなことが議論されて、我が国の将来を担う若い人たちについて、どのような権利を付与して、自覚を求めて、そして日本全体として基盤をしっかりしたものにしていくかということは十二分に考える必要がある。そういった意味で、十八歳以上ということについても、我々としてもよく検討していきたいと考えておるところでございます。

園田(康)議員 投票年齢の件でございますけれども、私どもも、やはり、まず基本は主権者は国民であると。そして、その国民の声が反映された形で、この憲法改正が仮に発議をされるということであるならば、それに賛成か反対か、その意見を表明していただくという形、承認をしていただくというものが望ましいわけでございます。

 したがって、より幅広い国民の声というものが反映されるべきであろうというところから、必ずしも、今の成人年齢の二十というふうに規定をされておりますけれども、これがいわば百年以上たったものであるということからすれば、先ほど来も少し時代は変わったんだというようなお声もあるように、私ども、これから先の国家百年、あるいは二百年、そういったことを見据えて行っていかなければいけないということをかんがみれば、やはり若い世代、あるいは幅広い世代の方々の意見をこの中に反映させていくということであるならば、年齢制限を引き下げるということも考えていかなければいけない。

 そして、根拠といえば、今既に幾つか年齢があろうかと思います、十九歳であり、十八歳であり、あるいは個別によっては十六歳までというような話も私どもは考えているわけでありますけれども、いわば十八歳年齢というふうにいたしましたのは、今の私たちの考え方からすれば、社会的な地位を得るための結婚年齢、あるいは運転免許証の資格等々ももう既にあるということからすれば、ここに沿っても問題はないといいますか、幅広い国民の意見を反映するということがより適切なものではないかというふうに考えた次第でございます。

糸川委員 おっしゃるとおりですね。私も先ほど委員長のお話を聞いていて、学校教育の中で憲法とは何なのかということをしっかりと教えた上であれば、年齢を引き下げて、十八歳であったり、十六歳であったりと、どの段階でどれだけ学校教育の中で憲法教育をするんだということを、今ちょうど教育基本法の議論もやっておる最中でございますので、そういう中でもしっかりと議論をして、その上であれば十八歳に引き下げてもいいんではないかなというふうに考えております。

 もう時間がほとんどございませんので、これは自民党の皆様に与党案に対して質問させていただきたいというふうに思うんです。

 憲法に国民の声を反映させるためには、国民一人一人が自由に国民投票運動を行って自由闊達な意見というものを闘わせる、こういう場が必要であるというふうに考えておるわけでございますが、そのためには国民投票運動というのは原則自由というふうな形にして、規制はあくまでも必要最小限であるべきだというふうに考えております。

 そこで、国民投票運動の規制につきまして、原則的な考え方をお伺いしたいというふうに思います。

船田議員 お答えいたします。

 今、糸川議員御指摘のように、国民投票運動、これはできる限り国民一人一人が萎縮することなく自由にこれを行う、またその環境をつくるということは、とても重要なことだと思っております。したがって、国民投票運動は原則自由として、規制はあくまで投票が公正に行われるための必要最小限のものであるべきである、このように考えております。

 具体的には、きょうは詳しくは、もう時間がありませんけれども、特定公務員の国民投票運動、あるいは公務員や教育者の地位利用による国民投票運動の一定の規制ですね。それから、要件を絞った買収罪、これは私たち組織的多数人買収罪、こういうふうに述べておりますけれども、かなり要件を限定してこれを適用したいというふうに思っております。

 それから、公選法では候補者にかかわるいろいろな規制の問題もいっぱいあります。でも、憲法改正の国民投票法におきましては、あくまで改正案に対して賛成か反対か、人を選ぶものじゃなくて政策というものを選ぶわけでございますので、おのずから人に関する規制というものは公選法からもどんどん抜いていく、消していく、こういった作業も事細かくやらせていただいておりますので、そういう意味では規制はほぼ最小限になっているだろう、このように理解をしております。

糸川委員 本来でしたら、いろいろ罰則についてですとか質問をしていきたいと思っていたんですけれども、もうほとんど時間がございません。

 今現在、国民投票の自由を保障する上で特に重要なのが罰則規定なのではないかな。こういうものをどのように整備するかということも必要であるのではないか。ただ、与党案、民主党案においては、幾つかの点で罰則の有無に相違があるわけでございます。ですから、そういうところもしっかりと今後整備をしていただきたいなというふうに考えております。

 本日は、双方の提出者からいろいろとお聞きすることができました。憲法改正をするのかしないのか、これはまた後の議論になるんだろうと思うんですけれども、党利党略に凝り固まったかたくなな態度では議論はうまくいかないのではないかなというふうに考えておりますので、今後、公正な国民投票制度というものを国民のために整備していく姿勢というものを、そして必要性というものをしっかりと国民に表示していただければなと思っております。

 ありがとうございました。終わります。

     ――――◇―――――

中山委員長 次に、小委員会設置に関する件についてお諮りをいたします。

 両案審査のため小委員十四名からなる日本国憲法の改正手続に関する法律案等審査小委員会を設置いたしたいと存じますが、これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

中山委員長 起立多数。よって、そのように決しました。

 なお、小委員及び小委員長の選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 小委員及び小委員長は、追って指名の上、公報をもってお知らせいたします。

 次に、小委員及び小委員長の辞任の許可及び補欠選任につきましては、あらかじめ委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次に、小委員会において参考人及び政府参考人の出席を求める必要が生じました場合には、出席を求めることとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四分散会


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